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八甲田山死の彷徨 の商品レビュー

4.2

215件のお客様レビュー

  1. 5つ

    80

  2. 4つ

    85

  3. 3つ

    32

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2020/06/28

その昔、先に映画で観た。数年前に再度 映画を観たが、こういった史実を扱った作品は書籍も含めて、時代は変われど本質的な内容は全く変化せず ついこの前のことのようにさえ思えてしまう。 何でもそうだけど、適材適所ってホント大事ね。その業務に対しての努力に加えて、生まれ持った才能って必要...

その昔、先に映画で観た。数年前に再度 映画を観たが、こういった史実を扱った作品は書籍も含めて、時代は変われど本質的な内容は全く変化せず ついこの前のことのようにさえ思えてしまう。 何でもそうだけど、適材適所ってホント大事ね。その業務に対しての努力に加えて、生まれ持った才能って必要だと思う。特に人の上に立つ立場や重要な事柄の決定権を持つ人達には。

Posted byブクログ

2020/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

事実を題材としているがあくまでもフィクションであることは、まず十分に念頭に置いて読もう…というスタンスで読んだ。だが、だがしかし… あはれ、神田大尉。憎むべきが山田小佐。 この構図は頭から拭い去れなかった。 無能な上司の虚栄心に運命を左右された若者たち…という一面は、おそらくこの本を読めば誰もが抱く感想であろうから、ここでは特には言わないでおく。 許せないのが、救出後の山田少佐の自決。 「全ての責任は自分の浅慮にある、遺族に詫びたい」と遺しての自決は潔し………………などとは、1mmも思わない。 自分の無知・無謀を認めた点にこそせめてもの救いはあるけれど、、、、 死ぬのは「逃げ」だよね、と。 凍傷で手足を失った部下達も、 同じく手足に後遺症を遺した案内人達も (しかも彼らは軍人でさえない)、 息子や夫に先立たれた、部下たちの遺族も、 もちろん自分の妻も、子らも、 無謀な計画を立てたと何人にも思われたであろう神田大尉の名誉に関しても、 捜索に駆り出された組織の仲間達も、 後始末をやりくりした上司も、 捜索に費やされた費用も、(つまり国民の税金) 、、、一見して「潔し」と思われがちな「自決」などという行為によって、彼本人にとっては全てが「無」になってしまうのだから。 卑怯極まりないな、と。 彼は、生きるべきだった。自分の言動の非を認めるからこそ、それを悔いながら、また世間の責めを甘受しながら、そして当然自分にも残ったであろう後遺症と付き合いながら余生を生きるべきだった。 現実世界で重大事件を引き起こした人間も ミステリやドラマ、映画などのフィクションの犯人も 自決や自殺で自ら死を選んで楽な道へ行く輩を、心から許せないと思った。 ★4つ、9ポイント半。 2020.02.25.新。 ※さて、思わずかなり熱~く感想を書き散らかしてしまったが、あくまでも本作はフィクションだということは、忘れないようにせねば。 取材に基づいたノンフィクション等での情報も、ちゃんと得ておきたいとも思った。

Posted byブクログ

2020/02/23

明治期、日露戦争を控えての雪中行軍訓練中での遭難事故。同じ階級の二人の指揮官の運命を分けたのは窮地での判断を揺るがす、上官による指揮権の剥奪行為であったと思う。時間のない、困難下、集団を統率する指揮権の行使ご何より優先させる、その目的は無事この訓練を終えること。その目的以外の要素...

明治期、日露戦争を控えての雪中行軍訓練中での遭難事故。同じ階級の二人の指揮官の運命を分けたのは窮地での判断を揺るがす、上官による指揮権の剥奪行為であったと思う。時間のない、困難下、集団を統率する指揮権の行使ご何より優先させる、その目的は無事この訓練を終えること。その目的以外の要素が入った時、悲劇は起こるのである。ただの遭難事故ではなく、現代、マネジメントとしても教訓になる。

Posted byブクログ

2020/01/02

明治時代に大雪の中で雪中行軍を試み、多くの犠牲者を出した日本陸軍の実話を基にした小説。 対ロシアとの戦いを控えて、厳冬の青森八甲田山周辺で、同じ経路を2つの部隊が双方が反対から踏破を試みることになり、2人の指揮官が選ばれた。事前準備が足りないまま大部隊を率いて強行突破を試みた指揮...

明治時代に大雪の中で雪中行軍を試み、多くの犠牲者を出した日本陸軍の実話を基にした小説。 対ロシアとの戦いを控えて、厳冬の青森八甲田山周辺で、同じ経路を2つの部隊が双方が反対から踏破を試みることになり、2人の指揮官が選ばれた。事前準備が足りないまま大部隊を率いて強行突破を試みた指揮官と、事前に念入りな経路の下調べを行って、小部隊編成で臨んだ指揮官の運命は、天候の急変に対する対応力の差が明暗を分けることになってしまう。 これは、軍隊だけでなくビジネスの世界でも通用する教訓とも言える。例えば、システム構築などでも、様々な要件を取り入れた大規模なシステムは、上手く行けば成果も大きいが問題が起こる可能性も高くなる。どこまでリスクをとれるかが成功の鍵となる。小部隊の指揮官は、自分が取れるリスクの大きさをよく分かっていたのだろう。他方は功を焦って大部隊による強行突破を図った結果、大きなリスクに直面することになってしまう。困難に対応する時は、自分が取れるリスクというものをよく考えよということだろう。

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2019/10/28

191028 組織の上位が競争するのはよいとしても、努力している人の意見を聞かないのは間違いを起こす。

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2019/07/25

日露戦争開戦前の暗雲たちこめる時代、保守の象徴日本陸軍のなかにも真のリーダーがいた。 極限雪山の中で「気持ちはわかる。だがそれはできない」と心に寄り添いながらも決断ができるリーダーがいることの心強さ、安心感。 一方で、権力による支配とパワーの恐ろしさ。リーダーに対する「この人は本...

日露戦争開戦前の暗雲たちこめる時代、保守の象徴日本陸軍のなかにも真のリーダーがいた。 極限雪山の中で「気持ちはわかる。だがそれはできない」と心に寄り添いながらも決断ができるリーダーがいることの心強さ、安心感。 一方で、権力による支配とパワーの恐ろしさ。リーダーに対する「この人は本当に何もわかっていない。何を言っても無駄だ」という感情は、絶望感につながり、自死においこむこともある。 ・権力を持った人の場当たり的浅慮(思いつき)、楽観視、物象(科学)の軽視、精神主義だけに片寄ろうとすることの危険 ・見栄、プライド、劣等感の恐ろしさ ・人間は集団生物、妙な場の空気に乱される。いいこともあれば、最悪のケースもある ・決めること=仕事 ずっと読んでみたかった八甲田山、読後感はあまり良くない感じ…弱っている時にはオススメしません。 調子がいい時にてんぐにならないよう自戒の念で読むのがよさそう。

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2019/07/17

前から私の周囲の人たちの中でよくおススメされた本。地味だし、なんかテーマが重そうなので読んでなかったけど、思い立って読んでみたら、、、地味どころではない、読み応えのある作品だった。自然の猛威の中でなすすべのない(いや、色々試みるんだけど太刀打ち出来ない)、極限状況の人間の、無力さ...

前から私の周囲の人たちの中でよくおススメされた本。地味だし、なんかテーマが重そうなので読んでなかったけど、思い立って読んでみたら、、、地味どころではない、読み応えのある作品だった。自然の猛威の中でなすすべのない(いや、色々試みるんだけど太刀打ち出来ない)、極限状況の人間の、無力さ、浅はかさ、そして哀しみ。人間を軽々しく扱ってしまう「組織」の愚かさ、醜悪さ。日本の歴史の中で確かにあった事実を、ことさらに大げさにせず、淡々と書いていくことで一層重く深く読ませる文章の力。そういったものが幾重にも重なって、読む楽しみを増す。 この中で一番印象的だったのが、さわ女が第三十一聯隊を案内するシーン。ふわふわと雪の中を歩く姿の描写が美しく、重い内容の中で、ここだけ光が灯ったように感じる。兵士にとっても守り神に見えたのではないか。最後まで、多くの兵士の無念の思いばかりが胸に迫る中、さわ女の存在があることで少し救われた気持ちになった。

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2019/06/13

2002年1月23日は、八甲田山大量遭難事故からちょうど100年目だそうな。 これは新田次郎が、もと気象庁予報官ならではの考察を交えながら遭難を小説化した実に怖い怖い本である。 その100年前、十分な知識も装備もないまま行軍訓練に入った歩兵第五連隊。昼は陽気の中重いソリをひっ...

2002年1月23日は、八甲田山大量遭難事故からちょうど100年目だそうな。 これは新田次郎が、もと気象庁予報官ならではの考察を交えながら遭難を小説化した実に怖い怖い本である。 その100年前、十分な知識も装備もないまま行軍訓練に入った歩兵第五連隊。昼は陽気の中重いソリをひっぱって、木綿の肌着に汗をかいたまま、記録的な大寒波の夜を迎えたらどうなるか。 歩兵たちは外套すら持たず、胸までの新雪の中でソリは当然埋もれ、握り飯は凍り付き、小便がしたくとも指は凍傷で動かず…冬山の恐ろしさをイヤというほど感じさせてくれる。 痛ましすぎ。

Posted byブクログ

2019/03/23

新田次郎作品は、どれも読み始めから没頭までに少し時間を要していたのだが、本作は最初から一気に没入してあっという間に読み終えた。 登山経験があるだけに、夫々の登場人物の立場に立って自分ならどうしたかという視点でも読むことが出来、最後まで非常にドキドキさせられた。 生還した第二十一...

新田次郎作品は、どれも読み始めから没頭までに少し時間を要していたのだが、本作は最初から一気に没入してあっという間に読み終えた。 登山経験があるだけに、夫々の登場人物の立場に立って自分ならどうしたかという視点でも読むことが出来、最後まで非常にドキドキさせられた。 生還した第二十一聯隊のその後の人生も衝撃の一言。

Posted byブクログ

2019/03/18

史実に基づくフィクション。想像を絶する。 不条理な命令に従っていく人たち。強いのか弱いのか。 一度訪れて祈りを捧げなくては。

Posted byブクログ