チョコレートの真実 の商品レビュー
キャロル・オフ氏は、カナダのウィニペグ生まれ、1981年にウェスタン・オンタリオ大学(英文学専攻)卒、CBCテレビの国際報道記者として活躍したジャーナリスト。旧ユーゴスラビアやアフリカの紛争、難民問題、グローバル資本主義の闇、児童労働などの国際的な社会問題を取り上げたノンフィクシ...
キャロル・オフ氏は、カナダのウィニペグ生まれ、1981年にウェスタン・オンタリオ大学(英文学専攻)卒、CBCテレビの国際報道記者として活躍したジャーナリスト。旧ユーゴスラビアやアフリカの紛争、難民問題、グローバル資本主義の闇、児童労働などの国際的な社会問題を取り上げたノンフィクションを多数執筆。ジェミニ賞(カナダの優れた報道・ドキュメンタリー番組に贈られる賞)、B.C.ノンフィクション賞(カナダ最大級のノンフィクション文学賞)等受賞。 本書は、チョコレート産業の裏に潜む「苦い真実」を告発するノンフィクションで、原書は『BITTER CHOCOLATE:Investigating the Dark Side of the World Most Seductive Sweet(苦いチョコレート:世界で最も魅惑的な甘味の暗黒面を調査する』(2006年)。 私は、国際紛争などを含む、国際的な社会問題に関心があり、これまでも数多のノンフィクション物を読んできて、本書も題名は知っていた(因みに、英治出版にはこの種のテーマの良書が多数ある)が、今般新古書店でたまたま見つけ、手に取った。 主な内容は以下である。 ◆西アフリカのコートジボアールのカカオ農園では、多くの子供たちが過酷な労働をさせられているが、彼らはそのカカオが何になるのかも知らず、当然ながらチョコレートを食べたこともない。 ◆カカオの起源は、古代マヤ・アステカ文明に遡り、当時は神聖な飲み物とされていたが、その後、植民地支配と奴隷制度を通じて欧米に広がるとともに、富と権力の象徴となり、同時に搾取の対象となっていった。 ◆更に、資本主義のグローバル化が進展すると、カカオ産業は多国籍企業に支配されるようになり、現地の労働者に利益が落ちることはなく、他方、児童労働や人身売買、政府と企業の癒着、内戦の資金源化、告発者への圧力などの問題が発生している。 ◆フェアトレードは、認証コストが高く、小規模事業者には現実的な選択肢とはなりにくく、また、フェアトレード企業も大企業に吸収されるなど、制度は形骸化している。 ◆先進国のチョコレート消費者は無意識にこの問題に加担していることを知ることが必要である。 一通りページを繰って、チョコレートの搾取構造の実態と、それがなぜ長く続き、また覆い隠されてしまうのかが、非常によくわかった。そして、コーヒー、サトウキビ、たばこ等の、主に嗜好品といわれる国際産品というのは、大なり小なり似た構造を持っていることにも気付いた。 ただ、一つ疑問に思ったのは、チョコレート産業がそれほどの魅力あるビジネスなのかということだったが、読後に調べたところ、世界のチョコレート市場の規模は10兆円以上(うち、日本は1兆円弱)で、利益率が高く(板チョコ1枚の価格のうち、カカオ農家に渡るのは数%以下という)、かつ、ゴディバのような高級ブランドが作るブランド価値、ネスレのような多国籍企業によるグローバルな供給網に支えられた、巨大な利益を生む、安定したグローバルビジネスであることがわかった。 私は、現在の世界の究極的な問題の一つは、行き過ぎた資本主義だと考えている(そのほかの問題は、生命工学、人工知能等である)。物理的なフロンティアが消滅した現代(宇宙を新たなフロンティアと考えるのは早計)においては、資本主義は基本的にパイの奪い合いでしかない。この問題を解決するには、各人が過大な物欲・金銭欲を抑えるしかなく、この基本的な考え方において、私は、斎藤公平氏のいう「脱成長」に賛同している。 私は、バレンタインにチョコを贈ることや、自分へのご褒美に高級チョコを買うことを、否定するつもりはないが、せめて、そのときに、アフリカの子供たちを思い出すこと、そして、何か自分にできることはないのかを考えることが、第一歩になると思うのだ。 (2025年10月了)
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●2025年10月4日、きのう慶應病院の診察後に立ち寄った池袋ジュンク堂本店でカカオやチョコレートの本を見つけてチェックしたところから、図書館の蔵書の有無を調べてブクログに記載してた。ブクログで、キーワード「チョコレートの科学―苦くて甘い「神の恵み」 (ブルーバックス)」と入れて...
●2025年10月4日、きのう慶應病院の診察後に立ち寄った池袋ジュンク堂本店でカカオやチョコレートの本を見つけてチェックしたところから、図書館の蔵書の有無を調べてブクログに記載してた。ブクログで、キーワード「チョコレートの科学―苦くて甘い「神の恵み」 (ブルーバックス)」と入れて検索をかけたら出てきた本がたくさんあり、なかでも良さそうな本をチェックした。 あまり知りたくない現実。でも、カカオビジネスの実情を知っておく義務があるかと思ってチェックした。
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コートジボワールで生きるために働く子どもたちと、先進国の子どもたちに愛されるチョコレート。120円のチョコレートは現地では米ひと袋、少年の日給3日分よりも高い。 「これは私たちの生きている世界の裂け目を示している。カカオの実を収穫する手と、チョコレートに伸ばす手の間の溝は、埋めよ...
コートジボワールで生きるために働く子どもたちと、先進国の子どもたちに愛されるチョコレート。120円のチョコレートは現地では米ひと袋、少年の日給3日分よりも高い。 「これは私たちの生きている世界の裂け目を示している。カカオの実を収穫する手と、チョコレートに伸ばす手の間の溝は、埋めようもなく深い。」 12歳以下の子どもたちが、1万人以上、毎日12時間以上、年に200ドル以下で働く。
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斎藤幸平『人新世の「資本論」』にて、資本主義による成長の代償を後進国がおっかぶるという主張があったが、チョコレート産業におけるそれを見た。 先進国の都合でカカオの生産地にされた挙げ句、市場価格の暴落により貧困にあえぐ人々。奴隷同然の扱いを受けタダ働きさせられる子供たち。 私達...
斎藤幸平『人新世の「資本論」』にて、資本主義による成長の代償を後進国がおっかぶるという主張があったが、チョコレート産業におけるそれを見た。 先進国の都合でカカオの生産地にされた挙げ句、市場価格の暴落により貧困にあえぐ人々。奴隷同然の扱いを受けタダ働きさせられる子供たち。 私達はそれらの人々を犠牲にして、100円のチョコレートを当たり前のように食べている。 そして、原料のカカオを作っている人々は、カカオがどうなるのか知らず、チョコレートを見たことすらない。 これは過去ではなく、現代の話である。 資本主義経済における世界の歪さを思い知った。 自分が何ができるかは分からないが、この現実を意識しながら生きていきたいと思う。
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フェアトレードといった言葉は知っていたし、児童労働の話も聞いたことはあったが、もっと昔の話だと思い、これほど最近まで取り沙汰されていたとは知らなかった。 政治や憲兵など、市民の暮らしを良くしようと行動べきする人達が目をつぶったり賄賂で動いたりと腐敗すると、ここまで状況が悪化する...
フェアトレードといった言葉は知っていたし、児童労働の話も聞いたことはあったが、もっと昔の話だと思い、これほど最近まで取り沙汰されていたとは知らなかった。 政治や憲兵など、市民の暮らしを良くしようと行動べきする人達が目をつぶったり賄賂で動いたりと腐敗すると、ここまで状況が悪化するんだというのを実感した。なんでこんなに汚い人間が多いんだろう。 こうしたルポの本はあまり読んでこなかったけど、面白かったし色々な切り口の問題の本を読んでみたい。
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アブドゥライ・マッコ コートジボワール中部の都市ブアケ駐在のマリ総領事 内部告発で職を解任 マリ人児童労働に一躍買った人物 人身売買は夜行われる。複雑に絡み合った制度は、フェアトレードチョコですぐに解決できるものではない。 フェアトレードはあまりに単純化されすぎている
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県:フェアトレード、チョコレート、児童労働のB.T本として ********* ★2023.01(1年・2年)
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心苦しい罪悪感と、チョコレートの無い生活なんて嫌だという欲と、私なんかが解決できやしないという無力感。 そういった、ごったまぜな感情になった。 平和で満たされた生活をしていると、カカオをとりまく苦しい世界が今現実にあるなんて、信じられない。 それでも、目をつぶっていてはいけな...
心苦しい罪悪感と、チョコレートの無い生活なんて嫌だという欲と、私なんかが解決できやしないという無力感。 そういった、ごったまぜな感情になった。 平和で満たされた生活をしていると、カカオをとりまく苦しい世界が今現実にあるなんて、信じられない。 それでも、目をつぶっていてはいけない、と思った。 私には何もできなくても。 知ること。 それが全ての始まりなんだろう。 今後、チョコレートを見るたびに、一瞬ひっかかるようになるかもしれない。 あるいは、都合よくすっかり忘れてしまうのかもしれない。 それでも、この本を読んでよかったと思う。 【memo】 人は、良い環境でも、与えられたものであると満足できない。 自分でつかみとった、という感覚が大切。
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国立科学博物館 URLは http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2012/choco/ 『特別展「チョコレート展」』 : 開催 2012年11月3日(土・祝)から2013年2月24日(日) 2009/3/7 毎年...
国立科学博物館 URLは http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2012/choco/ 『特別展「チョコレート展」』 : 開催 2012年11月3日(土・祝)から2013年2月24日(日) 2009/3/7 毎年バレンタインデーのチョコレート騒ぎの時に、フェアトレードについて考えます。 チョコレート、コーヒーなど、気楽に飲んだり食べたりしているものの裏側には、 思いもよらない真実があり、唖然とするばかり・・・。 せめて、ファトレードチョコレートを買おう! Myブログ「パそぼのあれこれフリーク:Part2」 ⇒ URLは https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/s/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89 『フェアトレード』 : で検索 2009/3/7 読み終わる。 内容 : 巨大企業と腐敗した政府、農園経営者らが、児童労働の上に築いたカカオ産業を牛耳っている。 今この時も、子どもたちは狙われ、酷使されているのだ。 そこに乗り込んだ気鋭の女性ジャーナリストが目にしたものとは−。 著者 : キャロル・オフ ジャーナリスト。2005年ダフォー賞を受賞。 ほかアフリカ、アジア、ヨーロッパについてのCBCテレビ・ドキュメンタリーで数多くの賞を受賞。
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チョコレートの歴史を紐解けばマヤ・アステカの時代に遡り…そこから続く奴隷と児童労働の問題。市場において利益を追求する巨大多国籍企業と腐敗政治のはびこる開発途上国の組み合わせによるこの構図が続いているという告発のノンフィクションが本書。一次産品である原料のカカオを生産している農家は...
チョコレートの歴史を紐解けばマヤ・アステカの時代に遡り…そこから続く奴隷と児童労働の問題。市場において利益を追求する巨大多国籍企業と腐敗政治のはびこる開発途上国の組み合わせによるこの構図が続いているという告発のノンフィクションが本書。一次産品である原料のカカオを生産している農家はカカオの市場価格が上下しようが関係なく低価格で売らざるを得ない状況があり安価な労働力に頼るべく児童労働や人身売買が今も続いているという。チョコレートを嫌いになる必要もないが、街中にチョコレートが氾濫するこの季節、こんな本を投げかけて見るのもありだろう。
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