スローターハウス5 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
栞を使わずに7日間かけて読んだ。栞を使わないので次にすでに読み終わった場所を読んでいることもあった。題名がピチカートファイブみたいでいいですよね。かっこいい。今思いついたけどプレオー∞の夜明けとも似てる気がする。あれも戦争の話だ。 戦争の話なんだよな。小説の存在するひとつの意味として後世に伝えるっていうのがあるとおもっている。僕がこれを読んで、ドレスデン爆撃について知ることができた。それはほんとうに大事なことだった気がする。
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普通、物語のはじまりが思い出からだったり、思い出がはさまれたりすると情緒がただようのである。が、この小説は「けいれん的時間旅行者」という思い出の進行、なんとも読者は不思議な気持ちにさせられる。 主人公ビリー・ピルグリムは現在、過去、未来を行ったり来たりしている「けいれん的時間旅...
普通、物語のはじまりが思い出からだったり、思い出がはさまれたりすると情緒がただようのである。が、この小説は「けいれん的時間旅行者」という思い出の進行、なんとも読者は不思議な気持ちにさせられる。 主人公ビリー・ピルグリムは現在、過去、未来を行ったり来たりしている「けいれん的時間旅行者」。そうなったのは戦争に召集され、襲撃を受け敗退、逃げ出した森の中で死ぬ思いをした時。 そこから過去に行くのだが、その過去が現在や未来へ続き、また現在へ戻るという複雑な経過。夢かうつつかまぼろしかということになるのだが…。 過去現在未来は一瞬、一生は一瞬。つまり、中国のことわざ「一炊の夢」、だから一瞬一瞬を大切に生きよ、東洋の思想でもある。 「そういうものだ。」はこの物語に繰り返される言葉。印象的だ。 声高ではない「反戦小説」を読むつもりだったが、人生の過ごし方を教示された。不思議なストーリーだ。そこがカート・ヴォネガットのSFたる所以なのだろう。 自伝的である戦争体験(第二次世界大戦)をSFのストーリーに閉じ込めてある。また、これより以前に書かれた本ともつながりのあるストーリーなのだ。 なお、 神よ願わくばわたしに 変えることのできない物事を 受け入れる落ち着きと 変えることのできる物事を 変える勇気と その違いを常に見分ける知恵とを さずけたまえ この言葉に再び出会って感動。
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『タイタンの妖女』に引き続き、ヴォネガット二作目。こちらも私にたいへん刺さる作品で、これは作家読みするやつだな...という気持ち。笑い(というか朗らかさともいうべきか)もありながら、戦争をこう切り取るのかと、面白かった。実際に体験した人の感覚としてこういうのもあるのだろうというの...
『タイタンの妖女』に引き続き、ヴォネガット二作目。こちらも私にたいへん刺さる作品で、これは作家読みするやつだな...という気持ち。笑い(というか朗らかさともいうべきか)もありながら、戦争をこう切り取るのかと、面白かった。実際に体験した人の感覚としてこういうのもあるのだろうというのが、しっとり伝わってきた。人生は不条理であることを、柔らかく受け止めるというか。そういうものなんだろうなあと、ひしひし。広島の記述には、む、と思ったけど、そこは訳者あとがきでケアされているので最後まで読んで落ち着いたし、やはり反射的にむと思う自分がいるんだなと認知したのもなかなかの体験だった。 そして私は最後の一文を、最後に読むのが大好きなのですが(私の中で特に刺さっているラスト・ワンセンテンスは『天人五衰』だったりする)、もはや作者により第1章でネタバレされるのに笑うし、自分で最後読んだ時にそれでもグッときた、ヴォネガット好きだなあ。あえてこう表現するというのが大変上手い作家だ.. 全然知らなかった/覚えていなかったのだが、村上春樹やテッド・チャンの作品でも言及があるそうで..たしかに村上春樹も同じく、同じキャラがクロスオーバーするものね、と、ラムファードさんやトラルファマドール星で思った。母なる夜の主人公やら、ローズウォーターなど、他作品キャラクターもいたそうで、ますます読んでみたいのだ。そしてこの本は原書でも読みたいなと強く思いました。
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著者が体験したドレスデン爆撃がテーマ。スローターハウスとは食肉処理場のことで、旧日本語版タイトルは『屠殺場5号』となっていた。ヴォネガットらしくユーモアは散りばめられているが、決して楽しく明るい物語ではない。戦争という殺戮について語るためにはこのような形にならざるを得なかったのだ...
著者が体験したドレスデン爆撃がテーマ。スローターハウスとは食肉処理場のことで、旧日本語版タイトルは『屠殺場5号』となっていた。ヴォネガットらしくユーモアは散りばめられているが、決して楽しく明るい物語ではない。戦争という殺戮について語るためにはこのような形にならざるを得なかったのだろう。1章はこの本を書いた舞台裏のような話になっており、全体を読み終えた後に読み返してみるとより一層胸に来るものがある。「大量殺戮を語る理性的な言葉など何ひとつないからなのだ。」
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和田誠による表紙がキャッチ―さで気になりつつ、5巻しか本屋とか古本屋で見ないなーと思ったら「No.5」という意味で5巻という意味ではないことを最初にお伝えしておきたい。読むのは2作目でジャンル分けするならSFなんだろうけどかなり独特の作風。これだけオリジナリティの高い作風がある...
和田誠による表紙がキャッチ―さで気になりつつ、5巻しか本屋とか古本屋で見ないなーと思ったら「No.5」という意味で5巻という意味ではないことを最初にお伝えしておきたい。読むのは2作目でジャンル分けするならSFなんだろうけどかなり独特の作風。これだけオリジナリティの高い作風があるからこそ死後何年経っても有名なのだろうなーと思わされる作品だった。 ざっくり説明すると私小説+時間空間横断SFという構造。著者が第二次大戦でドイツのドレスデンという街で体験した空襲をベースにしていて、1人の主人公が生きた様々な年代を並行して描いていく。この並行というのが第三者視点で並行という訳ではなく主人公が自覚しているところがポイントで、要するに主人公はタイムスリップを当たり前に受け入れている。なぜなら異星人に誘拐されたから。ぶっ飛んだ設定なものの各時代ごとに描いている内容は真面目というか人類が戦争にいか振り回されているか描いているのでオモシロかった。ドレスデンにおける爆撃の壮絶さを主張するために広島の原爆よりも酷かったと書かれている点が日本人的には引っかかると思うけど、その辺りは訳者あとがきで細かく解説されてい納得した。 厭世観が全体に漂っているのも特徴的で過去も現在も未来もすべて等価だと考えているので1つ1つの事象に執着しておらず「そういうことだ(So it goes)」と受け入れていく。これは辛い思いをしたときに行うある種の処世術のようにも思えた。思考停止とニアミスだけども…ただそんなときこそフィクション(嘘)こそ必要なんだと以下ラインから著者の思いを感じた。 (語尾の感じも訳者の人の感情が入っていて好き) 「思うんだがね、あんたたちはそろそろ、すてきな新しい嘘をたくさんこしらえなきゃいけないんじゃないか。でないとみんな生きていくのがいやんなっちまうぜ」 フィクションを読んでいると現実と向き合ってないような気がするときがたまにあるけど、そのときはこの言葉を金科玉条にゆるりと生きていきたい。
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久しぶりの再読。 カート・ヴォネガット・ジュニアの世界観が好き。淡白な語り口に、大きな出来事にさえ感情的になることがない。その平坦さと、その時々の状況の悲惨さとの対照的な文体が、その物語から浮かぶ情景をより強く刻んでくる気がする。
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重要なことが全て詰まっているように感じた。自らの力ではどうしようもないものに出逢ってしまったら、トラルファマドール星人的世界観を持って生きざるをえないのだろうか
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1945年2月。捕虜としてドレスデンにいたカート・ヴォネガットは、連合国軍によるドレスデン爆撃を目の当たりにした。長年その体験を小説にしようと考えてきた彼は、ビリー・ピルグリムという男を創造する。ビリーは同じくドレスデン爆撃を生き残ったが、帰国後にトラルファマドール星人に捕まって...
1945年2月。捕虜としてドレスデンにいたカート・ヴォネガットは、連合国軍によるドレスデン爆撃を目の当たりにした。長年その体験を小説にしようと考えてきた彼は、ビリー・ピルグリムという男を創造する。ビリーは同じくドレスデン爆撃を生き残ったが、帰国後にトラルファマドール星人に捕まって以来〈けいれん的時間旅行者〉となって、過去・未来の区別なくランダムに時空を飛び回ることになった。PTSDに悩まされる帰還兵の心理をSFに落とし込んだ反戦小説。 あからさまに兵士のトラウマからくるフラッシュバックを題材にした作品なので、「SF…?」と疑問符を浮かべながら読んでしまったけど、本文中に「二人とも人生の意味を見失っており、その原因の一端はどちらも戦争にあった。(略) 二人は自身とその宇宙を再発明しようと努力しているのだった。それにはSFが大いに役に立った」というくだりを見つけ、悲惨な現実に対してなにかフィクションが効用をもつのではないかという祈りのような物語なのだと思った。 特に印象深いのは、トラルファマドール星人との初邂逅を前にベッドを抜け出すシーンと、爆撃後のドレスデンの街を月面にたとえたシーン。どちらもSF的な書き方によって「宇宙の再発明」を試みるビリーとヴォネガットの思いが感じられる。そうした静かな場面が活きるのは、戦場での、あるいは戦後のアメリカ社会やトラルファマドール星でのスラップスティックめいたマンガ的な日々の描写のためでもある。トラルファマドール星人とのやりとりはナンセンスなコントのよう。 ヴォネガットはビリーを英雄にしなかった。作中唯一の例外は、のちに戦犯となるキャンベルに勇気を持って反抗したエドガー・ダービーだが、彼はティーポットを盗んで射殺された。ヴォネガットが戦争体験を“タフな男たちの物語”にしなかった理由はプロローグに記されている。そもそもヴォネガットがタフな男の話を書くつもりだったかはわからないが、結果としてこの作品は戦争の虚しさと人間の悲しみがひたひたと肌に感じられる稀有な語り口になった。ジェノヴァの善良な人びと、万歳!
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カートヴォネガットジュニア スローターハウス5 カバー 和田誠 面白さはないが、死に対して鈍感にならざるえない戦争の雰囲気は伝わる 戦争の中の死を語った自伝的小説。時間旅行や異星人との会話などSF要素を組み込んでいるのは SF世界が本来あるべき世界という意味か? 多くの人の...
カートヴォネガットジュニア スローターハウス5 カバー 和田誠 面白さはないが、死に対して鈍感にならざるえない戦争の雰囲気は伝わる 戦争の中の死を語った自伝的小説。時間旅行や異星人との会話などSF要素を組み込んでいるのは SF世界が本来あるべき世界という意味か? 多くの人の戦死が 語られた後、必ず出てくる セリフ「そういうものだ」が 鈍感に生きる全てを示唆しているように読める *過去、現在、未来は変えられないが、変えられないことを受け入れることはできる *戦争に対して何もできないが、死を無視して、生の瞬間の深みを感じることはできる *個々の人間に差異は存在しない〜この世に性悪とか、低劣と言われる人間はいない *我々は〜いなければならない場所にいるだけ〜自由意志でこの場所にいるわけではない→自由意志は存在しない
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不思議な世界。凄く惹き込まれて、あっという間に読み終えた。 戦争の悲劇が不思議な描写で描かれてる。なぜかぐいぐい食い込んでるくる、不思議な本。別の著書も読んでみよう。
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