星を継ぐもの の商品レビュー
1つの論文を読んでいるように思える作品。 物語のスケールの大きさと、謎解きをしていく過程の緻密さのバランスが見事。 SFの良さが凝縮されてました
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本やに平積みであった。オビを見れば100刷突破などとあり、紹介文は「月面で発見された宇宙服の死体はなんと5万年前に死亡していた・・ 」これだけでそそられます。 冒頭、2人の男が荒れ果てた岩場を進む。仲間のいる基地まで行かねば・・ でも1人はもはや息尽き果てようとし、それを大きい...
本やに平積みであった。オビを見れば100刷突破などとあり、紹介文は「月面で発見された宇宙服の死体はなんと5万年前に死亡していた・・ 」これだけでそそられます。 冒頭、2人の男が荒れ果てた岩場を進む。仲間のいる基地まで行かねば・・ でも1人はもはや息尽き果てようとし、それを大きい男はやさしく見守り後にする。この場面が最初からとても印象的です。二人の信頼ある間柄が伝わってきます。そしてこの場面を冒頭で描いた事が後の謎の解明を読み進む時、とても効果的に頭の中に浮かびます。そして謎が解明された時、この2人の生きた星の歴史と伴に、この最初の場面に戻ってきます。 この最初の場面だけで何かガツーンとやられます。また一転、発見された5万年前の死体の謎をめぐり、プロジェクトチームの内幕が描かれます。その解明していく様はさながら企業小説を読むよう。いかに専門の分散した働きを大局でまとめるか。 最後の砂漠での発掘でのさる出土品の場面、ちょっと映画「猿の惑星」の最後を思わせました。 解明された謎、そんなことあり得るか?とも思いますが、いやいや、それはそういうこととして、続編の「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」も読んでみようと思います。
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壮大なスケールで語られるSF小説の金字塔。 物語は少しずつ謎が明かされていくミステリー形式で展開していき、終盤に近づくにつれて急激にヒートアップしていく。読後は、作者の規格外の発想力に度肝を抜かれると同時に、深淵なる宇宙にふと想いを馳せたくなる。我々が生きている世界はこれからまだ...
壮大なスケールで語られるSF小説の金字塔。 物語は少しずつ謎が明かされていくミステリー形式で展開していき、終盤に近づくにつれて急激にヒートアップしていく。読後は、作者の規格外の発想力に度肝を抜かれると同時に、深淵なる宇宙にふと想いを馳せたくなる。我々が生きている世界はこれからまだまだ拡がっていく。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
皆が信じて疑わない大前提が、実は間違っていることがある。常識を疑ってみることの大切さや理系的な考えを教えてくれる本だった。 月で見つかった死体が何者なのかをめぐって、冒頭から終わりまでストーリーが進む。ひとつの問いだけでこれだけ書けるのかと驚いた。 A論、B論、C論、D論、さまざまな立場から論じる人を想像し描いている。しかし、皆の思考から抜け落ちていることがあった。この本の内容でいえば、生物がひとつの惑星の中だけで進化したという認識がそもそもの間違いだった。サルとヒトと断絶は、ヒトが宇宙からの外来種だとすれば説明できる。完全フィクションだが、論理的にはあり得ることだ。すでに地球はヒトによって侵略されていた!
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秀作。 SFの名作なんだろう。素晴らしい見識を持った作者。 概ね発見された遺体を取り巻く展開で進むだけのお話だがSFの魅力に満ちている。 にしても、大胆な設定。ありえそうなお話でもある。
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月で見つかった死体は、何者なのか。そこから始まる壮大なSFストーリーは、とても読みがいがありました。ハントとダンチェッカーの組み合わせも慣れてゆき、秘密がわかるたびにとても面白味を感じました。
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新学説構築ミステリー。 本作品を読むと、学問することの必要性を実感します。 月で発見された不可解に思える死体とそれに続く数々の発見。 どう説明がつくのか、科学者達の議論が始まります。 本作品では物語的な事件は起こらず、ほとんど学説の議論中心で進展します。 素材となるも...
新学説構築ミステリー。 本作品を読むと、学問することの必要性を実感します。 月で発見された不可解に思える死体とそれに続く数々の発見。 どう説明がつくのか、科学者達の議論が始まります。 本作品では物語的な事件は起こらず、ほとんど学説の議論中心で進展します。 素材となるものは全て提示されています。 読者は議論する学者の一人となって、主人公のヴィクター・ハント博士より先に新説を思いつくことができるでしょうか!? 科学者達は我々とは全く違う文明の解明をしていきます。 言語体系を解明して言語を翻訳。 円周率πや自然対数の底eなどの物理定数は不変です。 生化学や生物学の知識も総動員です。 なるほど学問とはこんな風に役に立つものなんですね。 高校生が 「なぜ勉強するのですか。受験のためですか」 と問えば、本書を読ませればいいでしょう。 「宇宙人の死体が発見された時に正体を解明するためだ」 と。 一方、個人の立身出世のためにも学問は必要だと思わされます。 主人公のハント博士は学問に秀でることで世に出た方です。 その学問は実用的で、言い換えれば商業化・産学共同に秀でているので、民間企業に就職しても比較的自由な立場で行動することができます。挙句の果てには国連宇宙軍にヘッドハンティングされます。 学問を身につけるといいことだらけですね。 そして、エピローグでは〝悪い意味での典型的な学者”が描かれています。こんなタイプになっては駄目ですね。 さて、本書において最終的に導かれた結論は、現代の科学から見てどうなんでしょうか。現代科学の分野からの検討をして頂きたい。 これほどのスケールの大きな世界観を描きながら、本書は文庫本1冊に収まっています。最近の超大作は分厚い単行本何分冊とか、文庫本でも分厚いのが何冊にも及ぶものが多い中、これだけコンパクトに収まっているのはありがたいことです。 まあ続編が続くようですが。 今後どうなるのか気になるので続編も読んでみようと思います。 http://sanshirou.seesaa.net/article/469832322.html
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地球外知的生命体の遺体が月面で発見された。 これの調査から人類の起源までを解き明かす、ちょっと異色のSF。 なかなかのラストやったよ。
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ラストが秀逸。 一人の人生、一つの星の運命をともに生きたような感慨にぼっ~とする。 情報をどう取り扱うかということへの主観的偏りということも面白い。確かに見たいものしか見なくなっているなかで、私達の宇宙感は成りなっているのかもしれない。
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このタイトルを知ったのは新訳Zか否か定かではないけれどだいぶ前。帯の100刷突破に釣られて購入してみた。 SFミステリーと言った趣向で派手さはないもののすいすい読み進められる展開に満足。原典が40年以上前なので科学的知見もこれはもう古い、これはまだ未解明など考えながら読めて楽しい...
このタイトルを知ったのは新訳Zか否か定かではないけれどだいぶ前。帯の100刷突破に釣られて購入してみた。 SFミステリーと言った趣向で派手さはないもののすいすい読み進められる展開に満足。原典が40年以上前なので科学的知見もこれはもう古い、これはまだ未解明など考えながら読めて楽しい。和訳も当初から変わっていないようだが気になるところなく。
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