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暗闇坂の人喰いの木 の商品レビュー

3.9

126件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    47

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2018/08/02

まず題名からして横溝正史へのオマージュという感じだし、ジェイムズ・ペインの地下室は明らかに乱歩のエログロ趣味を意識したもの。 この作品を以ってして島田氏は本格の巨匠として名を残すことに挑戦したのか? そうだとすればこの一作が未来永劫読み継がれていく名作だとは思わないが、面白かっ...

まず題名からして横溝正史へのオマージュという感じだし、ジェイムズ・ペインの地下室は明らかに乱歩のエログロ趣味を意識したもの。 この作品を以ってして島田氏は本格の巨匠として名を残すことに挑戦したのか? そうだとすればこの一作が未来永劫読み継がれていく名作だとは思わないが、面白かったのは事実。 しかしメインのトリックが大掛かりであればあるほど、陳腐な印象を受けるのが現代の本格である。その一点のみで五ツ星をつけられないのがどうにも勿体無い。

Posted byブクログ

2018/07/30
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島田先生、一体どうしたの? 「占星術殺人事件」「奇想、天を動かす」を書いた同じ作家とは思えないクオリティの低さ。 流行作家になると、牽強付会な展開でも筆力でなんとかなると過信しすぎたのか? 全体を通じて作者のご都合主義が散見されるが、後半が特にひどい。 御手洗が真相にたどり着きそうになると、なぜか出し惜しみ。 「僕は疲れている、話はあとだ」(P521) さらに、「それ(真相)は、後にしよう、石岡君。僕らの付き合いも長い、説明は最後にまとめてやる主義なのを知っているだろう?」(P540) 「たまには、謎が残る事件があってもいいんじゃないかい?」(P553) 真相を知りたがる警察にも、「なぜそれを門外漢の僕などにお聞きになるんですか?」(P556) こうした謎解きを逡巡したわけは、生き残ったレオナがマスコミの格好のスキャンダル報道の餌食となり自殺してしまわないようにと、とってつけたような理由を最後に述べていますが、石岡君にだけにでも解説するのは問題なかったはず。(実際の謎解きは、事件の後1年半後です) また、大楠の幹のダミーに気づいた石岡に対して、「やっと解ったのかい?石岡君」(P597)って、ずっと悩んでいたはずの御手洗はいつからわかっていたのだろう? さらに「巨人の家」は結局、山崩れで防空壕が横倒しになったものなのだが、そもそも使い勝手の悪そうな設計ゆえに、してやられた感がない。(P609) 全体のトリックもさえないし、展開自体も肝心の謎解き出し惜しみのオンパレード、真相にたどり着いてたんならさっさと言えよ、と不満ばかりが募りました。

Posted byブクログ

2018/06/13
  • ネタバレ

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2018.6.13 御手洗シリーズ6作目。 暗闇坂にそびえる大楠の周りで起こる時代錯誤の様々な事件が、ラスト一気に解決される。スコットランドの事件にも及ぶスケール。 犯人は殺された兄弟の母親。殺人鬼であるスコットランド人の夫の遺伝子を絶やすため、自分の子供を手掛ける。末っ子松崎エレナのみ生き残る。今後シリーズで出てくるらしい。 事件が様々あるが、おおむねロープと偶然の産物。 途中、死刑や打ち首の詳細説明あり。写真やイラスト付きで嫌な気分引きずった。 本が分厚い。その分読むのに時間がかかった。もう6作目だというのに、飽きる気配全くなし。御手洗ロスによる禁断症状が出る始末。こんなに分厚いのに最後の最後にドドドと種明かしも変わらず。けれど、前半、中盤がいやになることなく読めた。一旦離れて禁断症状作るの重要だと思った。 事件や雰囲気が全体的に暗くて重い。トリックがロープと偶然頼りなのは少し気になるけれど、事件の怪奇性を出すには仕方ないかな、と納得。 今回も御手洗と石岡君のじゃれつきは健在。ありがとう。 ただ・・レオナがこれからもシリーズに関わってくるのはう~~~~ん。ただの妬みか。 最初あんなに嫌ってたのに御手洗サン。という感じ。 ロス健在。早く次を読まねば。

Posted byブクログ

2018/04/04
  • ネタバレ

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(御手洗シリーズを順番に読んでるヒトの感想です) スケールの大きな事件だった。40年以上前から始まって、国もスコットランドと日本に股がって。 卓氏、譲氏の死体発見現場のような、計画が狂って生まれた偶然の産物っていうの、けっこう無謀な殺人計画だと「そんな上手く行く?」と思っちゃうので賛成なんだけど、御手洗シリーズでは常套化してて、「またか」と思っちゃったのは否めない。 (譲氏が大楠にささったのは勢いついてたからなのかな) あと、まぁ全体がちゃんと説明ついてたけど、ちょっと強引というか、スッキリしなかった。 大楠の幹が作り物でした、とかちょっとズルイ。 物語の進行がダラダラ気味で、同じ内容でも整理すればここまで長くならずに済んだんじゃないかな。 御手洗シリーズで読んでて飽きたのこれが初めてだった。読み終わったら、すぅーっと印象が消えていった感じだった。 あと、真相が語られるところで、口頭の説明で状況を想像するのがなかなかに困難だった。小説だから図解がないことに異論はないけど、自分の想像力が限界だった。 地下室の壁画が未来予想図みたいな図様なの、綾辻さんの『水車館の殺人』を思い出した(どっちが先だろう…)。 ペイン氏は、美少女に執着する性癖なんだね。もしかしたらレオナが妙齢に成長したら手にかけてたかもしれないから、八千代氏はレオナを守った形になったんじゃないかな。 御手洗はカッコいい。石岡くんとのコンビも変わらず良かったし、御手洗の優しさは今回も効いてた。 スコットランド旅行記、石岡くんの初海外の感動が良く出てて読み物として面白かった。 レオナと御手洗が並んだらホントに美男美女だろうなぁ。

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2018/02/24
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島田荘司は大好きだし作品も好きだけど、奇想、天を動かすや、本作といいファンタジーを膨らましすぎてちゃんと回収出来てない感はある。

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2017/09/07
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670ページもあるけどおもしろくてぐんぐん読めた。 猟奇的な登場人物から語られる拷問の話もおもしろかった。 初めて読んだ島田荘司は『異邦の騎士』だったけど、御手洗シリーズという意識があまり無いまま本作品を読んだから、「この語り部があの青年?!」と驚きつつ喜びを感じた。

Posted byブクログ

2016/10/21

最初は あまりの描写に眉をひそめていました。 後半からのトリックの突拍子もない展開に話に入り込み、気付けば犯人の心情を何も考えてなかった自分に‥ 考える暇を与えなかった、スピード感に脱帽です。

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2016/10/13

島田荘司はお初。知り合いからいただいて。御手洗シリーズ。 面白くて2日で読み終えた。舞台は横浜で横浜出身者としては読んでて面白かった。 現実的なのか非現実的なのかよくわからないミステリー。まぁモチーフである人喰いの木がそうさせるんだけど。でも面白いは面白かった。分厚いけど、読...

島田荘司はお初。知り合いからいただいて。御手洗シリーズ。 面白くて2日で読み終えた。舞台は横浜で横浜出身者としては読んでて面白かった。 現実的なのか非現実的なのかよくわからないミステリー。まぁモチーフである人喰いの木がそうさせるんだけど。でも面白いは面白かった。分厚いけど、読ませるだけのスピード感はあった。 京極夏彦先生の京極堂シリーズに近い感じがした。でも京極先生と比べると、なんとなくプロットの捻りに重点が置かれ過ぎてて、人間模様の濃さに欠ける感じがしたかな、、 誰にも感情移入ができなかった。。残念。

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2016/10/13

これを読み終わった時最初に思ったことといえば、 『御手洗はいくら友人だからって石岡さんの耳元に囁きすぎでは…?』 ということでした。いえ、決して心が穢れているわけではないはずなのですが……。 島田荘司さんの御手洗シリーズを好きになって以来、 少しずつ読み進めているのですが、この本...

これを読み終わった時最初に思ったことといえば、 『御手洗はいくら友人だからって石岡さんの耳元に囁きすぎでは…?』 ということでした。いえ、決して心が穢れているわけではないはずなのですが……。 島田荘司さんの御手洗シリーズを好きになって以来、 少しずつ読み進めているのですが、この本で初めてそんな事を 思ってしまいました。 なんかいつも耳元で喋っている……。なんなの? 距離が近すぎじゃないの?左折で巻き込まれたいの? バカなことはこれくらいにして、非常に刺激的な内容でした。 推理小説を読むつもりで開いたのに、まさかモノクロで遠目とはいえ 刑場の生首写真や、西洋の拷問を描いたイラストの数々を 目にすることになるとは! そうした、人間はどこまでも恐ろしい・おぞましい事も出来るのだという 一種の業とでも言うべきテーマが本作の核なので、 これは衝撃的だけど大切な描写だと思います。 あとは、御手洗シリーズの中でも序盤を越えて 書かれた作品だからでしょうか? 探偵と助手の間の人間関係がいい具合にこなれていて、 お互いの思考や嗜好を分かってるな~!となるシーンがあって、 そこが物語の本筋とは違うところで楽しかったです。 スコットランドの旅の部分も面白い。 これは島田さんがご自分で取材旅行に行かれたのでしょうか? 知らない土地の物珍しさ、ワクワク感……景色から感じたものなど、 とても想像だけで書かれたとは思えない旅情感がしみじみとして、 スコットランドに行ってみたくなってしまいました。

Posted byブクログ

2016/08/12

御手洗シリーズは、頭の中で消化するのに時間がかかるせいか読み終えるのも時間がかかりますが、これは今までになく長くかかりました。もちろん本自体も分厚いので仕方がないのかもしれませんが。 トリックそのものの是非はともかく、スコットランド、昭和の戦前戦中戦後とをつなぎ、一本の大楠とそこ...

御手洗シリーズは、頭の中で消化するのに時間がかかるせいか読み終えるのも時間がかかりますが、これは今までになく長くかかりました。もちろん本自体も分厚いので仕方がないのかもしれませんが。 トリックそのものの是非はともかく、スコットランド、昭和の戦前戦中戦後とをつなぎ、一本の大楠とそこにまつわるエピソードによって起こった膨大なる事件の種明かしをやってのけた御手洗。 枯れることなく立ち続ける大楠の存在感を印象付ける話でしたが、途中の拷問話の時にちょうど朝食を食べかけていて、やめればいいのに最後まで読み切って気分が悪くなったのはこの私です。 暗闇坂自体は実存するんですね。

Posted byブクログ