1,800円以上の注文で送料無料

袋小路の男 の商品レビュー

3.7

168件のお客様レビュー

  1. 5つ

    28

  2. 4つ

    49

  3. 3つ

    62

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2005年(第2回)。4位。 「袋小路の男」日向子は高校の先輩に恋をした。しかし、大学に入りOLになっても、いわゆる友人以上恋人未満。その中で恋(日向子は浮気という)もしたけど。なんかさ、思い出すよ、若いころ。なんだかうまくいかない恋ってあるよ。 「小田切孝の言い分」男の側からの日向子との関係。 「アーリオオーリオ」中学生の姪と文通する30代男。パスタばかり食べてるらしい。これは、唐突に終わった感が。 不思議な世界観で、機会があれば読んでみたい作家かなぁ。

Posted byブクログ

2022/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表題作の『袋小路の男』、『小田切孝の言い分』『アーリオ オーリオ』の3編。  前2作は、12年間思い続け手を触れたこともなく「10円玉の温度で暖かさを感じる」。こういう男女の関係を純愛というの?女性が男性に振り回されている感はありますが、一線を超えたらこの今の関係が崩れてしまうのを恐れているのでしょうか。もどかしいけれど、なんだか懐かしい感覚も抱きました。 『アーリオ オーリオ』は叔父と中学生の姪が手紙でやりとりをするお話。微笑ましい。

Posted byブクログ

2022/09/24

読書開始日:2022年9月19日 読書終了日:2022年9月24日 所感 【袋小路の男】 【小田切孝の言い分】 小田切孝は虚勢を張る。 つい弱音を吐くと、メッキが剥がれ、人が離れていく。 わたしは小田切孝がハリボテだと気づいているが、愛しているから離れない。 小田切孝もそれに気づ...

読書開始日:2022年9月19日 読書終了日:2022年9月24日 所感 【袋小路の男】 【小田切孝の言い分】 小田切孝は虚勢を張る。 つい弱音を吐くと、メッキが剥がれ、人が離れていく。 わたしは小田切孝がハリボテだと気づいているが、愛しているから離れない。 小田切孝もそれに気づいているから離れない。 でも近づきすぎると、小田切孝が自身の弱さを目の当たりにし、わたしもわたしで小田切孝の弱さを受け止めきれないかもしれないと不安に苛まれ、先に進まない。 それでも時間をかけ、進まないことこそが二人の関係性とお互いが気づき、袋小路のぺんぺん草になった。 【アーリオ オーリオ】 素敵なお話のようだったけど、理解ができなかった。 きっと自分は譲側であり、小島側なんだと思う。 でも哲のような、自然の中でも見えない自然にまで興味を示せる人間は、好奇心があってカッコイイと思う。 袋小路にはまってる。 反時計廻りに回った なんて無謀なんだろう、なんて素敵なんだろう

Posted byブクログ

2022/06/29

 切ない平行線。互いの心情は包み隠さずストレートに表現される反面、男女が心身共に交わる事なく時が流れる。読み手のその時の感情によっては歯痒くも感じられる場面が次々と繰り返されるものの何故か納得感も覚えさせられ、物語と読者との距離も接する事なく一定の間隔を保ったまま結びの行までだど...

 切ない平行線。互いの心情は包み隠さずストレートに表現される反面、男女が心身共に交わる事なく時が流れる。読み手のその時の感情によっては歯痒くも感じられる場面が次々と繰り返されるものの何故か納得感も覚えさせられ、物語と読者との距離も接する事なく一定の間隔を保ったまま結びの行までだどり着いてしまうような不思議な短編たちでした。  気付かぬうちにするりと読み進めえられるのは話の展開だけでなく文章の書き方が上手なのかもしれない。滞りなく文字を追う目が先に導かれていった。

Posted byブクログ

2022/06/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これは恋愛?純愛?なんとなく綺麗だけど、実は、ものすごくドロドロで。 わかるようなわからないような…引きづりますね。 2話目でただの閉塞感は薄まりましたが。

Posted byブクログ

2022/05/29

「袋小路の男」には三作品が掲載されていて、一番初めの物語、「袋小路の男」は書き方、いや主人公の語り口調がとても好きだと思った。その理由はなぜか、大抵改行があまり行われていない文字の羅列は、開くたびに時折うっとなってしまうことがある(そんなこというなら小説なんて読むな、という話であ...

「袋小路の男」には三作品が掲載されていて、一番初めの物語、「袋小路の男」は書き方、いや主人公の語り口調がとても好きだと思った。その理由はなぜか、大抵改行があまり行われていない文字の羅列は、開くたびに時折うっとなってしまうことがある(そんなこというなら小説なんて読むな、という話であるが)が、絲山秋子さんは違う。 この改行のない文章は、主人公思考の過程を表しているのではないか、思考が思考を呼び、その思考はたしかに存在しているにもかかわらず、この主人公の身の一つとなる構成要素の一つとなる。 文字の繰り返し、会話、文字の繰り返し、会話、このリズムは、自然と私たちの頭の中に入ってきて、スッと消えて入っていく。

Posted byブクログ

2022/02/27

最近、積読を積極的に消化しようキャンペーンをやっていて、この本も随分と前に古本屋で購入してあった本。 まず、袋小路の男と小田切孝の言い分。 デカダンス的な男女の何とも割り切れない十数年。2人が、世の中で名前がついている関係にならないのは、2人がどこまでも自己愛から抜け出せないエゴ...

最近、積読を積極的に消化しようキャンペーンをやっていて、この本も随分と前に古本屋で購入してあった本。 まず、袋小路の男と小田切孝の言い分。 デカダンス的な男女の何とも割り切れない十数年。2人が、世の中で名前がついている関係にならないのは、2人がどこまでも自己愛から抜け出せないエゴイストだからかなと思います。別にそれが良いとか悪いとかじゃなくて、2人はその自己愛の依存関係が心地良いのだから、そういう関係性もあるのだろうけど。臭いモノを、臭いとわかっていながら何度も嗅いでしまうような、そんな気持ちで読み進めてしまった物語でした。 私が好きだったのは、アーリオ オーリオの方。 中年独身男と姪っ子の文通のお話なのですが、中学生の伸びやかな、ともすると宇宙大の思想と、まだ何者にもなっていないただ歳を重ねた少年としての哲が、手紙を通して触れ合う様が美しくて、美しくて、夢中になって読んでしまいました。大人になれば、何かの役目や責任を引き受けなければなりません。それは社会にとって必要不可欠な尊いことなのだけど、親であるが故に子供の将来を心配するがゆえの制限は、1人の人間であるはずの親の思考そのものにも制限を与えていて、本来自由であるはずの思考の世界がどんどん枠にはまっていってしまうものなのだなぁと思いました。それが普通の大人になるということなのかもしれませんが、その不自由さに敏感でありたいし、その制限の逃げ場を常に用意しておきたい。それが私にとっては、読書であり、音楽であり、映画であると思いました。

Posted byブクログ

2022/01/21

究極の片想いの話。 二人称のあなたで語られる事で、読者それぞれのあなたに重ねて物語を読むことができる。 小田切が入院して弱っている時、包み込んで抱きしめてあげたいけど、それは「してあげること」だから許されない。限りなく似ているのに、違うことだから... 彼女にしか許されないこ...

究極の片想いの話。 二人称のあなたで語られる事で、読者それぞれのあなたに重ねて物語を読むことができる。 小田切が入院して弱っている時、包み込んで抱きしめてあげたいけど、それは「してあげること」だから許されない。限りなく似ているのに、違うことだから... 彼女にしか許されないことをしてあげたいのに、今の関係が壊れることを恐れてできないもどかしさがうかがえた。

Posted byブクログ

2022/01/06

家にあった本。意外や川端康成文学賞作品。 十年に及ぶ女性の片思いのの物語と思いきや、実は両思いだけどなかなか交際には発展しないもどかしい二人の距離感を、時に暖かく描いている作品。 淡々と読みながらも、ホントふとあったかい表現がうまく使われてます。直接的な表現は少ないのでぼーっ...

家にあった本。意外や川端康成文学賞作品。 十年に及ぶ女性の片思いのの物語と思いきや、実は両思いだけどなかなか交際には発展しないもどかしい二人の距離感を、時に暖かく描いている作品。 淡々と読みながらも、ホントふとあったかい表現がうまく使われてます。直接的な表現は少ないのでぼーっと読んでると見落としてしまいそうな。 特別結論に向かうような作品ではなくゆる~い感じなので、はっきりしたエンディング好きな人はちょっと物足りないかも。 でもまぁどっちかというと女性向けでしょうか。

Posted byブクログ

2023/05/04

大谷日向子の心境はさぞ辛いだろうなと思う。 読んでいる私からすれば、日向子と小田切、お互いの胸の内を読者として知っているから、これはこれでいい関係かもしれないと思うけれど、片思い中の当人にとっては、たまったもんじゃない。ただ、答えが出たら、そこで何かが終わってしまうかもしれない...

大谷日向子の心境はさぞ辛いだろうなと思う。 読んでいる私からすれば、日向子と小田切、お互いの胸の内を読者として知っているから、これはこれでいい関係かもしれないと思うけれど、片思い中の当人にとっては、たまったもんじゃない。ただ、答えが出たら、そこで何かが終わってしまうかもしれない怖さもあり、改めて恋愛の複雑さを思い知る。 はっきりさせていないが、これは恋愛でしょう。 日向子はわかりやすいし、小田切にしても口は悪いし、駄目な部分も多々あるが、クズでもない。日向子への気遣いを持とうとしている時点で、「それだよ、あなたの~は」、と私は思ってしまうが、人の恋路に口出しは無用。だって、相手の心の内を微妙に勘違いしながらも、それでもなんとかなる人間の奥深さを感じたし、絲山さんの書く、人間心理の描写の巧みさもすごい。 それに、辛いだろうなと思う場面もあるが、それと対照的に心底楽しそうだなと思う場面もあり、そこでの幸せそうな日向子を見ていると、求めたいものがあるから、辛いことにも耐えられるのかもしれないなんて思い、そういえば遠距離恋愛していた頃、仕事終わりに、夜中車を走らせて待ち合わせしたことをふと思い出したが、なんでこんなことしてんだろうとは微塵も思わなかった。だから分かる部分もすごくあるし、私も当時の自分の世界が崩壊するのがすごく怖かった。 ちなみに、もう一つの短編「アーリオ オーリオ」は、まだ見ぬ世界の夢と不安に揺れ動く中学生の姪と、それによって違う未来が見えようとしている孤独な男との、ささやかな交流が味わい深い作品となっております。 小田切を庇うわけではないが、印象的な場面をひとつ書いて終わりにします。小田切の生き様を考えると、プロポーズのようにも聞こえてしまうが。 「ありがとう」 消え入りそうな声で日向子が言うと、小田切は、 「俺がこんなとこ来るの、最初で最後だろうな」 と言った。それから声のトーンを変えて、 「最後にしてくれよ」 と低く笑った。

Posted byブクログ