グリーン家殺人事件 の商品レビュー
The Greene Murder Case(1928) うんちく満載なヴァンスの話しぶりが相変わらずで良い。 だが、冒頭部分で煽っているほどの意外な展開やトリックはなかったような気がした。トリックよりも、物語全体の雰囲気を楽しむような本だった。
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流石はヴァン・ダインというべきだろう。細かく描写された犯人の心理、徹底的にヴァンスの裏を突いてくる犯人。探偵対殺人鬼という構図を綺麗に作り出している。 狂った家の中で超然的に起きる連続殺人にはぞくぞくとする。しかし、被害者があまりに多く出てしまった為に犯人予想が簡単になって...
流石はヴァン・ダインというべきだろう。細かく描写された犯人の心理、徹底的にヴァンスの裏を突いてくる犯人。探偵対殺人鬼という構図を綺麗に作り出している。 狂った家の中で超然的に起きる連続殺人にはぞくぞくとする。しかし、被害者があまりに多く出てしまった為に犯人予想が簡単になってしまったこと、推理小説に慣れ親しんだ人によっては第一の惨劇の時点で犯人の予想が簡単についてしまう構成は少し気になった。それに、ヴァンスが事件の概要を掴むまで時間が掛かりすぎているような気もする。 だが、それでも名作であることには間違いないので、その内もう一度読んでみたい作品である。
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最後のまとめ方に古さと時代は感じざるを得ないのだけど、やっぱり好きなんだよなぁ、この雰囲気、この世界観。 初めて読んだのは小学生の頃、子供向けに改編された文庫版だった。その時も、陰惨でゴシックな古いお屋敷と、そこに住まう個性的過ぎる登場人物の面々に魅了されたことを覚えている。 ...
最後のまとめ方に古さと時代は感じざるを得ないのだけど、やっぱり好きなんだよなぁ、この雰囲気、この世界観。 初めて読んだのは小学生の頃、子供向けに改編された文庫版だった。その時も、陰惨でゴシックな古いお屋敷と、そこに住まう個性的過ぎる登場人物の面々に魅了されたことを覚えている。 そう、たぶん、何よりの魅力は、この作品全体が放つ独特のオーラというか、ムードのようなものなのだ。荘重な絵画的映画でも観ているような気分で、気がつくとすっかりその空気の中に取り込まれている。目の前に、広い大広間や古い書斎、いわくありげな暖炉やとんがった屋根なんかが浮かんできて、今居るこの現実から自分を遠ざけて、あたかも探偵ヴァンスの仲間にでもなったかのような気分で先へ先へと読み進めてしまう。 結末の古さすら、許せてしまう読後感。何度読んでも惹き込まれる。映像化されたならそれも見てみたくなる。それほどに、ひとつひとつの要素がたまらなく魅力的で物語的なのだ。
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Yの悲劇よりははるかに面白く感じたが、全く意外性というものがなかった。 探偵のもったいつけた感が少なく、犯人がわかっているのに出し惜しみしたりしないので好感が持てたが、あらすじの時点で犯人がわかってしまうのが残念。
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ヴァン・ダイン(以下ヴァン)の『グリーン家殺人事件』を読了。 ヴァンの作品を読んだのは、一、二を争うと言われている『僧正殺人事件』と併せてこれで二作目。 惜しむらくは翻訳が自分に合わなかったこと。元々自分は翻訳ものが苦手だが、本作は相当長い期間かけて少しずつ読んだ。最後の半分...
ヴァン・ダイン(以下ヴァン)の『グリーン家殺人事件』を読了。 ヴァンの作品を読んだのは、一、二を争うと言われている『僧正殺人事件』と併せてこれで二作目。 惜しむらくは翻訳が自分に合わなかったこと。元々自分は翻訳ものが苦手だが、本作は相当長い期間かけて少しずつ読んだ。最後の半分くらいは気合いを入れて5日間ほどで読んだが、前半は半年近くかけているかもしれない。前半の内容は、解決編での探偵の説明で思い出すことができた。ちなみに前に読んだ『僧正殺人事件』は新訳が出ているので、読むのに苦労した記憶はなかった。 おそらく一筋縄ではいかないと思い、心して読みはじめた。しかし序盤からかなり怪しい人物が目に止まった。ただしほとんどの場合、序盤で怪しい人物は犯人ではない。それに証拠や判断材料もまだない。 最終的に犯人は当たっていた。しかし、ハウダニットの説明ができず…。被害者が多ければ多いだけ、そのトリックを説明するのは難しくなる。だがそれが出来る人もいるのだろう。素直にすごい。考えるのはもっと難しいのだろうが。 本作はまさにどろどろの愛憎劇だった。読後感は…まぁ、この時代の推理小説に読後感を求めるのも無粋な気がするが、強いて言うならスッキリした。とにかく、面白い作品なのは間違いないだろう。 ちなみに『グリーン家殺人事件』と『僧正殺人事件』、どちらが好みかと訊かれれば、見立て殺人などが使われている点から考慮して『僧正殺人事件』と答える。
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ヴァンくん空気! 犯人は分からなかった。 憎みあいながら一緒に暮らしている一族は、決まって誰かが耐えきれずに引き金を引く。お金持ちなんだし、みんなで楽しく暮らしたらいいのにといつも思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヴァン・ダイン始めて読んでみましたけど最初から読まなくてはいけなかった作家さんなのですか? (註の入り方がめんどくさい・・・しかも、いらない情報まで?) この事件簿もまあ犯人の予測がついたというか、最初から怪しかったというか、わざわざ怪しすぎる人物を見せすぎていたというか。 トリックは本格ですね。 ファイロ・ヴァンスという探偵役には好感が持てました。very cool!
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犯人は予想できたけど、肝心のトリックは推理できなかった! 人物の個性が強くて、聞き込みばかりだけど飽きませんでした。 説得力のある推理ものでした。
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今月の10冊目。今年の122冊目。 ヴァン・ダインの著作。僧正殺人事件と双璧をなすものだと聞いて、まあ読んでみました。正直言って、推理の展開も、犯人の指摘もまあ、そんなもんでしょと思いました。唯一、ちょっと自分にはあるトリックの種がいまいち分からなくて、不満でしたね。僧正殺人事...
今月の10冊目。今年の122冊目。 ヴァン・ダインの著作。僧正殺人事件と双璧をなすものだと聞いて、まあ読んでみました。正直言って、推理の展開も、犯人の指摘もまあ、そんなもんでしょと思いました。唯一、ちょっと自分にはあるトリックの種がいまいち分からなくて、不満でしたね。僧正殺人事件の方がどちらかと言えば好きかな。こっちは、うーんって感じがする。なぜかって言うと、そのトリックがやっぱり現代においてはピンとこなかったからかな。
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正統派かつ、丁寧にして精緻な本格。ミステリーを読んだ、という満足感に浸れる。 ヴァン・ダイン初読。いい意味でも悪い意味でも「本格」であるが、私はその丁寧な筆致にとても好感を持った。折々に挟まれる衒学趣味や、思わせぶりな言動、あくまで「謎解き」がメインであるところなど、いかにも「...
正統派かつ、丁寧にして精緻な本格。ミステリーを読んだ、という満足感に浸れる。 ヴァン・ダイン初読。いい意味でも悪い意味でも「本格」であるが、私はその丁寧な筆致にとても好感を持った。折々に挟まれる衒学趣味や、思わせぶりな言動、あくまで「謎解き」がメインであるところなど、いかにも「ミステリーは知的な遊戯だ」という美意識が覗くものの、人物描写はかなり丁寧だと思う。 特に私は、グリーン家の面々の人物描写がとても素敵だと思った。どろどろした愛憎感情を、淡々と客観的に描写する筆致が美しい。憎悪や嫉妬、歪みや憤りも、「探偵」ファイロ・ヴァンスの目から端正に描写されると、まるで一幅の絵のようだ。 犯人が捕まってからがややあっさりしすぎているとは思うものの、最後まで手堅く書ききってくれて満足した一品。
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