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倒立する塔の殺人 の商品レビュー

3.6

81件のお客様レビュー

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2016/07/14

・皆川博子は多種の作風を駆使する職人だが、 今作は彼女の少女小説の代表になりそう。 ・少女小説にあふれる優雅な悪意や毒が、皆川作品の中核でもあったのだ。 うっとりしちゃうよ。 ・昔日の少女小説の少女たちはおおむね知的。 文学も音楽も絵画もたしなんでいる。 果たして...

・皆川博子は多種の作風を駆使する職人だが、 今作は彼女の少女小説の代表になりそう。 ・少女小説にあふれる優雅な悪意や毒が、皆川作品の中核でもあったのだ。 うっとりしちゃうよ。 ・昔日の少女小説の少女たちはおおむね知的。 文学も音楽も絵画もたしなんでいる。 果たしていまの少女たちは……? ・戦争中のミッションスクールというだけで、このどきどきはなんだろう。 ゴシックハートがうずく。 ・きらびやかな舞台背景(というより、語り手の視野)にだまされがちだが、 作中人物たちは作者と同年代。 戦争へのシニカルな思いなどは、作者のそれといえるのでは。 ・ヤングアダルトのための本なのだが、大人が読んでも十分に面白い(そして難しい部分もある)。 構成の複雑さ、トリックの複雑さ。 ・名前がまことに美しい。 そしてその美しい名前がトリックのひとつにもなっているのだから。 阿部欣子(あべ きんこ)→異分子のイブ。ベー様。ヌーボー。逞しい。素朴。 三輪小枝(みわ さえだ)→小柄。かわゆい。 佐野季子(さの すえこ)→冒頭で死亡するが舞台の雰囲気を伝える。 設楽久仁子(しだら くにこ)→上月への恋。嫌われ役。ジダラック。 上月葎子(こうづき りつこ)→お姉さま。毒舌。 七尾杏子(ななを きょうこ)→お姉さま。絵画熱。 雫石郁(しずくいし かをる)→図書館司書。 ゲビタコ→当時頻出した教師。実はアカ。 ・表紙のセンスのすばらしさ。佳嶋。 ・桜庭一樹原作・タカハシマコ作画「青年のための読書クラブ」、 志村貴子「青い花」を彷彿。 ただしこちらは毒っけが強い。

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2016/07/03

太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台の物語。 「倒立する塔の殺人」というタイトルのノートに女学生たちが回し書きした小説、その中で事件の真相が明らかになっていく。 耽美的で女学生たちの密やかな交流、残酷さが描かれている。 ミステリーYA(ヤングアダルト向け)にしては内容が濃...

太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台の物語。 「倒立する塔の殺人」というタイトルのノートに女学生たちが回し書きした小説、その中で事件の真相が明らかになっていく。 耽美的で女学生たちの密やかな交流、残酷さが描かれている。 ミステリーYA(ヤングアダルト向け)にしては内容が濃密だった。 (図書館)

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2016/05/24

文章もキレイで、読み始めはぐいぐい引き込まれました。 途中からこれは手記が現実か?こんがらがってしまった。 どのキャラクターの引き立ても中途半端な感じ…そのはぐらかす感じが魅力なんかなぁ。 個人的にはもっと明確な終わりが読みたかったな〜。 紙に花柄の型押しされてるのかわいい。

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2016/01/03

前から気になっていた皆川博子さん。 初めてなので読みやすそうなYA向けレーベルのものを選んでみました。 書かれていることはとても現実的なのに、どこか幻想的に感じるのは、作中作の舞台がミッションスクールだからか。作中に出てくる人物と作中作に出てくる人物が同一人物で、境界が曖昧だか...

前から気になっていた皆川博子さん。 初めてなので読みやすそうなYA向けレーベルのものを選んでみました。 書かれていることはとても現実的なのに、どこか幻想的に感じるのは、作中作の舞台がミッションスクールだからか。作中に出てくる人物と作中作に出てくる人物が同一人物で、境界が曖昧だからかもしれない。 “倒立”のトリックはよくわからなかった…。出来たら図が欲しかったなぁ。 もし、初めからノートが杏子に渡っていたらどうなっていたんだろう?

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2015/05/25

「これぞ流浪の人の群れ まなこ光り髪きよら」開いたページにあった『流浪の民』のサビ。もの悲しさと同時に情熱を秘めたこの歌は小説全体に漂う雰囲気そのものでした。戦争で家も家族もなくし、明日の命の保証さえないけれどそれぞれに自分の道を歩もうとする姿には強さを感じます。しかし敬語でおし...

「これぞ流浪の人の群れ まなこ光り髪きよら」開いたページにあった『流浪の民』のサビ。もの悲しさと同時に情熱を秘めたこの歌は小説全体に漂う雰囲気そのものでした。戦争で家も家族もなくし、明日の命の保証さえないけれどそれぞれに自分の道を歩もうとする姿には強さを感じます。しかし敬語でおしゃべりするような少女たちの学院生活は「禁断の」という言葉を付けたくなるなんとも異質な世界。歪んだ愛が痛々しい。ミステリーYA? 私には純文学のように思えた。「イブであってイヴではない」べー様が魅力的でした。装丁が素敵。

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2015/03/30

この作家さんの作品は初めて。 戦時中のミッションスクール。 仲良しグループで回しながら小説を書く。 少女たちのミステリー。

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2015/02/11

謎解きと乙女な世界と耽美の仕掛けとが撚り合わされて、読む楽しみをじっくり味わえた。随所に差し挟まれる小説や絵画の描写が、皆川先生が読み手を導いているよう。謎解きを終えた少女たちが自分たちの進む道をしっかりと捉えている姿も。

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2015/02/10

戦争時代の女学生達が主役のミステリ。女学校という場所と戦時下という特殊な時代を、それでも耽美に溢れる内容で綴った、哀しくもあり、美しくもある話でした。最後には現実を生きる者が、少女の時代に幕を下ろし、未来へ向かう姿が印象に残りました。

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2014/11/23

戦争末期、勤労動員で工場で働く女子高生たち。私立のミッションスクールに校舎が焼けてしまった都立の女学校が同居する。 ミッションスクールの図書館にあった書かれていない本。続きを書いてもらいたい? ミッションスクールで過去にあったらしい殺人、真相は? 面白い発想、楽しく(?)読めます...

戦争末期、勤労動員で工場で働く女子高生たち。私立のミッションスクールに校舎が焼けてしまった都立の女学校が同居する。 ミッションスクールの図書館にあった書かれていない本。続きを書いてもらいたい? ミッションスクールで過去にあったらしい殺人、真相は? 面白い発想、楽しく(?)読めます。

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2014/11/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 戦時中のミッションスクール。 図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。 蔓薔薇模様の囲みの中には、タイトルだけが記されている。 『倒立する塔の殺人』。 少女たちの間では、小説の回し書きが流行していた。 ノートに出会った者は続きを書き継ぐ。 手から手へと、物語はめぐり、想いもめぐる。 やがてひとりの少女の不思議な死をきっかけに、物語は驚くべき結末を迎える…。 物語が物語を生み、秘められた思惑が絡み合う。 万華鏡のように美しい幻想的な物語。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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