GOTH リストカット事件 リストカット事件

乙一(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川グループパブリッシング/角川グループパブリッシング
• 発売年月日: 2002/07/05
• JAN: 9784048733908

商品レビュー

2009/12/11

どきどき

[abtm]

第3回「本格ミステリ大賞」受賞作。
猟奇殺人や「死」に興味を持つ「僕」と、友人の「森野夜」。ふたりの高校生が、警察とは無縁の場所で犯人を追う！人の心が持つ闇と虚空に、謎を絡めた展開。読ませます。

2025/11/16

「私にも、その表情のつくりかたを教えてくれる？」

僕と森野はお互い悲惨で暗い異常な事件に興味を惹かれる性質を持つ。そして出会ういくつかの事件…
ライトでありながらも暗黒系、痺れるね。
全篇面白いのだが「記憶」「声」が素晴らしかった！

2025/07/12

この作品は全6話の短編集となっており、どのお話にも主人公の高校生の男の子と、同じクラスの森野さんという少女が出てきます。
その森野さんが毎回事件に興味を持ったり犯人に狙われたりする、いわゆるコナンくんのような体質なのですが、森野さんが気がつかないうちに主人公の男の子が事件を収束させてしまいます。
もし主人公が森野さんのことを大切に思っていて事件から遠ざけているのであればとてもロマンティックで、さらにイケメンであれば女性読者が激増しそうな予感がしましたが、その点に関しては記載がありませんでした。

しかしこの町はクレイジーですよね…。喫茶店のマスターや学校の先生など、身近に異常犯罪者が普通に暮らしていて、行方不明者や犯人の見つかっていない事件が多々あって治安が悪いはず。
なのに、主人公が夜中に出掛ける時にどこ行くのと家族に聞かれたら、コンビニと答えるだけで特に引き止められない。
これが蘭姉ちゃんや小五郎のおっちゃんだったら、コラ！って怒られてゲンコツもらいそうなのに…放任主義なんですかね(ﾟωﾟ)

個人的には、最終話の「声」が一番面白かったです。
今までの話からすると、主人公は殺人の現場を観察するのが好きなのであって、彼が殺人を犯したと言うのがどうにも信じられない矢先に、神山樹という新キャラが現れる(イケメンかどうかは分からない)。
彼は被害者の妹に対して、警察は何か手がかりを見つけたのか、何か悩んでいることがあるなら呼んでくれとか言っているのを見て、こいつ絶対この後、黒いシルエットで出てくるやつじゃん！と疑っていました。

結果は…なんと最終話まで名前が出ていなかった主人公こそが神山樹で、犯人が妹さんも殺そうとした時に返り討ちにしてくれたとっっっても良いヤツでした。
乙一さんは読者をミスリードされるのが上手いとはいえ、さすがに神山くんに申し訳なかったです。乙一さんの作品でもう一冊オススメされた本があるのですが、もっと推理小説を読んで、頭脳も大人になってからまた挑戦したいと思います。