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君のためなら千回でも(上) の商品レビュー

4.3

37件のお客様レビュー

  1. 5つ

    17

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

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2024/09/14

アフガニスタンが舞台の1人の青年の成長物語。 召使で親友でもあったハッサンとの複雑で心温まる書き出しから始まるが、主人公は後に勇気の欠如と父親の愛を奪われていると勘違いした主人公の嫉妬や恐怖から、ハッサンに対して酷い仕打ちに出てしまう。 それがのちの結婚まで尾を引くが、主人公...

アフガニスタンが舞台の1人の青年の成長物語。 召使で親友でもあったハッサンとの複雑で心温まる書き出しから始まるが、主人公は後に勇気の欠如と父親の愛を奪われていると勘違いした主人公の嫉妬や恐怖から、ハッサンに対して酷い仕打ちに出てしまう。 それがのちの結婚まで尾を引くが、主人公が自分の卑怯さを覚えているのは主人公の優しさだと思った。 アフガニスタンの文化や歴史に関する背景知識はなかったが、アフガニスタンにも興味が湧いた。 ハッサンとの邂逅や関係修復はあるのか、下巻も楽しみに読みたい。

Posted byブクログ

2022/09/15

冒頭で姿を消すハッサンというキャラクターが非常に印象的で、そのハッサンをずっと心に抱えた主人公アミールが寂しくも愛おしい。 後半でより濃く描かれるアミールとその父ババの関係は、大昔から続いてきた父子の難しい絆そのものだ。大きすぎる存在が故に、息子を一番苦しめ、縛ってきた。それはア...

冒頭で姿を消すハッサンというキャラクターが非常に印象的で、そのハッサンをずっと心に抱えた主人公アミールが寂しくも愛おしい。 後半でより濃く描かれるアミールとその父ババの関係は、大昔から続いてきた父子の難しい絆そのものだ。大きすぎる存在が故に、息子を一番苦しめ、縛ってきた。それはアフガニスタンという秩序も。そういった、現代では見直そうとされている伝統的な家族関係が、長い時を経てどう許されていくのか、解されていくのか。 アフガニスタンという異国の話とは思えない、読者の友の物語だ。

Posted byブクログ

2021/09/15

 「君のためなら千回でも!」唇裂の凧追い、ハッサンの声が耳に蘇る。 だがわたしはハッサンに酷い仕打ちをした。それから26年後の2001年、アフガニスタンからアメリカに脱出していたわたしに、父の親友からかかってきた電話が告げる。「もう一度やり直す道がある」 2021年、アフガニ...

 「君のためなら千回でも!」唇裂の凧追い、ハッサンの声が耳に蘇る。 だがわたしはハッサンに酷い仕打ちをした。それから26年後の2001年、アフガニスタンからアメリカに脱出していたわたしに、父の親友からかかってきた電話が告げる。「もう一度やり直す道がある」 2021年、アフガニスタンではタリバン政権が樹立。私は中東情勢の基本をわかっていないのでこちらの本を読んでみた。 上下巻で、1960年代王政時代、1978年共産主義者のクーデター、1979年のソ連侵攻、1989年ソ連撤退のあとの、北部同盟やタリバンによる支配、そして年月は流れ2001年アメリカ同時多発テロ事件とアメリカのアフガニスタン侵攻までの時代に渡っている。 アフガニスタンの生活状況や、アメリカでのアフガニスタン人社会など、かなり読みやすい小説で、時代の流れとも少しわかってきた。 小説の語り手であるアミールは、アフガニスタンの都市カブールで裕福な家に生まれた。祖父は尊敬されていた検事で、父のババは成功した事業者だった。母はアミールを生むとすぐに亡くなっていた。大きな屋敷の庭の隅には召使いのアリとその息子のハッサンがいる。ババとアリは共に育ち、そしてアミールとハッサンも共に育った。 ババは、裕福で人望があり大胆で誇り高い。アミールはババの関心を買おうと一生懸命だが、ババにはスポーツにも商売にも関心がなく勇敢さにもかけるアミールが物足りない。ババの親友ラヒム・ハーンは、アミールにとっても友人で、アミールに物書きの才能があることを応援してくれている。 アミールの子供時代はアフガニスタンは王政だった。この頃のアフガニスタンは割と平穏だが、民族同士の差別も見られる。 アミールたちはスンニ派のパシュトゥーン人で、アリとハッサンはシーア派でモンゴル系のハザラ人。 パシュトゥーン人はハザラ人を迫害して弾圧していたので、アリやハッサンは差別の対象になる。だがババは母のいないハッサンにアミールと同じ乳母を付け、誕生日を祝い、家族の大事な集まりにも同席させていた。アリは「同じ乳を飲んで育った者たちには兄弟の絆があると言われています」と言う。 アミールとハッサンは子供の頃は常に一緒にいた。アミールは字の読めないハッサンに本を読んだり、自作のお話を聞かせる。だがアミールにとってハッサンは、ババを独り占めしたい気持ちもあり、あくまでも召使いの子供で”友達”とは言えない気持ちを持っている。 ある冬、アミールはハッサンを決定的に見捨てる。 そして罪悪感からハッサンを遠ざける。そのためには更に酷い仕打ちまでする。 その後は激動の時代になだれ込む。 1978年共産主義者のクーデター、1979年のソ連侵攻によりすっかり混乱したカブールから、ババと18歳のアミールは身一つで脱出する。 アミールとババとの複雑な父子感情、アメリカのアフガニスタン人社会での様相、アミールの結婚の話、アミールのハッサンへの罪が、多くの暴力に晒されて荒廃する社会を背景に書かれる。 アメリカで作家になったアミールが、電話を受けてアフガニスタンに向かうことにしたところで上巻終わり。 下巻はこちら https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4151200444

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2019/07/07

これ感動した。ストーリーもよかったけど、近代的な価値観の主人公が、はじめて神に祈るところがめっちゃよかった。 人の信仰みたいなものは極限状態から芽生えるんだなって。

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2018/10/23

アース(映画)の冒頭での映画紹介によって、私はこの本と出会った。この本を読み終えた今、映画としては駄作としか言いようのないアースに、この出会いを与えてくれてたことを感謝している。 本書は、アフガニスタンの裕福な家庭に生まれた主人公アミールの半生の物語である。アミールの父ババは、経...

アース(映画)の冒頭での映画紹介によって、私はこの本と出会った。この本を読み終えた今、映画としては駄作としか言いようのないアースに、この出会いを与えてくれてたことを感謝している。 本書は、アフガニスタンの裕福な家庭に生まれた主人公アミールの半生の物語である。アミールの父ババは、経済的成功者で、厳格、スポーツ万能、且つ誰からも尊敬を受けるような類まれな人物である。幼少期、アミールは、この父の才能を引き継いでいない自分が、父から愛されていないのではないかという恐怖にさいなまれていた。というのもアミールの一つ年下のハッサンという召使の子をババが非常に可愛がっていたからだ。アミールとハッサンはお互いに友情を感じつつも、父のハッサンに対する態度や、出生時に母を失ったという事情がアミールのハッサンに対する感情を複雑なものにした。 あるとき、ハッサンは悪ガキどもに、人種差別から来る辱めを受ける。アミールはそれを知りながら、恐怖心に負け、ハッサンを助けることが出来なかった。このことが、さらにアミールの感情を歪ませ、遂にはハッサン一家をババ家から追い出してしまう。この一件がアミールのこの後の人生に重くのしかかることになる。 この後、アフガニスタンでの政変、ソ連進行により、アミールは父とアメリカに亡命。二十数年が経過する。幸せな家庭生活を送るアミールに一本の電話がかかってくる。「もう一度やり直す道がある」。電話の主は、ババの旧友。アミールは、この声に導かれるように、自分の罪を償うべく、再びアフガニスタンへ。絶望的事実が待ち受けようとしていることを知らずに。 ここから先は、要約することが難しいので、ご自分でお読みください。読んで悔いなし。

Posted byブクログ

2018/02/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

君のためなら千回でも カーレド・ホッセイニ The Kite Runner by Khaled Hosseini 映画を先に観てたが内容は思い出せない ★★にしてたが、原作がベストセラーなので読んでみた。 人種差別、イスラムの女性差別、アフガニスタンの悲しい現状、父ババ、主人公アミールの親友への裏切り、悔恨、償いが描かれ、特にハッサンの最初から亡くなるまで忠実、寛容、善良な人柄と悲しい運命の交差に心が痛む。 ハッピーエンドでなく微かな光が見えたラスト 作家さんのアフガニスタンへの未来を見据えた希望が重なって書かれてるように感じた。

Posted byブクログ

2017/07/21

Kite Runner の邦訳。上巻は、幼少期のアフガニスタンでの生活からアメリカへの脱出と結婚まで。

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2017/01/12
  • ネタバレ

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何方かのレビューで「本当によくできている」「伏線回収を見事にしている」と言う感想を見てから読んだ。 確かにその通りであった。 主人公の子どもの頃に周りで起こったことを主人公に反映させていく。極めつけは「君のためなら、何回でも!」である。 涙を誘うような付け方の本の題名で、本の題名としては好きではないが、伏線回収したという上では良いと思う。 主人公は幼い頃の自分の罪を忘れられないでいる。こんな人間でいいのだろうかと自分を責める。 父のババ亡き後、ババも大きな罪を犯していることが発覚する。誰しも罪を抱えるものだということであろう。 本書では触れられてはいないが(確か宋だったと思う)、イスラームではこのことは大きな問題になると思う。 妻を寝取られた夫はどんな気持ちでババと接していたのだろうか。 本書は泥沼状態になる前のアフガニスタンの様子も描いている。 アマゾンレビューにもあったが、平和なアフガニスタンの様子を描いた本は少ないため、知ることができるのは良いと思う。 アフガニスタンは今でも平和が訪れていない。 子どもたちが笑顔で凧をあげられる日が早く来ることを願う。

Posted byブクログ

2016/11/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 アフガニスタンの作品を探すと、ホッセイニ以外を探すのが大変、と本家アン・モーガンさんが書いているわけですが、ホッセイニも読んだことなかった私です。  そんなわけで代表作カイト・ランナーを読みました。文庫のタイトルは映画化された時の邦題ですね。  1960年代、平和だった頃のアフガニスタン。カブールの裕福な家庭で生まれ育った少年アミールは、母を亡くし、厳格で力強く人々の尊敬を集める父ババルに育てられる。母ゆずりの文学の才能に恵まれたがひ弱なアミールを父は歯がゆく感じ、アミールは父の前で萎縮してしまう。  父の愛を思うように得られないアミールをいつも支えてくれたのがハザラ人の召使いハッサンだった。アミールは時にハッサンにそのストレスをぶつけてしまうが、ハッサンは常にそんなアミールを受け止めてくれていた。  アフガニスタンの伝統の凧上げ大会は、アミールが父の関心を引く最大のチャンスだった。見事に大会で優勝したアミールとハッサンだったが、その直後にある事件が起き、アミールとハッサンは決定的な決裂を迎える。  その後、アフガニスタンはソ連に侵攻され、アミールはハッサンへの罪の意識に常に悩まされながら、父とともにアメリカに亡命することになるのだった。  上巻は、平和で美しかった頃のカブールでの子ども時代が中心。バシュトゥーン人とハザラ人の関係やアフガニスタン社会の特徴なんかも描かれていてます。ちょっと表現が大袈裟というのは、イランでもきいたことがあるような。文化的な特徴や国民性がわかるのも面白いです。  アミールのしたことは酷いと思う反面、強いお父さんより弱いアミールに感情移入してしまうのも事実。ババとアリの40年の絆を見て育ったハッサンが、同じようにアミールと関係を築いていきたいと思っていたんだろうなあと思うと切ないです。アミールは過去の清算ができるのであろうか。  下巻へ続く。

Posted byブクログ

2015/12/31

読んだ。 『カイト・ランナー』 自ら犯した罪深き思いが残る行為 、それを浄化できるのは自分でしかないんだと。至極当たり前のことなんだけど、アフガニスタンという舞台の情緒も手伝ってか、とても深く感じさせられる物語でした。 8年前くらいにガーデンシネマで観賞したがこれもまたよし。

Posted byブクログ