「読み」の整理学 の商品レビュー
アルファー読みと ベーター読み ベーター読みのものの方が 深い次元にアクセス出来る そんな感じ? ブックオフ妙興寺店にて購入
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現在の自己啓発本は、行動経済学や心理学の発展に伴い、実験や論文の結果をベースに議論を進めていくことが多いが、外山滋比古さんの一連の本は、自分の経験や思考から結論を絞り出していることが多い。本書も、特に参考文献が列挙してあるわけではなく、昔から行われている学習方法や記憶に対するアプ...
現在の自己啓発本は、行動経済学や心理学の発展に伴い、実験や論文の結果をベースに議論を進めていくことが多いが、外山滋比古さんの一連の本は、自分の経験や思考から結論を絞り出していることが多い。本書も、特に参考文献が列挙してあるわけではなく、昔から行われている学習方法や記憶に対するアプローチから、アルファ読みとベータ読みという持論を展開している。 そもそも、これって、現在の論文や調査ベースで書かれたLearn betterやファスト&スローと通じるところがあるんじゃないの?と思い当たるに至り、外山滋比古さんの思考の鋭さや深さに畏敬の念を覚える。 これって、哲学と科学との関係とも似ているな、と。一流の哲学者は現在の科学が描き出している概念に思考だけでたどり着いており、いかに人間の脳を思考に使うことが重要かを改めて考えた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読書法は、大きく「アルファー読み」と「ベータ読み」に分けられる。前者は、分かりやすい文章を読むことで、既知の事柄を読者の脳内で上書き保存すること、と言い換えられる。一方の後者は、難解な文章を読むということである。本書で述べられている「難解」という言葉は、一度読了したからといって納得できない、未知の要素を多分に含んだものとされている。 現代の人々にとって、「ベータ読み」が不足していると著者は嘆く。いわゆる難解至高の文学が日本の知的躍如に多大なる貢献をしたことを歴史的に振り返りつつ、「アルファ読み」が大量に普及していることに対して、警鐘を鳴らす。 勿論、簡単なことを故意に難かしくするのは悪文である。しかし読者は、彼らへ純に理解力を要求する文章から逃げるべきではない。未知のものを理解しようともがく過程に、ものの見方を養うヒントが隠されている。 本作は、読書についてさまざまな切り口から論を展開している。勉強になった。
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本書は、どういう読み方が本当の読みと言えるものであるか、われわれの精神をきたえ、真に新しい知識を獲得するにはいかなる読みをするべきかを追求したものである。 既知を読むアルファー読みと、未知を読むベータ読みの区別と前者から後者への移行・考察がリーディングの新しい地平線をひらくもので...
本書は、どういう読み方が本当の読みと言えるものであるか、われわれの精神をきたえ、真に新しい知識を獲得するにはいかなる読みをするべきかを追求したものである。 既知を読むアルファー読みと、未知を読むベータ読みの区別と前者から後者への移行・考察がリーディングの新しい地平線をひらくものであるといっています。 いわば未知を読む読書を考えようというもので、ベータ読みを考察するのが最終的な目的である。 気になった点は、以下です。 ・マニュアルがわからないといっても、読む側に読む力がないからである、と言った人はいない。 ・ほぼ完全に未経験なことがらをのべた文章というものは、読み手にとって暗号のようなものである。一読してわかるように考えたら大間違いである。 ・もともとわかり切ったことなど、読んでも役に立たない。 ・(口にだして)読めることと、理解することが別々であるのが日本語である、読めても読めてない。 ・難解信仰のたそがれ、わかりやすいことはよいこと、という平明の信仰である。そのために、当用漢字の制定や、新仮名遣いの導入などがある。 ・まったく知らないこと(を書くこと)が、いかに難しいか、身にしみて感じた。 ・すこしづつ慣れると、だんだんわかってくる。ことばは慣れであることがよくわかる。 ・英単語はなるほど既知のものばかりであるが、それが綴りあわさって表現しているものは、多くの日本人にとって未知である。したがって、わからない。 ・大人になって、文字が不自由なく読めるようになると、文字面だけ読んで、内容がはっきりしないことがおきる。それがひどくなったのが、論語読みの論語知らずである。 ・学校の知的教育とは何か。それは人類がこれまで獲得、蓄積してきた文化を次の世代に伝承する営為である。 ・未知を読むのは、二重の壁がある。①ことばと文字、表現が現れる。②文字や単語はわかっているのに、なお、何のことをいっているのか五里霧中である。 ・未知を読むのは、登攀コースのきびしい山登りに似ている。 ・この百年の日本が翻訳文化の時代であったのを物語る。難解至極な訳文と悪戦苦闘することが、とりもなおさず、読者にとって、知的活力の源泉となったのではないか。 ・よい「悪文」とは、必然性をもって読みにくくなっている文章で、努力すれば必ず報いられる。 ・社会に古典は覚えて口で言えるようにしておくのがいいという考えがないと、教育は何でもないことすらできなくなってしまう。 ・正しい解釈、解決を得るのに、「時間」が大きな働きをすることを見逃してはならない。即座の理解では、時の働く余地がない。一度わからぬ文章を何度も何度も読み返す。その間に時が作用する。未知である対象も、わかろうとする人間も、ともにすこしづつ変化して、やがて、通じ合うところまで近づくようになるのかもしれない。 ・まるで歯が立たない難解な文章もくりかえし読んでいると、いつのまにか、わかったというのでもなく、わからないというのでもなく、なんとなく親しい気持ちをもつようになってくる。 ・われわれのことばには、2つの面がある。1つは、知っていることを理解したり、表現したりする活動である。もうひとつの言語活動は創造である。 ・既知から未知を類推するのは、比喩の作用による。そもそも、われわれが、未知のことばがわかるのも、主として、この比喩の方法による発見があるからだと言っていい。 目次 はじめに 序章 1 未知が読めるか 2 マニュアルがこわい 3 論語読みの論語 第1章 1 わかりやすさの信仰 2 スポーツ記事 3 自己中心の「加工」 4 音読 第2章 1 教科書の憂鬱 2 裏口読者 3 批評の文章 4 悪文の効用 第3章 1 アルファー読み・ベーター読み 2 幼児のことば 3 二つの言葉 4 切り替え 5 虚構の理解 6 素読 7 読書百遍 第4章 1 古典と外国語 2 寺田虎彦 3 耳で読む 4 古典化 5 読みと創造 6 認知と洞察 エピローグ 「モモタロウ」 あとがき ISBN:9784480423801 出版社:筑摩書房 判型:文庫 ページ数:224ページ 定価:560円(本体) 発行年月日:2007年10月 発売日:2007年10月10日
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冒頭に「言葉とその意味には必然性は無い」という文章が出てくるので、これゆる言語学ラジオで習ったやつ!という感動があった。知っていることを読むアルファ読み、未知の内容を頑張って読むベータ読みに区別。ベータ読みが足りないという警鐘。ひとによる解釈の違いや時代を経ることによる文章の古典...
冒頭に「言葉とその意味には必然性は無い」という文章が出てくるので、これゆる言語学ラジオで習ったやつ!という感動があった。知っていることを読むアルファ読み、未知の内容を頑張って読むベータ読みに区別。ベータ読みが足りないという警鐘。ひとによる解釈の違いや時代を経ることによる文章の古典化など異本論に繋がるところだと感じた。
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開始: 2022/7/4 終了: 2022/7/5 感想 自分の読書のあり方を再考した。自分では未知のものに挑戦しているつもりだったが、知らずのうちに既知から少しだけ離れた安全圏にいるのかも。
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言葉を読むとはどういうことなのかがわかる本。 言葉の読みの歴史を現代の問題を交えて、抽象と具体で説明している。 ベータ読みとはなにか。どの程度言葉の裏を理解することかはあとがきの「桃太郎 エピローグ』が掴みやすかった。 言葉の定義(熟語」 アルファ読み、ベータ読み、風化、古典...
言葉を読むとはどういうことなのかがわかる本。 言葉の読みの歴史を現代の問題を交えて、抽象と具体で説明している。 ベータ読みとはなにか。どの程度言葉の裏を理解することかはあとがきの「桃太郎 エピローグ』が掴みやすかった。 言葉の定義(熟語」 アルファ読み、ベータ読み、風化、古典化、 2022.3.25
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「読む」という行為を既知を読む「アルファ読み」と未知を読む「ベータ読み」に分類し、前者に傾倒することを批判しつつ「ベータ読み」の効用について整理した本。 ベータ読みは辛い行為ではあるものの、文章に対し自身のコンテクストを照らし合わせ作者のコンテクストを解読していく行為は知的生産...
「読む」という行為を既知を読む「アルファ読み」と未知を読む「ベータ読み」に分類し、前者に傾倒することを批判しつつ「ベータ読み」の効用について整理した本。 ベータ読みは辛い行為ではあるものの、文章に対し自身のコンテクストを照らし合わせ作者のコンテクストを解読していく行為は知的生産性のある行為だとする。 またこれまで現代にも読み継がれる「古典」はなぜ古典足りうるのかと考えることはしばしばあったが、それに対して「古典」は書かれた段階では「古典」にはなりえず、ベータ読みによって繰り返し輪郭を模索されることに耐えうる文章が「古典」化するのだとする主張は面白かった。 余力がないとどうしても既知をなぞるだけのアルファ読みに逃げようとしてしまうが、そこでベータ読みと向き合うことが出来る足腰は維持しておきたいものだ。
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「思考の整理学」より、断片的なエッセイという感じ。 後半はアルファー読み、ベータ読みという累計論となる。 既知のことを読むのがアルファー、未知を読むのがベータ。 いうまでもなく、仕事や学習で必要なのはベータ読み。 本書では、時間をかけて、わからなくても何度も読む、漢文の素読...
「思考の整理学」より、断片的なエッセイという感じ。 後半はアルファー読み、ベータ読みという累計論となる。 既知のことを読むのがアルファー、未知を読むのがベータ。 いうまでもなく、仕事や学習で必要なのはベータ読み。 本書では、時間をかけて、わからなくても何度も読む、漢文の素読的な方法が推奨されていくことになるが… ただ、読むことの難しさは、自分が本当に読めているのか把握しにくいこと、どこまで理解したら読めたことになるのかわからないことにある気がする。 何度も読むことで、たしかに分かっていくことはあると思う。 しかし、上に書いた困難の根本的な解決にはならないんではないかなあ。
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正直、この本は読みにくかった。 それは、この本の中でいう読みやすい本ばかりを読んでいるからなのだろうか。 既知を読むアルファ読みと、未知を読むベータ読み。 ベータ読みを極めてこそ人間の知的活動であるらしい。 たしかに「読み」には2種類あるかもしれない。 僕も読書を習慣化する前は...
正直、この本は読みにくかった。 それは、この本の中でいう読みやすい本ばかりを読んでいるからなのだろうか。 既知を読むアルファ読みと、未知を読むベータ読み。 ベータ読みを極めてこそ人間の知的活動であるらしい。 たしかに「読み」には2種類あるかもしれない。 僕も読書を習慣化する前は、未知の本に抵抗があった。 今ではそれほど抵抗なく手に取るようになったが、著者の言う「未知」はもっとレベルの高いところを指している気もする。 最近は、未知の事柄でも読みやすい本が多いというのもあるかも知れない。 全体的に著者の個人的見解が多く、諳誦、素読うんぬんのところは正直よく分からなかった。 詰め込み教育への不信感から、古文を諳誦させる教育が減ってきたことを憂いていたが、平家物語の序盤を諳誦できることがそれ程良いことだろうか? 意味が分からない状態で音読し、長い年月を経ることで意味が入ってくる、というのは流石に効率が悪いように思った。
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