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悪女について の商品レビュー

4.2

212件のお客様レビュー

  1. 5つ

    86

  2. 4つ

    57

  3. 3つ

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2024/07/16

読み途中は面白くてすらすら読めたけど終わりがあっけなくてモヤっとした。 悪女は計算高くて賢く、美貌も兼ね備え、色気や優しさもある。全てを素でやるから悪女なんだろうなー。

Posted byブクログ

2024/07/10

主人公が一人称として一切語らない本書の構成が面白かった。「悪女」である主人公の印象が人によって全く違うのが面白いし、自然とそうなってしまうのが「悪女」たる所以なのかもしれない。

Posted byブクログ

2024/07/07

人を騙す者は、何かを信じているのだろう。何も信じていなくて生きているのなら、現実に則して常に流れる。現実を無視して信じている世界に浸っているのなら、どこかで歪みが生まれる。特に現実との関係が歪む。 とはいえ多かれ少なかれみんなそうなはずだ。ただ歪みを省みずに信じていくことは、「嫌...

人を騙す者は、何かを信じているのだろう。何も信じていなくて生きているのなら、現実に則して常に流れる。現実を無視して信じている世界に浸っているのなら、どこかで歪みが生まれる。特に現実との関係が歪む。 とはいえ多かれ少なかれみんなそうなはずだ。ただ歪みを省みずに信じていくことは、「嫌われる勇気」のようになるだろうなと。悪を半ば承知で、それでも正しい私で、悪を楽しんでいるのか正しい私を楽しんでいるのか、おそらく両方でそれが両面で、なのだろう。 また他人に語られる立場というのは有吉本人なのかもしれない。噂は一人歩きするといったことも浮かんで来る。ミステリー小説にも色々とあるのだろうけれど芥川龍之介の「藪の中」に似た感覚になった。ミステリーは苦手なのだけども、なぜかこういったキュビズム的なミステリーは読める。 文章の中にある時代からは、SNSでキャラ変えする現代人が当時に行ってみたら、「公子」のように見られるのではないか?と思った。時代とともに虚像との区別が曖昧になってきているという、ボードリヤールみたいなところも感じられた。現代人は自分の中も外部的解釈に沿わせるようになっていて、能動性やらソウル的なものの自殺後なのだろうなと。 それと10年代の経済政治とバブル期、戦後復興期の「成り上がり」は時代共通で、拡大効果はどういったものか、「キリギリス」になっていないかなどといった部分は、過去から学べるものなのだなと思った。 80年代の作品だが、当時はまだ民主主義的な成分が世の中にあったのだろうと思う。この小説で、民主主義ならば庶民は生き生きと暮らしているはずだと伝えてくれる。つまり多くの人が将来性を感じながら生きることができていない、「セールス」「思い込み」「声の大きさ」「ぱっと見の印象」そういったものに染まれるものの「??主義」なのだなと、ついでに思い浮かぶことがたくさんある小説でした。

Posted byブクログ

2024/04/29

他人の話だけで構成すると人は皆多重人格になる。 それぞれの人格がこれだけ両極端に振り切れているのだからそりゃ本人不眠症にもなるな。

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2024/04/15

富小路公子は普通に仕事してもそれなりに成功する人だったのではないだろうか。 インタビューする人によって富小路公子の印象がクルクル変わり、「ある人について誰か一人の印象を信じるのは危ない。実生活でも気をつけよう」と強く思った。 (物語とはいえ)富小路公子本人に真意を聞いて答え合わせ...

富小路公子は普通に仕事してもそれなりに成功する人だったのではないだろうか。 インタビューする人によって富小路公子の印象がクルクル変わり、「ある人について誰か一人の印象を信じるのは危ない。実生活でも気をつけよう」と強く思った。 (物語とはいえ)富小路公子本人に真意を聞いて答え合わせしたいけど、生きてたとしても本当のことは喋ってくれないんだろうな… 身近にはいてほしくないタイプの女性でした。

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2024/04/11

最近本屋で有吉さんの本をよく見かけるような気がして読んでみたのだが面白かった。総勢27人の証言は富小路公子との関係が最も気薄の人から始まるのだが、意外とその中にキーとなる要素がすでにほとんど盛り込まれているようで、そのあと富小路の修練から人物像の中心部を固めていくような巧妙な進行...

最近本屋で有吉さんの本をよく見かけるような気がして読んでみたのだが面白かった。総勢27人の証言は富小路公子との関係が最も気薄の人から始まるのだが、意外とその中にキーとなる要素がすでにほとんど盛り込まれているようで、そのあと富小路の修練から人物像の中心部を固めていくような巧妙な進行。結局彼女の本心がどうだったのか。あとがきにはとある関係者2名の証言に真相があるように書かれてたけど、個人的にはそれもだいぶ怪しいというか。戦後の混沌〜高度成長期の時代の雰囲気も感じられて久々に食い入るように読み切った。

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2024/02/20

悪女として週刊誌に掲載された女性実業家の謎の死と生い立ち、真相が27人のインタビューによって徐々に明らかにされていく。本当に悪女なのか、それとも隠された真相が待ち受けているのか、予測のつかない結末にドキドキしながらインタビューの一部始終を読み進めた。 結局、悪女だったのかそうでな...

悪女として週刊誌に掲載された女性実業家の謎の死と生い立ち、真相が27人のインタビューによって徐々に明らかにされていく。本当に悪女なのか、それとも隠された真相が待ち受けているのか、予測のつかない結末にドキドキしながらインタビューの一部始終を読み進めた。 結局、悪女だったのかそうでないのか意見が分かれる結末だったと感じた。誰かに殺されたというわけではなく、自殺なのだろうと思うが、それまでの出来事を読み解くと悪女なのだろうか。実業家本人のインタビューはないため、読者の想像に委ねる終わり方となっている。 読後のもやもやが残ってしまったが、小説という形式でしかできない構成となっており、非常に面白い小説であった。これが昭和50年代に刊行されたとは思えないほど前衛的な手法だと感じる。

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2023/12/01

ページを開き 面白い。と読み進め 中版は「あの人はね…」的な よく言ったり悪く言ったりの連続にちょっと 疲れ 後半に入ると 謎解きの要素も加わっての一気読み。 それにしても ひとりの女性なのに 語る人で天使になったり悪魔になったり これを自分から故意で操作していたのだとしたら… ...

ページを開き 面白い。と読み進め 中版は「あの人はね…」的な よく言ったり悪く言ったりの連続にちょっと 疲れ 後半に入ると 謎解きの要素も加わっての一気読み。 それにしても ひとりの女性なのに 語る人で天使になったり悪魔になったり これを自分から故意で操作していたのだとしたら… したたかという言葉を超えてるだろうな 病むと思うが… ほんとのところはどうだったのだろう 細かい謎は残るけど あ~そうだったんだね。と最後に思った。

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2023/11/29

テレビドラマでみてあんまり分からなかったから読んでみた。本で読むと多少は深入りできるので人間像はわかるけど、でもやっぱり自殺だったんだろうかな。たぶんそうだろうな…

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2023/11/24

どうも自分は多視点の物語が好みのようだ。 主人公の女性の視点は一切描かれず、彼女と関わった人々がそれぞれの主観で物語を語るスタイル。 それぞれは見たことを語るだけなのだが、章が進むうちに人間の主観の偏りや小さな嘘が明らかになっていく。そこが面白い。そして主人公の多面性。 騙された...

どうも自分は多視点の物語が好みのようだ。 主人公の女性の視点は一切描かれず、彼女と関わった人々がそれぞれの主観で物語を語るスタイル。 それぞれは見たことを語るだけなのだが、章が進むうちに人間の主観の偏りや小さな嘘が明らかになっていく。そこが面白い。そして主人公の多面性。 騙された男たちはある意味で自己評価が高い。自惚れているとも言える。 下品にならずに人間の下衆な面を描いている作品。

Posted byブクログ