灯台守の話 の商品レビュー
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傾いた家の孤児となったシルバーの人生が灯台守の語るジギルとハイド氏的なダークの人生とすれ違ったり重なったりしつつ、世界も海になったり宇宙になったり、あるいは100年の時さへも交差する物語。
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みなしごシルバー、灯台守のピュー、その灯台の資金を出した人の子バベル、 「彼らの語る物語」の話 灯台に暮らして、毎晩おとぎ話のように一話ずつ、そういう形なのかと思っていたけど、少しずつ、それとは違う。物語が語るものは人であり人生で、同じ人でもない。なんだか不思議な物語だった。 ...
みなしごシルバー、灯台守のピュー、その灯台の資金を出した人の子バベル、 「彼らの語る物語」の話 灯台に暮らして、毎晩おとぎ話のように一話ずつ、そういう形なのかと思っていたけど、少しずつ、それとは違う。物語が語るものは人であり人生で、同じ人でもない。なんだか不思議な物語だった。 灯台に住む、って、なんとなく憧れる。
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灯台守の話としているけれど。 灯台守は、沢山の物語を持っていて、次々に伝えていく。伝えられたら、それは自分の物語でもあるような。 誰かの物語、自分の物語、そうして語られてきたことが、だんだんとなくなり、人は自分一人だけの物語(人格)しか話さなくなる。 そして、話すらしなくなる。...
灯台守の話としているけれど。 灯台守は、沢山の物語を持っていて、次々に伝えていく。伝えられたら、それは自分の物語でもあるような。 誰かの物語、自分の物語、そうして語られてきたことが、だんだんとなくなり、人は自分一人だけの物語(人格)しか話さなくなる。 そして、話すらしなくなる。 孤児となって、灯台守のピューとの生活で、物語の紡ぎ手となったシルバー。 ピューとシルバーだけの話だと、まだ19世紀の話のように聞こえるけど、実際は21世紀。 灯台は岬から岬へと、真っ暗闇の中、船を導く道しるべだったもの。 灯台守の話も、人を導くもののひとつ。とみると、語られなくなった今、人は皆、道に迷ってるのではないかと。 でも、まだシルバーがいる。 から、救われてるのかもしれない
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自分自身を物語る力、扉を開き続ける勇気。いくつもの話が重なり合う小説。 ********************* みなし児のシルバーは、盲目の灯台守ピューに引き取られ、予後と、百年前に生きた牧師ダークの「数奇な人生の物語」に耳を傾ける。シルバーとダーク、やがて二つの「魂の遍歴の...
自分自身を物語る力、扉を開き続ける勇気。いくつもの話が重なり合う小説。 ********************* みなし児のシルバーは、盲目の灯台守ピューに引き取られ、予後と、百年前に生きた牧師ダークの「数奇な人生の物語」に耳を傾ける。シルバーとダーク、やがて二つの「魂の遍歴の物語」:が交差していく…。
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母親を亡くしたシルバーは灯台守のピューと暮らすことになる。ピューから聞かされるバベル・ダークの物語。二つの物語が時空を越え一つとなるとき、物語は静かに終わる。久しぶりに読後、心が震えた大変素晴らしい作品だった!
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真実の愛を求めて。みなし児の少女シルバーは、盲目の灯台守ピューに引きとられ、夜ごと、百年前に生きた牧師ダークの「数奇な人生の物語」に耳を傾ける。シルバーとダーク、やがて二つの「魂の遍歴の物語」が交差していく…。待望の傑作長編(「BOOK」データベースより) ずっと前に読みたい...
真実の愛を求めて。みなし児の少女シルバーは、盲目の灯台守ピューに引きとられ、夜ごと、百年前に生きた牧師ダークの「数奇な人生の物語」に耳を傾ける。シルバーとダーク、やがて二つの「魂の遍歴の物語」が交差していく…。待望の傑作長編(「BOOK」データベースより) ずっと前に読みたいと思っていたのにスル―してしまっていた作品。 今回新書化され、図書館に入ったので借りようと思ったら先に予約者が・・・。 なので単行本の方を借りて読んでみました。 こちらを借りてよかった。 表紙のタツノオトシゴのイラストの意味がシンプルに伝わってきます。 さすがはクラフト・エヴィング商會、いい仕事してますね。 お話して、ピュー。 どんな話だね? ハッピー・エンドの話がいいな。 そんなものは、この世のどこにもありはせん。 ハッピー・エンドが? おしまい(エンド)がさ。 自分が相手に真実でいることだ。 どういう意味? 他人の真実になることは誰にもできないが、自分は自分の真実でいられるからな。 じゃあ、あたしは何て言えばいいの? どんなときにだね? 誰かを愛したとき。 そのとおりに言えばいい。 ピューとシルバーの問答もいいな。 中身については・・・、 ファンタジーめいた話かとばかり思っていたので、はじめは積み重なる物語たちに圧倒されてしまいましたが、丁寧に読み進めると、この独特の世界に飲み込まれていくような錯覚を覚えました。 そしてそれが全く不快ではない。 いつまでも守人ピューに物語をせがんでいたいと思わせられる一冊でした。 スティーブンソンの『ジギル博士とハイド氏』、昔読んだきりだったけれど、もう一度読み返してみようかな。
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美しく豊かなイメージがつまった物語だった。 灯台守に育てられた主人公の孤独な少女と、その灯台誕生に関わった人物の物語と、さらに灯台守と主人公が語る物語が重なりながら、豊かにこの本の世界が出来上がっていく。 そして文体が何といっても美しく、全てが詩のようにイメージが豊か。あまり...
美しく豊かなイメージがつまった物語だった。 灯台守に育てられた主人公の孤独な少女と、その灯台誕生に関わった人物の物語と、さらに灯台守と主人公が語る物語が重なりながら、豊かにこの本の世界が出来上がっていく。 そして文体が何といっても美しく、全てが詩のようにイメージが豊か。あまり詳しく情景と背景は説明されなくとも、その分だけ自由に目の前に現れてくるよう。 作者は、人間は物語を語る事で救われる、と言っているらしい。登場人物全てが強烈な悲しさや空白を抱えているが、物語の中で世界の美しさ、人の美しさに気づいて、生きて死んでいく。 時系列も順番でなく、説明もあまりないので、苦手な人は苦手かもしれない。でもよくある気取ったイメージの羅列のような文章ではなく、複雑な世界の有り様を正直に描いたらこうなった、という感じ。近くで見ると意味不明だが遠くから見るとカラフルで広大な世界が書かれていた絵のよう。最初はわけわかんねーと思いながら読んでいたけど、途中でパーンとイメージが広がっていった。
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物語。 過去も今も未来も時間を越えてかたられる物語の中に。 愛しく、悲しく、優しく、物語は続いていく。
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時間の流れや場所的なものに最後ちょっと追いつけなくなってしまったけど、良かった。 文章や本全体の雰囲気が好きだ。
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「物語ることで人は救われる」は、アーヴィングも、ティム・オブライエンも、発してきたメッセージ。 どんな人もみんなそれぞれの物語を持ち、物語を生きているのだよなあ。固有で、交換不能で、不可逆な物語。 クラフト・エヴィング商會の装丁がしっくりとなじむ。
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