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午後の曳航 の商品レビュー

3.9

124件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

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  3. 3つ

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三島由紀夫の本の中で…

三島由紀夫の本の中では一番最初に手にとったもの。薄い割には、内容がやはりしっかりしている。文章の美しさはさすが三島由紀夫、といったところ。それがかえって、子供の恐ろしさを際立たせていた。比較的読みやすい本でした。

文庫OFF

少年たちは大人やその…

少年たちは大人やその社会、また現実というものに反感、敵意を抱いているものだ。そんな少年たちの期待を裏切り、英雄から矮小な父親へと堕ちてしまった船乗りの竜二を処刑する。猫の殺害、少年法など最近の少年犯罪を連想させる部分がたくさんある。

文庫OFF

少年が殺意を抱くに至…

少年が殺意を抱くに至るまでの心理描写など実に巧みで、今もって古臭さを感じさせないテーマだと思いました。

文庫OFF

羨望の的だった船乗り…

羨望の的だった船乗りが、自分の母と恋仲になったことを知った少年は、船乗りに殺意を抱く。読みやすく、それでいて味わいのある長編です。

文庫OFF

2023/11/28

日本語が美しい、と橋本治が書いていたので読んでみた。何処ら辺が違うのかピンと来なかったが、小説には物語を伝えるための日本語と、ある光景を描写するための日本語があることを改めて実感した。

Posted byブクログ

2023/10/05

未亡人の母と息子、母の前に独身男が現れる。息子は反抗的少年グループに属している。ある日少年は母と男の抱擁を覗いてしまう。 なにこれやばい。後半怖すぎ... そもそも一人ひとりが何もわかってない...みんな夢見すぎだよ。 現にあったあの事件思い出した。 大人は浮かれて子供は冷静にな...

未亡人の母と息子、母の前に独身男が現れる。息子は反抗的少年グループに属している。ある日少年は母と男の抱擁を覗いてしまう。 なにこれやばい。後半怖すぎ... そもそも一人ひとりが何もわかってない...みんな夢見すぎだよ。 現にあったあの事件思い出した。 大人は浮かれて子供は冷静になりきれていない(というか世の中敵に回しすぎ)母ちゃん目線で読んだら絶望。 タイトル秀逸...いろんなパターンある三島由紀夫やば... はぁ、怖かった。

Posted byブクログ

2023/09/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・彼らは危険の定義をわかっていないんだ。…本当の危険とは、生きているというそのことの他にはありゃしない。生きているということは存在の単なる混乱なんだけど、存在を一瞬毎に元々の無秩序にまで解体し、その不安を餌にして、一瞬毎に存在を作り変えようという本当にイカれた仕事なんだ。…存在自体の不安というものはないのに、生きることがそれを作り出すんだ。 ・彼は感じた、殺意というものは朝の海風のように胸に吹き抜けると。 ・首領は前々から、世界の空洞を満たすにはこんな行為が必要なことを主張して来た。他のどんなものでも埋められない空洞は、殺すことによって、丁度鏡が一面の亀裂に充されるような具合に充たされるだろう。 ・暗い波のうねりや、天の雲の辺際の崇高な光りに、いつも直接に接していたために、心の中がねじ曲がって、堰き止められては野放図に昂揚して、一等けだかい感情と一等陋劣な感情との弁えのつかなくなった、そしてその功罪をすべて海に託けてきた、そんな晴れやかな自由をお前は捨てるのか? ・海や船や航海の幻は、その青い輝く一滴の中にしか存在しない。日ましに竜二には忌わしい陸の日常の匂いがしみついた。 ・正しい父親なんてものはありえない。なぜって、父親という役割そのものが悪の形だからさ。…父親はこの世界の蝿なんだ。あいつらはじっと狙っていて、僕たちの腐敗につけ込むんだ。 ・閉じ込められたものの怒りが、馴れ親しんだ自分の巣の匂いが、今度はすっかり意味を逆転させて、自分で自分を閉じ込める者の、まわりの世界に対する諦めと寛容に変わるのを、彼らは確かに期待している。 ・あいつらが教育をはじめたのだ。怖しい破壊的な教育。すなわち彼に、このやがて十四歳になろうとする少年に、「成長」を迫ること。首領の言葉を借りれば、とりも直さず、「腐敗」を迫ること。 ・かれはただ思っていた、この世には殴ること以上に悪いことがある、と首領が言っていたのは本当だ、と。 ・僕たちにはあらゆることが許されている、と考えるのはまだ浅いんだ。許しているのは、僕たちの方なんだ。教師や、学校や、父親や、社会や、こういうあらゆる塵芥溜めを。それは僕たちが非力だからじゃない。許すということが僕たちの特権で、少しでも憐れみを持っていたら、これほど冷酷に全てを許すことはできないだろう。つまり僕たちは、いつも、許すべきでないものを許していることになる。 ・いつも言うように、世界は単純な記号と決定で出来上がっている。

Posted byブクログ

2023/03/31

エディプスコンプレックスと「恐るべき子供たち」を例に出すのは凡庸過ぎるか?だとしても1963年の時点で「猫」と「凶行」を関連づけた三島由紀夫の視線に驚く。

Posted byブクログ

2023/01/24

三島を初めて読むという人は「金閣寺」でも「潮騒」でもなく、「午後の曳航」を読むべきだと思う。 くどくどとした描写が少なくボリューム的にも読みやすい。それでいて三島らしさはしっかり。 「豊饒の海」の執筆、自決へと繋がる重要な作品だと思う。 おすすめです。

Posted byブクログ

2022/11/14

最近実用書や論文・ニュースレターを読むことが増えて、エッセイや小説に久しく触れていなかったので、突然思い立って三島作品を手に取った。読書好きでよかった〜と噛み締めながら、解説まで通読。一行一行からその場の匂いや空気の色まで浮かんでくるようだった。 最近体調が思うようではなく、デス...

最近実用書や論文・ニュースレターを読むことが増えて、エッセイや小説に久しく触れていなかったので、突然思い立って三島作品を手に取った。読書好きでよかった〜と噛み締めながら、解説まで通読。一行一行からその場の匂いや空気の色まで浮かんでくるようだった。 最近体調が思うようではなく、デスクワークがしんどくて集中できないことが多いけど、体に染み込んで蝕まれて、その場にいるのに、自分じゃない誰かになったような気分になれる作品を読んで、良い気分転換になった

Posted byブクログ