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火宅の人(上巻) の商品レビュー

3.7

41件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/09/20

不倫・ウィスキー・旅行・引っ越し

題名からは内容が全く推し量れない小説でした。ある小説家の(おそらくご本人の)不倫・ウィスキー・旅行・引っ越しがダラダラと綴られていて、いったいこの生活からどう「火宅」に繋がっていくのか、よく分かりませんでした。

上下巻のボリュームなので大作を期待したのですが、個人の...

題名からは内容が全く推し量れない小説でした。ある小説家の(おそらくご本人の)不倫・ウィスキー・旅行・引っ越しがダラダラと綴られていて、いったいこの生活からどう「火宅」に繋がっていくのか、よく分かりませんでした。

上下巻のボリュームなので大作を期待したのですが、個人の乱痴気な破天荒生活をただ日記のように綴っているだけなので、だんだん飽きてきました。下巻はほぼ読み飛ばしました。

お金持ちというのは、だいたいみんなこんな感じなんでしょう。

崩撃雲身双虎掌

2024/03/08

知り合って10年間気持ちを抑え続けてきた矢島恵子とついに関係を結ぶ。 妻に言ってしまおうというのが、秘密を背負うより開き直って楽になろうという魂胆が見えて、何ともずるい男である。 「私」桂一雄には子どもが5人いる。 長男・一郎は、病死した先妻の子。 現在の妻・ヨリ子との間に、次...

知り合って10年間気持ちを抑え続けてきた矢島恵子とついに関係を結ぶ。 妻に言ってしまおうというのが、秘密を背負うより開き直って楽になろうという魂胆が見えて、何ともずるい男である。 「私」桂一雄には子どもが5人いる。 長男・一郎は、病死した先妻の子。 現在の妻・ヨリ子との間に、次郎、弥太、フミ子、サト子。 次郎は5歳で小児麻痺を発病し、全身に麻痺が残った。 1年後のその発病の日が近づくにつれ、気持ちが不安定になって、ついに恵子を旅に同行してしまった、というのも甘えた言い訳である。 妻は、もう顔も見たくないといったんは家を出たものの、結局戻る。 しかし、継子の一郎は思春期に入り、ヨリ子の手に負えなくなった。 父親の自分が家を出て愛人と同棲をしているという家庭環境が、子供にとってよくないことは分かっている。 それでも、放浪と放蕩はやめられないのだ。 妻と恵子の間を行ったり来たりし、恵子の過去を知れば、今度は自分の所業を棚に上げて嫉妬する。 酒と性欲に溺れ、心の制御もままならない。頑健で疲れを知らないからなお悪い。 何とか恵子と距離を置いて出かけた欧米旅行の、アメリカ紀行の描写は良い。 しかし、ここでも女と事を起こし、現地日本人会の有力マダムににらまれる。 病気・・・ですね。

Posted byブクログ

2023/12/12

有名な無頼派作家が愛人と同居生活!?みたいなジャーナリスティックな面白さは皆無。今ではありふれた話だし、愛人の浮気にメンヘラっちゃうとかも普通。 特筆すべきは主人公の言動の異常さ。メンヘラっちゃうとホテルの7階の窓から体を出してぎゃっぎゃって叫ぶとか。そんかことするやつはいないよ...

有名な無頼派作家が愛人と同居生活!?みたいなジャーナリスティックな面白さは皆無。今ではありふれた話だし、愛人の浮気にメンヘラっちゃうとかも普通。 特筆すべきは主人公の言動の異常さ。メンヘラっちゃうとホテルの7階の窓から体を出してぎゃっぎゃって叫ぶとか。そんかことするやつはいないよ!隣の部屋の人はさぞや迷惑したろうな! 意中の女と寝たことを妻に報告しちゃうとかもおかしいし、やたら新しく部屋を借りちゃうとかも狂ってる。いうなよ!借りるなよ! 主人公はモノローグで無頼派ぁッ!て感じの諦観や割り切りをみせて自身の言動を正当化していくんだけど、いやいやあんたそんな言葉のマジックで正当化できる程度ではないぜ、といいたくなる。 無限にボケが書かれてあり、読者がツッコミを入れていく、というように読むとたいへん楽しい。

Posted byブクログ

2023/09/08

作者の前時代的なクズ男人生をなぞっていく内容だが、口があまりにも巧すぎる。 男の破綻を孕んだ情緒が都度完璧に言語化される。 作者のカラッとした筆致も相まって、上巻の“黄金時代”感は読んでいて楽しい。

Posted byブクログ

2023/07/07

女、酒、放浪と男のロマンを実行しているが家庭持ちの人がやっているところにサガのようなものを感じる。不倫を自ら暴露していく豪快さであるがそれを支える名声と金があるからこそ成り立つともいえる。 もし時代を今(2023年7月頃)にすると人気youtuberが炎上して更に再生回数が上がる...

女、酒、放浪と男のロマンを実行しているが家庭持ちの人がやっているところにサガのようなものを感じる。不倫を自ら暴露していく豪快さであるがそれを支える名声と金があるからこそ成り立つともいえる。 もし時代を今(2023年7月頃)にすると人気youtuberが炎上して更に再生回数が上がる図式なのだろうか。

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2023/04/03

己を縛るもの(家族、ペット、愛人その他)を増やし続けながらもどこにも根を張れない主人公のぐちゃぐちゃの生き様がたまらない

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2022/09/29

「檀一雄」の長篇小説『火宅の人』を読みました。 「沢木耕太郎」の『檀』を読み「檀一雄」のことを妻「ヨソ子」の立場から知り、「檀ふみ」の『父の縁側、私の書斎』を読み「檀一雄」のことを娘「ふみ」の立場から知り、満を期して、「檀一雄」当人が、自らの生活を描いた作品を読んでみることにし...

「檀一雄」の長篇小説『火宅の人』を読みました。 「沢木耕太郎」の『檀』を読み「檀一雄」のことを妻「ヨソ子」の立場から知り、「檀ふみ」の『父の縁側、私の書斎』を読み「檀一雄」のことを娘「ふみ」の立場から知り、満を期して、「檀一雄」当人が、自らの生活を描いた作品を読んでみることにしました。 -----story------------- 〈上〉 妻子を放り、愛欲に溺れ、世界を彷徨し、すべてを失った男が独りで作る、タンシチューのなんと侘しいことか! 出版部 金寿煥 「一郎」は窃盗をやらかす。 「次郎」は全身麻痺で寝たきり。 「弥太」はまだヨチヨチ歩き。 「フミ子」は鶏の餌を喰ってひよ子のように泣きわめく。 「サト子」は生れたばかり。 妻は主人の放蕩・濫費・狂躁を見かねて家出騒ぎ……。 よしたとえ、わが身は火宅にあろうとも、人々の賑わいのなか、天然の旅情に従って己れをどえらく解放してみたい――。 壮絶な逸脱を通して謳い上げる、豪放な魂の記録。 〈下〉 女、酒、放浪。 無頼を地で行く小説家の、壮絶な魂の記録。 「チチ帰った?」「うん帰ったよ」「もう、ドッコも行かん?」「うん、ドッコも行かん」「もう、ドッコも行く?」「うん、ドッコも行く」女たち、酒、とめどない放浪。 崩壊寸前のわが家をよそに、小説家「桂一雄」のアテドない放埒は、一層激しさを加えた。 けれども、次郎の死を迎えて、身辺にわかに寂寞が……。 二十年を費し、死の床に完成した執念の遺作長編。 〈読売文学賞・日本文学大賞受賞〉 ----------------------- 「檀一雄」が、自らの生活や体験を描いた私小説、、、 名前も一部変更されていてフィクションが含まれているものの、ほぼ実生活が忠実に描かれているようです… 行きあたりばったりで気紛れな生き方、そして出鱈目な生活なんだけど、或る意味、本能に忠実に生きた男の捨てがたい魅力が描かれている作品でしたね。 主人公で売れっ子小説家の「桂一雄(檀一雄)」は、日本脳炎の後遺症により障害を持つ子どもを含む、5人の子どもを妻に押し付け、18歳も歳の離れた若い女優「矢島恵子(入江杏子)」と同棲… 他の愛人も抱え、自ら保有する4軒の家やホテル、知人宅を渡り歩き、そして、取材と称して国内だけでなく、世界各地を放浪、、、 毎日のように酒場やバーを飲み歩き、自宅やホテルでもビールやウィスキーを中心とする酒類が手放せず、料理が大好きで日ごろから良質の食材探しに余念がなく、その合間で溜まった連載小説を執筆という生活を続けている模様が生々しく描かれています… 女と放浪と料理、そして家族の逸話で構成されている物語でしたね。 実際は愛憎にまみれたドロドロの生活だったのかもしれませんが… 「檀一雄」の性格や筆致の影響で、意外と重苦しくない表現になっていましたね、、、 それにしても… 多くの家を持ち(借家含む)、ホテル住まいが多く、機会があれば銀座で豪遊するという生活が、あまりにも庶民生活とかけ離れていて、想像し難かったですね。 最大で10本の連載を抱え、当時(昭和30年代?)の月収が50万円から多い時は130万円だったようなので、経済的に恵まれていたからこそ、実現できた生活なんでしょうねぇ、、、 でも、これの作品が文学賞(第27回読売文学賞(小説部門)、第8回日本文学大賞)を受賞しているというのは、ちょっと理解できないなぁ… うーん、ブンガクの評価って、難しいなぁ。 有り余る程のエネルギーには驚かされるし、不思議な魅力を感じるのも事実ですが… やっぱり、自分には理解できない行動や判断ばかりで戸惑いが残る作品です。

Posted byブクログ

2022/09/05

家を放り出して、恋人と暮らしたり、行く先々で出会う女と寝てみたり、金があるのをいいことに彼方此方と飲み歩いてみたりと、スキャンダルだらけの作家の私小説。 行動だけ見るとただのダメ男だが、恋人の元カレの噂で嫉妬に苦しんだり、子供達や妻との距離感や、街の描写など、繊細で面白く、文章の...

家を放り出して、恋人と暮らしたり、行く先々で出会う女と寝てみたり、金があるのをいいことに彼方此方と飲み歩いてみたりと、スキャンダルだらけの作家の私小説。 行動だけ見るとただのダメ男だが、恋人の元カレの噂で嫉妬に苦しんだり、子供達や妻との距離感や、街の描写など、繊細で面白く、文章のうまさでついつい読まされてしまうのは流石の大作家と思う。

Posted byブクログ

2022/04/24

妻とたくさんの子どものいる大家族。しかし主人公の桂は、浮気をして、家に帰ってくることがない…。子どもには窃盗をするもの、全身麻痺で寝たきりのものなどいるにも関わらず…。 家庭を崩壊させたくはないが、それでも自分をどえらく解放して生きていたい、という主張は面白い。子どもが窃盗をやら...

妻とたくさんの子どものいる大家族。しかし主人公の桂は、浮気をして、家に帰ってくることがない…。子どもには窃盗をするもの、全身麻痺で寝たきりのものなどいるにも関わらず…。 家庭を崩壊させたくはないが、それでも自分をどえらく解放して生きていたい、という主張は面白い。子どもが窃盗をやらかしたとき、警察関係者から子どもに良い影響のあるしっかりした家庭を築きなさいという忠告に対し、自分の人生は自分のためにあるので、子どもにどう影響しようがそれは子どもの人生だ、というような内容をさっと返したあたりは、クズ野郎!と突っ込みつつ、とても好きな内容だった。

Posted byブクログ

2022/01/26

檀一雄の半生が分かる1冊。 太宰治と坂口安吾のエピソードが所々現れるのが個人的に興味深かった。 また、檀一雄が料理好きで自身でも拘って作っているのは意外だった。 その他、家族とのエピソードや愛人との馴れ初め・別れなど檀一雄が何を感じながら生活していたのか詳細に書かれ、読み手にも感...

檀一雄の半生が分かる1冊。 太宰治と坂口安吾のエピソードが所々現れるのが個人的に興味深かった。 また、檀一雄が料理好きで自身でも拘って作っているのは意外だった。 その他、家族とのエピソードや愛人との馴れ初め・別れなど檀一雄が何を感じながら生活していたのか詳細に書かれ、読み手にも感情移入がしやすい作品だと感じた。

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