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午後の曳航 の商品レビュー

3.9

124件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2014/07/22

少年たちの「悪」に対する純粋な軽蔑と残酷さが非常に美しい小説だ。情景描写も優れており、描かれるもの全てがはっきりと目に浮かんでくるようだ。やはり三島はすごいと感じる。 『豊饒の海』、特に『奔馬』が私は三島の中では特に好きなのだが、それと同じくらいこれも好きだ。 長さも丁度良くて、...

少年たちの「悪」に対する純粋な軽蔑と残酷さが非常に美しい小説だ。情景描写も優れており、描かれるもの全てがはっきりと目に浮かんでくるようだ。やはり三島はすごいと感じる。 『豊饒の海』、特に『奔馬』が私は三島の中では特に好きなのだが、それと同じくらいこれも好きだ。 長さも丁度良くて、折にふれては読み返したくなる。

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2014/02/09

読書メモ。 ・塚崎は自分の成功を確信している。世の中を俯瞰している。群れるのは性に合わない ・登は世の中のあらゆるものに敵意を抱き、蔑視している。彼もまた俯瞰視点に立っている。全ては虚構だと考えている。 ・栄光とは、最上の女のために戦い、果ては孤独に死ぬことである。 ・海とは女の...

読書メモ。 ・塚崎は自分の成功を確信している。世の中を俯瞰している。群れるのは性に合わない ・登は世の中のあらゆるものに敵意を抱き、蔑視している。彼もまた俯瞰視点に立っている。全ては虚構だと考えている。 ・栄光とは、最上の女のために戦い、果ては孤独に死ぬことである。 ・海とは女のことだ。きまぐれで、だた美しく、それでいて船乗りの乾きを癒すことはできない。

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2014/02/08

文体が美しくそれだけで読書欲をそそる。世界との完璧な一体感という作者の美意識が良く伝わってくる。そういった心性だからこそ、少年の抱く全能感を少年の目線で違和感なく描けるのだろう。父と子になぞらえた俗と聖の対立の図式も分かり易い。夏と冬の横浜のどこか煤けた風景、とりわけ丘の上の宅地...

文体が美しくそれだけで読書欲をそそる。世界との完璧な一体感という作者の美意識が良く伝わってくる。そういった心性だからこそ、少年の抱く全能感を少年の目線で違和感なく描けるのだろう。父と子になぞらえた俗と聖の対立の図式も分かり易い。夏と冬の横浜のどこか煤けた風景、とりわけ丘の上の宅地開発地から眺める昼下がりの冬の海の描写と、男が女性の硬くなった乳首を愛撫する時の触感を描写したところは絶品。

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2013/12/05

あの種の純粋さ、僕にもあったんですかね。 確かにあったと思います。 しかし今振り返っても、正確には思い出せないですね。 僕は十分におっさんになりましたから。 成熟したと言うべきか、汚れたと言うべきか。 純粋さだけを失い、甘さはまだ子供のままだったりするんだよな。

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2013/09/24

再読。この小説のあちこちに、フランス文学の面影が垣間見える。冒頭の隙間から隣室を覗き見るシーンには、サロートやロブ・グリエらのヌーボー・ロマンの手法が、そして少年たちの一団からはコクトーの『恐るべき子供たち』が直ちに連想されるし、よくいわれるラディゲの影もあるかも知れない。さて、...

再読。この小説のあちこちに、フランス文学の面影が垣間見える。冒頭の隙間から隣室を覗き見るシーンには、サロートやロブ・グリエらのヌーボー・ロマンの手法が、そして少年たちの一団からはコクトーの『恐るべき子供たち』が直ちに連想されるし、よくいわれるラディゲの影もあるかも知れない。さて、物語は横浜を舞台に展開する。そこで語られるのは、陸に上がった船乗りの陳腐さ、父親であることの陳腐さ、母親であることの陳腐さであり、それに気がつかない愚劣さである。三島はそれをいとも軽やかに、そして時には官能的に語っていくのだ。

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2013/08/25

中学生のころの新潮文庫のパンフレットに載っていた対談で、「午後の曳航」で読書感想文を提出したら先生に怒られたというエピソードが紹介されていて、それ以来気になっていた作品。。確かに刺激が強すぎる。。

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2013/07/30

相変わらず描写が圧倒的に美しすぎる。仔猫の場面ですら、美しすぎて、思わず声が出た。 あと、本作は何故か音に非常に魅力を感じた。文字を読んで、音を感じる、不思議な小説だった。 父親、とは何者か。 竜二にとっては、実は望んだラストなのかも。

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2013/06/04

三島氏の作品はいかんせんむずい…というか、文章が読みにくい気がし、さらに内容までも中卒の僕にはちと難しいもののように感じていたのでありますけれども、今作は楽しめましたね! 物語の長さも三島氏の、あの独特な文章で綴られることを考えますと程よい、というか、ちょうどよい感じがして良かっ...

三島氏の作品はいかんせんむずい…というか、文章が読みにくい気がし、さらに内容までも中卒の僕にはちと難しいもののように感じていたのでありますけれども、今作は楽しめましたね! 物語の長さも三島氏の、あの独特な文章で綴られることを考えますと程よい、というか、ちょうどよい感じがして良かったですね。 解説にもありました通り、子供をダメにするのは大人! みたいな価値観が横溢している物語でありました…。子供の、純真無垢な疑問とかそういうのは大人になるに従って無くなっていくもの…ってか、大人は他にやることが多すぎてそうした疑問にいちいち首を突っ込まなくなっているのかもしれないですな…。まあ、それはいいとして、ともかく子供だからこそ持っている尖がった部分、ってのは大人にとっては少々煩わしいものなのかもしれませぬ…だから摘んでしまう! その事を作者は嘆いているのかな? と思いました。まあ、解説者の受け売りなんですけれども… ←え?? 社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー まあ、そんなわけでこれくらいの長さならボキにもある程度理解できるってんで、今後も暇を見て短小なる作品からチャレンジしてみますかね。おしまい。 ヽ(・ω・)/ズコー

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2013/03/20

明日にでも桜が満開を迎える日に読み終わった10年振りの三島由紀夫。畳み掛けるように形容を重ねていく文体がなんかもう脅迫的に美。中高生の時の方が遥かに今よりも虚無だったし美しいものを信じて潔癖だったのを思い出しちゃった。

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2013/02/02

(2002.05.13読了)(2002.04.11購入) 内容紹介 船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現...

(2002.05.13読了)(2002.04.11購入) 内容紹介 船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実からの挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。 -------------------------------------------------------------------------------- ☆三島由紀夫さんの本(既読) 「仮面の告白」三島由紀夫著、新潮文庫、1950.06.25 「愛の渇き」三島由紀夫著、新潮文庫、1952.03.31 「潮騒」三島由紀夫著、新潮文庫、1955.12.25 「金閣寺」三島由紀夫著、新潮文庫、1960.09.15 「青の時代」三島由紀夫著、新潮文庫、1971.07.15 「癩王のテラス」三島由紀夫著、中公文庫、1975.08.10

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