五分後の世界 の商品レビュー
…面白かった。 面白いって表現が適切かは分からないけど。 純血の日本国民として耳が痛いようなお話でした。 今の日本の歪さ。気付かないふりしてコレで良い気がしてるってことが怖いわ。 "世界中が理解できる方法と言語と表現で、日本国民としての勇気とプライドを示しつづけるこ...
…面白かった。 面白いって表現が適切かは分からないけど。 純血の日本国民として耳が痛いようなお話でした。 今の日本の歪さ。気付かないふりしてコレで良い気がしてるってことが怖いわ。 "世界中が理解できる方法と言語と表現で、日本国民としての勇気とプライドを示しつづけること" カッコいい。 薄いからすぐ読めるかと思ったら文字数すごいし、句読点が独特で、内容も内容だし、なかなかサクサクは読めない。一面文字ばっかり! 残りのページが少なくなってこの展開で"この話ちゃんと終わるのか?"って思ったら、最後の一文でシビれた!物語的には続きが気になるけど、終わり方は最高。 この本、呟きたいことが尽きない! 私の語彙力じゃ表現しきれないな。 自分が村上龍イケるクチだったなんて、意外だった。芥川賞作家って今まで敬遠してたけど、これからは食わず嫌いやめて挑戦してみよう。 最後に。 でも、きっとこの本は好き嫌いが分かれるだろうな。と思う。
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1994年4月2日第2刷(文庫でないけど、文庫も欲しい。) 「1984」を読了後、読みたくなってしまい再読。 主人公小田桐が、紛れ込む5分ずれたパラレルワールド。そこは、太平洋戦争に降伏せず、崩壊した大日本帝国だった。国家消滅危機の中、純潔日本人達は、地下に潜り地下国家「アン...
1994年4月2日第2刷(文庫でないけど、文庫も欲しい。) 「1984」を読了後、読みたくなってしまい再読。 主人公小田桐が、紛れ込む5分ずれたパラレルワールド。そこは、太平洋戦争に降伏せず、崩壊した大日本帝国だった。国家消滅危機の中、純潔日本人達は、地下に潜り地下国家「アンダーグラウンド」を形成し世界とゲリラ戦を戦い続けている。 この作品の中で日本人が、勤勉に勇敢に鍛錬を重ね、民族の誇りを持って生活している。それは、子供から老人まで。それを見た小田桐は涙さえ出そうになる。ゲリラ戦だけでなく、芸術でもスポーツでも世界に挑んでいるのだ。 作品の多くの部分で濃密なゲリラ戦が描かれている。スピード感と危機感の表現は見事。 そして、ラストは、「砂の女」を思い出した。 最近は村上龍氏の作品は評価が低いが、この作品は、連作の「ヒュウガウイルス」と共に記憶に残る小説。 自衛隊市ヶ谷駐屯地の見学コースに、敗戦直前の大本営地下壕跡がある。敗戦後、中の備品等はアメリカ軍に持っていかれたらしいが、電気水道完備。水洗トイレまであったらしい。設計図が現存してないとのことだが、正確な掘削に感動する。アンダーグラウンドは不可能ではないかもしれないと思わせる。
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かなり昔に読んだのですが、村上龍さんがこのような本を書けるのかと驚いたほどスリリングで面白かったです。読み進める度に大丈夫か?死なないよな?とずっとドキドキでした。お勧めです。
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記録を確認したところ、2015年に一度読んでいたようだ。しかし、まったく記憶になかったので、じつに新鮮な気持ちで楽しめた。 南箱根の別荘滞在中、ふと散歩に出掛けた際に、パラレル・ワールドに迷い込んでしまった小田切が目にしたのは、1945年8月~9月にかけて5発の原子爆弾が投...
記録を確認したところ、2015年に一度読んでいたようだ。しかし、まったく記憶になかったので、じつに新鮮な気持ちで楽しめた。 南箱根の別荘滞在中、ふと散歩に出掛けた際に、パラレル・ワールドに迷い込んでしまった小田切が目にしたのは、1945年8月~9月にかけて5発の原子爆弾が投下されてなお抵抗をやめず、米ソ両軍の日本列島上陸後、1946年8月に「大日本帝国」が消滅、連合国によって列島が分割統治されているという世界の「その後」だった、という小説。作者が力をこめて書いただけあって、冒頭と後半のクライマックスで描き込まれた戦闘シーンは圧巻。暴力と暴力の中での生の論理を繰り返し問題化してきた作者の真骨頂、とも感じる。 しかし、物語の展開はどうも得心がいかなかった。中部山脈地帯の地下要塞/地下都市でゲリラのエリートとして生きつづける「日本人」たちの姿は、南原繁流の「平和国家」「文化国家」の正確な裏返しといえそうだが、小田桐がこちら側の世界に残ることを選び取っていくプロセスの中で、どうして音楽家「ワカマツ」の存在が必要だったのか。また、列島に住む「準国民」「非国民」と呼ばれる混血の人々、降伏した人々の存在も、結局は「アンダーグラウンド」の「日本人」たちの優秀さと純血性を際立たせる以外の役割を担っていない。やはりこの小説も、「戦後民主主義」の陰画を出ていないのではあるまいか。(2021年8月24日記す)
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幻冬社から単行本が出版された当時に読んだ記憶があるので、実に25年以上ぶりに読んだこととなる。当時は中学生で世の中の事もあまり知らず、本書が何を語っているのか十分に理解はできていなかったが、今読むと非常に興味深いテーマであると思う。 25年経っても村上龍の文章のスピード感、レトリ...
幻冬社から単行本が出版された当時に読んだ記憶があるので、実に25年以上ぶりに読んだこととなる。当時は中学生で世の中の事もあまり知らず、本書が何を語っているのか十分に理解はできていなかったが、今読むと非常に興味深いテーマであると思う。 25年経っても村上龍の文章のスピード感、レトリック、構成とストーリーは他を寄せ付けず、当時の作者のエネルギーを垣間見ることができた。 本書で語られているパラレルワールドとしての現実の日本は、その後村上龍が考えていたような国としてのコースを辿っただろうか。少なくとも自分には25年の時間を隔てた向こうから強烈な皮肉が社会に浴びせられているように感じた。25年前に既に「させていただく」問題について触れ、それを「責任の所在を曖昧にしてコミュニケーションの速度を落とす」無意味な言葉と斬り捨てるシーンは現代の日本においてはより深く強い意味を持つのではなかろうか。
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「五分」の歴史的差はどこにあるのか?小田桐はなぜパラレルワールドへスリップしたのか?そうした説明は一切ない。しかし1945年8月の小倉への原爆投下から歴史は枝分かれし日本人が26万人に減少し今も米国と交戦する世界がそこにある。おそらく村上龍氏は相当細密に設定を考察し構成している。...
「五分」の歴史的差はどこにあるのか?小田桐はなぜパラレルワールドへスリップしたのか?そうした説明は一切ない。しかし1945年8月の小倉への原爆投下から歴史は枝分かれし日本人が26万人に減少し今も米国と交戦する世界がそこにある。おそらく村上龍氏は相当細密に設定を考察し構成している。しかしそれらの説明は「敢えて」一切ない。鋼鐵で建設された工業地帯のような無骨で無機質な軍事世界が描かれる。氏があとがきで「最高の仕上がり」と語るように、まるで本当に存在する世界のような。特に改行もなく文章が畳みかかってくるゲリラ戦の描写は鬼気迫るものがあり読んでいる側が息苦しくなるようだ。
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主人公が「5分後の世界」に迷い込み(?)、現在の日本とは全く異なる価値観の世界で生き抜く様を描いている。 WW2で日本が降伏せず、本土を占領されてもアンダーグラウンドに基盤を移し戦い続けるというのは面白い発想だ。戦闘の様子も、ちょっとグロが過ぎるかも知れないが生々しく描写されてい...
主人公が「5分後の世界」に迷い込み(?)、現在の日本とは全く異なる価値観の世界で生き抜く様を描いている。 WW2で日本が降伏せず、本土を占領されてもアンダーグラウンドに基盤を移し戦い続けるというのは面白い発想だ。戦闘の様子も、ちょっとグロが過ぎるかも知れないが生々しく描写されている。 が、「なぜ?」が回収されないのと、最後はどうなの?というのがどうしても腑に落ちない。
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第二次世界大戦で日本が降伏をしなかった場合の世界が描かれた作品。 作品のほとんどを丁寧な状況描写が占めている。特に突然始まる戦闘や音楽についての細かな描写が特徴的。戦争のある残酷な世界だがそこには現代の日本の社会にはない静かな美しさがある。その世界の日本人の意識の真摯で静謐な美...
第二次世界大戦で日本が降伏をしなかった場合の世界が描かれた作品。 作品のほとんどを丁寧な状況描写が占めている。特に突然始まる戦闘や音楽についての細かな描写が特徴的。戦争のある残酷な世界だがそこには現代の日本の社会にはない静かな美しさがある。その世界の日本人の意識の真摯で静謐な美しさを表す描写から今の日本の状態を批判する作者の態度を見ることが出来る。 ただ自分には村上龍の文体に没入することが出来ず、この世界観に上手く馴染めなかった。それは自身の読解力不足やこれが村上龍を読む初めての作品だったことが原因かもしれないので、他の作品を読んでまた再読したいと思う。
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好きな世界観の話。 とても共感できるところがあり、戦争に負けた今の日本人の悲観的な心を再認識した。 しかし、終わり方がスッキリしない??
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主人公が気づくと、戦争が続いている日本のパラレルワールドにいる話。 あまり得意な作風ではなかった。 村上龍の作品を読むのは初めてだったため、 1冊目に読むには適していない本なのかもしれない。 どこをどう楽しめば良いのか、コンセプトはなんなのか、分からないことだらけだった。 それは...
主人公が気づくと、戦争が続いている日本のパラレルワールドにいる話。 あまり得意な作風ではなかった。 村上龍の作品を読むのは初めてだったため、 1冊目に読むには適していない本なのかもしれない。 どこをどう楽しめば良いのか、コンセプトはなんなのか、分からないことだらけだった。 それは物語自体にも言え、特にラストシーンにそれが言える。
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