灯台守の話 の商品レビュー
岸本佐知子先生翻訳の海外文学、絶対奇妙なテイストなんだな…なるほど…。 好きなんだろうな、多分…。 岸壁に斜めに突き出した家で、母と命綱で繋がれて生活していた少女の話…。 もうこれだけであらすじが尖り過ぎてる…すごい…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
-<物語ること>で人は救われる。- 邪道にも、訳者あとがきが印象に残った。これはジャネットが何度も繰り返してきた言葉だそうで、本編全体を通してもこのメッセージが感じ取れる。 本作ではとある灯台にまつわる物語が灯台守によって語られる。僕は、灯台にこんなストーリーがあるなんてと思わず驚いたし、それに想いを馳せるたびに心がふわっとなった。 物語を語るというのは不思議な魅力を持っていると思う。自身の経験談を話すとまるで他人事のように思えたり、人づてに聞いた話を語ると自身が経験したかのような想いがなぜかよぎったりする。もしかしたら自分一人では抱えきれない痛みや苦しみから逃れるために人は語るのかもしれない。 今僕は腹部がきりきりと痛い。実は昨日激辛ラーメンを食べてね…。まぁいいや。
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本の最後に向かって、どんどんと綺麗な映像が眼に浮かぶ。何度でも読みたい。 自分の人生のどんな苦しみも悲しみも、自分の物語にしてしまえば、その苦しみに対抗する力になる。いろんな自分が出てくる、物語。それは灯台から出し続けられる一条の光。 些細な描写が美しくて、ハッとする。
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図書館で見かけて、以前訪ねたスコットランドの最果ての灯台が舞台と知り読み始めたのだが、なにこれファンタジー? うーん、どうしよう。あまりへんてこな話だったらやめようかな。 しかし、ケープ・ラスが舞台の話なんて他に絶対ないだろうし貴重だな。
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スコットランドの辺境に立つ灯台を巡る、二百年の時空を超えた人々の物語。 冒頭の、主人公の母の死にまつわるエピソードから、これが完全なる「寓話」であることが明らかとなる。 その後も、時空を行ったり来たりする場面展開の中で、その寓話性、神秘性が高められていく。 一方で、散りばめら...
スコットランドの辺境に立つ灯台を巡る、二百年の時空を超えた人々の物語。 冒頭の、主人公の母の死にまつわるエピソードから、これが完全なる「寓話」であることが明らかとなる。 その後も、時空を行ったり来たりする場面展開の中で、その寓話性、神秘性が高められていく。 一方で、散りばめられたエピソードの中には、生々しい「痛み」を感じさせるものも多い。 寓話性と生々しさ。 そのバランスに妙味があり、独特の優しさと痛切さが小説全体に漂う。 なんだか不思議な印象を残してくれる物語でした。
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美しい。ここ最近のベストの一冊。生きるとは、物語ることであり愛であり灯台であり。灯台の照らす一条の光であり。
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登場人物がこんがらがりました。誰が誰かよくわからないまま読み終わりましたが、物語全体が醸し出す雰囲気は好きでした。灯台守の仕事は、灯台の光を守ることと、物語を語ること。灯台一つひとつに物語があり、船乗りたちは岬の一つひとつを物語で覚えている。「お話しして、ピュー。」おしまいのある...
登場人物がこんがらがりました。誰が誰かよくわからないまま読み終わりましたが、物語全体が醸し出す雰囲気は好きでした。灯台守の仕事は、灯台の光を守ることと、物語を語ること。灯台一つひとつに物語があり、船乗りたちは岬の一つひとつを物語で覚えている。「お話しして、ピュー。」おしまいのある物語はこの世のどこにもない。
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#岸本佐知子訳。アーヴィングを思わせる冒頭30Pの密度にくらべ、灯台を離れる→物語の中心を失う後半は混乱していて。「お話して、シルバー。/どんな話?/その次に起こったこと。/それは事と次第によるわ。/事と次第って?/わたしがどう話すか次第だってこと。」どう話すか次第。ダークの物語...
#岸本佐知子訳。アーヴィングを思わせる冒頭30Pの密度にくらべ、灯台を離れる→物語の中心を失う後半は混乱していて。「お話して、シルバー。/どんな話?/その次に起こったこと。/それは事と次第によるわ。/事と次第って?/わたしがどう話すか次第だってこと。」どう話すか次第。ダークの物語が2つに分岐するのに対して、シルバーの物語はより多分岐し、唐突なトゥルーエンドは、「灯台」と言うよりは、P93の「ずっと目で追っていった者にだけ、その姿が見える鳥」みたい。 #P49「そうしてすべての灯台には物語があることがわかったんだ。いや、すべての灯台が物語だった」物語になった灯台と言えば、ブラッドベリの「霧笛」。と言うより、野田秀樹の『半神』の方を真っ先に思い出すのですが、あれも孤独と希求についてのお話だったな。 (2009/10/23)
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さすがジャネット・ウィンターソン!!! 最初はユニークな舞台設定のちょっと二の足を踏んでしまったけれど、ぐいぐい読めた。詩的な美しい物語だった。
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ソルツというさびれた港町で暮らしているシルバーと母。崖に斜めに突き刺さった家に暮らす二人。ある日母親は崖の下に落ちてしまい、シルバーと後ろ脚の短い飼い犬が残される。 ここから物語が始まる。でも物語はもっと前に始まっていた。 ジキルとハイドのような生活を送っていたバベル・ダーク牧師...
ソルツというさびれた港町で暮らしているシルバーと母。崖に斜めに突き刺さった家に暮らす二人。ある日母親は崖の下に落ちてしまい、シルバーと後ろ脚の短い飼い犬が残される。 ここから物語が始まる。でも物語はもっと前に始まっていた。 ジキルとハイドのような生活を送っていたバベル・ダーク牧師、代々受け継がれる灯台守ピューの物語、など。 いちいち立ち向かわないのが心地いい。シルバーは強い子。 やっぱり物語は終わらせてはならないと思います。
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