ブラームスはお好き の商品レビュー
年上の愛しているけど浮気な男orかなり年下の情熱的な男のどちらをとるか。年下男の口説き文句もなかなかでしたよ。楽しませてもらいました。
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良い男に乗り換えた方がいいが、良い男では、所有されてる快感が得られない。 理性ではなく、このような浮気ずぼら男に人が魅力を感じてしまうことを表現していた。 そして、その良い男を苦しめることで得られる快感。苦い痛みを覚えてくれることでの快感を得る。
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サガンが好きなのは出てくる女性が恋愛にのめりこもうとしないから。恋にのめり込みそうな自分を恥ずかしいと思う奥ゆかしさがあるから。 そういうのをちゃんと学んでようやく、夢見る女性は長く安定した付き合いができるんだと思うな。
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小説全体が、表題のブラームスの音楽のように、気だるく哀愁に満ちた雰囲気をかもし出していると感じた。登場人物の心情や関係性の変化は、『悲しみよこんにちは』よりも複雑になっているなと思った。ロジェという恋人のいる39歳のポールに対し、25歳のシモンが想いを寄せる。導入の設定は明快であるが、そこからが39歳という年齢に達した女性の、複雑な気持ちの揺れ動きが描写されており、若造としては勉強になった(?) ポールはロジェという恋人と6年間付き合っている。しかしロジェは浮気を繰り返し、悪びれもしていない。会えない日が多く、ロジェにとって自分は本当に必要な存在なのだろうかと思い悩む。そんな中、美貌と優しさを兼ね備えた25歳のシモンが現れる。彼はポールに若々しい熱烈な愛情を注いでくる。愚直な発想をすれば、そのままロジェなど捨ててシモンと付き合ってしまえばいいではないか、となるのだが、39歳のポールはそう単純には動かない。 ロジェと過ごした6年という歳月は、彼女にとってはそれなりの重みがあった。シモンは『かれ』であるが、ロジェは『わたしたち』。シモンのように自分を必要としてはくれないが、ロジェはもはや同胞、家族のような存在であり、ロジェへの、苦しみを伴う、献身的な支えが、いつしか自らの存在理由となった。それを投げ捨てて、若い男との恋に走ることが、これまでの自らの努力、苦労を無にしてしまうことに等しかったのであろうか。 シモンは、25歳の男性らしい、情熱的なアプローチを仕掛けてくる。それはポールに若き日の記憶を蘇らせたのかもしれない。そして自分ももっと若ければ、その情熱的な恋愛に身を任せることができたのかもしれない。しかし自分は39歳。ポールがシモンを選ばなかったのは、単に年の差があるから分かり合えない、とかいった単純な問題ではない。39歳になると、これまでの人生において経験して積み上げてきたものが少なからずあり、それらを積み木崩しのように簡単に捨て去ることができない。どうしても安定を求めるきらいはある。それらを捨て去ると、自らの過去の生活を否定することにもつながりかねない。 『悲しみよこんにちは』の主人公セシルは18歳であったが、『ブラームスはお好き』の主人公ポールは39歳。同じ女性でも、年齢が違えば恋愛への向き合い方も全く異なる。2作連続して読むと、その事実をまざまざと見せつけられる。女性の心情の複雑さは、なかなか理解できないものだ。
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恩田陸さんがお勧めの本に挙げていたので読みました。 散々苦しめられたのに、主人公ポールが最終的にはロジェを選んでしまうところに、重ねた時間の重さを感じました。 ポールがされたのとはまた別の形ですが、シモンも苦しむことになるのは悲劇的でした。 女の立場からすると、ロジェには行動を改めてもらいたいです…待たされる恋って辛い。 ただロジェの行動修正も明確に示されないままだというのは逆にリアルでした。 人間そう簡単に変われないですよね。 積み重ねた時間のように、またポールを待たせるんじゃないかと不安が残りました。
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40代の女性の心理描写は、悲しみよこんにちはよりも深くえぐりこんでくる事がなかったのは、まだ分からないからだと思います。 どうして最後の最後でシモンではなくロジェを選び、また退廃的な関係を続けてしまう事を選ぶのか。 人を好きになるというより愛している。 恋より愛、恋人より家族みたいなもの。似て非なるものだけど、家族に似た関係だと思っています。 どうしようもないけど、家族だから仕方がない。みたいな、あきらめてるけれど切り離せないもどかしさ。 恋人より家族という視点から見たら、ポールのロジェへの気持ちは共感できる。 私が若すぎるせいだろうなと思います。同じ40代になったら分かる気がする。
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サガンの四番目の長編。ブックオフで¥105だった。 主な登場人物はたった三人なのに、これほどの作品にできるサガンの心理描写はすばらしい。それほどにひとが誰かに恋をし、誰かを愛することは複雑でたくさんのドラマが含まれている。そのくせきっかけはとても単純で、はまってしまえばあっという...
サガンの四番目の長編。ブックオフで¥105だった。 主な登場人物はたった三人なのに、これほどの作品にできるサガンの心理描写はすばらしい。それほどにひとが誰かに恋をし、誰かを愛することは複雑でたくさんのドラマが含まれている。そのくせきっかけはとても単純で、はまってしまえばあっという間に堕ちてゆく。 過ぎ去った美しい時が今を生きるひとに揺さぶりをかけるつらさ、大切な何かを失う悲しさ、冷たい夜の孤独から来る寂しさ。サガンの手によって純化されたそれらは、苦しいことなのにどうしてか美しい。 幸福も悲しみも、ずっとそこにあり続けるのではなく、いつかどこかへいってしまう去りゆくもの。だけど、心はそれらをいつまでも消せない。だからこそ、ひとはもう一度立ち上がり、歩き続けようとする。
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以前「悲しみよこんにちは」を読んだので,別の作品も読んでみたくなって。 あらすじにも書いてあったように,決して若くはない年齢のポール,中年のロジェ,希望に溢れポールに夢中の若いシモンのもつれを描いた作品。 シモンから痛いほどの愛情を注がれているとわかっており幸福を感じていながらも,最後はロジェを選んでしまうポールの気持ち,まだまだお子ちゃまの私にはわかりそうもないです…笑
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パリの香りがする。レンガ通りを恋人達が歩き、雨に濡れた落ち葉が踏まれているような、パリの香りが。「若い女」でなくなろうとしている女性と、まだ若く未熟な美少年との恋。その非対称性が全ての恋の終わりと、恋ばかりの人生の始まりと、恋のできない人生の予感を思わせる。「30代女子(笑)」な...
パリの香りがする。レンガ通りを恋人達が歩き、雨に濡れた落ち葉が踏まれているような、パリの香りが。「若い女」でなくなろうとしている女性と、まだ若く未熟な美少年との恋。その非対称性が全ての恋の終わりと、恋ばかりの人生の始まりと、恋のできない人生の予感を思わせる。「30代女子(笑)」などと嘲笑する人にはわからないだろう。その美しさも、本当の残酷さも。
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