私の男 の商品レビュー
物語のはじまりの描写が印象的で、ぐっと引き込まれた。あとは一気読みだった。見てはいけないものをドキドキしながら覗き見しているような感じ。見ていて決して気持ち良いものではないのに、そこに美しさや尊さを感じさせるところが魅力でした。
Posted by
カテゴリ化するのは無粋な話だけれども、ヒロインは綾波レイ的な何かだよなぁ、という雑感。処女に母性を持たせる聖母性ほど淫心を擽られることはない。 エログロナンセンス三拍子揃えて勢いで読ませる筆力、薄い本と言われる界隈で好まれそうな題材を山盛りにし破綻させずに多視点(この辺りも薄い本...
カテゴリ化するのは無粋な話だけれども、ヒロインは綾波レイ的な何かだよなぁ、という雑感。処女に母性を持たせる聖母性ほど淫心を擽られることはない。 エログロナンセンス三拍子揃えて勢いで読ませる筆力、薄い本と言われる界隈で好まれそうな題材を山盛りにし破綻させずに多視点(この辺りも薄い本らしさがある)及び逆順時系列を使い纏め上げる構成力、文章内の比喩表現が美しく湿度の高さを見事に表現していて、すばらしいと思う。 ところでナンセンスはどこにあるのかというと。 もうそもそも冒頭の結婚が成立してしまうところやら、押入れの中身の腐乱を考えないところやら、(能力についての言い訳はあるにせよ)「目を見ればわかる」やら。現実的に考えたらそこはどうなの? あ、でもこの物語にリアリティは必要ない部分なんで削ったんですねわかります、としか納得出来ない部分。無理やりそう自分に言い聞かせても、喉に刺さった魚の小骨のように、世界に浸る邪魔をしてくれたけれど。 全体的に文章がひどく官能的。男の手の乾燥した様や唾液の粘度の高さや乾燥した愛液など、水まわりの表現にくどいほど気を遣っているせいだろう。若干しつこく感じる程であるが、でもそこがまた滴るようですばらしい。エロスに湿り気は必須なのである。 でもこれだけエロ描写が卓絶していても、この小説は官能小説ではないのである……不思議だなぁ。 文庫版の表紙絵を見かけたけれど、"男"の両目は色のないマーガレットのような”花”で、干からびたような無骨な手だけが色を持っている。やはり男の手は強烈に意識に残るものとして作中に描かれているのだろう。
Posted by
書き出しがぞくっとした。 引き込まれてぐいぐい呼んでいった。あの物語を描ききる筆力は流石だと思う。 罪の匂いが甘い香りのように見えた。物語全体がねっとりとした暗さに覆われていて、だけどそこが作品の美しさの根底にある感じがした。 いくつか残された謎があったが、作品の面白さは申し...
書き出しがぞくっとした。 引き込まれてぐいぐい呼んでいった。あの物語を描ききる筆力は流石だと思う。 罪の匂いが甘い香りのように見えた。物語全体がねっとりとした暗さに覆われていて、だけどそこが作品の美しさの根底にある感じがした。 いくつか残された謎があったが、作品の面白さは申し分ないと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
結婚する花嫁と養父。 養父のだらしなさ、老化、廃頽、嫌悪、優雅さ、愛しさ。 二人は一時恋人のような生活をおくっていたが、今では肉体の欲望はなく、ただあるのは情念に似たもの。 9歳のとき、震災で家族をなくした少女が、遠縁の24歳の男に引き取られ、育てられる。 やがて二人は、秘密を守るため殺人を侵し、密やかに逃亡生活をおくる。 歪み結ばれた父娘。 新婚旅行先の南国の海を見て、「どことなく、馬鹿みたいな海」と言う気持ちが、しっくりと理解できる。 2015.7再読
Posted by
読了2回目 こんな終わり方だったっけ? 物語は現在から過去に向かって進んでいく。 間違ったことをしていた2人なのに、最後に幸せな結婚が出来た花は良かったと思うけど、安定した海上保安官の立場を捨てて、どんどん荒んでいった淳悟はどうなったんだろう。 結末はこれが一番良かったん...
読了2回目 こんな終わり方だったっけ? 物語は現在から過去に向かって進んでいく。 間違ったことをしていた2人なのに、最後に幸せな結婚が出来た花は良かったと思うけど、安定した海上保安官の立場を捨てて、どんどん荒んでいった淳悟はどうなったんだろう。 結末はこれが一番良かったんだろうけど、なぜだか花にはお父さんから離れないで欲しかったかも。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
親子間のタブー愛という先入観を持って読んでみたが、これは真の愛の物語と思う。そして人の心はいつまでも同じ所にとどまることができず二人は父として年頃の女性として離れて生きるのを選んだ。それが話の結末。すごくいいエンディングだと思った。明るい未来がありそうでないような終わり方。 全てを受け入れてくれる、愛してくれる人は異性、同姓、親子とか関係ないのです。そういう人に出会っただけで充分ラッキーと思う。25才の淳吾は9才の花に救いを求めて花は、それを受け入れた。その場面は切なくて涙が出そうだった。タブーであるけど、そういう愛もあるかも。。
Posted by
凄く評価はわかれるだろうけど、 わたし的には久々に刺さった。 読まない間も気になって、気になって、 映画の登場人物を見て読んだらハマっててさらに進んだ。 母が憎くて、でも認められたかった。 「ものすごく、さびしい。…たえられない」 からのくだりがすごく理解できた。 一本線だけの固...
凄く評価はわかれるだろうけど、 わたし的には久々に刺さった。 読まない間も気になって、気になって、 映画の登場人物を見て読んだらハマっててさらに進んだ。 母が憎くて、でも認められたかった。 「ものすごく、さびしい。…たえられない」 からのくだりがすごく理解できた。 一本線だけの固執が分かる気がした。 私は生物学上の父には死んで欲しいので父子関係としては憧れないけども
Posted by
愛執とか曲がった愛とかそんな言葉で片付けられがちな話だけど好きだなーこの本。流氷から海に突き落とされてだれもあがってこれないってかんじで、でも淳悟は浅野忠信じゃないって!!
Posted by
逃れられない宿命の愛 こんなにも苦しくて幸せな愛ってあるんだろうかと思う 重たくて、苦しくて、でも離れられなくて… テーマは近親相姦なのに、作者の筆力と、現代から過去に遡るという新鮮な展開であっという間に世界観に引き込まれた
Posted by
北海道の人が関西弁のような言葉を使うところに、ものすごく違和感。 どのキャラにも共感できなかった。自分語りに重点が置かれてて、そのキャラの本質が見えないというか。 近親相姦という重いテーマを軽い気持ちで物語にしてしまった感じ。 しかし、桜庭さんの作品は他に良いのがたくさんあるのに...
北海道の人が関西弁のような言葉を使うところに、ものすごく違和感。 どのキャラにも共感できなかった。自分語りに重点が置かれてて、そのキャラの本質が見えないというか。 近親相姦という重いテーマを軽い気持ちで物語にしてしまった感じ。 しかし、桜庭さんの作品は他に良いのがたくさんあるのに、なんでこれが直木賞。
Posted by
