黄金の王 白銀の王 の商品レビュー
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あるところに翠という国があった。穡大王という偉大な王が治めていたが、四代目の王に双子の息子が産まれてしまったことが世界が変わった。二人の王子は跡継ぎを争い、やがて一方が玉座についた。しかしその王が死ぬと一方が玉座を奪い取り、反対もまた然り。鳳穐と旺夏と呼ばれるそれぞれの一族は、百...
あるところに翠という国があった。穡大王という偉大な王が治めていたが、四代目の王に双子の息子が産まれてしまったことが世界が変わった。二人の王子は跡継ぎを争い、やがて一方が玉座についた。しかしその王が死ぬと一方が玉座を奪い取り、反対もまた然り。鳳穐と旺夏と呼ばれるそれぞれの一族は、百数十年その争いを繰り返し、憎しみは薄れることがなかった。 そして今、鳳穐の一族として玉座についている櫓は、大きな決断をする。敗者として丘の上に師とともに幽閉されている旺夏の頭領、薫衣にこう持ち掛ける。「川の流れを変えないか」と。旺夏と鳳穐、二人の王の生涯をかけての闘いが始まる。 久々にがっつりファンタジー。和やかなタイプじゃなくて、ヒリヒリの歴史もの。名前は読みにくいわ、お互いの種族の憎しみが強すぎるわで最初はちょっと読むのが大変だったけれど、読み進めていくうちにのめりこんでしまった。キャラクターがよく出来ているし、二人の王がなすべきことをきちんとなしているので、ある意味安心して読めた。というか二人とも出来る王過ぎる。 ファンタジーっぽく二人で双璧の王様になりましためでたしめでたしーとならずに、終始シビアだったのもよかった。稲積が本当に、切なくて、ちゃんとお互いの気持ちが理解できてほんとによかった。それぞれの息子の鶲も豊穣も良い子だった。しかし二人とも、特に薫衣はハートが強すぎる。ちょっとラストが急足だったのが残念。いっそエリンみたいに四巻くらいでがっつりやってもよかったのになあ。
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ブクログで見かけた方が好評価をつけていたので、気になって読んでみた。ファンタジー小説。読みなれない人名と展開の遅さで序盤は少し読みにくい。後半は作りこまれた設定とキャラクターを生かしてドンドン進んでいく。本作の特徴は奇をてらいすぎないほどよい異世界設定にあると思う。楽しめる良い作...
ブクログで見かけた方が好評価をつけていたので、気になって読んでみた。ファンタジー小説。読みなれない人名と展開の遅さで序盤は少し読みにくい。後半は作りこまれた設定とキャラクターを生かしてドンドン進んでいく。本作の特徴は奇をてらいすぎないほどよい異世界設定にあると思う。楽しめる良い作品でした
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くのえの國の支え方が、こういう生き方もあるのかと目から鱗だった。 河鹿の、縄文や弥生を想像するような日本の様な中国の様な不思議な名前の音の響きがすてきだなぁ。河の鹿・・色々由来を想像してしまう。
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久しぶりにがっつりファンタジーを読んだ気がする。 ああやっぱりこういう世界観好きだなぁ、と実感しました。 その昔、双子の王が王座を争って国を二分して以来、互いに憎しみ相手を滅ぼすことだけを目的にしてきた鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)。 終わりのない未来のない争いの果てに、国...
久しぶりにがっつりファンタジーを読んだ気がする。 ああやっぱりこういう世界観好きだなぁ、と実感しました。 その昔、双子の王が王座を争って国を二分して以来、互いに憎しみ相手を滅ぼすことだけを目的にしてきた鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)。 終わりのない未来のない争いの果てに、国の王である鳳穐の頭領の穭(ひづち)が何年も幽閉されていた旺廈の頭領の薫衣(くのえ)に、争いを終わりにしようと説得します。 そこから二人の長く険しく気の抜けない命がけの物語がはじまるのですが、いやぁほんとおもしろかった。 やたら固有名詞が難しく、ここまで書くのも漢字変換にかなり手間取りましたが、世界観が大事ですからね、なんか普段まったくお目にかからない字面が雰囲気を作るのです。 駆け引きや裏切りや懐柔やらで油断ならない状況で緻密に慎重になすべきことをなす穭と、名を捨て恥をさらしてそれに耐えなすべきことをなす薫衣に、祈るような気持ちになりました。 穭と薫衣の友情を超える関係も熱いものがありますが、薫衣と稲積(にお)のロマンスがとても素敵です。 このふたり初めての夜から素敵すぎてたまらない。 もう、<常闇の穴>に行くことを止めるシーンは泣けて泣けて。 なので、「なすべきことをなせ」という迪学(じゃくがく)の教えには沿わないのかもしれないけど、薫衣には生きて幸せになってほしかった。 これって、続編とかないの?シリーズで読みたくなります。
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敵対する一族の長である二人が、平和のために、誰にも告げることなく協力し、共存へと繋いでいくお話。 片方は被征服側の王として、一族の復讐と再興を期待されつつも、戦わない勇気を選ぶ。そのために腰抜けと侮蔑を受け忍従を強いられる。 片方は征服側として奢ることなく、自分の妹を妻として差し出す。この夫婦に愛情が通うところなど、本当に心温まる。 民族のプライドと平和のどちらを選ぶのか。現実を振り返るとなかなか難しいなあと思う。だからこそ宝物のような物語に惹かれるのかもしれない。
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百数十年にわたり、国の支配をかけて戦い続けてきた鳳穐一族と旺廈一族。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられていた二人の王。だが、彼らは過去のしがらみを断ち切った。そして、争いのない平和な世の中を作りたいという思いを理解し、陰で協力し合う道を選んだ。しかし、それは想...
百数十年にわたり、国の支配をかけて戦い続けてきた鳳穐一族と旺廈一族。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられていた二人の王。だが、彼らは過去のしがらみを断ち切った。そして、争いのない平和な世の中を作りたいという思いを理解し、陰で協力し合う道を選んだ。しかし、それは想像以上に厳しいものだった…。 鳳穐の頭領:櫓(ひづち)と、旺廈の頭領:薫衣(くのえ)が、 それぞれ理解されないながらも「為すべきことを為す」という教えのもと、 頭領としての責務を全うしようとする姿に心打たれた。 憎しみ合う敵同士として生まれながらも、 お互いの才能や努力を認め合う関係が良い。 薫衣と、櫓の妹である稲積(にお)との、お互いひっそりと想いあう関係がほほえましい。 ただ、人物や民族の名前が難しい!
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労作ですね。 こういう、読んで楽しいだけじゃない物語は、書いてても苦しいときがあるんじゃないのかなあと思った。でも正面から取り組んでて、文章のタッチもあるのだろうが、安易なヒロイズムや劇的展開に向かわないところがよかった。 終わり方もよかった。 カタカナの言葉は、確かにこの世界観にそぐわない印象で、時々気になる事はあったがこの小説を楽しむことの妨げになるほどではなかった。 片山さんの表紙、とても好き。
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旺厦であると同時に、鳳穐でもある。 祖を同じくする2つの氏族は長年にもわたって、覇権争いを繰り返していた。 どちらかが天下をとれば、もう一方が反乱を起こす。その繰り返し。 その争いに終止符を打とうとした、一族の頭領同士の結託と改革。 序盤からクライマックスの乗りで、本当に最後...
旺厦であると同時に、鳳穐でもある。 祖を同じくする2つの氏族は長年にもわたって、覇権争いを繰り返していた。 どちらかが天下をとれば、もう一方が反乱を起こす。その繰り返し。 その争いに終止符を打とうとした、一族の頭領同士の結託と改革。 序盤からクライマックスの乗りで、本当に最後まで話を続けられるのだろうか、と心配していたが、杞憂に終わった。 他の話だと中盤に提案がきて、そこから終焉へ向けて1つか2つエピソードが入るかと思うが、本書の方が現実味がある。 そりゃあ、色々と順調すぎるきらいも感じるが、根回しとか、対策とかすごい。 時代と、人物の思慮が本当にうまく組み合わさったのだろう。 でなければ、こんな何世代にもわたる憎しみの連鎖を断ち切る事は出来ないだろう。 頭領が綱渡りのような厳重さでもって対処しても、安易な所からほころぶのは簡単で。苦労して築く和平なんて、どうしてこんなに尊いのに脆すぎるのだろう、とやるせない。 慣習からの脱却と、その維持は苦しくて、何度も投げ出したくなる。目を逸らして敵を憎む方がよほど簡単だろう。 でも、それは違う。気付く事が出来たら、一つの前進だ。
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異世界ファンタジーの括りですが魔法や冒険は一切出てきません。国を統べるために王が為すべき事は何か、敵対する二人の頭領が困難な道を歩む物語です。十二国記が好きな方にお勧めです。一冊完結が惜しい。
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