Yの悲劇 の商品レビュー
海外ミステリのオール…
海外ミステリのオールタイムベストを決めると、必ず上位に食い込んでくる名作。屋敷で発生する連続殺人。秀逸なロジックと、意外な犯人に驚かされます。
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言わずと知れた、ミス…
言わずと知れた、ミステリの金字塔。操りやダイイングメッセージ、父と子の捩れた関係など、著者独自のモチーフが散りばめられている。
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ドルリーレーンシリーズの二作目。クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した作品。四作の連作になっており、クイーン名義のシリーズとは少し異なる。 学生時代、古典ではクリスティに傾倒しており、中々有名な作家を読む事が出来なかったが、ドルリーレーンシリーズは面白く、立て続けに読んだ記...
ドルリーレーンシリーズの二作目。クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した作品。四作の連作になっており、クイーン名義のシリーズとは少し異なる。 学生時代、古典ではクリスティに傾倒しており、中々有名な作家を読む事が出来なかったが、ドルリーレーンシリーズは面白く、立て続けに読んだ記憶げある。 トリック等は秀逸であり、楽しめるが、現代においてはさほど驚きが無い今回の犯人について、当時はおそらく衝撃的だったのだろう。 該当人物が犯行するに至り、リアリティを出す為に実行可能な設定に持ち込んでいる。また、古典作品においては当時の環境や生活様式なども魅力だが、作品中の雰囲気もとても良い。 四作のうちでは今作が一番好きな作品であり、元舞台役者、盲目の名探偵っいう設定もオリジナリティがあり好きだ。まだクイーンの他シリーズには手を出していないが、ずっと昔から興味の深い作家であり、いずれ手を出そうと考えている。
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XYZの3部作、さらに最後の事件の連作です。 これは、順番に読むことをお勧めします。 Yの悲劇、まさに「Y」に悲劇ですね。
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マッドハッター 聾で唖で盲目の女 ヴァニラ殺人事件 ストリキニーネ ペルーのバルサム(ヴァニラのにおい) つるつるの頬 マンドリン(鈍器=ブラントインストルメント→楽器) 暖炉の煙突 フェゾスチグミン 「さあ警部、レーンさんは疲れていらっしゃる」
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完成度の高い本格ミステリと、あっと驚く意外性を内包した傑作。 個人的な好みとしてはXの方が好きだが、ミステリとしては最高と言ってよいだろう。
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意外なラストシーンで終わる本作。犯人も意外な人物。この展開はクリスティーの作品でも一度味わったことがあると読了後に思い出す。またノーベル文学賞を受賞したイギリスの作家カズオ•イシグロは、自身の作品は「内容の解釈を読者に委ねて執筆している」と述べているが、今作のラストはまさそれで...
意外なラストシーンで終わる本作。犯人も意外な人物。この展開はクリスティーの作品でも一度味わったことがあると読了後に思い出す。またノーベル文学賞を受賞したイギリスの作家カズオ•イシグロは、自身の作品は「内容の解釈を読者に委ねて執筆している」と述べているが、今作のラストはまさそれである。何故そのようなことが起こったのかを問いかけているように、物語の担い手を読者に委ねているのである。 前作『Xの悲劇』ではドルリー•レーンとその忠実な従僕の得意技に「そんなのあり?」と少々首を傾げ、今回もその手で犯人を見つけるのか疑念が湧いていたが、途中までそれをやるかに見えてなんとあっさりと放棄(笑)。読者離れしないように策を講じたのか、私のような読者が約100年前もいたのか気になるところだ。 得意技を封印して地道に証拠を探し集めるレーン氏が犯人に近づくにつれ、苦しい胸中に陥っていく様子は、読者に犯人が誰か示唆しているようなものだが、それは犯人が判明して初めてそう思ったことであり、それ以前は誰が犯人でもおかしくない状況なので、この作品はところどころ読み返して「なるほど」と合点がいく算段になっていると思う。 地味に奥深いストーリー。レーン氏の推理がなかなか前に進まないように見えるし、渦中の一族の日常生活が淡々と過ぎていくのを見守るように読んでいたので正直「ロードショー絶賛公開中!」と銘打てるほど派手な作品とは言い難く評価は星3つ。
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素晴らしい作品なのは間違いないのだが、個人的には『Xの悲劇』の方が好み。 海外ではX、日本ではYの方が評価が高いというのに何となく納得。 Xと違って論理だけで構成されているというわけではないが、美しい論理は健在。 梨に室内で毒を入れる、ヴァニラと靴という二つの道具により二人の異なる人物に容疑を向けてしまっている、実験室のドア付近はホコリが残ったまま、などの言われれば分かる"ちぐはぐさ"だったり、つま先立ちの跡など、犯人を推理する根拠は十分すぎるほどあり、そして犯人がなぜマンドリンを凶器に選んだのかという理由はとても面白い。 床几が薬棚の前に置かれていたことから「もしや?」とは思っていたがまさか本当に犯人だとは。 梨に毒を入れた人物とエミリーを殺した人物は同一人物だという理由も単純だが見事。 最後に明かされる真実も衝撃的... Xと差をつけるため、評価は☆4で。
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大富豪エミリー・ハッターの夫、ヨーク・ハッターが溺死体となって発見された。その2ヶ月後、今度はエミリーの娘ルイザの毒殺未遂事件が発生。さらに2ヶ月後には遂にエミリーが殺害された。マンドリンが凶器に使われた異様な事件の手がかりは、隣のベッドで寝ていたルイザの証言。だが、彼女は生まれつき目が見えず耳も聞こえず、手話でしか会話できないのだった。冷酷な性格で嫌われていたエミリーは家族の誰かに殺されたのか?サム警部は半年ぶりにハムレット荘を訪ね、ドルリー・レーンの助言を仰ぐ。〈ドルリー・レーン〉シリーズ第2作。 異父姉弟の遺産相続問題、故人が遺した殺人計画。あらすじだけ追うと横溝みたいで、日本で特に人気が高い作品というのは納得。でもクイーンはどこまでも理知的なので、冒頭でアリスと絡めたりしながらも、怪奇幻想のほうには流れていかない。 『Xの悲劇』はNY街歩き小説でもあったが、今回はハッターの屋敷内で全てが完結する。ルイザのキャラクター造形には『黒死館殺人事件』の伸子を連想した(身体的ハンデはないが)。ルイザに母親の死を伝えるレーンの言葉は、法水に比べて随分と思慮深い。 けれど、全体を通して差別的な視線から逃れようもない。サム警部をはじめ、レーンもまた〈殺人因子〉という概念に囚われ、犯人を私的に裁いてしまう。『僧正殺人事件』もそうだけど、警察は探偵が個人の信条のために人殺しするのを見逃すな。あとそもそもハッター家が異常とされる根拠が「起業して大成功して男を支配してる女なんて異常だから」なの、はっきり言ってムカつくぜ(笑)。トリックはすっきりしているし、完成度も高いと思うけれど、書かれた時代の倫理観にピン留めされてしまった作品という他ない。
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文庫本の分厚さに慄き、なかなか手を伸ばせなかった『Yの悲劇』。5月のGW中に手に取ったが、一度読み始めると止まらず、真夜中から朝方までかけて一気に読んでしまった。文句なしに面白い‼︎ 『Yの悲劇』は一言で言うと、惜しみなく食材が使われた、見た目も豪華なフルコース料理だ。お腹いっぱい、大満足になる。本の裏表紙に書いてある紹介文からだけでも、「行方不明」「富豪の死」「海からあがった死体」「毒物死」「一族に遺伝する病気」「繰り返される殺人」「有り得ない犯人」…推理小説に似つかわしいキーワードがてんこ盛り。 事件の舞台となるハッター家は、お金持ちであるが、性格に難ありな人物ばかり、家庭内でトラブルが起こってばかりの誰一人幸せそうじゃない一家。物語冒頭に起きる富豪の死だけではなく、その後に別の殺人が起こり、犯人のものと思われる痕跡が、たくさん見つかるのだが、それがかえって推理を混乱させる…。手がかりがあっても明快な答えが見つからないもどかしさ。おまけに探偵や警部の鼻先で、手際の悪さを嘲笑うかのように次の事件が起こってしまう。 一体どんな犯人が? 物語には、盲目で耳が聞こえず、話すことのできない女性が登場するのだが、その彼女が危険に晒されたり、覚悟を決める場面があり、とてもスリリングで手に汗を握る。(彼女が探偵に訴えるシーンは強烈に印象的だった) 全貌の見えない事件をひたすら根気強く追い続け、ようやく真実に辿り着いた時、なんともいえない気持ちになった…「悲劇」というのは、こういうところから来ているのか。クリスティー作品でも、似たような意外な人物が犯人の作品はあるけれど、『Yの悲劇』は悲劇が連鎖し、謎が二重構造のようになっていて、より一層複雑な筋立てが面白さを掻き立てる。 また、探偵のドルリー・レーンの前職は、シェイクスピア劇の俳優という設定になっているのだが、そのせいか小説のなかにシェイクスピア劇のセリフが時折引用されて出てくる。こういう趣向はとても好きだ。ドルリー・レーンが主人公のシリーズは四部作になっていて『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『レーン最後の事件』とある。『Yの悲劇』から読んでしまったが、前作を読んでなくても十分楽しめた。
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