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海の向こうで戦争が始まる の商品レビュー

3.6

46件のお客様レビュー

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『限りなく透明に近い…

『限りなく透明に近いブルー』でデビューした村上龍の二作目。若書きの純文作家が、次に「なにを書けばいいのか?」と苦悶した跡がよく見える。作家としての村上龍は、次の『コインロッカー・ベイビーズ』でとりあえずの完成をみるので、村上龍ファン以外の人は、あんまり読まなくていいかも?

文庫OFF

女は僕の目を覗き込ん…

女は僕の目を覗き込んで言った「あなたの目に町がうつっているわ」。僕の目はその町に住んでいる様々な人々の様子を映し出す。そしていつしか町の人々はすべての破滅を望んでいた・・・海の向こうで戦争が始まる。これは「僕」の妄想なのか、それとも現実なのか。不思議な感覚にとらわれます。実験的な...

女は僕の目を覗き込んで言った「あなたの目に町がうつっているわ」。僕の目はその町に住んでいる様々な人々の様子を映し出す。そしていつしか町の人々はすべての破滅を望んでいた・・・海の向こうで戦争が始まる。これは「僕」の妄想なのか、それとも現実なのか。不思議な感覚にとらわれます。実験的な作品に感じました。

文庫OFF

2024/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

残酷で美しい、退廃した世界を描いた物語。 どこかで起こる目を背けたくなるような戦争に対し、平和なビーチで若者たちはコカインをキメている。 ラスト40ページくらいの怒涛の追い込みが気持ち悪くも、気持ちよかった。 洋服屋の若者の母親の描写はあまりにもリアルすぎて、読むのを躊躇う程だったが、それすらも芸術に落とし込める村上龍の才能に脱帽だ。 岡本太郎の「芸術は爆発だ」との言葉があるが、それをそのまま体現したような作品だった。

Posted byブクログ

2022/02/27

久しぶりに村上龍を読む。 「コインロッカーベイビーズ」を25、6年前、当時付き合っていた、心理学が好きな彼女に勧められて読んだ以来。 何気なく買っただけやけど、ロシアによるウクライナ侵攻とリンクしてしまった。 「戦争」という事態は、どうしたら重く受け止めることができるのか、...

久しぶりに村上龍を読む。 「コインロッカーベイビーズ」を25、6年前、当時付き合っていた、心理学が好きな彼女に勧められて読んだ以来。 何気なく買っただけやけど、ロシアによるウクライナ侵攻とリンクしてしまった。 「戦争」という事態は、どうしたら重く受け止めることができるのか、実感をもてるのか。 そしてその、実感を持てない感が、戦争をおどろおどろしく教え込まれてきた、僕らは、「戦争反対」と言いたくても、実のところ戦争なんて遠過ぎて捉えきれないものというのが、正直なところやから、気持ちが上滑りしまくって、歯が浮く。 作者の意図は知らんが、誰一人いない海岸でコカインをキメるような、平和で侵略されない見せかけの自由を享受している〈おそらく〉若者と、その対岸の街でおこる、どうしようもない貧困から来る、狂気じみた戦争との相対性をもって、戦争の実感を捉えようとしたんじゃないのではと思う。 平和ボケも戦争とおんなじくらい人間の大事にせなあかんことに対して、相当やばいことなんやでと、言ってるような気がする。

Posted byブクログ

2021/02/26

著者の第二作で、前作の『限りなく透明に近いブルー』に似たスタイルでありながら、幻想的な雰囲気がただよう作品です。 海辺の「僕」のまなざしの先にある町に暮らす、さまざまな物語がくり広げられていきます。それらは、三人の少年たちの物語、大佐とその愛人の物語、若い衛兵とその家族の物語、...

著者の第二作で、前作の『限りなく透明に近いブルー』に似たスタイルでありながら、幻想的な雰囲気がただよう作品です。 海辺の「僕」のまなざしの先にある町に暮らす、さまざまな物語がくり広げられていきます。それらは、三人の少年たちの物語、大佐とその愛人の物語、若い衛兵とその家族の物語、洋服屋と病気の母の物語などですが、一つひとつの物語はわかりやすい帰結に行き着くことなく、祭りによってもたらされる興奮に巻き込まれながら、登場人物たちは微妙にすれ違う会話を交わしつづけていきます。そして、そうしたどこにも行き着くことのない物語に、戦争というカタストロフがもたらされます。 「戦争」は、幻想的な「町」に暴力的に介入する「外部」であり、「町」に暮らす人びとの理解を超えた出来事です。しかしそれは、「僕」にとっては「海の向こう」の出来事にすぎません。こうした「僕」のまなざしは、第一作の『限りなく透明に近いブルー』で示された、即物的な次元に降りていくことで獲得される批評的なまなざしに通じるものがあるように思います。本書の「解説」を担当している今井裕康(三浦雅士)も、『限りなく透明に近いブルー』のリリーのセリフを引用することから本作の解読をはじめており、「村上龍においては、なによりもまず見ることが書くことなのである」と主張していますが、わたくし自身もこれは的確な解釈であるように思います。

Posted byブクログ

2017/12/09

豊かなビーチから眺める、海の向こうの淋しい町。 定まらない視点がふらふらと此方と彼方を繋ぎ、祭りに熱狂する町を彷徨う。 描かれる人々には過去があり人生があり それらが境界のない混ぜこぜに 全てが一続きになっている。 一続きになって僕を通過していく。

Posted byブクログ

2016/03/17

ダメだ、全く受け入れられない。村上龍の世界観も新しい試みも、台詞の運びも描写も。全てがダメだ。たぶん、自分がもっと熟成しないと理解出来ないんだと思う。

Posted byブクログ

2023/08/10

限りなく透明に近いブルーでリュウが話していたことを具体的に実現した小説。ラストの戦争が始まるシーンの爽快感とも高揚感とも言えないような感じが素晴らしい

Posted byブクログ

2015/08/30

設定も話の筋もないおそらしくごちゃごちゃな話です。筋書きがない中、ひたすら退廃的な話が進行していく。一つ一つの話のつながりが見えないからえらく読むのに時間がかかりました。 話というよりは、PVのような話。 ただ、筋も何もない光景を楽しむしかありません。

Posted byブクログ

2015/08/18

主人公の世界から向こうの世界にいつの間にか視点が移動してるのはかなり革新的な手法であると思う。客観的な文章と生々しいグロテスクな文章がグラデーションのように変わっていく。

Posted byブクログ