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虐げられた人びと の商品レビュー

4.2

30件のお客様レビュー

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    10

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/08/14

私個人の感想ですがこの作品は一言で言えば、「歯がゆい!」に尽きます。 典型的な「いい人」、主人公のワーニャが幼馴染で才色兼備のナターシャに恋をしています。しかしナターシャはあろうことか典型的なダメ男に恋をし、家族まで捨てて破滅にまっしぐら。 ワーニャはそんなナターシャを見捨てられ...

私個人の感想ですがこの作品は一言で言えば、「歯がゆい!」に尽きます。 典型的な「いい人」、主人公のワーニャが幼馴染で才色兼備のナターシャに恋をしています。しかしナターシャはあろうことか典型的なダメ男に恋をし、家族まで捨てて破滅にまっしぐら。 ワーニャはそんなナターシャを見捨てられず、あれやこれやと世話をしたり、恋敵との取り持ちまでさせられる始末。 「いい人」の悲哀がこれでもかと描かれています。

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2024/06/13

時代と社会が全く違う私の拙い感想は何者にもならないが、この小説の特徴は魅力的な登場人物とストーリーの複線化だと思う。 登場人物は輪郭の濃淡をかき分けているように思うが、特に主人公が輪郭のはっきりしていない。 一人称視点なのか、三人称視点なのかがよくわからない。 主人公は全編を通...

時代と社会が全く違う私の拙い感想は何者にもならないが、この小説の特徴は魅力的な登場人物とストーリーの複線化だと思う。 登場人物は輪郭の濃淡をかき分けているように思うが、特に主人公が輪郭のはっきりしていない。 一人称視点なのか、三人称視点なのかがよくわからない。 主人公は全編を通して出てくるのに、時々消える(笑) 演劇でも役者が幕間の時に「さてその時!」と講談師よろしく口上を打ったかと思うと劇中にもどるのに似ている。 歴史は繰り返すというが、そっくりそのまま時代と人を変えて双子のようなストーリーが埋め込まれていて、一方と一方が絡まり合ってハラハラさせる。 MVPはマスロボーエフです!

Posted byブクログ

2024/04/27

何が好きかって、彼の作品のキャラは作者に踊らされていない それぞれの人の欲望や信念が丁寧に描かれている 天才なんだなと思う。 何故、女性の機微をここまで理解出来るのだろうか 彼は時々、熱病そのものだったのではないかと勘繰ってしまう そしてドストエフスキーの作品における 純粋無...

何が好きかって、彼の作品のキャラは作者に踊らされていない それぞれの人の欲望や信念が丁寧に描かれている 天才なんだなと思う。 何故、女性の機微をここまで理解出来るのだろうか 彼は時々、熱病そのものだったのではないかと勘繰ってしまう そしてドストエフスキーの作品における 純粋無垢が故の悪漢 中々に気持ちが悪い こういった気持ちの悪い人間が幾重にも重なるのだが 作品にメッセージがあるなら、幸せの所在は 狂ったかのような熱病や情動に動かされるのではなく 今ある幸せを軽視する事なく見つめ直せと 喝破されているようだ 個人的に好きなのが伯爵と主人公が対峙して露悪的な心情を吐露するシーン 伯爵が金への執着について語っていたが これは極めて大事な事だ 理想主義に卑賎を絡めると単に自分に酔いたいだけのナルシズムが混入する 真の理想主義者とは、お金と理想双方追い続け現実世界に折り合いをつける者の事だろう ドストエフスキーの作品を読むといつだって 自分が大切な人に幸せを届けたくなる 明日が悪い事を知っていても どうせ自分に出来る事など、生きてやるべき事をやる事しかないのだ そんな生きる事の苦痛と幸せを噛み締めよう 虐げられる事を止めるのではなく、そういった人のトラウマを克服させ背中を支える いつだってそうありたいものだ

Posted byブクログ

2022/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今まで読んできたドストエフスキーの中では一番読みやすかったかもしれない。 一冊しかないし、後半は怒涛の展開で一気に読めた。 謎の老人と老犬が死ぬという衝撃的な場面から始まり、いろんなことが繋がって、最後に見事にまとまる様はミステリを読んでるときのような面白さがあった。 公爵はわかりやすくサイコパスでわかりやすくすっごい嫌な奴だった。 アリョーシャも良く言えば天真爛漫だけど、悪く言えば嘘つきで意志薄弱でものすごいばか。 このアリョーシャをなんでカーチャとナターシャは取り合ってるんだ…ってとこが一番理解できなかった。 私だったら絶対にこんな人いや…最初は、イケメンだし素直でかわいい〜!とか思ったとしてもこんな性格だってわかったらその時点ですぐ別れたい。 ネリーに関しては最初から最後まであまりにも悲惨で、まさに『虐げられた人びと』というタイトルが合っていて辛かった。 これを執筆している主人公のワーニャも瀕死の床にある状態なわけだからこのラストの後に死ぬことになるんだろうし、いたるところに死があり、報われない気持ちがすごくて読了後に良い気分になれる話ではない。 ワーニャは今まで読んだドストエフスキー作品の登場人物のなかではいわゆる『普通』に一番近く、優しい人だったような気がする。

Posted byブクログ

2021/11/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1861年 現在と過去の同じ様な悲恋が重なり繋がり、 悲しい犠牲を伴いながらも解決され、明るい未来へ! NOTE記録 https://note.com/nabechoo/n/n7b3e00fef092?magazine_key=m95e2f346041d 序盤はちまちまと読み進めて、 中盤からハマってきてスピード上がる。 語り手の私、ワーニャ。いろんな人の相談や仲介役で大変そ〜。みんなに好かれ、頼りにされてる。良いやつや〜。(IWGPのマコトを思い出す。そんなキャラだったよーな?) 一番自分に似てるのはアリョーシャかな。子供っぽい無邪気さ。客観的に見ると問題あるなーと思うわ。でも共感できる気がする。 ナターシャとカーチャは共にしっかりしてるなー、カーチャなんかまだ10代だったような。まあ全体的に、思ったより若かった気がするが。 問題のワルコフスキー公爵。強欲で狡猾、金があり権力があり頭も良い、こんな奴勝てる気せん笑 絶対上手く利用されて捨てられる笑  その点、ワーニャの旧友マスロボーエフはなんか良いな〜頼れそう。公爵相手に負け気味ではあったが期待できる。 あとは、ネリーか。悲しみの天使よ。悲劇を救う立役者。出来るなら、イフメーネフの家にネリーがいて、ワーニャとナターシャが一緒になり、時折りマスロボーエフカップルが遊びに来るのが理想。そして、ネリーの呪いがワルコフスキーに効いて没落すれば万々歳か。 あまり関係ないけど、ちょこっとフリーメーソンやロスチャイルドの名が出てきて、都市伝説好きとしては反応しちゃう。どんな存在だったのか、それぞれ一回ずつしか出てこないから、あまり分からないけど。 あとパリの変態の話。あの典型的な裸にコートのやつ。この頃からあったんだなーと感慨深い。

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2021/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最後は一気に読み上げた。ネリーという言葉のパワーが随所で伝わってきた。ドストエフスキー作品にしては珍しく爽やかな終わり方。後半の盛り上がりやナターシャの心情描写が素晴らしい。

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2021/04/18

ドストエフスキーって 根源的に人間は善であるという 圧倒的な倫理観で 小説書ける人だったんだな。 何に虐げられた人々なのか… やはり、運命に。 久しぶりに泣いた。 とても深入りしながら物語を読んだ。 なんだかな、すごく良かった。 ハッピーエンドなんだろうな、一応。

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2021/01/07

軽薄純情な青年アリョーシャと清純ヒステリックなナターシャの恋物語を中心とした人間ドラマ。冒頭から出てくる老人と犬(アゾルカ)がけっこう重要な役回りだったり、ネリーの意外な素性だったりと構成が巧みなように思う。語り手がドストエフスキー的な人物(デビュー作は当たってその後はうまくいっ...

軽薄純情な青年アリョーシャと清純ヒステリックなナターシャの恋物語を中心とした人間ドラマ。冒頭から出てくる老人と犬(アゾルカ)がけっこう重要な役回りだったり、ネリーの意外な素性だったりと構成が巧みなように思う。語り手がドストエフスキー的な人物(デビュー作は当たってその後はうまくいっていない状態)というのも面白い。 人間に対する観察力というか洞察力が深いのか虐げる側と虐げられる側はあっても単純な善悪の話はない。公爵の考え方(ゲスなところはあるが)も現代人には同調できる面もあるのではあるまいか。どちらかというと悪意なく天使のように悪魔的所業を行うアリーシャのほうがゲス野郎な気もする。自分の知人でホストに嵌った女性がいたが状況的に似ていて時代を超えた普遍性が感じ取れる。 577ページからのナターシャの愛情に対する自己分析が印象的。 個人的には本当の主人公はネリーだと思うし、そのためか読み終わったときに何ともいえない深い余韻を覚えた。 恋愛・親子関係が上手くいっていない人にもお勧めしたい傑作。

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2020/06/28

1861年 40歳 第17作。 前半は読むのが辛く、期間を置きながら、途切れ途切れしか読んでいないので、非常に時間がかかった。 たぶん3カ月ぐらいかかったと思う。 なぜ辛かったかといえば、単純に、話が面白くなかったからである。 短編ならまだしも、長編小説で面白くなかったら、...

1861年 40歳 第17作。 前半は読むのが辛く、期間を置きながら、途切れ途切れしか読んでいないので、非常に時間がかかった。 たぶん3カ月ぐらいかかったと思う。 なぜ辛かったかといえば、単純に、話が面白くなかったからである。 短編ならまだしも、長編小説で面白くなかったら、一気に読み通すことなどは、とても無理だ。 ところが第二部の第6章、本書のp250あたりの、登場人物がほぼ出そろい、語り手である主人公とナターシャが、前日訪れてきたワルコフスキー公爵が表面的な態度とは別になにかを企んでいることについて、相互に同意した場面ぐらいから、話はがぜん面白くなる。 熱に浮かされたような怒涛のスピード感が出てきて、読むのが止まらなくなる。ドストエフスキーの長編に特有のあの魅力が、この物語の後半で、ついに現れた。畳みかけるような事件の連続と独自の語り口。ドストエフスキーは、自分にふさわしいそういうスタイルを、ここでついに発見したようだ。 残りの400ページあまりは、忙しい合間をぬって、3日で読んでしまった。

Posted byブクログ

2020/05/29

虐げられて生きてきた少女ネリーをただただ可哀想に思う。 自己中心的な青年アリョーシャ、彼に振りまわされる娘ナターシャ、そして彼らを見つめる語り手ワーニャ。 それぞれがみな悲劇的な人生を送っていて、人物描写にかけてはやはりドストエフスキーは天才だと思い知らされる。

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