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胎児の世界 の商品レビュー

3.6

50件のお客様レビュー

  1. 5つ

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2019/07/06

胎児の30~40日あたりの成長を生命の進化に当て嵌めるところまでは理解できるが、三章以降は検証されえない持論展開の嵐。螺旋の成長については、分からなくもないが、世の中すべての事象に適合させるのはさすがに無理がある。人の成長におけるスパイラルアップは、安定性と着実性の観点から納得で...

胎児の30~40日あたりの成長を生命の進化に当て嵌めるところまでは理解できるが、三章以降は検証されえない持論展開の嵐。螺旋の成長については、分からなくもないが、世の中すべての事象に適合させるのはさすがに無理がある。人の成長におけるスパイラルアップは、安定性と着実性の観点から納得できる。

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2019/06/10

南洋から流れ着いた椰子の実の味に遙かなる過去を思い起こし、子供が体調を崩した関係で張ってしまった奥さんの乳を飲んで生命の幽遠を知る・・・みたいなエピソードから始まるのは、例の「個体発生は系統発生を繰り返す」(胎児はその発達段階で生物進化の過程をなぞる)というアレの物語である。 ...

南洋から流れ着いた椰子の実の味に遙かなる過去を思い起こし、子供が体調を崩した関係で張ってしまった奥さんの乳を飲んで生命の幽遠を知る・・・みたいなエピソードから始まるのは、例の「個体発生は系統発生を繰り返す」(胎児はその発達段階で生物進化の過程をなぞる)というアレの物語である。 結論は「まんま進化の過程をすべてなぞるわけではない」ということなんだけど、お話しは現在から30億年を一気にさかのぼり、お母さんのお腹から遠く宇宙までを一息に飛び越えて行く。 比較発生学…なる分野の大家であった著者。発生から4日目に決まって生命の危機を迎える鶏卵と向き合う日々とか、胎児の標本にメスを入れるときの静かな、だがドラスティックな心の動きとか、鬼気迫る描写もある。 新書なんだけど、すげー巨大な内容。 うまく咀嚼できなかった、というのが正直なところ^^;。

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2019/05/03

三木成夫「胎児の世界」読了。読む前は題名からヒトの生殖から発生に関する総括的な話かと思っていた。しかし、実際には胎内での神秘的な成長と種間でのその共通性から、生命の進化・歴史・周期性、さらには宇宙の摂理までをも解釈する著者渾身の壮大なスケールの考え方に圧倒された。良書。

Posted byブクログ

2018/10/12

本書は確か『READING HACKS』で紹介されていて購入したのだと思う。 ちゃんと理解できたか?と訊かれると言葉に詰まってしまうぐらい、読むのに骨が折れたが、とても大きな浪漫が語られている。 個体の発生から誕生までというミクロな話を、地球上の生命の発生から人類の発生に至る...

本書は確か『READING HACKS』で紹介されていて購入したのだと思う。 ちゃんと理解できたか?と訊かれると言葉に詰まってしまうぐらい、読むのに骨が折れたが、とても大きな浪漫が語られている。 個体の発生から誕生までというミクロな話を、地球上の生命の発生から人類の発生に至る大きな流れに重ね合わせ、感動をもって語られるとき、われわれ読者は、圧倒させられてしまい言葉も出ない。 科学なのかどうかはよくわからないが、現実を解釈する、というのは、こういうイメージを膨らませることを言うのではないかと感じた。 [more] (目次) ? 故郷への回帰――生命記憶と回想  民族と里帰り   「椰子の実」の記憶   絹の道   里帰りの生理  母乳の味   母乳と玄米   哺乳動物誌   味覚の根源――「憶」の意味  羊水と古代海水   出産   脊椎動物の上陸   いのちの塩 ? 胎児の世界――生命記憶の再現  ニワトリの四日目   墨汁の注入   四日目の出来事   上陸の形象  胎児の発生   胎児の顔   受胎1か月の像   おもかげ――原型について  再現について   個体発生と宗族発生   奇形の意味するもの   胎児の夢 ? いのちの波――生命記憶の根原  食と性について   ヤツメウナギの変態   植物メタモルフォーゼ   食と性の位相交替  内臓波動   いのちの波   万物流転――リズムの本質   胎児と宇宙  永遠周行   東洋の「道」   遷宮の意味   母なる海

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2018/10/03

胎児の世界から生物の進化の記憶を描き出し、生物の食の生活相と性の生活相という分析から生命のリズムを導き出して、それが宇宙のリズムと共鳴していることを示す宇宙論に至る壮大でスリリングなお話でした。

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2018/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初は、解剖学者が芸大で何を教えるんだろって思ったが、段々と森羅万象に風呂敷が広がり、「学者なタルホ」の感が…。 受精鶏卵を日にち単位で追っかけて、脾臓の生成を探るところは研究者の現場のご苦労が垣間見える。それがまた、ジョセフ・ニーダムの後追いだったというのもご苦労なこと(しかもこっちは30年も前に、乾燥粉末にした鶏胚の窒素化合物を計測するというスマートな方法…)。そして、ヒトの胎児に想いを馳せた時期に、妻が妊娠中…は出来過ぎな気がするがゾッとした。まあ、ここからあの「胎児の顔貌」が生まれる訳だけど。夢野久作の「胎児の夢」言及はやり過ぎでは。 ともあれ、生物の生活相が「生」か「性」かの二択なら、少子化の時代に肥満が増えるのは当然かもなー。

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2017/05/11

読書日記美術家 鴻池朋子(2) 『胎児の世界』母胎の奥の壮大なドラマ 2017/5/11付日本経済新聞 夕刊  東京芸大で日本画を専攻していた1980年代前半。世の中にサブカルチャーが台頭し、音楽やファッションに新しい波が起きていた。それなのに、外界から遮断されて古臭い日本...

読書日記美術家 鴻池朋子(2) 『胎児の世界』母胎の奥の壮大なドラマ 2017/5/11付日本経済新聞 夕刊  東京芸大で日本画を専攻していた1980年代前半。世の中にサブカルチャーが台頭し、音楽やファッションに新しい波が起きていた。それなのに、外界から遮断されて古臭い日本画を描かされる大学生活に次第に情熱を失いつつあった。  そんなさなか、解剖学者の三木成夫先生の講義は学生に不思議な人気があった。「胎児は母体の中で30億年の旅をするんです」と熱く語る口調が今でも忘れられない。  講義の内容をまとめたのが『胎児の世界』(中公新書)だ。大学から「『性』の組み込まれた『保健』の講義」を頼まれた先生は、「『性』の営みとは、本来それに続く次代の『生』を抜きにして考えることのできないもの」と考える。  つまり「妊娠」の真相解明なしに性を語ることはできないと思い至るのだ。この「『母胎』の奥の壮大なドラマ」を芸大生たちに視覚的に訴えるため、先生は刻々と形を変える胎児の、それも真正面からの顔をなんとかして写真に撮って見せようと試みる。  最も厳粛な「見てはならぬもの」の1つである母胎の世界を明らかにすることにためらいを感じつつも、32日目の胎児の顔を見る。「フカだ! 思わず息をのむ。やっぱりフカだ……」  やがて先生は胎児の顔の変貌の中に、古生代の魚類から始まって、両生類、爬虫類(はちゅうるい)、鳥類、哺乳類へと、海から陸へ上がる生物の進化の過程の縮図を見いだし、哲学的な思索を深めていく。  医師、研究者、そして教育者として、医大と芸大を行き来する先生の授業は学際的な魅力にあふれ、まさに表現者だった。

Posted byブクログ

2016/01/11

1983年刊行の中公新書のロングセラーの一冊。 著者は東大で解剖学を修めたのち、ゲーテの形態学などの影響を受けて、既成の西洋医学の枠組みの中では位置付けられない「生命記憶」を柱とした「三木形態学」を唱えるようになったが、本書は、そのエッセンスを著したものと言われる。 本書で著者は...

1983年刊行の中公新書のロングセラーの一冊。 著者は東大で解剖学を修めたのち、ゲーテの形態学などの影響を受けて、既成の西洋医学の枠組みの中では位置付けられない「生命記憶」を柱とした「三木形態学」を唱えるようになったが、本書は、そのエッセンスを著したものと言われる。 本書で著者は、偶々デパートで見た椰子の実に得も言われぬ懐かしさを感じた自分の経験を「生命記憶」と呼び、それを個体の進化と宗族(種族)の進化の関係から説明する。 著者は、生物の個体が発生(受精)してから成体になるまでの過程(=個体発生)と、生物の宗族が発生(起源となる原始生物の発生)してから現在の宗族になるまでの過程(=宗族発生)を重ね、それらは類似の過程を辿ると言う。即ち、我々人間は、胎児である十月十日の間羊水につかり、母の血潮のざわめき、心臓の鼓動の中で、劇的な変身を遂げるが、この変身劇は、太古の海に誕生した生命の進化の悠久の流れを再演したものなのだ。そして、それを裏付けるものとして、羊水の塩分の濃度等が海水と極めて近いこと、胎児は受胎から30日を過ぎてから僅か一週間に、外形的にも脊椎動物の一億年の上陸誌を再現したかの如く見えることなどを挙げている。 三木形態学は、現代の医学・生物学から説明し得るものではないのであろうが、一方で、その考え方は吉本隆明などにも影響を与えたという。 合理性を追求する近代科学とは距離を置いて、本書のようなアプローチに触れるのもいいのではなかろうか。 (2010年5月了)

Posted byブクログ

2015/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

受精卵から胎児の個体発生においてその姿や身体構造は魚類両生類哺乳類というような系統発生を歩む。生物進化の道筋を短期間に辿って今の胎児の姿となるその意味は一体何なんだろうか。発生過程の歴史を文字通り身体に刻んで産まれてくるってどういうことなんだろう。 動物も植物も、命を持つ生物とは一体何のために存在するのだろう。 命を保つために形作っては形を崩してを繰り返す。そうやって形を持って留まる、その意味。 原子が集まって分子が集まって集まって集まって命を形作るその科学的根拠、その必要性。 何が命を必要としているのか、不思議でたまらない。 だから、この本はおもしろい。 抗えない魅力と解ききれない謎。

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2015/01/05

誰だー紹介してくれたヤツは?色々な紹介文などを読んでいるので分からなくなってしまった。 娘もいるし、胎児や進化、太古の記憶等のテーマも興味がない訳じゃない、が専門的すぎて頭に入ってこず。 合わないなと思った時の対応として ・時間が勿体ないから読むのを辞める ・それでも、自分の...

誰だー紹介してくれたヤツは?色々な紹介文などを読んでいるので分からなくなってしまった。 娘もいるし、胎児や進化、太古の記憶等のテーマも興味がない訳じゃない、が専門的すぎて頭に入ってこず。 合わないなと思った時の対応として ・時間が勿体ないから読むのを辞める ・それでも、自分の世界を広げるため、難しい事を理解しようとする練習のため読み続ける どちらが良いのかね。超速読で最後のページまでたどり着くが、内容は心に残っておらず。

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