ファウンデーション の商品レビュー
とある銀河帝国の興亡史シリーズの第1作.5章で構成されるが,章ごとに主人公が変わり,重要人物達との対話で物語が進む.読み始めてもファウンデーションとは何ぞや?がわからないまま進行するため(3章でようやく言及される),全体の世界観を理解するという出発地点に立つまでに時間を要するため...
とある銀河帝国の興亡史シリーズの第1作.5章で構成されるが,章ごとに主人公が変わり,重要人物達との対話で物語が進む.読み始めてもファウンデーションとは何ぞや?がわからないまま進行するため(3章でようやく言及される),全体の世界観を理解するという出発地点に立つまでに時間を要するため,難解に感じる.アシモフ20歳台の作品故,その知性にオブラートの掛かっていない,若さから来るとんがり具合を存分に味わえる,ある種のディストピア世界でもあり,アシモフからすると地球の未来予想図の一可能性の提示だったのかもしれない.
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SFの巨匠アイザック・アシモフが描く壮大な宇宙叙事詩の第1巻である。 人類の未来を数学的手法で予測する「心理歴史学」というアイディアが秀逸で、人間の数が現在の地球上の人口を遥かに凌駕する規模になれば、人類がつくり上げる文明がどのような動きをするのかは数学的に予測できる、というの...
SFの巨匠アイザック・アシモフが描く壮大な宇宙叙事詩の第1巻である。 人類の未来を数学的手法で予測する「心理歴史学」というアイディアが秀逸で、人間の数が現在の地球上の人口を遥かに凌駕する規模になれば、人類がつくり上げる文明がどのような動きをするのかは数学的に予測できる、というのは妙に納得させられてしまう。この時点で本作の凄みが感じられるところは、まさに「センスオブワンダー」である。 本巻では3人の人物に焦点を当てて、彼らを取り巻く社会的状況を具体的なエピソードをもって描いていくが、私たち読者はこれらのエピソードを気の遠くなるような長さの人類史という視点から俯瞰的に見なければならない。資源をほとんどもたない辺境の小国が、傑物のリーダーシップとアイディアによって危機を切り抜ける痛快さを楽しむのはもちろん間違いでは無いが、本作の魅力はそれだけではなく、いかなる価値観が社会において支配的なのかという「時代」を読み解くことの「楽しさ」、これも同時に本作の魅力であろうと思う。本巻では経済の力が宗教の力を上回ることを示したところで物語が終わるが、もちろん作者はその先も見ていることは本文中でも示唆されている。WTOが機能不全に陥り、自由貿易体制の危機が叫ばれる現在、本作が提示する俯瞰的視点を持つことの重要性を感じずにはいられない。
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人類史に重ね合わさるストーリーのスケールとSF要素としての技術描写の興味深さが合わさり、子供から大人まで幅広く色々な観点から楽しめる作品。 「心理歴史学」2020年代の技術を持ってしても、まだまだ実現は難しいかもしれないが、近しい理論や方法論が見つかるのではとワクワクしつつも、も...
人類史に重ね合わさるストーリーのスケールとSF要素としての技術描写の興味深さが合わさり、子供から大人まで幅広く色々な観点から楽しめる作品。 「心理歴史学」2020年代の技術を持ってしても、まだまだ実現は難しいかもしれないが、近しい理論や方法論が見つかるのではとワクワクしつつも、もし本当に実現されれば、それはそれで気味が悪いだろう。
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アイザック・アシモフ「ファウンデーション」読了。壮大で緻密に設計されたSFに心底引き込まれた。1940年代の作品で宇宙をここまで表現できた事に驚いた。ギボンのローマ帝国衰亡史をモチーフにした群像劇でハーディン等登場人物達の生々しい駆け引きが素晴らしかった。続きを読みたいので創元社...
アイザック・アシモフ「ファウンデーション」読了。壮大で緻密に設計されたSFに心底引き込まれた。1940年代の作品で宇宙をここまで表現できた事に驚いた。ギボンのローマ帝国衰亡史をモチーフにした群像劇でハーディン等登場人物達の生々しい駆け引きが素晴らしかった。続きを読みたいので創元社版かな
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何人かのSF作家が絶賛していたので気になっていたファウンデーションシリーズ、案の定入院中読書でガッツリはまる。1942年の著作なのに三体的世界観バリバリ。ミクロの決死隊の著者でもあったのね。先に結論を予感させる記述がちらっとあり、その後詳細に展開される書き方が論文っぽくて好き。今...
何人かのSF作家が絶賛していたので気になっていたファウンデーションシリーズ、案の定入院中読書でガッツリはまる。1942年の著作なのに三体的世界観バリバリ。ミクロの決死隊の著者でもあったのね。先に結論を予感させる記述がちらっとあり、その後詳細に展開される書き方が論文っぽくて好き。今後重要になるだろう「数学者ハリ・セルダン」の部分はずいぶんとあっけなく展開したが、おそらく何度かここを読み返すことになるんだろうなあという予感が残った。
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中学生のころはまり、数学・心理学・統計学の専門家になりたいと進路をまじめに考えたことを思い出す。 全編読んだあとに再読すると隠された謎など考えながら読めて改めて面白い。
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昔のSF 心理歴史学者が銀河帝国の滅亡を予言することから始まる。 ハリ・セルダンの先見の明がすごい。 人と時がどんどん変わっていく、昔の翻訳だからかなー、少し読みづらかった。 心理歴史学の内容がおもしろかった。実際にこんな学問があったらおもしろいのに!
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23冊目 心理歴史学が予想した銀河帝国滅亡。その後の暗黒時代を短縮するための対策は百科事典を編纂するファウンデーション(財団)の設立。「百科事典の編纂で帝国が救えるの?」って思いますが、真意は民衆にも我々読者にも明かされないのです。まさに三体の面識者計画。 財団の教えは宗教...
23冊目 心理歴史学が予想した銀河帝国滅亡。その後の暗黒時代を短縮するための対策は百科事典を編纂するファウンデーション(財団)の設立。「百科事典の編纂で帝国が救えるの?」って思いますが、真意は民衆にも我々読者にも明かされないのです。まさに三体の面識者計画。 財団の教えは宗教となり、布教により近隣の惑星都市を支配します。やがて経済の力が強まると宗教の力が弱くなり、商人が影響力を強め貿易によって支配力を拡大させていきます。 地球人による世界の運営が続く限り、世界史でみられた歴史の興亡は宇宙に出ても繰りかえされるのでしょう
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資源の乏しいターミナスが小型技術と貿易により、古めかしい巨大技術と軍事力を持つコレルに勝利するくだりが面白い。読んでる時はアメリカから見た日本への危機意識の表れとして書かれたのだと想像したが、1940年代に書かれた小説のため当然そんなはずはない。 異なる文明の衝突を俯瞰的に捉えた...
資源の乏しいターミナスが小型技術と貿易により、古めかしい巨大技術と軍事力を持つコレルに勝利するくだりが面白い。読んでる時はアメリカから見た日本への危機意識の表れとして書かれたのだと想像したが、1940年代に書かれた小説のため当然そんなはずはない。 異なる文明の衝突を俯瞰的に捉えた、未来予知的な視点に驚いた。
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SFではレジェンド的存在という事で読んでみましたが、非常に面白かったです。前世代の革新的成功が、次世代の打破すべき課題となる。盛者必衰のことわりを楽しみながら、実感できる本です。
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