シュリーマン旅行記 清国・日本 の商品レビュー

H・シュリーマン(著者),石井和子(著者)

2025/01/06

斬新な視点で江戸、清国を見つめる。

[テイ]

シュリーマンの着眼点、観察眼がとても鋭く、かつ石井和子の翻訳が読みやすいため最後まで楽しめました。情景描写がとても緻密だったため、学校では習わない日本史・中国史をシュリーマンの目を通じて学べた気がします。何より個人的に、石井和子の翻訳がとてもレベルが高く、翻訳にありがちな「訳されても難解・文章がつながらない」といった問題はなくスラスラ読めたのが驚きでした。

トロヤ文明遺跡の発掘…

[文庫ＯＦＦ]

トロヤ文明遺跡の発掘で有名なシュリーマンが、清末、幕末の中国日本を訪れて書いた旅行記。前半は清国ですが、考古学者らしく万里の長城には凄く感動してますが、街の景観や人々に対する印象はあまり良くないようです。対照的に、日本に対しては人にも文化にも賛辞を惜しみません。かなり良い印象を持ったようで、分量も多いです。

トロイア遺跡の発掘で…

[文庫ＯＦＦ]

トロイア遺跡の発掘で有名なシュリーマンはその発掘に先立つ6年前、世界旅行の途中、中国につづいて幕末の日本を訪れます。3ヵ月という短期間の滞在にもかかわらず、江戸を中心とした当時の日本の様子を、なんの偏見にも捉われず、客観的に観察してます。外人の見た日本人観がよく解る書です。

2025/03/09

最初の清を悪様に書いてるのでなんとなく離れてしまった。日本を随分良く書いているが実際きれいな所しか見てないのではないかと思ってしまう。
正座を「踵の上に座る」と表現するのはちょっと面白い。

2024/03/01

面白かった。創作ではなくノンフィクションなんだよね、と心の中で確認しながら読んだ。内容は既知の範囲で想像が容易いものの、あの時代に船と馬と足で旅する外国人が書き残したものかと思うと、急にスケールアップして胸に飛び込んでくる。本人にとっても新鮮なことの連続だったろうなと、思わず気持ちが寄り添った。

2023/05/20

　　　　　―2023.03.06読了

「教育はヨーロッパの文明国家以上に行き渡っている。シナをも含めてアジアの他の国では女たちが完全な無知のなかに放置されているのに対して、日本では、男も女もみな仮名と漢字で読み書きができる。」

2022/01/05

1865年すなわち明治維新の2年前の万里の長城・上海、そして、江戸・八王子の旅行記なんですが、東洋文明を卑下せずに、かつものすごい観察力で、驚嘆することしきりです。当時の中国人が公衆衛生に極めて鈍感であること、他方、日本人がワイロをもらうくらいなら切腹するとか心身ともに潔癖であること、ことこまかなエピソードが披露されてます。ただほとんどの日本人は皮膚病もちで入れ墨だらけだったようですね、観察眼は細かい。
　万里の長城に対する評価が「かつて人間の手が築きあげたもっとも偉大な創造物だということは異論の余地がない。が、いまやこの大建築物は、過去の栄華の墓石といったほうがいいかもしれない」と容赦ない。
　日本では銭湯で男女がお互いに隠そうともしない文化にびっくりたまげていたようです。あと、娼婦が日本では社会的身分として不名誉でも何でもなく、正妻になることも、生家に戻って普通に結婚することも何の支障なくできたという点、これも初耳でした。総じて、日本に対し、勤勉で誠実で清貧で清潔好きなところ、家具はほとんど不要なコンパクトライフながら、工芸品やコマ遊びなどの芸の巧みさ等におどろき、「この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にもましてよく耕された土地が見られる」と高く評価していました。
　トロイを発見した歴史的考古学者でもありますが、この文才に接すると古代への情熱も読みたくなります。お金持ちで人格者で知識人て、サイコーですねシュリーマン

2021/10/24

シュリーマンの日本の旅行記ということで、興味深く思って手にとった本。講談社学術文庫は難しいイメージで、敷居が高かったのですが、おもしろく、読みやすかった。幕末日本の人々の生活、風景が鮮やかに描かれてます。シュリーマンの清と日本とで抱いた感想の違いもまたおもしろかった。

2021/02/20

大政奉還の2年前に日本にやってきたドイツ人の旅行記

その時代のおおらかさと質素さをドイツから来た旅行者は大いに楽しみ、時には芸術性の高い家具や陶器などに関心を示す

異文化に対する素直な好奇心と、全般的にその文化を容認するスタンスは大いに見習うべきだと思いました。

そして、その文書の美しさは翻訳者の石井和子さんのセンスなのでしょう
いまの時代に合った洗練された書物として昇華された作品となっています。

2019/10/14

全体を通して、シュリーマンの強い好奇心が凄い。何一つ書き漏らさないという意気込みに感嘆！ 偏見 欧米至上主義が微塵もない。
木村尚三郎
ふいご、土蔵、舌のない鐘
台風の語源
文明の理解 文明開化 最高の完成度 教育 お目付 嘘 封建的支配
軍隊派遣費用 ＞商取引利益より小さい場合は派遣しないなど現代の中東阿の政治状況と同じ。
後付け カギ十字の由来