私が語りはじめた彼は の商品レビュー
「愛」がわからず手探りでそれを求めた人たちが描かれてます。愛することの前に理解することが欠落してしまったから、愛は凶器に変わってしまう。愛を先に先にと求めるあまり、こじれてしまう。 この本には周りから理解されず、また理解されていると思わないことで孤独を感じる人がたくさん出てきます...
「愛」がわからず手探りでそれを求めた人たちが描かれてます。愛することの前に理解することが欠落してしまったから、愛は凶器に変わってしまう。愛を先に先にと求めるあまり、こじれてしまう。 この本には周りから理解されず、また理解されていると思わないことで孤独を感じる人がたくさん出てきます。周りからじぶんのことは理解されないし受け入れられないと思いながら、その人の心の中ではひとつのポリシー(?)が芽生えてくる。それは自分の真実は自分だけのもの、自分の物語を有するのは自分だけ、というものなのだと思います。 この本は冒頭から病的でありつつも美しい繊細な描写が満載で、三浦しをんさんの実力を思い知りました。
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一人称の「私」が各章で代わるオムニバス。内容・構成とも流石に巧いと思わせる。 ただ、比喩表現が多くその光景を想像する時間がもどかしく感じられ、テンポ良く読み進められなかった。
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三浦しをんの作品は他にもちらほら読んでいるが、これが一番面白かった。大変に印象深く、興味深い。 ただ、重苦しい話が苦手な人には全くお勧めできないと思う。個人的には一番好き。
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三浦しをん、今まで読んでたのではどこかラノベっぽい雰囲気すら感じてたんだけど。こういう文章も書くんだ、というか、なんて引き出しの多い作家さんなんだろういと驚いた。 好きか嫌いかといえば、好き。
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暗く重い一種独特な雰囲気にすっと引き込まれる。文章は的確で精緻。凄惨なシーンには思わず目をそむけた。連作短編の各章に通底するものは湿潤で醜い愛憎。心の奥底に潜む闇を描く。
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「木暮荘物語」ですっかりこの人のファンになってしまい、タイトルだけで借りてみた。 そしたらまたオムニバスだった。 女にだらしない大学教授の周りで翻弄される人々の、それぞれの視点・それぞれの生活を描いた作品。 この、点で繋がったオムニバスという手法は嫌いじゃない。 というか、む...
「木暮荘物語」ですっかりこの人のファンになってしまい、タイトルだけで借りてみた。 そしたらまたオムニバスだった。 女にだらしない大学教授の周りで翻弄される人々の、それぞれの視点・それぞれの生活を描いた作品。 この、点で繋がったオムニバスという手法は嫌いじゃない。 というか、むしろ面白い。 私が読んだ2作品とも同じ手法ってことは、この人の得意な書き方なのかな。 「小暮荘」より★を少なくしたのは、登場人物みんながただただ悲しいだけだから。 現状に納得し、諦めに似た平穏を取り戻してはいるけど、悲しみが全然癒えてないから。 現実ってそんなものなのかもしれないし、そういう意味ではリアリティがあるのかもしれないけど。 悲しい余韻に浸らされた。
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彼女が彼の何を知っていて、 彼が彼女の何を知っているのか。 村川先生は孤独だったかもしれないけれど(それすら本当のところは分からないけれど)、自分のことをこんなに語ってくれる人がいて、それは幸せなことだろうと思う。
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こんな男いややシリーズ、第二弾。 三浦しをんさん程、作品によって印象の変わる作家はいない。 村川という男を語るたくさんの女と男。 随所に三浦しをんさん特有の選び抜かれた言葉があって、ドキッとする。
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大学教授・村山融を妻、愛人、娘、息子などの視点から語る物語。 「私」が語り始めた「彼」は、どういった人物だったのか―― その男の人生が一体どうなっていったのか たいてい、複数の視点から一人の人物を描く物語は ある章では面白いのに、とたんに視点が変わると同じ小説だとは 思え...
大学教授・村山融を妻、愛人、娘、息子などの視点から語る物語。 「私」が語り始めた「彼」は、どういった人物だったのか―― その男の人生が一体どうなっていったのか たいてい、複数の視点から一人の人物を描く物語は ある章では面白いのに、とたんに視点が変わると同じ小説だとは 思えなくなるくらいつまらなくなる時がある。 この作品にも、残念ながらそれが当てはまってしまった。 一番初めの弟子と村川の妻の章は、夫の浮気に悩む妻の姿が生々しく想像できて最も面白かったけれど 村川の実の娘・ほたるの婚約者が語る章は どこかファンタジーような現実感がない雰囲気でつまらなかった。 話をすすめるうちに風船がしぼんでいくようなかんじで 私としては少し残念だった。 あなたの心に打ちこまれた杭は、いずれは解けますよ。 でもぽっかりとあいた穴は、いつまでも残るでしょう。それは痛み続け そこを通る風音があなたを眠らせぬ夜もあるかもしれない。 だけど私は、この痛みをいつまでも味わい続けていたいと思うのです。 それが、私が生きてきた、そしてこれからも生き続けていくための、 証となるからです。
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始まりが、本なのに目をそむけたくなるような話で辛かった。 本自体も全体的に暗く重い感じだけが残った。 でも、しをんさんの表現力はやっぱり引き込まれると言うか 想像を掻き立てられる! 途中、少し時間が空いたのですが三分の二くらいは一気読みでした。
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