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悪女について の商品レビュー

4.2

212件のお客様レビュー

  1. 5つ

    86

  2. 4つ

    57

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2022/01/15

謎の転落死を遂げた女性実業家について、彼女の周りの27人が語る。夜学の同級生、幼馴染、別れた夫の親、アパートのご近所さん、執事、宝石職人、息子たち、、。ひどい災難、悪の権化、善人、心が美しい方、天女、語られるたびにイメージが変わる。 本人目線で直接語られるより、他者から語られる...

謎の転落死を遂げた女性実業家について、彼女の周りの27人が語る。夜学の同級生、幼馴染、別れた夫の親、アパートのご近所さん、執事、宝石職人、息子たち、、。ひどい災難、悪の権化、善人、心が美しい方、天女、語られるたびにイメージが変わる。 本人目線で直接語られるより、他者から語られる方が、ひとの本当の姿なのかも、と思いました。

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2022/02/19

とても面白かったです。 グイグイ引き込まれ、あっという間によんでしまいました。 人物描写が本当に巧いです。 最近読んだ本がどれもエログロバイオレンスのような内容で辟易していたところ、こちらは全くそのような描写もなく、中身のある小説で大変楽しめました。 物事しかり人も、見る人に...

とても面白かったです。 グイグイ引き込まれ、あっという間によんでしまいました。 人物描写が本当に巧いです。 最近読んだ本がどれもエログロバイオレンスのような内容で辟易していたところ、こちらは全くそのような描写もなく、中身のある小説で大変楽しめました。 物事しかり人も、見る人によって全く違う印象になるということを伝えてくれる素晴らしい作品でした。 またこれが40年前の作品ということで、驚きました。文章を古臭く感じることが一切ないので不思議です。

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2021/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

周りの人間に語られるっていう形式もいいし、キャラもいいし、結局はっきりした結論が出ないところもいい。

Posted byブクログ

2021/09/25

お公、強烈! よくもまあ、話の辻褄を合わせて人を懐柔するのが上手いこと。 しかも人によって使い分けてるのも見事としか言いようがない。 まるで、いくつもの仮面を持っている女優のよう。 女って怖いなぁ。(私も女だけれど…) でも彼女にハマった男たちも、自業自得的なところがあるから、...

お公、強烈! よくもまあ、話の辻褄を合わせて人を懐柔するのが上手いこと。 しかも人によって使い分けてるのも見事としか言いようがない。 まるで、いくつもの仮面を持っている女優のよう。 女って怖いなぁ。(私も女だけれど…) でも彼女にハマった男たちも、自業自得的なところがあるから、後ろめたいことが多ければ多いほど、公子に利用される感じがした。 お子さまが思ったよりもまともに育ったみたいだから、そこが救いかな。 この話はあくまで周りの関係者がヒロインを語るっていう形式で成り立っているけれど、公子視点の本音や計画をちょっと聞いてみたい気もする… ページ数はあったけど、なんだかんだ飽きることなく読んでしまった。 もし公子が実在したら、彼女の術中にまんまとはまってしまうんだろうなぁ。 「まああ。」っていう口癖、ハマりそう…笑 悪女の第一歩かしら?

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2021/09/03

 1978(昭和53)年刊行。どういうわけか、この古い昭和の小説が最近書店でクローズアップされているようだった。何か出版社の思惑があるのだろう。  富小路公子という死んだ主人公をめぐって、27人の人物が順に証言してゆくという構成で、なかなか面白くよく出来ている。様々な角度からの証...

 1978(昭和53)年刊行。どういうわけか、この古い昭和の小説が最近書店でクローズアップされているようだった。何か出版社の思惑があるのだろう。  富小路公子という死んだ主人公をめぐって、27人の人物が順に証言してゆくという構成で、なかなか面白くよく出来ている。様々な角度からの証言を経てゆくことで、「あれ、公子のあの発言は嘘だったのか」という新たな認知が繰り返され、謎は深まり、飽きることなく読めた。  しかし最後まで読んで、自分にとっては何かスッキリしないようなものを感じた。どうなのだろう? 他の人は違う風に感じるのかも知れない。  全体としては読みやすいし起伏に富んでおり、構成が成功しているし、うまく出来た小説だと思う。

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2021/08/18

《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、...

《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。

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2021/07/11

ひとりの「悪女」についての27人の男女へのインタビュー。 ある女の不審死について謎が解き明かされる、といういわゆるミステリー仕立てかと 思いきやついぞ明白な真相は描かれず次々と暴露される悪事?の数々。 昭和20~30年、戦後間もないころのお話で、悲惨な状況だけを伝え聞いている 世...

ひとりの「悪女」についての27人の男女へのインタビュー。 ある女の不審死について謎が解き明かされる、といういわゆるミステリー仕立てかと 思いきやついぞ明白な真相は描かれず次々と暴露される悪事?の数々。 昭和20~30年、戦後間もないころのお話で、悲惨な状況だけを伝え聞いている 世代としては一方で成金がどんなふうに出来上がっていくのか、今とはケタが違うであろう「成金」のお金の使い方に興味津々。  特に、レイディズ・ソサエティなる倶楽部には一種憧れさえ抱いてしまった。 さて、富小路公子は完璧な悪女であった。完璧がゆえに「悪」ではないような 錯覚を覚えてしまうほどに。 女ならだれでもこんな「悪女」になってみたいのではなかろうか。 読後は「まああ。」とつい口をついて出てきそうである。 全然知らなかったが2012年エリカ様が主役でドラマ化されていた。 女王っぷりではなるほど当てはまるが私の小説の主人公のイメージはもう少し 可憐で線の細い・・・ これまで読んだ有吉作品とは毛色が違い楽しめた。

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2021/06/15

女実業家 の表と裏 を伝聞形式で綴る。 ドラマでも見ているような気分で読める。 そういう時代 生き方のもあったのだろうか。 やり場のない読後感が残る。踏み台にされた男の人生 家族はどうなるのか。

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2021/06/02

年齢不詳の美人実業家が謎の死を遂げ、周囲の人々のインタビューという形式で主人公が語られる構成。綿密に練られた構成で主人公の生き様、真相が明らかになっていく一方で、同じ人物でもこうも見方が分かれるのか、人には色々な顔があるものだと感心させられる。非常に読み応えがあり、結末がわかった...

年齢不詳の美人実業家が謎の死を遂げ、周囲の人々のインタビューという形式で主人公が語られる構成。綿密に練られた構成で主人公の生き様、真相が明らかになっていく一方で、同じ人物でもこうも見方が分かれるのか、人には色々な顔があるものだと感心させられる。非常に読み応えがあり、結末がわかったうえでもう一度読み直したくなる作品。

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2021/05/10

1978年刊行なので40年以上前の作品だけど、こういう形式の小説は今もよく見るというか、もしかしたら先駆け的な作品なのだろうかと考えたりした。 主人公は直接は登場せず、主人公自身が何かを語ることもない。主人公を取り巻くあらゆる人々が、主人公のことを語る形式の小説。 その主人公は...

1978年刊行なので40年以上前の作品だけど、こういう形式の小説は今もよく見るというか、もしかしたら先駆け的な作品なのだろうかと考えたりした。 主人公は直接は登場せず、主人公自身が何かを語ることもない。主人公を取り巻くあらゆる人々が、主人公のことを語る形式の小説。 その主人公は富小路公子(本名、鈴木君子)。 貧しい八百屋の娘として生まれた彼女は、幼い頃に父を亡くし、10代の頃からたくさんの苦労をした後に自分の力と知恵でのし上がり、複数の会社を経営する富豪の女社長となる。 そんな公子が40歳で突然死んだ。転落死であったのだが、自殺なのか事故なのかはたまた殺人なのか、その死には謎が残っていた。 いわゆる「太く短い人生」を歩んだ公子。タイトルは「悪女について」だけど、実のところはどうだったのか、最後までよく分からない。公子のことを褒め讃え好感を持ち感謝さえしている登場人物もいるけれど、6〜7割くらいの登場人物は彼女について良い風には語っていない。 これは数奇な人生を歩んだ公子のような人に限った話ではなくて、誰かの人生や人柄について周りの多くの人に尋ねてみれば、似たようなことになるような気がした。肯定する人と否定する人の割合は対象によって変動するだろうけど、100%の人間が「あの人は良い人で、立派な人だった」と言うような人物など、この世にはいないと思う。 増して公子のように金銭的成功を手にした人物であれば、悪く言う人の割合が多くなるように思う。 500ページ近くの読み応えがある本で、全部で27人の登場人物が公子について語るのだけど、結局最後まで公子が何を思いどんな考えを持って行動してきたのか、ということは分からずじまいだった。 そしてその謎めいたところが、富小路公子という人物像なのだろうとも思い、納得した。 最後に公子の次男が語っているのだけど、彼の言うことが一番真理に近いような気がした。 「とにかく美しいものが好きだった」。宝石や特注のきらびやかなドレスを愛し、美人ではないけれど華があり、多くの男から好かれ、「まああ」と上品に言うのが口癖だった公子。 幼いうちにどん底を見て、知恵と欺きでのし上がった1人の悪女は、最後まで美しいベールを纏っていた。

Posted byブクログ