疲れすぎて眠れぬ夜のために の商品レビュー
眼前の欲望をとるかそれとも生物的な存続をとるか。ニッチを用いた資本主義の病理の説明は斬新でわかりやすかった。木を見て森を見ていない「個性的」という意識の錯覚についても、「自分らしく」とか「オレ流」という言葉に対して持っていたなんとなくのモヤモヤ感がすぱっと言葉になっていて目から鱗...
眼前の欲望をとるかそれとも生物的な存続をとるか。ニッチを用いた資本主義の病理の説明は斬新でわかりやすかった。木を見て森を見ていない「個性的」という意識の錯覚についても、「自分らしく」とか「オレ流」という言葉に対して持っていたなんとなくのモヤモヤ感がすぱっと言葉になっていて目から鱗だった。他の色々な話も自分にとって新しい視点ばかりだった。ただ、ジェンダーについての議論は論点がズレている気がして納得いかなかった。問題は「男性独占資源に価値があるか」ではなく「資源の選択権が平等に開かれているか」であると思う。
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「自己」や「個性」というものを、より広い観点から見つめなおす手がかりになるような考察が展開されています。 私たちが当然のように思っている、自分の欲望や個性を追求するという生き方を、一方では広く視野を取って歴史的な形成過程をたどることで、他方では繊細な身体からの呼び声に耳を傾ける...
「自己」や「個性」というものを、より広い観点から見つめなおす手がかりになるような考察が展開されています。 私たちが当然のように思っている、自分の欲望や個性を追求するという生き方を、一方では広く視野を取って歴史的な形成過程をたどることで、他方では繊細な身体からの呼び声に耳を傾けることで、改めて考えなおそうとしています。 著者の他の本に比べると、少しまだるっこしいような印象もありますが、そのぶん著者の基本的な考え方が明確に示されているように感じます。
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以下引用 「品 」というのは 、要するに 、 「らしさ 」の内側にあえて踏みとどまる節度のことです 。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
や、全然寝てますが。 あれもこれも欲しい、ああしたいこうならないと…そう言うの、息苦しくないですか? サクセスモデルを捨て「1ランク下の自分」を目指し自己の内なる声に耳を傾けてささやかな幸せを感じて生きていきましょう――みたいな本。 私事ですが、縁あって現在不相応甚だしいHigh Societyに身を置いています。 何もかも手に入るような、手に入れなければならないような、周りに比べた自分の低スペックっぷりにうわああああとなっていたので、良いガス抜きになりました。 「へらへらと」生きていきたいです 女性嫌悪のアメリカ、戦後民主主義、制度への「弔い」の話は特に発見が多くて面白かったです。 人間は「交換」が好きだ、ていう話も面白かった。 「愛してる」「私も愛してる」かー… 「ねえ、もう君がぼくを愛しているのは分かったからさ。何か違う話しない?日本経済の今後について、君どう思う?」の方が絶ーっ対に楽しいと私は思うけどなぁ・・とかいうアレな人間だからモテないんですよね知ってます 真の利己主義の話は、私もそう思います。 本当に自分のことを考えたら、周りを大切にするし未来の自分を大事にすると思う。 あと、家族は社会契約、てのもすごい共感。それを前提にしておけば、円満で良い家庭が築けそうだなぁと思いました。 ・・え?契約相手がいない? お粗末!\^^/
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タイトルから感じたとおり「優しく寄り添って肩を撫でられている」ような本でした。 内田樹さんの本は何冊か読んでおりますが、一貫して「優しさ」があるのですっと心に入ってきて安心して読めます。 武道を嗜んでいるかたらしい身体的な所作についても書かれており、実感として納得できるところも...
タイトルから感じたとおり「優しく寄り添って肩を撫でられている」ような本でした。 内田樹さんの本は何冊か読んでおりますが、一貫して「優しさ」があるのですっと心に入ってきて安心して読めます。 武道を嗜んでいるかたらしい身体的な所作についても書かれており、実感として納得できるところもあるので「理解する」という感覚より「沁みてくる」という感覚のほうが近いです。
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「内田樹さんの本を初めて読む」という人にはオススメな気がしました。 いつもながら、全体的には面白かったです。もともとは2003年の本のようです。 タイトルが秀逸ですね。なんともとっちらかった内容の本ですから(笑)。 でも、この本の持ち味や良さを、上手く伝えていると思います。 ...
「内田樹さんの本を初めて読む」という人にはオススメな気がしました。 いつもながら、全体的には面白かったです。もともとは2003年の本のようです。 タイトルが秀逸ですね。なんともとっちらかった内容の本ですから(笑)。 でも、この本の持ち味や良さを、上手く伝えていると思います。 毎度ですが、哲学研究者というか、大学教員である内田樹さんが、四方山に「へー」というお話を語り下ろしたような本です。 項目だけ上げると、「なんだか胡散臭い自己啓発本そのものじゃないか」と、見えてしまうんですが、まあ、見方によってはそうとも言えます(笑)。 ただ、内田さんの著作は、「どうしてかっていうとね、ほら、こうだからなんですよ」という、論拠が明確にあります。 それが全て、国内外の歴史の検証だったり、国内外の作家や思想家や人類学者の考察だったり、まあ、ぶっちゃけ言うと非常に「ナルホド率」が高いんですね。 そして、常に向かう方向は、企業や体制に都合のいいヤンキー的な「ガンバリズム」や「現状肯定」でもなければ、 反知性主義的な「敵対勢力攻撃」でもありません。 右翼嫌韓的な嗜好もバッサリ、左翼ヒステリックな思想も一刀両断。 単純に、「幸せに精神のバランスを保って生きていくには」という、非常に個人的な(それがひいては社会的になるはず、という)幸福を考えての発言だと思います。 もちろん、ベースに豊富な研鑽があった上で、安易な行動的結論はありませんし、押し付けません。 そして、笑っちゃったのは「僕の他の本と大いに重複します」とハッキリ意識的に認めてらっしゃる。「むしろそれで良いんです」。いやあ、お見事。 いつもながら、話が武道礼賛になっていったり、ある種の自慢話になっていく部分もあります。 正直、そういうところは面白くありません(笑)。 でも何しろ、書き手の方が、「そりゃ万人受けはあり得ないし、マチガイだってありますよ」という肩の力の抜け具合なので、そこで目くじら立てる気にはなりません。 なんていうか… なだいなださんとか、河合隼雄さんとか、中井久夫さんとか。 丸谷才一さんとか司馬遼太郎さんの、エッセイ的な文章とか。 村上春樹さんとか橋本治さんの仕事などが、きらいじゃない人には、おすすめの本ですね。 まあそれでなくても、自己啓発本(とジャンル分けされるような本)をたまに読んだりする、 若い人、働く女性、といった方々も、面白がれて、ちょっと目からウロコなところもあると思います。 しかし、毎度ながら思うのですが、新書全般に、そして内田樹さんの本全般に共通して、 「出だしの第1章、前半が面白い。中盤からダレてくる」 というのがどうにも、いつも感想として思います(笑)。 「内田樹さんの本の、前半1/3だけ集めた本」というのが出ないでしょうかね(笑)。 内容を項目だけ、極めて適当に。個人的な備忘録として。 ●今どきのパワハラなども含めて、「不愉快な人間関係に耐える」っていうのは良くないよ、という話。 ●どうして「不愉快な人間関係に耐えることに価値を持つ人」が出来上がるのか、という考察。 ●「働くこと」の考え方、「働く女性」「フェミニズム」の位置づけとリスク。 ●歴史的な「フェミニズム」論考、アメリカにおけるいわゆるウーマン・リブ的な運動を模倣する危険性。 ●上昇志向、成功志向が薄まりつつある2007年現在の日本の若者たちの意識の由来、「それは決して悪いことじゃない」 ●弱肉強食になる「資本主義」「市場経済社会」を、基本肯定しつつも、それが純化するとモラルハザードになる危険性。バランスを保つための「倫理性」。 ●その当たり前の「倫理性」を失っている政治家や経営者の批判。なぜそういうことになるのか、という考察。競争社会の落とし穴。 ●反対意見、反対勢力も含めて全体のことを考えなければならない、という政治家たちへの批判。 ●「ビジネス」の愉しみと「レイバー」の不毛さ。 ●「コミュニケーション」の大事さ。核家族が純化することの危うさ。 ●「偽造された共同的記憶」、つまりは後から時世合せで自分史を微妙に改ざんする、ということ。 ●戦後精神史的な、世代論。 ●内輪受け的なコミュニケーションの狭隘さの危険性。 ●「自分らしさ」「個性」「自分探し」という、嘘くささ。 ●「個性」という幻想と「大衆社会による大衆消費」という資本主義の原理が、原則矛盾するという、避けられない二律背反の指摘。 ●DV、ストーカーから、パワハラまで通じる「本人が、相手のためだ、悪意はないんだ」と、のたまう暴力行為への、断固たる否定。 ●家族論から、「親離れ」「家離れ」の奨励。 以上。
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読みやすく、ますます眠りが遠ざかる一冊でした。 武道を通しての、体の感覚とのアクセスの大切さや、型の大切さのお話は納得でした。 見てわかる行動から入るのも、大事なのですね。 体の使い方、見直そうと思います。
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上昇志向に振り回されて、疲労してませんか?昔はこうやって、知恵のある説教をしてくれるオジサンが飲み屋さんで人生さとしてくれたものな気がします。そんなオジサンにここで会えます。
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http://tacbook.hatenablog.com/entry/2014/04/08/225010
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テレビで対談していたのを見てしっかりしている人だから一読の価値があるなと思ったのさ。まあ、ちょっとひねくれていて、でも正義感があって、読み始めは今の奴らは的な愚痴エッセイかと思いきや、ちゃんと落とし所があって、自分の思考のちょっとだけ上に設定してくれているから、考え方や視野を広げ...
テレビで対談していたのを見てしっかりしている人だから一読の価値があるなと思ったのさ。まあ、ちょっとひねくれていて、でも正義感があって、読み始めは今の奴らは的な愚痴エッセイかと思いきや、ちゃんと落とし所があって、自分の思考のちょっとだけ上に設定してくれているから、考え方や視野を広げるのによかったなあ。 もっとも、冒頭はちょっとイラっとしながらよんだので、樹さんの思考に歩調を合わせるまでが大変。樹さんは嫌なら帰ってもいいよって、こちらに気をつかってくれないからね。スパルタなんですよ。
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