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午後の曳航 の商品レビュー

3.9

124件のお客様レビュー

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    29

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2016/05/01

中学生の時に祖母に薦められて読みました。 当時の私にはあまりに衝撃的な内容で、良さは理解できずという感じでしたが、数年後に再読し魅力に気づいてからはお気に入りの一冊です。 しかし、祖母が何を思って中学生にこの本を薦めたのでしょうか・・・笑

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2016/02/05
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少年法のあり方とか、いろいろ考えさせられちゃうお話。 思春期の13歳少年は、自分のエロ妄想を「人間とは~」みたいなお堅い言い訳で正当化するから面倒くさい。 体を動かさないから頭でっかちになって、結局は悪い仲間に流されてネコどころか人まで殺そうとするとはねぇ…。 視野の狭い子どもの残虐性をうまく表現したお話でした。 中編だけど、うまくまとまっていたよ。

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2016/02/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 理想とか夢想に憧れて生活感を憎悪する生意気なガキと、かつて狂おしいほど急き立てられた理想からそっと目をそらし生活を見据え始めた男、どちらに共感するかといえば、圧倒的に後者なんだよなあ。  大人の姿を見て自分の未来の姿を予見する、なんて賢さは自分にはなかったので成程と思う部分はあったが、やっぱり小憎らしさが先に立って、痛々しい犯罪者ポエムを読んでいるようなむずがゆさを感じてしまった。  とはいえ…自分の身近に存在して自分と重ね合わせやすい存在には、憧憬と落胆どちらも鋭敏に感じやすいというのは分かってしまう。  栄光じゃなくて曳航、という皮肉っぽさがいかにも似合う毒々しい稚気溢れる作品だった。

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2015/12/03

小難しい言葉たちに惑わされて、シンプルなメッセージが伝わりづらくなっているように感じた。 登たち中学生の持つ、思春期の万能感。 竜二の投げ捨てつつある、信じていた栄光と死。 子供達は、陸の生活に馴染み父親を選んだ竜二にひどくがっかりし、殺人へと駆り立てる。 大人が読むと子供...

小難しい言葉たちに惑わされて、シンプルなメッセージが伝わりづらくなっているように感じた。 登たち中学生の持つ、思春期の万能感。 竜二の投げ捨てつつある、信じていた栄光と死。 子供達は、陸の生活に馴染み父親を選んだ竜二にひどくがっかりし、殺人へと駆り立てる。 大人が読むと子供が読むとで全く印象が変わりそうだけれど、結婚して子供がいる自分が読むと、なんだかシラけてしまった。

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2015/08/30

何度目かの再読。 とても単純な構造の小品。 青春の只中と、その出口での葛藤と、出てしまった後のうつすらとした後悔、この三様が、交錯する。

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2015/02/23

今となっては大人なんて大したものではないと思う。 しかし、やはり子供の頃は彼らへの憧れと嫌悪、 そしていつか大人になる自分への不安というものがあった気がする。

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2015/01/16

結末に近づくにつれて、嫌な予感が広がっていった。 三島由紀夫は大好きだけれども、生活を軽んじる点だけは好きになれない。 それから、子供の自身の正しさを微塵も疑わない奢りには吐き気がする。なぜ少年達はこの退屈な生活の垢にまみれた世界に退屈しているのに自殺を選ばないのかと思った。

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2014/12/12

★★★ 13歳の登は、隣の母の部屋への除き穴を見つける。 父は5年前に死んだ。母の房子は33歳の女盛り。 そして目撃した、母と船乗りの竜二が抱き合う姿、刹那に響き渡る汽笛。 その瞬間は登にとって人間の美の頂点というべき特別な光景だった。 竜二は一見寡黙だが内心に大仰なロマンスを...

★★★ 13歳の登は、隣の母の部屋への除き穴を見つける。 父は5年前に死んだ。母の房子は33歳の女盛り。 そして目撃した、母と船乗りの竜二が抱き合う姿、刹那に響き渡る汽笛。 その瞬間は登にとって人間の美の頂点というべき特別な光景だった。 竜二は一見寡黙だが内心に大仰なロマンスを持ち合わせていた。 登は竜二に理想の男の幻想を見る。 登には”首領”を中心とした、メンバーを番号で呼び合う仲間たちがいる。 首領は少年たちに、残虐性を孕んだ美学、哲学を説く。 竜二は房子との結婚のために船を降りる。 そこここで見え隠れする小さな違和感。 竜二が普通の男になることに自分の美学が崩れた登は、 ”首領”の先導により少年たちと共に、竜二を洞窟へと誘う。 少年たちはその幼い手に、麻酔やナイフを持っていた…。 ★★★ 前半「夏」は、男と女が出合い、少年の危うい思春期を示し、そして別れによりギリギリに保たれた理想の描写。 後半「冬」は、理想の瓦解。 母の恋人に殺意を抱きますが、マザコンとかオイディプスコンプレックスとかではない、あくまでも自分が理想とする男の幻想が崩れることを防ぐための怒りが原動となっている。そして三島自身の、自分自身である少年に殺されたいという欲望も含んでいるそうな。 しかし登の殺意がなくても、竜二自身にも迷いがあり、このまま結婚しても常にどこか別の所を見る生活だったのかな。竜二と房子が完全に幸せな状態でないように書いたのも、危うい均衡を保っていると思う。 ≪以下ネタバレ≫ 三島由紀夫のノートによると、小説の終わった後に、少年たちの解剖シーンも準備していたようですね。 前半で自分たちの理性の訓練のために猫を殺し解体することとつながっているようで。 しかし前半の猫でその可能性を示し、後半はここで辞めたのはよかったと思う。

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2014/12/12
  • ネタバレ

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ネタバレ ◆昭和38年にこの作品が……。戦慄した。読友さんのご紹介と登録時のたくさんの推し☆に感謝。◆海と詩と孤独。焦点を合わせた目・目・目。居心地が悪い。怖い。居心地が悪い。◆「花ざかりの森」から変わらぬテーマ。此岸ではない彼方への(海への・詩への・死への)憧れ。自らの演技に陶酔し、他者の演技と教育を激しく侮蔑する。◆14歳。そして、彼方へ。◆男は「船」に、記号(ことば)になる。

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2014/09/27

始めて三島さんの小説を読みました。 最初は言葉遣いが読みづらいと感じましたが、ページをめくる手がなかなか止まらず、空いた時間はずっと読んでいました。とても美しい日本語を使う作家さんで、薄い本なのにすごく時間をかけて読みました。

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