火宅の人(上巻) の商品レビュー
2018年4月7日、読み始め。 2018年4月14日、214頁まで読んで、終わり。 2021年5月4日、追記。 著者の檀一雄さん。 ウィキペディアを見ると、次のように紹介されている。 檀 一雄(だん かずお、1912年(明治45年)2月3日 - 1976年(昭和51年)1月...
2018年4月7日、読み始め。 2018年4月14日、214頁まで読んで、終わり。 2021年5月4日、追記。 著者の檀一雄さん。 ウィキペディアを見ると、次のように紹介されている。 檀 一雄(だん かずお、1912年(明治45年)2月3日 - 1976年(昭和51年)1月2日)は、日本の小説家、作詞家、料理家。私小説や歴史小説、料理の本などで知られる。「最後の無頼派」作家・文士ともいわれた。また、西遊記の日本語抄訳もある(東京創元社ほか)。 そして、作品、『火宅の人』。 『火宅の人』(かたくのひと)は、檀一雄の長編小説で遺作。『新潮』1955年11月号より20年にわたり断続的に連載された。1975年に新潮社で単行本が刊行(現:新潮文庫(上下)、改版2003年)。没後に第27回読売文学賞(小説部門)と、第8回日本文学大賞を受賞した。全集を含めると150万部を超す檀の最大のヒット作。 20年にわたって連載というのは、すごいですね。 この作品のあらすじは、 作家・桂一雄は、妻のほか、日本脳炎による麻痺を持つ息子のほか4人の子を持ちながら、女優を愛人として、通俗小説を量産しながら、自宅をよそに放浪を続けている 、というところ。 自伝的な内容のようです。
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ブクログの本棚に登録して6年。やっと読めました。 2017年、個人的に一番読んでよかった本。 檀一雄の遺作、長編小説で、約20年にわたり連載された。 主人公の作家、桂一雄が家庭を顧みず愛人を作り、放浪の生活を続けます。 非難轟々にもなりかねない内容かもしれない。 でも、私は不...
ブクログの本棚に登録して6年。やっと読めました。 2017年、個人的に一番読んでよかった本。 檀一雄の遺作、長編小説で、約20年にわたり連載された。 主人公の作家、桂一雄が家庭を顧みず愛人を作り、放浪の生活を続けます。 非難轟々にもなりかねない内容かもしれない。 でも、私は不覚にも感動してしまった。すごいすごいと思いながら引きつけられた。涙さえ出た。 下巻の最後まで駆け抜けて読んでみてください。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
愛情があって甲斐性もある男性だし、妻の他に恋人を作ってそれについて開き直ったように妻に語るところや、言い訳を言い訳と自覚しながらつらつら述べるのは面白かったけど、ずーっとその調子なのでさすがに飽きてきてしまった。下巻どうしようかな。。
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国語辞典編集者の飯間浩明さんの「主人公には全く共感できないが、作品自体の価値は認めざるを得ない」作品、との言葉で興味を持って。有島武郎『或る女』も、私にとってそういう本です。 常に酒を飲んでいて、子供が5人もいるのに若い女性と同棲していて、いつも貧乏で借金し続け。 人間として...
国語辞典編集者の飯間浩明さんの「主人公には全く共感できないが、作品自体の価値は認めざるを得ない」作品、との言葉で興味を持って。有島武郎『或る女』も、私にとってそういう本です。 常に酒を飲んでいて、子供が5人もいるのに若い女性と同棲していて、いつも貧乏で借金し続け。 人間として碌でもないというか、自分勝手でダメな人生で、親戚にいたら関わりになりたくない人だと思うんだけど、その放浪も貧乏も肯定して気ままに生きていく感じ、どうしても憎めないなぁ。 そして、あっけらかんと人生を謳歌している、文章が素晴らしい。私小説は自分の身勝手さを誇示するようで嫌いだったんだけどこれは長くても読んでしまう。読んでいて、賑やかな家の様子、酔っている時の感慨、やめられない泥恋愛のやましさと愛しさ、全部伝わってくる。名文。 作中の人物は太宰治と坂口安吾ぐらいしか知らないから、人物名は読み飛ばしてるけど、当時の人々を知っていて読んだらまた愉快なんだろうなと思う。
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火宅とは、仏教用語で、火の家におり、それに気付かず遊び呆ける様。物語は、性的放蕩、とでも言おうか。長い物語ゆえ、何にスポットを当てるか、障害を持った次男、大人しい後妻、多額の収入での飲み歩き、奔放な愛人。これらをキーワードに綴られる生々しい日常。落ち着いた生活、落ち着いた人間関係...
火宅とは、仏教用語で、火の家におり、それに気付かず遊び呆ける様。物語は、性的放蕩、とでも言おうか。長い物語ゆえ、何にスポットを当てるか、障害を持った次男、大人しい後妻、多額の収入での飲み歩き、奔放な愛人。これらをキーワードに綴られる生々しい日常。落ち着いた生活、落ち着いた人間関係など持たず、ただ、自らの才能を欲望に変換し生きる日々。それはまるで、チャールズブコウスキーのような詩的な日常なのである。日常の切り売り。それを高く買ってくれるのであれば、男は自由だ。 この切り売り、不思議と嫌な感じや羨ましい感じがしない。それは、素直な生き方への許容だろうか、あるいは、才能ゆえ、自らと比較する対象から外れているからだろうか。学生時代のモラトリアムがそのまま続くような甘美な怠惰。作家稼業を羨ましく思う一因である。
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最初はやや冗長な感じで読み進めていたが、次第に作者の破天荒な生き方に引き込まれて、即、下巻へと進む。
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浮気をして家庭を顧みないように見えて、実は脳炎にかかった息子を思いやっていた主人公。この人は家庭という枠を越えて、好きだと思う人を全てを愛したいと思っていたのだろう。その生き方に、どんなに非道徳と言われても憧れてしまう。
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「最後の無頼派」作家といわれた檀一雄の自伝的小説。女優・檀ふみのお父さんです。太宰治や坂口安吾などとの華麗なる人脈や、放蕩すぎる女性遍歴など、私生活をこれでもかというほど暴露しています。私小説の極みです。
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妻と3男2女のいる家を捨て、舞台女優の恵子との愛欲の暮らしに走る作家桂一雄。しかし結局は、その恵子の元でも安住せずに終わりのない放蕩を繰り返す…。 作者自身の人生に素材をとった、いわゆる私小説。完成までに20年をかけたという。 “酒と女にまみれた放蕩”と言えば極めて不健康そうだが...
妻と3男2女のいる家を捨て、舞台女優の恵子との愛欲の暮らしに走る作家桂一雄。しかし結局は、その恵子の元でも安住せずに終わりのない放蕩を繰り返す…。 作者自身の人生に素材をとった、いわゆる私小説。完成までに20年をかけたという。 “酒と女にまみれた放蕩”と言えば極めて不健康そうだが、意外と健全な面を持ち合わせている。自炊や水泳が大好きで、自身の過剰に健康な体に対して懸念を抱くほどだ。ゆえに、その中に垣間見れる独特の寂寥感はなおさら強い。個人的には、彼のとぼけた文体と妄想癖に好感を持ったが、先に沢木耕太郎氏の「壇」を読んでいたせいか、こんな人の妻になったらたまったもんじゃないと思う。 ☆読売文学賞・日本文学大賞
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