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若き数学者のアメリカ の商品レビュー

4.1

108件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    32

  3. 3つ

    22

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2012/07/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

藤原正彦さんのアメリカでの3年間の研究生活にまつわるお話。国家の品格を読んだ時にはこの人はアメリカをめっちゃこき下ろすなあと思ってたけど、アメリカでの経験から来てたなら今思えば説得力あった。 日本の誇りを持ちつつ数学者として、教師として奮闘していく様子にはエールを送りたくなる。 情景の描写からは、筆者の美しさを愛する心が伝わってくる。途中でさんざんアメリカをバカにするけど、だんだんアメリカにある美しさも感じ取っていた。アメリカには涙がないって途中で書いてあったけど、最後の最後に砂漠のど真ん中の道路に対して「この道は涙の道である。」って言いきってた。 子供と一緒にフロリダの水平線の美しさを見たシーンは印象的。あと、人種の観点から教育を工夫する話、ストリークていう裸で外を歩き回るイベントに恥ずかしがりながら参加する場面、アメリカの人に対して元々開拓者達であったことから「アメリカには心の故郷がない」とか「新しいものへの好奇心」とか「個人主義的で国民性のないところが国民性」とか分析している部分も面白かった。

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2012/07/03

人生における苦悩に直面した時に読むといい本。どんな凄い人でも苦労した時期はあり、時間とともに転機が訪れていい方向に向かっていくと思わせてくれる本

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2012/05/30

今ではいろんな本を書いているが、エッセイストとしての原点となる作品。この本で数学者なる者の考え方、行動というものの一端を知った。今でもバリバリに活躍される氏の若き頃の作品であり、今読んでも十分に元気がもらえる。 話のテンポも良く、読みやすい。ユーモアたっぷりの文章は読んで飽きない...

今ではいろんな本を書いているが、エッセイストとしての原点となる作品。この本で数学者なる者の考え方、行動というものの一端を知った。今でもバリバリに活躍される氏の若き頃の作品であり、今読んでも十分に元気がもらえる。 話のテンポも良く、読みやすい。ユーモアたっぷりの文章は読んで飽きないです。

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2012/02/04

 これから100年後も大国アメリカの優位性は揺るがないだろう。『100年予測』ジョージ・フリードマン著ではその理由を細かく示す。アメリカに憧れ、理想の国家像として、果てしない経済拡大路線を突き進む日本が陥る悲惨な現実。全てにおいて、豊かに見えるアメリカの苦悩を垣間見ることができる...

 これから100年後も大国アメリカの優位性は揺るがないだろう。『100年予測』ジョージ・フリードマン著ではその理由を細かく示す。アメリカに憧れ、理想の国家像として、果てしない経済拡大路線を突き進む日本が陥る悲惨な現実。全てにおいて、豊かに見えるアメリカの苦悩を垣間見ることができる。

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2012/01/29

若き日の数学者藤原正彦氏が、数学の大学教授として単身渡米し そこで見たこと、感じたことを「数学者」とは思えないほど瑞々しい文体で綴ったルポルタージュ。 はっきりいって、そんじょそこらの作家によるルポよりよっぽど完成度が高いです。 時には感情に振り回されながらも、砂漠に突如現れ...

若き日の数学者藤原正彦氏が、数学の大学教授として単身渡米し そこで見たこと、感じたことを「数学者」とは思えないほど瑞々しい文体で綴ったルポルタージュ。 はっきりいって、そんじょそこらの作家によるルポよりよっぽど完成度が高いです。 時には感情に振り回されながらも、砂漠に突如現れたラスベガス、見ず知らずの子供と見つめた砂浜に打ち寄せる波、旅の途中で出会った家族、近隣の住民や教え子や恩師たち・・。 若さの特権を最大限活用された、透明感あふれる視線と純粋で粋な感情で全力疾走したアメリカ生活。 優れたルポルタージュには、行ったことも聞いたことも出会ったこともない土地や人の「熱」や「匂い」が感じられるが、本書はまさに優れたルポ特有の空気が内包されている。 最後のアメリカ、日本の高校・大学生比較論だけでも一読の価値あり。

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2011/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

数学者の筆者が、アメリカの大学で講師として働いた時の体験をつづったエッセー。明るく前向きな筆者がアメリカでどのように暮らしたのか。元気が出るような一冊。(ナルセ)

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2011/10/26

 最近メディアに登場することも多い数学者の藤原正彦。三年前「国家の品格」が売れに売れたのは記憶に新しい。彼がいまの私ぐらいの年齢のとき,アメリカに招かれて研究,教育に取り組んだ体験を綴ったのがこの作品。古い本だが,父の蔵書を借りてあったのを,ふと開いてみたらなかなか面白い。巻末に...

 最近メディアに登場することも多い数学者の藤原正彦。三年前「国家の品格」が売れに売れたのは記憶に新しい。彼がいまの私ぐらいの年齢のとき,アメリカに招かれて研究,教育に取り組んだ体験を綴ったのがこの作品。古い本だが,父の蔵書を借りてあったのを,ふと開いてみたらなかなか面白い。巻末に父の筆で読了日が書いてある。私が四歳,弟は二歳のときだ。いま同様に幼い娘をもつ身にはなにかしんみりする。  渡米に際してまずハワイに寄る。急に思い立ち真珠湾ツアーに行ってみたら,彼が参加者中で唯一の東洋人であった。アナウンスが日本軍襲撃の模様を説明するのに初めは縮こまっていた彼の心に,なにくそという反撥心が芽生える。その様子がおもしろおかしく活き活きと描かれる。他にも随所に読ませる文章がちりばめられている。彼の読書量がしのばれる。  数学を志したとはいえ,作家の両親をもつだけあって,読書の習慣が身に付いていたのだろう。彼の父新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を昔読んだが,とてもよかった。日露戦争前夜,北の大地での闘いを想定して,青森の聯隊に所属する一個大隊二百十人が八甲田山で冬の行軍訓練をおこなう。土地のひとの忠告も聞かず,十分な準備もなく強行された訓練。悪天候で道を失った結果,ほぼ二百の将兵が凍死体となった史実に沿った作品だ。両親の書斎にある厖大な数の書籍,少年正彦はむさぼるように読んだのだろう。  彼の保守的・愛国的な考え方は三十を前にしてすでに固まっていたようだ。この本でも,アメリカを歴史のない国,人種も価値観も多様でまとまりに欠ける国というように観察し,なんでこんな国に戦争で負けたんだ?と自問する。日本の文化を誇りに思い,日本人であることを自分のアイデンティティの根本に位置づける。異国の地で異人とわたりあってやっていくのには,このような考え方は実際に有用なのだろう。日本にいるとあまり意識しないが,何となく分かる気がする。今は海外でも多くの日本人が活躍しており,日本の認知度も高くなっているだろうが,当時がはるかに厳しい状況だったことは想像に難くない。  この本には研究内容のことはほとんど出てこない(一般向けなのであたりまえだが)のだが,同僚の人物像,数学者の生態などについては結構書いてあっておもしろい。論文製作競争の弊害についても大きくふれていた。特にアメリカでは研究者間の競争が激しく,限られたポストを巡って,推薦を得るために論文を生産し続けなければならない。論文を評価するのに質で十分な評価ができればよいが,事実上それは困難で,どうしても論文本数による評価に傾いてしまう。結果,意義の少ない論文が濫発され,大量の情報が玉石混淆のまま蓄積され,研究の進歩が阻まれる。どこかで聞いたような話だ。  古い本を読むと時代を感じる。十章からなるこの本には「太陽のない季節」と題された章がある。彼が最初に在籍したミシガン大学の冬,北部の日の短さ,憂鬱な天候と,ホームシックにかかってふさぎこむ彼の気持ちが描かれている。この章の題はもちろん,現都知事による小説「太陽の季節」のパロディなのだが,私にわかったのはそれだけ。住む時代も異なり,石原の小説を読んだこともない私には,文章表現や内容にそれ以上の含蓄があったとしても知ることはできない。三十年前に読んだ人には伝わったが,今となっては読み取れない何かがきっとあるだろう。テクスト(書かれたもの)の意味は決して固定しているのではなく,時代や環境,読む人のそれまでの経験や思考様式によって様々に変わりうる。よく言われることだが,その一端を感じた。  藤原にしろ養老にしろ,理系の学者が社会・人生など専門外のテーマで一般向けにものを書くことがしばしばある。内容には些細なところで疑問なこともあるが,専門一辺倒でなく,確乎とした視点をもっていろいろとものを考えているのはさすがだとおもう。彼ら世代が学生だった頃は,大学で何を専門にするかにかかわらず一般的な教養を身につけていることは当然だったというが,わが身を振り返るとはなはだ心もとない。もうすこし教養をしっかりやっとくんだった。それで今さらながら啓蒙書の類を濫読している。

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2011/10/09

あるあるネタの宝庫と言ってもいいと同時に、アメリカに今も留学している自分が知らず知らずのうちに見失ってたモノを教えてくれた貴重な本。

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2012/04/02

基本的に藤原先生は文章が面白い。 描写は丁寧でジョークや多少の自虐ネタも効いている。 紀行物としても楽しめるし、数学助教授という特殊化した職業ならではの生活も興味深い。 時には生真面目に、時には道化のごとく先生自身を描写した文章からは、堅苦しい数学者の印象から離れた、親しみやすい...

基本的に藤原先生は文章が面白い。 描写は丁寧でジョークや多少の自虐ネタも効いている。 紀行物としても楽しめるし、数学助教授という特殊化した職業ならではの生活も興味深い。 時には生真面目に、時には道化のごとく先生自身を描写した文章からは、堅苦しい数学者の印象から離れた、親しみやすいセンセーが頭に浮かび上がる。 藤原先生といえば、その愛国精神は世間から賛否両論の対象となる。 本作にもいくつかの部分でその精神を基底とした意見と思われる文章がある。 僕もそれに全面同意することはない(正直癪に触ったこともある)。 特にアメリカ人を「故郷を失った人々」と捉えるのは、僕には理解し難い。 どうしても「感性に訴える」という方法の効用は、年齢や人生経験の差と反比例するような気がする。 しかし、面と向かって反論をするに足る力が僕にあるわけではないし、これはこれで「新しい考え方を知ることができた」と肯定的に捉えることにした。

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2011/09/02

どこかで若いうちに読むべき文庫100選みたいなのに載っていて,それが頭の片隅に引っかかってて読んだ本.結果としては読んで良かったかなと.あまり数学の知識とか要らないですし多くの方に読んでもらいたい.英語とか勉強するのも大事ですが,その前に日本観というかそういうものを養うべきだなと...

どこかで若いうちに読むべき文庫100選みたいなのに載っていて,それが頭の片隅に引っかかってて読んだ本.結果としては読んで良かったかなと.あまり数学の知識とか要らないですし多くの方に読んでもらいたい.英語とか勉強するのも大事ですが,その前に日本観というかそういうものを養うべきだなと感じます.

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