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失敗の本質 の商品レビュー

4.2

613件のお客様レビュー

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2011/01/24

2010年1月追記 東郷平八郎は、日露戦争勝利後の連合艦隊解散の訓示にて「…たとえ戦いは終わったとはいえ、安閑としてはおれないような気がする。考えるに、武人の一生は戦いの連続であって、その責任は平時であれ戦時であれ、その時々によって軽くなったり、重くなったりするものではない。こと...

2010年1月追記 東郷平八郎は、日露戦争勝利後の連合艦隊解散の訓示にて「…たとえ戦いは終わったとはいえ、安閑としてはおれないような気がする。考えるに、武人の一生は戦いの連続であって、その責任は平時であれ戦時であれ、その時々によって軽くなったり、重くなったりするものではない。ことが起これば戦力を発揮するし、事がないときは戦力の涵養につとめ、ひたすらにその本分を尽くすことにある。…われ等戦後の軍人は深くこれらの実例を省察し、これまでの練磨のうえに戦時の体験を加え、さらに将来の進歩を図って時勢の発展におくれないように努めなければならない。...神は平素ひたすら鍛練に努め、戦う前に既に戦勝を約束された者に勝利の栄冠を授けると同時に、一勝に満足し太平に安閑としている者からは、ただちにその栄冠を取り上げてしまうであろう。昔のことわざにも教えている「勝って、兜の緒を締めよ」と。」と述べている。 その後、日本はソビエトへの恐れを抱いたまま軍拡を図るも、”将来の進歩を図って時勢の発展におくれないように努めていたかどうか”は疑問である。 現在NHKで「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」という特集が放送されている。「失敗の本質」は、大東亜戦争における主要な作戦の失敗にフォーカスしているが、NHK特集では、戦争に至るまでの失敗にフォーカスしている。戦争の20年以上前から失敗にむかう崩壊が始まっていたことは衝撃的である。 NHK特集でも組織の問題がクローズアップされている。組織全体ではなくセクションの最大化を優先、縦割り、内向き、先送り、派閥抗争、その場しのぎ、希望的観測、戦略の欠如・・・今の企業でも同じことが起こっている。 組織は固定化すれば自己の最大化に走り、全体との方向が合わなくなる。逆に全く固定しない状況が続けば、混乱が生じ、求心力を失い、派閥などの抗争を生む・・・ 少なくとも目線は、内部ではなく外部に向けなければならない。 特に集団主義の日本人は、この過ちを犯しやすい民族なのかもしれない。 ****************************************** 読み進める中で「胸がしめつけられる」感覚を何ども味わった。 大東亜戦争における日本軍のあまりに無謀な思考、行動、そして無惨な最後にあらためて愕然としたこともあるが、これら史実における失敗は大東亜戦争における日本軍に限ったことではなく、現代の身近なビジネスの世界でも同様の思考、行動、失敗が いまだ存在していることがよくわかったからだ。 途中、途中で読書が止まってしまう。。。 悔しさ、無念さ、残酷さ、愚かさ、成功体験の怖さ、相手の力の見極め、不成功の考慮、目的共有の重要性・・・ これらは戦時だけではなく、身近にあるが故にこわさを感じるし、胸にひびく。 過去の成功体験への過剰適応、過剰適応は適応能力を締め出し、自己否定が不能となり、誤りを的確に認識できず、無用もしくは有害となった知識の棄却ができなくなるなど、自己革新能力を持つことができなかった・・・ 過去にやったことを正当化し、結局あとで痛い目にあったなどということは誰しもが経験していることであろう。 外部よりも内部の事情を優先し、結局共倒れになったということもあろう。 行いの正しさではなく、声の大きな者が勝つというのは日常的に見られるが、何が正しいかを常に自問する真摯な態度を持ち続けることができるか? 負のスパイラルに突入すれば、結局痛い目にあわぬ限り、取り返しのつかない状況に至るまでブレーキが利かない集団心理の恐ろしさをあらためて痛感させてくれる・・・ そんな貴重な本だ。

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2010/09/24

大東亜戦争を題材にした日本人論。 勝つ見込みのない無謀な戦争に突入したことが問題とされる大東亜戦争ですが、本書は開戦後の日本軍を分析する。 私にとっては新しい視点でした。

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2010/09/12

太平洋戦争(本文中は大東亜戦争。確かにこっちのほうが実体をあらわしてますね)の重要局面で日本軍がおかした戦略的・戦術的な失敗を組織の面から分析した本です。執筆者の中には、ナレッジマネジメントの大家・野中郁次郎先生もいます。防衛大学校の先生をしてらしたんですね。 明確な目的を持た...

太平洋戦争(本文中は大東亜戦争。確かにこっちのほうが実体をあらわしてますね)の重要局面で日本軍がおかした戦略的・戦術的な失敗を組織の面から分析した本です。執筆者の中には、ナレッジマネジメントの大家・野中郁次郎先生もいます。防衛大学校の先生をしてらしたんですね。 明確な目的を持たないまま立案される戦略、場の空気で流される意思決定、場当たり的でインクリメンタルな戦術、組織内での情報共有の不十分、情報戦略の過小評価、過去の成功体験による過剰学習、視野狭窄的な思考フレームワーク……。そうしたひとつひとつの要因がすべて状況の変化に対応できない状況をつくりだして、日本軍を壊滅においやっていきます。そして、分析対象は当然旧日本軍ですが、これはまさに失われた10年の日本企業研究といってもいいくらい、かつての典型的な日本企業とかぶる気がします。 確かに、上のような特質があっても、安定的に成長を続けてきた時代(=平時)であれば、問題にならなかったかもしれません。だいたいの方向性はわかっているから明確な目的を持たなくても、場の空気でみんなが同じ方針を共有できた。過去の成功事例をもとにすればたいていのことはうまくいったし、優秀な現場担当者によるインクリメンタルな戦略もかえって成功の種をまく結果になった。 でも、不確実性が高まって明日もわからない状況(=戦時)だと、平時では隠れていた問題が一気にでてくる。そんな状態ではだれも場の空気だけでは方針を共有できないし、それだから現場がインクリメンタルに行動しても場当たり的なもので終わってしまう。そうやってどんどん坂道を転がり落ちるようになってしまったのが、旧日本軍であり、90年代以降の日本企業だったりするんでしょう。しかも、いままでそれでうまくいってたから、どうしてうまくいかなくなったのか、なにがだめなのか、自分たちではわからない。そうして、長いこと苦しみ続ける結果になってしまった、と。 戦争は外からのアドバイスなんてないですが、企業だったら内側からじゃ見えない問題点を、外側から見つけ出し改善策を見つけることは可能です。企業のつまづきの事例として、とても考えさせられ参考になりました。

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2010/10/01

【新聞→ネット】 もっと早く読んでおけば良かった。 組織とは自己革新型を目指すべき、というのが結論と言える。日清、日露の成功体験に自己革新を怠ってしまったことが、大東亜戦争での敗北を招いたと。

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2010/08/09

手元に置いて、何度も読みなおす価値のある本です。 読み直す度にいろいろ気付かせてくれます。 残念ながらこの本で紹介されている失敗のフレームワークは、今の組織や社会の身近なところから国レベルまでいたるところで見つけることができます。 戦いの研究という表面の層、失敗に至った組織論...

手元に置いて、何度も読みなおす価値のある本です。 読み直す度にいろいろ気付かせてくれます。 残念ながらこの本で紹介されている失敗のフレームワークは、今の組織や社会の身近なところから国レベルまでいたるところで見つけることができます。 戦いの研究という表面の層、失敗に至った組織論という二番目の層、失敗しないためにはどうするかという三番目の層、、、、と深く読める本です。また、深く読まないとこの本の価値は見いだせません。

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2010/06/24

この本から学んだことについて、「自分が行動する際に反映させるならどうするか?」を考えると良いと思います。この本は一読の価値が高いと思います。

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2010/06/19

#Today'sBASiCS @uretama 旧日本軍の組織構造から敗戦要因を分析した『失敗の 本質』という本も、戦術の失敗は戦闘で、戦略の失敗は戦術で取り戻せないと書 いてました。同様の失敗は無数に繰返されてますね…二千年前に存在していたらBASiCS は「聖書」と...

#Today'sBASiCS @uretama 旧日本軍の組織構造から敗戦要因を分析した『失敗の 本質』という本も、戦術の失敗は戦闘で、戦略の失敗は戦術で取り戻せないと書 いてました。同様の失敗は無数に繰返されてますね…二千年前に存在していたらBASiCS は「聖書」と呼ばれてたかも。

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2010/05/22

ノモンハンやインパール作戦など、太平洋戦争における日本軍のフォローしようがない失敗についての分析。 空気による絶対的支配が組織を硬直化させ、論理的思考能力、健全性、パラダイムシフトの可能性を破壊する実例となっています。 現代でも、安易にガラパゴス的なものを良しとする辺り、あの戦...

ノモンハンやインパール作戦など、太平洋戦争における日本軍のフォローしようがない失敗についての分析。 空気による絶対的支配が組織を硬直化させ、論理的思考能力、健全性、パラダイムシフトの可能性を破壊する実例となっています。 現代でも、安易にガラパゴス的なものを良しとする辺り、あの戦争から何も学んでいないようにも思えます。 論語の狂狷の話を思い出しましたが、辻・牟田口とウィリアム・ミッチェルの違いがあるとしたらどこなのか?また、それを踏まえた上で、組織はいかにあるべきかを冷静に検討しなければならないでしょう。 それが出来なければ、またこのような愚劣な失敗が繰り返されるでしょう。

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2017/10/21

風呂場で20日もかけ、ちまちま読み進めて、どうにかやっと読み終えた。感想としては、とりたてて考え深いものもなければ、新しい発見があった分けでもない。全ては常識の範疇なのだが、それが分からなくなっている状態を作り出すのが、戦争なのだ。 昨日読んだ、『国家破産サバイバル読本[上]』...

風呂場で20日もかけ、ちまちま読み進めて、どうにかやっと読み終えた。感想としては、とりたてて考え深いものもなければ、新しい発見があった分けでもない。全ては常識の範疇なのだが、それが分からなくなっている状態を作り出すのが、戦争なのだ。 昨日読んだ、『国家破産サバイバル読本[上]』の、第三章裏扉のページにダーウィンの言葉があった。「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるのでもない。唯一生き残るのは変化できる者である。」国家はもちろん、個人にも当てはまる。変化を嫌うのは組織の長老なのだ。家庭ではおやじになるのか、ふんどしを引き締めよう。いやいや、頭を柔軟に(笑

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2010/05/06

成毛眞さんオススメの名著。 現代組織の在り方を日本軍の失敗の本質的な分析からひもとく。テーマは旧日本軍なのに、戦史研究が目的ではない。むしろ、組織論、経営学、意思決定、リーダーシップなどの分野におけるプロが執筆チームを組んでおり、アプローチとしては非常に興味深い。 「日本...

成毛眞さんオススメの名著。 現代組織の在り方を日本軍の失敗の本質的な分析からひもとく。テーマは旧日本軍なのに、戦史研究が目的ではない。むしろ、組織論、経営学、意思決定、リーダーシップなどの分野におけるプロが執筆チームを組んでおり、アプローチとしては非常に興味深い。 「日本軍は、各々の作戦において、組織として戦略を策定し、組織としてこれを実施し、結果的に組織として敗れたのである」 失敗の分析から得られた教訓は、どれも示唆に富んでおり、現代社会の日本人や日本企業の体質をそのまま浮き彫りにしていて、会社の状況にあてはめてもまったく違和感がない。(・・・ってことはちっとも進歩していないということ!?) いずれにしても、一度は読んでおくべきmust read本であることは間違いない。

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