五分後の世界 の商品レビュー
小田桐が突如として迷い込んだ"五分後の世界"では,太平洋戦争での沖縄戦,広島への原爆投下,そして長崎への原爆投下ののち本土決戦へと移り,日本兵が決死のゲリラ戦を繰り広げていた. シンプルな感想だが国連軍との死闘の中ひたすら生き延びようとする小田桐を見て自分も頑...
小田桐が突如として迷い込んだ"五分後の世界"では,太平洋戦争での沖縄戦,広島への原爆投下,そして長崎への原爆投下ののち本土決戦へと移り,日本兵が決死のゲリラ戦を繰り広げていた. シンプルな感想だが国連軍との死闘の中ひたすら生き延びようとする小田桐を見て自分も頑張ろうと思えるモチベーションをもらえた作品.
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描かれる日本人は凄くかっこいいけど、それは「こうありたい」ではなく映画に出てくる俳優を見てカッコいいと思う気持ちと同じです。 ずっと小田桐が現代に帰るまでの物語りなんだと思ってた私は多分村上作品を読む資格がないんだろうな。笑
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小田桐は気が付くと森を行く隊列を歩いていた。 箱根の別荘に、先ほどまでいたはずが。 周りを見回すと、日本人に似ているが混血児ばかりだ。 なぜ自分がここにいるのか。ここがどこなのか。こいつらは誰なのか。 全く分からないままに着いた先で、日本人の軍人から質問を受ける。 貴様は誰だ。 ここは、第二次世界大戦が終戦を迎えず、本土決戦を経た後の日本だった。 日本国民、準国民、そして非国民。 国土を分割統治され、人口が激減した日本を描く。 とても村上龍らしい。 戦後日本は、誇りを失ったと喝破している。 国家として承認されず、精鋭のゲリラ集団と化した日本人だが堂々している。恥じることがないからだ。 その誇りを守ったゆえの犠牲は大きい。 誇りを守った日本人と、誇りを失い媚びて生きる日本人の対極が存在している。 日本は戦前と戦後で断絶している。 もしそれが連続していたならば、あなたは遅れた5分間を、進めるだろうか。
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2016年、34冊目です。 著者自身が、最高傑作と語る小説です。 五分後の世界に迷い込んだ主人公が、戦士として生きていく。 大胆な想像で未来の日本を、そこで生きている日本人を描いている。 第2次世界大戦で日本が降伏しなかったら、どうなっていたのか?が、 話の原点となってる。生き延びた日本人はわずか数十万になり、地下都市を作り、 国家を樹立している。日本を守る”戦士”たちが尊敬される社会です。 主人公は、現代の日本社会では、どちらかといえばはじき出された立場で生きている存在。物語の最後で、彼は”五分後の世界”で、戦士として生きることを決意します。 ”五分後の世界”で初めて自尊心を満たされ、存在を確信できたのだと感じました。 戦闘シーンは、村上龍らしい凄くリアルな描写です。様々な資料を基に描かれています。当然、私もその現実を経験したことはありませんが、そのシーンを読み進んでいるときは、やはり心臓の鼓動が早くなる気がします。 かつては、「コインロッカーベービーズ」などの描写を読んだ時の暴力的な描写シーンに、辟易としたものですが、慣れたせいなのか?年をとったせいなのかな?
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仮想現実のノンフィクション、といえる作品。日本が降参していない五分後の世界でのリアリティを、村上龍らしい背徳や汚物を含め表現されている。「略語や過剰な敬語は意味を見失ってしまう。」現代への布石もある。各地でのスラム化の一方、理想的な統率体制で憧れとなるアンダーグラウンドのゲリラ日...
仮想現実のノンフィクション、といえる作品。日本が降参していない五分後の世界でのリアリティを、村上龍らしい背徳や汚物を含め表現されている。「略語や過剰な敬語は意味を見失ってしまう。」現代への布石もある。各地でのスラム化の一方、理想的な統率体制で憧れとなるアンダーグラウンドのゲリラ日本。得るものは何もなく「小説」としての世界をそのままに見ることができる作品。
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現代と5分ずれた世界の出来事。その世界は現代の無責任な平和を謳歌しているのではなく、日本という国に誇りを持って戦い続けている。現代に慣れきっている自分は時計を5分進めることは出来ず、ゲリラにもなれないだろうな。
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私が一番すきなところ。 ==== ミズノ少尉がわかりやすく説明してくれる最後の部分。 「絶対に悪い想像をしてはいけない、大丈夫だ、と自分に暗示をかけるんだ、それから負傷しても決して死ぬことはないと思え、実際、頭と心臓以外だったら撃たれても人間は死なない、両足を吹っ飛ばされてもオレ達がちやんと目的地まで運んでやるから安心しろ」 そう言ってミズノ少尉は笑った。なんてわかりやすい説明なんだ、と小田桐は思った。ほとんどすべての人生相談の答えを聞いたような気がした。 ==== そんなの安心って言えるか、とわたしは思うけど、小田桐はそれが本当なんだと納得して、なるほどねと思うくらい肌にビリビリくる戦いと生きることの感触と臭いを感じていたんだろうなぁ。
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日本人としてのプライドと、それを示す勇気と実力。それは美しいけれど多大な犠牲を生み出す。 この残虐な世界で生きていくことを選ぶ主人公には、生き残れる力がないと共感できそうもない。 アメリカの属国としての戦後日本の立ち位置。国民の価値観の変化と、失われていく日本人のプライド。 ...
日本人としてのプライドと、それを示す勇気と実力。それは美しいけれど多大な犠牲を生み出す。 この残虐な世界で生きていくことを選ぶ主人公には、生き残れる力がないと共感できそうもない。 アメリカの属国としての戦後日本の立ち位置。国民の価値観の変化と、失われていく日本人のプライド。 分かるよ。分かるけど、私が望んでいるのはここまで圧倒的な残虐性じゃないし、痛烈な批判じゃない。読み終わって現実に帰れる物語でいい。 ひたすら吐き気に耐えながら読む中で、ワカマツの音楽はとても素晴らしかった。
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5分後の世界。 パラレルワールド。 買って一気読み。 今いる世界から、突然、第二次世界大戦で日本が降伏しなかった場合の世界へとタイムワープする。 そこでは、日本は26万人となっており、アンダーグラウンドを本拠地として、国連軍と戦っている。 主人公は、戦いに巻き込まれつつ、パラレルワールドの世界へと染まっていく。 僕は戦争をしていた世代の次の次の世代。 降伏した日本に慣れ切った世代。 今ある枠組みの中で、アメリカに伺いを立てながら政治が行われる日本で生活している。 つまり、日本人としてのプライドをなくしつつある世代。 日本人としてのプライドってなんだろう。 生きること、生きるために戦うことがプライドであるならば、今の生活は堕落しすぎじゃないか。(恵まれすぎているってことなんだと思う)といっても、戦いの目的は平和なんだから、戦うことがプライドのすべてではないのか。 そんなことをつらつら考える。 本にはふーんで終わるものもあるけど、この本は、自分ってなんだってことをガンガン押し付けてくる。
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描写がとにかくグロい笑 それが村上龍の持ち味だったりするのだが。。。 最後のシーンは主人公が男前に見えます。 あとダウンジャケットを着る季節に読んでほしいです。
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