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タテ社会の人間関係 単一社会の理論 の商品レビュー

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97件のお客様レビュー

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2017/06/20

日本論ではなく組織論。冒頭で「和裁ではメートル法ではなく鯨尺を使う方が便利なように、日本社会を収まりよく表現できるモノサシを探す」と例えてあるように、横断的・階層的な社会構造とは異なる、「タテ方向につながる社会構造」を考察し、日本のいろいろな事象に当てはめて説明している。 社会...

日本論ではなく組織論。冒頭で「和裁ではメートル法ではなく鯨尺を使う方が便利なように、日本社会を収まりよく表現できるモノサシを探す」と例えてあるように、横断的・階層的な社会構造とは異なる、「タテ方向につながる社会構造」を考察し、日本のいろいろな事象に当てはめて説明している。 社会構造の優劣を論じているわけではないので、短所ばかりではなく長所にも触れており、特に反発や気恥ずかしさを感じることもなく、フムフムと読み進められる。 日本における官僚組織の効率の良さ、セーフティネットの脆さ、品質の高い製品・サービスを作ると同時に果てしない消耗につながる競争原理、論理ではなく情、建前と本音...いろいろな特徴が捉えられている。 日本によく似た社会としてチベットがあげられていたが、そのチベットでさえも「学問の討論は対等である」ことが紹介されており、学者としての作者の立ち位置が垣間見える。 古典として読んでおいて損はない。

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2017/05/02

ふむふむなるほどと思うことしばしばだった。無意識に過ごしちゃってるけど,そういう背景があってこういう立ち位置になってることを意識した方がよいよなと思う。

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2017/04/11

既に50年前に出た日本社会論。決して読みにくくはないけれど学術的な論文に近く、日本という単一性の強い社会の構造を決める基本原理を明らかにしようという内容。そのためタイトルには「日本」は出てこない。また副題に「単一社会の理論」と添えられているのは、「あくまでも単一性の強い社会の構造...

既に50年前に出た日本社会論。決して読みにくくはないけれど学術的な論文に近く、日本という単一性の強い社会の構造を決める基本原理を明らかにしようという内容。そのためタイトルには「日本」は出てこない。また副題に「単一社会の理論」と添えられているのは、「あくまでも単一性の強い社会の構造を社会文化人類学的に論じたものである」ということを表明している。もちろん日本を題材にその社会構造を解き明かしていくのだけど、別に日本に限定される理論ではない、ということだ。たしかにこの本の論理を理解すると、日本に生まれ育ち、社会人になっていく中で、地域社会とか所属する組織、会社などのに感じてきた疑問なんかが、すっきり理解できる(ような気がする)。例えば、自民党と民進党って主義主張にほとんど差がないような気がするけど、なんで分かれて争っているのかなぁ、そもそもかなり考え方の違う人たちが何で同じ政党に集まっているのかなぁ、とかそう言う疑問も、本書で示される「日本社会を動かす論理」によって説明できそう。その論理のキーワードとしては、「資格」より「場」、「ヨコ」より「タテ」、「論理」より「感情」でしょうか。

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2017/05/01

資格(個人の属性)より場(帰属集団)を偏重する日本人の特性とそれにより築かれる日本社会についての詳細解説。よそ者意識、距離の取り方、単一所属主義、序列意識、ワンセット主義、X型集団、無防備な会話、などなど、本書で取り上げられているあらゆるエレメントが非常に納得感があり、各リーズニ...

資格(個人の属性)より場(帰属集団)を偏重する日本人の特性とそれにより築かれる日本社会についての詳細解説。よそ者意識、距離の取り方、単一所属主義、序列意識、ワンセット主義、X型集団、無防備な会話、などなど、本書で取り上げられているあらゆるエレメントが非常に納得感があり、各リーズニングはまさに目から鱗である。著者も海外経験があるのでノンジャパニーズのカルチャーと比較しつつ説明がなされており、自分の経験と照らしてもすんなり入ってくる。 何より、この内容が1967年に発行されていたという衝撃。マネジメントにノンジャパニーズを迎えようが、海外新卒採用を積極的に増やそうが、結局根底が変わっていないがゆえに日本の組織は何一つ変わっていない。ではそれがダウンサイドなのかと言われれば、一概にはそうは言えない。大事なのは、その特性をしっかり自認しつつ、それを活かしていく方向に舵を切っていくこと。中途半端に角落ちだけするのが最もリスキーである。

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2016/10/03

日本の社会は単一性が強い上に、集団が場によってできている。資格よりも場を大切にするということである。よって日本人は頼りになる所属集団はただ一つとする単一社会であるが、これは海外では珍しく保身的であると捉えられる。また、社会においてヨコよりもタテを大切にする傾向を持つ。

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2016/06/04

新装版の本の帯にはズバリ「日本論の不朽の名著」。半世紀近く前に書かれたにも関わらず、「タテ社会」構造に根付く日本組織のあり方、人間関係の分析は正確そのもの。女性学者としてのみならず日本の社会人類学においても草分け的存在である著者の説得力ある論旨に皆さんもうなること間違いなし。

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2017/03/25

社会人類学者の中根千枝が1967年に発表した、日本の社会構造を分析した古典的ロングセラー。 著者は、本書の目的を、(当時の)日本社会を、社会人類学的立場に立って分析すると、どのように解釈され、どのような理論構成になるかを試みることと述べ、日本の近代化の過程や社会的変化、西欧社会を...

社会人類学者の中根千枝が1967年に発表した、日本の社会構造を分析した古典的ロングセラー。 著者は、本書の目的を、(当時の)日本社会を、社会人類学的立場に立って分析すると、どのように解釈され、どのような理論構成になるかを試みることと述べ、日本の近代化の過程や社会的変化、西欧社会を基準とした比較を扱った論文とは性質を異にするとしている。 著者による分析・論考は以下の通りである。 ◆社会集団の構成の要因は、「資格」(氏、学歴、職業、資本家、労働者、男女、老若などの属性を表すもの)の共通性と「場」の共有の2つに分けられる。日本の集団意識は「場」に置かれており、それは「イエ」の概念に代表され、職種よりも会社を優先することなどに表れている。「場」を重視する社会は、「場」ごとに閉ざされた世界を形成して強い孤立性を持ち、成員によるエモーショナルな「場」への参加を強調し、ウチ・ヨソの意識が強く、社交性がなく、複数の「場」への所属が難しい社会である。 ◆「場」を重視する日本的集団には、「タテ」の組織という共通構造がみられる。構成員を結びつける方法として、精緻な序列(会社の上役・部下のような)が形成されるため、能力制ではなく序列制に比重がおかれるが、その根底には能力平等主義がある。 ◆こうした社会構造による社会の全体像は、企業別・学校別のような縦断的な層化であり、横断的な層化ではない。闘争関係は上下や対立関係(労使など)ではなく並列関係(他社など)と展開される。これらは人間平等主義に基づいているが、それによりぬるま湯的な道徳が発生している一方、努力する個人が増える面もある。 日本ではヨコ関係の同類は互いに敵であり、個人は同類の中では孤独である。並列競争は日本の工業の近代化に大きな貢献をしたが、同一のことを皆がする点でマイナスが大きいとも言える。 ◆タテ組織である日本的集団の構造的短所は、リーダーは一人かつ交代が困難で、リーダーと他の成員の関係が等質でないこと、長所は、日本の近代化に貢献(官僚制)し、動員力が強く、上から末端までの伝達が速いことである。 ◆タテ集団のリーダーには、集団の力を発揮させることが求められるため、個人の能力よりも人間的な情、包容力が重視され、年長者がつくことが多い。 ◆日本では、契約関係は見られず、終身雇用という制度を生み出したが、それは人間関係を重視する日本人の価値観に基づいたものである。日本人は論理より感情を優先するといえ、これが知的活動においてマイナスである一方、論理のない世界に遊ぶというような社会的機能を担っている側面ももっているが、これが日本文化を外国人に理解しにくくさせ、国際性を奪う原因となっているのではないか。 本書発表後の50年を振り返ると、経済成長がピークを過ぎると、本書にある日本的社会構造は日本の短所とされ、その変革が進められたが、2000年代の国際情勢や資本主義経済の混迷を見るに至り、それぞれの社会構造には長短両面があることが実感される。 今改めて読み直す意義のある論考と思う。 (2005年10月了)

Posted byブクログ

2015/10/21

リベラルアーツ本として紹介されていたので、読んでみた。社会人類学者の本なので難しくはあったが、大きな組織の一員として働いているので、タテ社会の成り立ちや、崩れなさなど、かなり腑に落ちた。勉強になりました。

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2015/07/28

おすすめ資料 第69回単一性社会日本の特徴とは(2008.7.18)   刊行されて30年余り経過してなお、増刷され続けている社会学の名著です。 読み進めてゆくと、日本の社会の枠組みは時代が移ってもそう大変わりしていないように思えます。 著者は日本の社会の特徴を一例として次のよ...

おすすめ資料 第69回単一性社会日本の特徴とは(2008.7.18)   刊行されて30年余り経過してなお、増刷され続けている社会学の名著です。 読み進めてゆくと、日本の社会の枠組みは時代が移ってもそう大変わりしていないように思えます。 著者は日本の社会の特徴を一例として次のように述べます。 人は自身の持つ資格(技能)より先に、属する組織の一員として認識される。 血のつながりがあっても他所に嫁いだ娘は「他家」の人、血のつながりはなくても嫁いできた女性は「家」の人。 能力主義を阻むものは評価する側を問題とするばかりでなく、評価される側にも横一列であろうとする意識が働くからである。 著者はそれらの特徴を日本が世界でも稀な単一社会であること、それゆえに厳格なタテ社会を形成してきたことに答えを求めます。 タテ社会の長所・短所も分析し、短所では上役がいなくなったときの組織のもろさや、論理を軽視したために無防備で情感に流された思考に流れやすい、とも述べています。 海外との比較についても多く言及されているので比較文化の書としても読める資料です。

Posted byブクログ

2015/05/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本社会の人間関係をタテ社会として実に明快にかつ鋭い指摘をしている本だと思う。書かれたのは1967年とのことなのでいかに先見的な目をお持ちであったかと日本の社会構造が変わらずあり続けていることを表しているだろう

Posted byブクログ