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私の個人主義 の商品レビュー

4.4

106件のお客様レビュー

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2021/10/05

じぶんの個人主義を発見せよ、そして貫けというごくシンプルな教え。なんだかフツーな結論やなあと思う一方、そうだよね、うんうん、見つけなきゃ、と素直に納得もした。いやーむずい、幸せに生きるための努力はしやきゃ。

Posted byブクログ

2021/10/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

夏目漱石先生が病で亡くなる5年前に各地で行った講演を主にまとめている。 夏目漱石先生は小説の執筆だけでなく、講演もされていたのはちょっと驚きだったが、これがとても面白い。 講演の中に出てくる謙遜や周囲を引き立てる話もユーモアに溢れ、話の導入は分かりやすくも、話す内容は明快だが斬新で、100年以上前の社会のみならず、今にも通用する事ばかりだった。 講義の断片だけ見ても、当時の社会で余程愛された人だったんだなと感じられる。 講義は6講義に分けられ、主たる内容は以下 『道楽と職業』 ・自分中心に行うのが道楽、他人中心に行うのが職業 ・文明が進むにつれ、仕事は分業化し断絶してくる 『現代日本の開化』 ・開化には煩わしい事を無くす方面と、快い事を追求する方面がある。 ・外的開化と内的開化がある。 ・日本は外的開化を強いられた為に、砂上の楼閣のような不安定さを内包している。 『中身と形式』 ・ものを知らないと形式、規律や外聞ばかり気にするようになる。 ・大して中身を知ると、場合によっては形式を変えてよい事に気が付く。 『文芸と道徳』 ・道徳は文学になぞって2種類ある。  すなわち浪漫派と自然派である。  浪漫派は理想を求め、自然派はあるがままを肯定する。 ・どちらかに偏るのも弊害だから、どちらも持ちうる社会が健全なのではないか 『私の個人主義』 ・個人は自分のこれだと尻の座るものを探し続けるべきである。 ・しかしそれを他人に強制してはいけない。特に権力には義務が、金力には責任が伴う事を自覚すべきである。 もちろん、ここに書ききれるものではない。 特に最後の私の個人主義は、何度でも読み返したい勇気の出る素晴らしい講演だった。 以下、心に残った言葉 ・博士の研究の多くは針の先で井戸を掘るような仕事をするのです。それを世間ではすべての方面に深い研究を積んだものとして誤解して信用を置きすぎるのです。 ・科学者、哲学者、芸術家のようなものは他人本意では成り立たない職業です。 ・物質的に人のためにする分量が多いほど物質的に己のためになり、精神的に己のためにするほど、物質的に己の不為になるのです。 ・できるだけ労力を節約したいという願望から出てくる方面と、出来るだけ気儘に勢力を費やしたいという娯楽の方面、これが経や緯となり開化という現象が起こるのです。 ・今日は生きるか死ぬかという問題はだいぶ超越している。それが変化してむしろ生きるか生きるかという競争になっている。 ・さて、自分がその局に当たってやってみると、かえって自分の見縊った前任者よりも激しい過失を犯しかねないのだから。。だから実行者は自然派で、批判者は浪漫派だと申したいくらいに考えている。 ・私は終始中腰で、隙があれば自分の本領に飛び移ろう、飛び移ろうとのみ思っていたのです。が、さてその本領というのがあるようで、無いようで、どこを向いても、思い切ってやっと飛び込めないのです。 ・私はこの 自己本位 という言葉を自分の手に握ってから大変強くなりました。 ・ひとつ自分の鶴嘴で掘り当てるところまで進んでいかなくてはいけないでしょう。もし掘り当てることが出来なければ、その人は一生不愉快で、終始中腰になって世の中にごまごましていなければならないからです。 ・もしどこかにこだわりがあるのならば、それを踏み潰すまで進まなければだめですよ。 ・個人主義は人を目標として向背を決する前に、まず理非を明らめて、去就を定めるのだから、ある場合は一人ぼっちになって、さみしい感じがするのです。 それはそのはずです。槙雑木でも束になっておれば心丈夫ですから。 小説の方も是非読みたいと思いました。

Posted byブクログ

2021/06/14

キーワード 「道楽と職業」  ・人のため=己のため(一般的な職業) ・己のため=人のため(科学者哲学者や芸術者) ・職業と道楽の内発性と外発性  「現代日本の開化」 ・2種の活力と開化の関係 ・開化と幸福、生活の関係 ・西洋の開化(一般の開化と日本の開化) 「私の個人主義」...

キーワード 「道楽と職業」  ・人のため=己のため(一般的な職業) ・己のため=人のため(科学者哲学者や芸術者) ・職業と道楽の内発性と外発性  「現代日本の開化」 ・2種の活力と開化の関係 ・開化と幸福、生活の関係 ・西洋の開化(一般の開化と日本の開化) 「私の個人主義」 ・人格と3か条 

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2021/04/08

夏目漱石の演説をその言葉遣いのまま文字起こししたもの。 漱石の言葉遣いの面白さを感じられる。 内容も現代に通じるところがあるので、なお面白い。YouTubeに朗読版があるみたいなので、それも聞いてみたい。

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2021/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

標題の「私の個人主義」は大正三年、大病を患った後に学習院でおこなった講演の内容だが、今読んでもさすが漱石というか、構成もメッセージもすばらしい。青空文庫で読めるので未読の人はぜひ。 講演として読むと、初めは前振りが長くいつテーマに入るのかと思うほどだが、気づくとすっとテーマに入っていて、それが最後のメッセージまでしっかりと繋がっている。 前半は人生の指針としての自己本位主義、後半はその前提となる個人の自由とそれに伴う義務と責任、という内容。 まず前半は、漱石自身の懊悩とその打破という経験を若い人たちへのメッセージに転化しているが、これによって人生の方向を決定された学生も当時いたのではないかと思う。この懊悩が普遍的であり、漱石が偉大であるだけに、この指針は説得力を持つ。 一方の後半は、一転して、学習院という特権階級の学生たちに彼らの持ち得る力についての自覚を促し、それに伴う義務と責任を説く。「君たちは将来のリーダーだ」というメッセージはよくあるが、「君たちは特権階級だから責任を持ちなさい」というメッセージはもっと重要であるにもかかわらずあまり言われない。 そして、すばらしいのは、前半の自由な自己追求の前提として、後半の倫理原則が説かれているところ。自由には義務と責任が伴う、という基本的な原則をこれほど見事に述べた講演も多数はないと思う。この講演を生で聞けた学生たちは幸福だった。

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2021/01/03

何度も読み返すほど、元気をもらえる本。 特に、社会に馴染めていなかったり、我が道を行かんとする方におすすめ。

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2020/11/23

(2018年2月のブログ内容を2020年11月に転記したものです) 夏目漱石は英文学を専攻し、学校は出たものの、文学とは何かということをつかめず、悶々とする日々を送っていました。幸いにも教師の職にはありつきましたが “「その日その日はまあ無事に済んでいましたが、腹の中は常に空...

(2018年2月のブログ内容を2020年11月に転記したものです) 夏目漱石は英文学を専攻し、学校は出たものの、文学とは何かということをつかめず、悶々とする日々を送っていました。幸いにも教師の職にはありつきましたが “「その日その日はまあ無事に済んでいましたが、腹の中は常に空虚でした。空虚ならいっそ思い切りが好かったかも知れませんが、何だか不愉快な煑え切らない漠然たるものが、至る所に潜んでいるようで堪らないのです。」。” そして、ついにはロンドンに留学したが、分からない。しかし、そうしているうちについに分かったのです。「文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自分で作り上げるより外(ほか)に」途(みち)はない。当時は文学といえば、外国の評論家が別な外国人の文筆家を批評していったことをそのままコピーして吹聴してまわってありがたがるということが多かったのです。 逆に、漱石は、ついに、自分の文学は自分で作るという境地「自己本位」に行きついたのです。自己本位、自分が右だといえば、他人が左だといえども曲げる必要はない。といことです。ある評論家がある文学についてこうだといったからといって、自分が反対の意見を持ったとしてもよいし、むしろ、自分だけが持てる意見を大事にしなければいけないということに気が付いたのです。 こういうと、「自分勝手」と誤解されてはいけないのですが、その点についても夏目漱石は論考しています。他の人が同じように自由に考えることを阻害してはならないという形でなされなければならない。 “「我々は他が自己の幸福のために、己れの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。」” 現代の私たちにとってはとても当たり前のことのように思えますが、実践できている人となると、どれくらいいるでしょうか。漱石は「妨害」してしまう要因として「お金」と「権力」を挙げています。そして、自分がこれを持つ立場になったときには気をつけよと論じています。人は生活するうえで、権力やお金をもつ立場に立ってしまうのは仕方ないものですが、そうした場合、知らず知らずのうちに、他人の「自己本位」を妨害してしまいかねない。これに気を付けてさえいれば、自分を自分の考えで満たすことに全力で取り組むべきであると、若者に向けて語っています。 漱石はその後帰国した後、自分の思うように職が得られない時も、神経衰弱になった時も、この「自己本位」という言葉(概念)が胸にあったため、不思議と気に病むことなく、生活を送ることが出来たといいます。 自分が何者なのか、見つけられるきっかけは突然訪れます。それを個人の経験に照らしながら、醸成していくのが、人生ということでないでしょうか。性自認に限ってみても、体と反対の性であるとか、性の境界であるといった場合の自分の位置づけは、なかなか定まるものではないでしょう。 各々が作り上げて発信していく、その一端を担う仕事ができたら、それがわたしに直結する自己本位ということなのだろうと、思っています。

Posted byブクログ

2020/09/19

私の夏目漱石論がダイヤモンドの連載で掲載されました。ご高覧いただけたら幸いです(無料登録で読めます)→ https://twitter.com/lumciningnbdurw/status/1305047407458099200?s=21

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2020/05/08

バイブル的存在の一冊。 あくまで一つの考え方ではあるものの、物の考え方、姿勢の在り方は参考になる。 今でも通用する内容なので人間の本質って変わらないという事か。 本当の意味での個人主義とは自立、自律、寛容、責任、義務と深く結びついており、他者排除ではない。 何度も読み返す価値あり...

バイブル的存在の一冊。 あくまで一つの考え方ではあるものの、物の考え方、姿勢の在り方は参考になる。 今でも通用する内容なので人間の本質って変わらないという事か。 本当の意味での個人主義とは自立、自律、寛容、責任、義務と深く結びついており、他者排除ではない。 何度も読み返す価値あり。

Posted byブクログ

2020/05/04

漱石による講演の書き起こし。ネガティブな枕からあれよあれよと話題が転じて最後にピタッと着地する。オススメ!

Posted byブクログ