星を継ぐもの の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
月で見つかった五万年前の死体の謎を紐解くSF小説。SFミステリーという感じだった。 とにかくものすごく面白かった。 少し読みにくいかつ分かりにくい表現も多く、 文章がちょっと難しいと感じた上に、 科学用語や物理用語生物学用語オンパレードで文系脳のわたしにはちんぷんかんぷん。 だけどそんなこと関係ない。 話が進むにつれて、読んでいる間のワクワク感と壮大さに圧倒されて、気がつけば読み終わって溜息をついていた。 50ページ読めれば勝ち。 別作品の登場人物が、「暦という最大の情報を失うわけにはいかない」と時間をカウントしていたシーンがとても印象に残っているのだけど、 この作品では「カレンダー」の発見、分析から、 どんどん謎が解けたり、手掛かりが掴めてくる。 やっぱり暦は私が思う以上に大事な情報なんだなぁとしみじみ感じた。 小さな発見から色々なことが分かっていく。 科学も歴史も、だから面白いんだろうなぁ。 最後のダンチェッカー氏の演説、ここにまでどんでん返しが待っていたのか!月の移動だけでも驚いてたのに。さらにエピローグに出てくる名前。 そして最後に表紙に戻ると、そこには『星を継ぐもの』のタイトル。すごい。 名作と愛され続けるのも納得!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
科学と人類への絶大なる信頼、進歩への確信。 ミステリーであり、ハードSFだ。オールタイムで上位にくるのもうなずける。 月で見つかった謎の人間?「ルナリアン」。実は、地球人の祖先だった! 2500万年前、ガニメデ人によって、地球からミネルヴァへと連れられて進化、もともとはミネルヴァにあった<月>で戦闘が起き、ミネルヴァは消え去った。月は太陽へと落下し、万に一度の奇跡で、地球にからめとられ、現在の月となった…。 さて、そんな文字どおりの天変地異を体験した月のチャーリーたち。生き残ったものは、最後のチャンスとばかりに、目の前にあらわれた地球へ降り立つ。そこでネアンデルタール人を駆逐し、ホモサピエンスとなった…。 ラスト。生物学者のダンチェッカーのアジ演説が象徴的だ。 「われわれの伝統には、敗北の概念はない。今日は恒星を、明日は銀河系外星雲を。宇宙のいかなるかも、われわれを止めることはできないのだ」(p293) この月の生き残りは、まさに旧約聖書のイメージだろう。壮大なスケールのSFだ。 ただし・・・。 大いなる矛盾。なぜ、ガニメデ人はそのまま地球に移住しなかったのか?そっちのほうがラクじゃないか?地球からミネルヴァまで生物をもっていく。そんな技術があるのなら、地球に対応する技術を開発するほうがラクじゃない?
Posted by
改めてちゃんと読むとめちゃくちゃ面白かった。ワクワクするとはこのこと。なぜ今までちゃんと読まなかったのか後悔した。 ストーリーとして、どんでん返しが多く、飽きさせない。 著者の科学的知識が存分に発揮されていて、読んでいて勉強になる。 少しずつ謎を解明していく過程も、きちんと論理的...
改めてちゃんと読むとめちゃくちゃ面白かった。ワクワクするとはこのこと。なぜ今までちゃんと読まなかったのか後悔した。 ストーリーとして、どんでん返しが多く、飽きさせない。 著者の科学的知識が存分に発揮されていて、読んでいて勉強になる。 少しずつ謎を解明していく過程も、きちんと論理的、科学的に書かれていて、謎は残るもののその時点では確かにそうだ、と納得しながら読んでいける。 ガニメアンの謎に迫る続編も読みたい。
Posted by
月面にて未登録の宇宙服を着た男の遺体が見つかる所から物語が始まる。なんとその遺体は今から5万年程前のものだった。 人類の有史以前にこの男はどうやって月面に到達したのか世界中の各分野の学者達による実科学に基づいた考察合戦が始まるこれぞ本当のサイエンス・フィクション
Posted by
月面で発見された死体の謎から、人類のこれまでの歴史が科学的な検証の積み重ねからゆっくりと紐解かれていく、まさにSF小説という感じのお話でした。 主人公のハントと共にまるで謎解きをしているかの感覚で読み進めることができました。 初版が1980年と記載があったので古臭い内容も多々あ...
月面で発見された死体の謎から、人類のこれまでの歴史が科学的な検証の積み重ねからゆっくりと紐解かれていく、まさにSF小説という感じのお話でした。 主人公のハントと共にまるで謎解きをしているかの感覚で読み進めることができました。 初版が1980年と記載があったので古臭い内容も多々あるかと思っていましたが、個人的には全く古さを感じさせない内容で常に先の展開が気になる、とても面白い作品だったと感じました。 ただ、割と頭を使いながら読み進めないと内容があっという間にわからなくなってしまうので、読む時にはある程度の集中力が必要かと思います。 内容的はThe理系という感じで小難しい箇所もありましたが、ある程度の内容が理解できれば、どんどんパズルが組み合わさって一つの絵になっていくような達成感とスッキリ感が味わえるかと思います。 理系なお話が好きな方や謎解きのようなお話が好きな方は楽しく読めるのではないかと思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おおおおもしろすぎた…! 五万年のアリバイ崩し。これは本格ミステリだ。 70年代に書かれたとは思えないほど、リモート会議やタブレットらしきものの描画は現在そのもの。 21世紀初頭の30年間で、民間人も月に旅行にいけるようになった、との記載もあるがその通りになりそうだと思う。 宇宙空間を行く中、私たちは何を思うだろう。 実は学生の頃に司書さんに勧めてもらったのに、挫折してしまったんだよな。 でも今ならわかる…これは勧めたい…そして感想を話したくなる… はじめは嫌なやつかと思われたダンチェッカーと手を取るようになるのもいいなあ。 ここがかつて争いの末に滅んだルナリアンとの対比にも思える。 そうだよな、同じ地球人なのにどうして争い続けてしまうのだろうな。 コロナだって気候変動だって、きっときっと、手を取り合えば乗り越えていけるはずだと信じたい。 星を継ぐものとして。 「人類は大きな夢を描きます……」 「人類が今日描いた夢は、明日きっと実現するのです」
Posted by
月面で人間の死体が発見された。 解析すると今から5万年前のものであった。 それは人類の祖先なのか? その分析、仮説は、2転3転する。 文章に破綻がなく、テキストを読んでいるようであった。 文学の一要素サスペンスでぐいぐい物語を推し進める。 科学とは、仮説を立て、解析し、得られた...
月面で人間の死体が発見された。 解析すると今から5万年前のものであった。 それは人類の祖先なのか? その分析、仮説は、2転3転する。 文章に破綻がなく、テキストを読んでいるようであった。 文学の一要素サスペンスでぐいぐい物語を推し進める。 科学とは、仮説を立て、解析し、得られた結果から、更に仮説を立ての繰り返しである。 この本は、物語の面白さと同時に、そういう科学の営為の面白さ、スリルも味あわせてくれる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これは素晴らしい! 正直なところ、序盤は読むのがかなりきつかったです。外国人の名前を覚えるのは慣れてないし、地平線を「スカイライン」とするなど訳にクセがあるし、これは読了できないかもと焦りました。 あと、科学者たちの会話が中々難しく(特に物理や数学)、それを読むのも少し辛かった。 しかし、終わってみれば流石の大作!! まさか月が移動してるなんて!加えて、人類のミッシングリンクをこうも鮮やかに取り入れるとは…!常識では思いつかない、まさに発想の転換。 しかし、これは証拠を積み上げて、偏見を排してモノを見るということですよね。とても科学者らしい考えだと思いました。 ラストのダンチェッカーの演説も素敵(ハントと対立してた彼が言うのもまた良い)! 彼らは、人類が既に絶滅の道を乗り越えた時代に生きています。きっと、地球温暖化の問題もなく、水不足の懸念もない。その上で、人類讃歌として彼の演説が行われます。 僕には、これが作者の「願い」もしくは「祈り」のように思えてなりません。我々は、この危機を乗り越えられると。地球の皆が手を取り合えるのだと。 そう思うと何だか泣けてきます。 あとは、なんと言ってもラスト。 コリエルの名前を訳して終わるとは…!ほとんどが科学者の話だから、知的であっても情緒的な部分は少ない作品だと思います。 でも、コリエルは皆の想いを繋いで生き延びていた。本人のセリフもなしに、ここまでアツい感情を掻き立てられるなんて。凄いとしか言いようがありません。 ド文系の僕ですら凄く面白かった! これは、理系の人は本当に堪らんのではないでしょうか??
Posted by
20年ほど前に読んだことを思い出した。 最後の驚きが、まだ忘れられない。 アメリカの火星探査のニュースを見る度に、 何か痕跡が見つかるかな、などと年甲斐も無くワクワクしている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
Kindleで。JPホーガンの三部作「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」の第1作。月で発見された5万年前の人間に酷似した生物の死体の謎を解き明かしていくもの。登場人物は殆どが学者で,様々な仮説を立て,感情論ではなく観察された事象のみを真実として仮説を検証し,最も矛盾のない説明に繋ぎ合わせて更に新しい仮説を出して行く過程は研究そのもので,ワクワクさせられる。地球上の現実の謎も踏まえていることで,より真実味が増し,まさにSFという名に相応しく,面白かった。続編が楽しみ。
Posted by