GOTH リストカット事件 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
長らくブクログを休んでいたこともあり、 今一度、自分の原点を探ろう企画の第3弾(笑) いやぁ~、この作品が世に出て もう16年経つのか… そりゃ、自分も歳をとるハズだわ(笑)。 衝撃的な17歳でのデビュー作『夏と花火と私の死体』以降、 ハートフルな作風でライトノベルの旗手だった乙一が 満を持して本格ミステリーを意識して書いた いわゆる『黒・乙一』を代表する作品がこの 『GOTH―リストカット事件』であります。 (後にこの作品で第3回本格ミステリ大賞を受賞しています) 読みやすさはライトノベルそのままに、 世界観はダークで軽妙な青春小説。 (矛盾してそうだけど、そうとしか言えない世界観なのです笑) 連作短編なのですが、どの話も 読む者をミスリードさせる巧みな構成と 散りばめられた伏線とその鮮やかな回収術の妙、 ラストにかけての衝撃のどんでん返しが とにかく見事で 騙される快感が味わえます。 で、メインキャストは高校生の二人。 陶器のような白い肌を 黒を基調とした服装でくるみ、 群れることを嫌い 常に人を避けて行動する女子高生、森野夜(もりの・よる)。 そして、もう一人は、 人間が持つ暗黒な部分に惹かれる根っこは森野と同じでも、 普段は普通の高校生を装う『僕』。 二人に恋愛感情はなく、 お互いの趣味趣向が一致しただけの ただの話し相手というスタンスで 物語は進んでいきます。 (この設定は後に発表された米澤穂信の小市民シリーズの主人公、小鳩と小山内ゆき の関係にダブってきます) この小説が後続に 多大なる影響を与えたワケは、 何よりこの 変わり者の高校生カップルの行動や理論が斬新だったことに尽きます。 二人は猟奇的殺人を解明していく探偵役を担いながらも、 殺人者を見つけても 証拠品を拾っても 決して警察を呼んだり 犯人を捕まえて手柄をあげようとはしないのです(笑) あくまでも 自分たちの興味を満たすためだけに動き 楽しみ、 殺人者の心理を読み、 時にはあえて犯人たちの罠にかかったり、 主人公の一人である『僕』などは ワザとヒロイン森野を 危ない目に遭わせたりするのです。 異常な世界にどんどん惹かれ 犯罪者の心理と同化していく『僕』と、 暗黒なものに惹かれながらも 常に被害者側に立つ思考を持った森野夜。 この微妙なズレを考えながら読むと 本当は切ない物語なんですよね… 勿論、彼らのアブナい趣味にはまったく惹かれなかったけど、 彼らの心の揺れや痛みには激しく共感したし、 世間から見れば異端者である彼らのことを 少しでも理解したいと思ったのも事実でした。 余韻を残すラストシーンの後 二人の関係がどうなるのかは想像するしかないのだけど、 生きにくい世界に絶望し心に傷を持った森野夜が、 紆余曲折の末、人間性を取り戻し、 こちら側の世界に戻ってきた駅の改札のシーンは エモーショナルに胸を打ったし、 『僕』への報われない想いに気づいた 本当に名シーンであったと思います。 あとミステリーは騙されてナンボです。 見破ってやろうなんてヤボなこと考えずに(笑) 素直に物語を楽しむのが一番! はっきり言って、グロいし、異常者しか出てこない暗い物語だけど、 小説は本来一人でコソコソと読むもので、 不良性があるからこそ惹かれるし、 タバコや酒などのように常習性があって体に悪くて、 だからこそ人を絶望から救えるのです。 僕は今でも、読書は基本『悪徳』だと思っているし、 学生時代から『毒』を摂取したくて本を読んでいた僕みたいな人にとっては、 本作が、心に効く劇薬となるのは間違いないと断言できます。 ライトノベルというジャンルを 一躍一般人にも分かるように提示した功績や、 後続のミステリーや漫画作品に 多大なる影響を与えたという意味でも 自信持ってオススメできる一冊です。 (ただし、心が弱ってる人は元気になってから!) サクサク読める連作短編が好きな人、 どんでん返しな小説に飢えてる人、 ダークなミステリーやダークな青春小説が気になる人、 人間の暗黒部分に惹かれてしまう人、 少女小説、ゴス、ネクロフィリア、サイコパス、フェティシズム、ゴスロリファッションなどのキーワードにビビビと反応した人などに 特にオススメします!(笑) https://youtu.be/ocjUZnArtuU ⬆ 『GOTH』映画予告 なかなかいい雰囲気を持った映画でした。 森野夜をまだブレイク前の高梨臨、『僕』を本郷奏多が演じています。
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人の死んだ場所を見に行くのが趣味の僕と死体を見たがる美少女森野夜。異常者を引き付けてしまう夜と異常者を見たがる主人公はすぐに事件に首を突っ込んでしまう。ミステリやらホラーやらジャンル訳が難しい。あえていえばゴシックミステリか。 もとはライトノベルだったようで若干中2感がある、独特...
人の死んだ場所を見に行くのが趣味の僕と死体を見たがる美少女森野夜。異常者を引き付けてしまう夜と異常者を見たがる主人公はすぐに事件に首を突っ込んでしまう。ミステリやらホラーやらジャンル訳が難しい。あえていえばゴシックミステリか。 もとはライトノベルだったようで若干中2感がある、独特の距離感。構成は流石だなぁと感じるが、パターンがほぼ同じなので、最後の話のオチが読めてしまうのが残念。星2にしようかと思っていたが、最後の「樹」の動機にきゅんと来たので+1。
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面白かった。ミステリ部分もすっかり騙された(笑 でも、どうも主人公に共感できないのは、私が歳をとってしまったからなんだろうなあ。高校生のときに読んでたら、カッコいい!!となったと思う。
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★2009年15冊目読了『GOTH リストカット事件』乙一著 評価B+ 前に読んだ文庫版のGOTH 僕の章の兄貴分。こちらが、単行本ですから本物?オリジナルなのでしょう。 6章からなっていて、1暗黒系 2リストカット事件 3犬 4記憶 5土 6声 の構成です。前回の文庫版GOTH...
★2009年15冊目読了『GOTH リストカット事件』乙一著 評価B+ 前に読んだ文庫版のGOTH 僕の章の兄貴分。こちらが、単行本ですから本物?オリジナルなのでしょう。 6章からなっていて、1暗黒系 2リストカット事件 3犬 4記憶 5土 6声 の構成です。前回の文庫版GOTH僕の章では、それらのうち2リストカット事件 5土 6声だけが収録されていました。今回は、それらを補う形で1+3+4の3章が読めましたからより明確に物語りを把握することが出来ましたが、まだ実はパズルのピースが足りない気がしていて、もう一度読み返す必要がありそうです。珍しいミステリ作品であることは間違えなさそうです。
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すごくおもしろかった。 残酷な描写が多いけれど主人公と森野さんの人の良さ?がすべてをカバーしてくれてる気がする。ふたりともとっても好きになりました。 10代の高校生の多感な時期に読んでいたらもっと陶酔していたかも…と思うともっと早く読んでいたかった。大人になってしまったけど今こ...
すごくおもしろかった。 残酷な描写が多いけれど主人公と森野さんの人の良さ?がすべてをカバーしてくれてる気がする。ふたりともとっても好きになりました。 10代の高校生の多感な時期に読んでいたらもっと陶酔していたかも…と思うともっと早く読んでいたかった。大人になってしまったけど今この本を読むことができてよかった。
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この小説を、主人公たちを、好きになることは今も今後もできないと思う。 人の痛みや死に強く惹かれる「goth」。 その生き様は悪趣味を通り越し残酷で、読んでいて何度も辛くなった。 それなのになぜか、最終話「声」を読み終えた時、しばらく主人公たちのことを考えたくなった。 自分でもよく...
この小説を、主人公たちを、好きになることは今も今後もできないと思う。 人の痛みや死に強く惹かれる「goth」。 その生き様は悪趣味を通り越し残酷で、読んでいて何度も辛くなった。 それなのになぜか、最終話「声」を読み終えた時、しばらく主人公たちのことを考えたくなった。 自分でもよくわからないが、読後その場を動きたくなくなるのは、余韻に浸りたくなるのは、素晴らしい小説だったということなのだろう。 僕はどうやらこの小説を嫌いというわけでもないらしい。
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人間の持つ『暗黒面』といわれる内容 人を殺したいと言う願望と 自分を殺したいと言う願望。 殺人者に対して、共感を示し、なぜと心理分析する。 殺人者のパートナー(シンパシー)的存在。 高校生の僕は、人を殺したいと言う願望があり、 猟奇殺人に、興味を持っている。 しかし、普通は 目立...
人間の持つ『暗黒面』といわれる内容 人を殺したいと言う願望と 自分を殺したいと言う願望。 殺人者に対して、共感を示し、なぜと心理分析する。 殺人者のパートナー(シンパシー)的存在。 高校生の僕は、人を殺したいと言う願望があり、 猟奇殺人に、興味を持っている。 しかし、普通は 目立たない高校生を演じている。 僕のまわりで、おこる殺人に 駆けつける。 僕の同級生、森野夜は、長い黒髪と白い肌をもつ美少女。 表情を表に出すことなく、話しかけ憎い性格をもっているが、 僕とは、打ち解けて話すことができ、森野夜は過去の事件を 背負っていて、それを打ち明けることができる友達を 求めていた。手首にはリストカットの傷があり、 不眠症で、首を絞めるひもがあると、眠れると言う。 しかし、なかなかぴったりした ひもがなかった。 高校生の僕が、それを探し当てることに。 身体を細かく裁断して殺す。 手だけを切り落とす。手フェチ。 犬の誘拐事件から発生した殺人事件。 生きたまま棺桶に入れて、溺死させる。 お姉さんが、殺される時のメッセージを受けとる妹。 そこに、生まれている殺人の心の深層をあばこうとする。 なぜか、『ゾクリ』とする表現が、ある。
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意外などんでん返しに驚くミステリ短編集。次こそは驚かんぞ!と構えて読むのにやっぱり「そうだったの?!」ってびっくりして悔しい。 殺人に興味があるサイコパス高校生二人組が、猟奇的な事件を観察したり、巻き込まれたり、手伝ったりしている、ごく淡々と。黒髪の美少女が探偵役なのかと思ってた...
意外などんでん返しに驚くミステリ短編集。次こそは驚かんぞ!と構えて読むのにやっぱり「そうだったの?!」ってびっくりして悔しい。 殺人に興味があるサイコパス高校生二人組が、猟奇的な事件を観察したり、巻き込まれたり、手伝ったりしている、ごく淡々と。黒髪の美少女が探偵役なのかと思ってたけど、彼女がワトソン。すごく頭のキレるサイコパス探偵っぷりを見せるに違いない…と思わせる雰囲気をもっているだけに、巻き込まれるばかりで事件のことは何にもわかってないのがアホっぽくてかわいい。
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これが黒乙なんやな。 かなりの闇だ。 設定はあり得ない感じやけど、なんかすごい作り話をその場で聞いているかのように引き込まれたな(^-^)/
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5千人を超える登録者数。まったく理解できません。 初物だったから、最後まで読んだけど、??? 時間を無駄にした。
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