胎児の世界 の商品レビュー
母胎の世界の神秘さを思い知らされる。三木氏のいう、リズムを基調とした生命の宇宙。伊勢神宮の式年遷宮にも演繹される宇宙の周期性。興味深かった。 機械論的自然観と目的論的自然観の絶妙なバランスをとる本書であるが、当時からさらに進んだであろう細胞発生学の最新の知見を基にして内容を補足し...
母胎の世界の神秘さを思い知らされる。三木氏のいう、リズムを基調とした生命の宇宙。伊勢神宮の式年遷宮にも演繹される宇宙の周期性。興味深かった。 機械論的自然観と目的論的自然観の絶妙なバランスをとる本書であるが、当時からさらに進んだであろう細胞発生学の最新の知見を基にして内容を補足した本が出ればと思う。
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この本を誰に勧められたのか? 福岡伸一かもしれない。 養老孟司が絶賛していたことは間違いない。 とにかく、信用できる人の推薦文読んで手に入れたはずだ。 そして、その推薦は正しかった。 胎児の解剖を通じて、「個体発生は系統発生の短い反復である」という脊椎動物一億年の歴史を封じ込め...
この本を誰に勧められたのか? 福岡伸一かもしれない。 養老孟司が絶賛していたことは間違いない。 とにかく、信用できる人の推薦文読んで手に入れたはずだ。 そして、その推薦は正しかった。 胎児の解剖を通じて、「個体発生は系統発生の短い反復である」という脊椎動物一億年の歴史を封じ込めた胎児の不思議さが開示されて驚くばかりだ。 胎児の経時的変化を示した写真の説得力は大きい。 そこには、有無を言わさぬ系統発生の証拠が示されている。 羊水は古代海水であり、母乳の存在が人の口の形状を生み出すという。 科学と文学的想像力の融合。
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読み初めはオカルティックでどうだろう、眉唾なものなのではないかと思ったけど、読み進めていくと、生物学者の筆者が実際に研究した末にオカルト的勘と結果が結びついてくる面白さがあった。人間の胎児のみならず、様々な生物の胎児、原初生物を出して論じている。 途中、夢野久作の「ドグラ・マグラ...
読み初めはオカルティックでどうだろう、眉唾なものなのではないかと思ったけど、読み進めていくと、生物学者の筆者が実際に研究した末にオカルト的勘と結果が結びついてくる面白さがあった。人間の胎児のみならず、様々な生物の胎児、原初生物を出して論じている。 途中、夢野久作の「ドグラ・マグラ」に出てくる胎児の夢という架空の論文の話が出てくる。その中にもやはり胎児は十月十日の間に長い生命の夢を見ているのだという趣旨の描写があり、この実験が行われる前、昭和の時代から夢野久作はこれを先見していたのではないかと書かれていた。この本を読んだ後に「ドグラ・マグラ」を読むとより楽しめるのではないか、と思った。
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解剖学・発生学を壮大な宇宙観と有機的に連携させながら解説 複数の知識が合わさっていて、 世の中に対する見方を改めさせてくれる。 とても科学的な内容も文学的な詩的な文章で書かれている。
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すんません。わたしには最後の方が難しすぎて,何を言いたいのか(というか,言いたいことは分かるけど,なんか科学的なお話ではないような気がする…)という本でした。 本書を手に取ったわけがすでに思い出せないんですよね。本書の次に読んでいるのも同じ著者のものです。先に紹介した『ながい...
すんません。わたしには最後の方が難しすぎて,何を言いたいのか(というか,言いたいことは分かるけど,なんか科学的なお話ではないような気がする…)という本でした。 本書を手に取ったわけがすでに思い出せないんですよね。本書の次に読んでいるのも同じ著者のものです。先に紹介した『ながいながい骨の話』共々,一緒に読もうと思って手に入れたのですが,それがどうしてなのかを思い出せないんです。おそらく昨年の12月ごろのことだと思うんですが…。 さて,本書の発行は昭和58年で,わたしが勤め始めた年のことです。そんなずいぶん前の科学読み物なのですが,「研究」というものの楽しさというか夢中さというか,新しい発見に向けて実験をしている科学者の興奮する姿がビンビン伝わってくるので,なかなか面白く読むことができました。 人の胎児の発育の変化など,今じゃあ,発生学の本では当たり前に出てくる絵や写真についても,死んでしまっているとはいえ,人の胎児にメスを入れる怖さというか大胆さというか…,著者の迷いも含めて描かれています。科学者という生き物は知的好奇心を満たすために、そうせざるを得ないんですよね。 羊水を満たした、暗黒の空間のなかで繰りひろげられる胎児の世界ーそれは人類永遠の謎をして神秘のヴェールのかなたにそっとしまっておく,そんな瀬会なのかも知れない。この世には見てはならぬものがある。近代の生物学は,しかし,この一線をいともやすやすと乗り越える。自然科学の実証の精神,というより人間のもつ抑え難い好奇心が,その不文律を破ったのだ。(本書,150ぺ) そして,そこから得た知識は,ヘッケルの「個体発生は系統発生の短い反復である」ということを証明するものでした。
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特にどうということのない文章である。だが私は岡潔のテキストを覚えていた。二つのテキストが私の中でシンクロした。三木はここから玄米と母乳の味にまで筆を伸ばしている。 https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2022/06/28/220312
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ミクロからマクロまで生命にリズムが生まれて波及する。それは空間や時間を旅するように移動を重ねて時折振り返るように反復する。その記憶は自身の経験なのか、それとも受け継がれるDNAなのか。宇宙は自然であり、人の意識の産物ではない。故に誰にも世界を制御できないし必然とも偶然とも解釈でき...
ミクロからマクロまで生命にリズムが生まれて波及する。それは空間や時間を旅するように移動を重ねて時折振り返るように反復する。その記憶は自身の経験なのか、それとも受け継がれるDNAなのか。宇宙は自然であり、人の意識の産物ではない。故に誰にも世界を制御できないし必然とも偶然とも解釈できる運命に委ねられる。そもそも意識を積み重ねた記憶は不確かなもので常に変化を遂げていく。諸行無常、万物流転、この言葉にしっくりくるのがこの書籍の読後感である。
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見返し まだ目もあかない赤ん坊が、突然、何かに怯えて泣き出したり、何かを思い出したようににっこり笑ったりする。 母の胎内で見残した夢の名残りを見ているのだという・・・。 私たちは、かつて胎児であった「十月十日」の間羊水にどっぷりつかり、子宮壁に響く母の血潮のざわめき、心臓の鼓動の...
見返し まだ目もあかない赤ん坊が、突然、何かに怯えて泣き出したり、何かを思い出したようににっこり笑ったりする。 母の胎内で見残した夢の名残りを見ているのだという・・・。 私たちは、かつて胎児であった「十月十日」の間羊水にどっぷりつかり、子宮壁に響く母の血潮のざわめき、心臓の鼓動のなかで、劇的な変身をとげたが、この変身劇は、太古の海に誕生した生命の進化の悠久の流れを再演する。 それを、ふと思い起こすことがある・・・。
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地球、人体、言語、生命、果ては神の世界に至るまで、この世の究極の答えを細胞に語り掛ける宇宙誕生138億年の超絶アトラクション。 本の世界にのめり込むきっかけとなった偉大で思い出深い本です。文章量に圧倒され読み流しになるかと思いきや、読めば読む程引きこまれていくあの興奮が忘れられ...
地球、人体、言語、生命、果ては神の世界に至るまで、この世の究極の答えを細胞に語り掛ける宇宙誕生138億年の超絶アトラクション。 本の世界にのめり込むきっかけとなった偉大で思い出深い本です。文章量に圧倒され読み流しになるかと思いきや、読めば読む程引きこまれていくあの興奮が忘れられず何度も読み返してしまいます。
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解剖学者である著者が、医学的な事実と詩的直観を織り交ぜて生命について語ったエッセイです。 胎内に生命が宿りこの世に誕生するまでのプロセスのうちに、悠久の生命のあゆんできた歴史の記憶を求めようとします。議論は、ゲーテの自然学や中国の「道」、伊勢神宮における式年遷宮にまでおよび、自...
解剖学者である著者が、医学的な事実と詩的直観を織り交ぜて生命について語ったエッセイです。 胎内に生命が宿りこの世に誕生するまでのプロセスのうちに、悠久の生命のあゆんできた歴史の記憶を求めようとします。議論は、ゲーテの自然学や中国の「道」、伊勢神宮における式年遷宮にまでおよび、自由な連想のつながりをたどりつつ「三木形態学」の世界へと読者をみちびいていきます。 あくまでエッセイとして読むべき本であることは当然心得ているのですが、一元論的な生命論そのものに対して、さまざまな思想的問題が提起されていることにも、もうすこし留意が必要であったのではないかという気がします。すくなくともわたくし自身は、著者の手放しの生命賛歌に追随することはむずかしいと感じました。
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