項羽と劉邦(上) の商品レビュー
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――智は大切なものだ。 項羽は、范増をからかうようにいったことがある。 ――ただし智というのは事後処理に役立つだけで、勝敗そのものに役立つわけではない。と頭から信じているようであった。 項羽のこの気力に対する信仰は、彼を教えた項梁からひきついだものでないことは、項梁がむしろ智者の煩わしさを持っていたことでも察せられる。項羽はどうしようもなく項羽そのものであった。項羽の武人としてのすべては天性というほかない。しかもかれのおもしろさは自分の天性に対し、他とくらべてのひるみもうしろめたさも持たず、むしろ楚人一般が鬼神を信ずること甚だしいように、かれ自身、ごく自然に自分の天性の中に鬼神を見ているということであった。見る以上の自然さでそれを信じ、あるいは信じていることすら気づかないほどに項羽が項羽として天地の間に存在しているというぐあいで、范増の人間分類の方法では、こういう人間をどうあつかっていいのか、いっそ人間の範疇の外に置くか、ともかくも戸惑ってしまう。(まあ、小僧なのだ)范増はそのように自分に言いきかせて、項羽との接点を強いて仮設している。(わしがたすけてやらねば、どう仕様もあるまい)
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北方謙三の 三国志を読んだ勢いで 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を読み始めた。 北方謙三的な 活劇 の部分は 抑制されていて、 その時代背景を掘り下げていく 方法は なかなか、なじめないものがあった。 物語は 躍動的であるはずなのだが、 どうも、訳知りの知識者が 語っているようで、...
北方謙三の 三国志を読んだ勢いで 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を読み始めた。 北方謙三的な 活劇 の部分は 抑制されていて、 その時代背景を掘り下げていく 方法は なかなか、なじめないものがあった。 物語は 躍動的であるはずなのだが、 どうも、訳知りの知識者が 語っているようで、 入り込めない。 劉邦が 何となく、かわいいが、イメージは 竜馬に 似ている感じがする。 無頼な所もあって、人を惹き付ける魅力がある。 項羽は たしかに 武闘派で 背も高く 闘いのチカラもあるが、どうも、活躍する場面が 戦闘の場のシーンはおさえられている。 それにしても、生き埋めや 20万人の虐殺など スケールは やはり大きいと言えそうだ。 この上巻の 中心人物は 宦官である趙高 だろうね。 理想をもち あやつり そして 自分の権力を 誇示し、中枢となる。 しかし、戦が よくわからないことが 致命的で、 情報は、集中し、集約するが、その価値は良くわからない。 それに操られる 始皇帝の息子 胡亥。 優秀なる 将軍 章邯は、陳勝の 手紙に心をゆさぶられる。 範増が 不思議な老人で 戦略家 というのが いいねぇ。この老人の活躍が 物語を支える。
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これは面白いですね。 人を率いるのがどういう人間か、組織の中でリーダーはどう振舞うべきか、リーダーでなければどういう役割があるのか。 戦略論として、弱者はどう戦うべきなのか、強者は。 いろんな示唆に富んでいます。 紀元前の昔に、何十万人もの人間を一人が率い...
これは面白いですね。 人を率いるのがどういう人間か、組織の中でリーダーはどう振舞うべきか、リーダーでなければどういう役割があるのか。 戦略論として、弱者はどう戦うべきなのか、強者は。 いろんな示唆に富んでいます。 紀元前の昔に、何十万人もの人間を一人が率いていたというのは、にわかには信じがたいですが・・・。個人的には、周りの人間や組織を見ると、数百人でも治めるのは大変でしょうから。 それと、司馬遼太郎はものすごいですね。なんでそんな昔のこと、知っているの? 見てきたの?とまるで子供のような感想が出てきます。
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司馬さんが書くお話は、読者がひとり物語の中に入り込むのではなくて、淡々と語る司馬遼太郎という語り手の講釈に私たちが耳を傾けている…という感じを受ける。それがイマイチ苦手だったのだけど、なんでだろう。本作はわりとのめり込んで読んでしまう。 項羽のかっこよさが際立つ上巻だったけど、...
司馬さんが書くお話は、読者がひとり物語の中に入り込むのではなくて、淡々と語る司馬遼太郎という語り手の講釈に私たちが耳を傾けている…という感じを受ける。それがイマイチ苦手だったのだけど、なんでだろう。本作はわりとのめり込んで読んでしまう。 項羽のかっこよさが際立つ上巻だったけど、語り手・司馬遼太郎により、どこか脆さや崩壊の予感が匂わされている。ここから劉邦がかっこよくなってくるとのことなので、楽しみ!今のところ全然かっこよくないぞ劉邦〜
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今、CSでドラマを放送していてそれが面白く、司馬先生が項羽と劉邦の本を出していると知って、早速読んでみた。上巻だからまだそんなに物語は動いていないけれど、紀元前に国盗り合戦や国を統一して立憲君主制を取った中国って、すごい!続きが楽しみ。
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紀元前3世紀末の中国で起こった楚漢戦争が題材。ごろつき同然だった劉邦がいかにして猛将項羽を倒して前漢の初代皇帝になったのか。大勢の登場人物による争いに次ぐ争いが描かれるが、丁寧な記述のおかげで混乱することなく読み進められる。 上巻では、中国を統一した秦の始皇帝の圧政とその影響、...
紀元前3世紀末の中国で起こった楚漢戦争が題材。ごろつき同然だった劉邦がいかにして猛将項羽を倒して前漢の初代皇帝になったのか。大勢の登場人物による争いに次ぐ争いが描かれるが、丁寧な記述のおかげで混乱することなく読み進められる。 上巻では、中国を統一した秦の始皇帝の圧政とその影響、そして始皇帝亡きあとに勃発する反乱の様子が克明に記されている。それにしても、20万人もの兵士を一夜にして穴埋して虐殺するなんて。戦いに負けることの恐ろしさ、非情さに身震いが止まらない。
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やっぱり、小説家ってすごいな、と思わされた。 項羽や劉邦がどんな弱みがあって、どんな人間的な魅力があったかが伝わってくる。 たとえそれが司馬遼太郎の個人的な解釈であったとしても、やはり興味は尽きない。 趙高の暗躍で秦が滅んだことも、これまでに学者の本で読んでいると思う。 でも、...
やっぱり、小説家ってすごいな、と思わされた。 項羽や劉邦がどんな弱みがあって、どんな人間的な魅力があったかが伝わってくる。 たとえそれが司馬遼太郎の個人的な解釈であったとしても、やはり興味は尽きない。 趙高の暗躍で秦が滅んだことも、これまでに学者の本で読んでいると思う。 でも、「小説」として読んだ今回の方がずっとそれぞれの姿が頭に残った。 そう、この作品は、まだ「小説」的に楽しめる。 小説か、論文か、エッセイか・・・?と戸惑ってしまう「空海の風景」とは様子が少し違う。
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自身無双を誇り、その軍も当たるところ敵なしだったにも関わらず、最後には滅びてしまった項羽。一方で、何度も敗走を繰り返しながらも、最後には天下を取った劉邦。 結局、強さだけでは駄目で、もっと別な力(魅力)が必要。
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大阪外国語大学卒業生、『言葉』の説明、それが人々にどのように浸透していったか、どのような思いで人々が口にしたかをとても丁寧に書いています。 秦の始皇帝からその裏にいた人物、秦を倒そうとした人、それに乗っかろうとした人まで描写も上手く、感情移入したり、好きになったりできる人物が1...
大阪外国語大学卒業生、『言葉』の説明、それが人々にどのように浸透していったか、どのような思いで人々が口にしたかをとても丁寧に書いています。 秦の始皇帝からその裏にいた人物、秦を倒そうとした人、それに乗っかろうとした人まで描写も上手く、感情移入したり、好きになったりできる人物が1人はできます。 私は沛の村の人々が好きでした。 章邯のこと、それまで好きになれなかったのに、上巻最後の 「章邯の心をにわかな悲しみが襲い、しばらく少女のように泣いた。」 で一緒に泣きそうになりました。 司馬さんの人に対する愛情の表れでしょうか。 中巻で項羽と劉邦、その周りの人がどのように動くのか、楽しみです。
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「自分に仇なす者については、表面は笑顔でつきあっているが、相手の隙を見てひそかに復讐したりした。」 宦官は人間ではないと考えられた時代。その宦官が陰謀を巡らし、秦を乗っ取ろうとするところから話が始まる。 項羽、項梁、章邯、劉邦が活躍した。 劉邦、項羽ともに若い頃から周囲を魅了...
「自分に仇なす者については、表面は笑顔でつきあっているが、相手の隙を見てひそかに復讐したりした。」 宦官は人間ではないと考えられた時代。その宦官が陰謀を巡らし、秦を乗っ取ろうとするところから話が始まる。 項羽、項梁、章邯、劉邦が活躍した。 劉邦、項羽ともに若い頃から周囲を魅了する力を持ち、それが時の流れとともに磨かれていく。当時の英雄は、流民の食欲を満たせるものであり、それができないとただの人に転落する。
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