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午後の曳航 の商品レビュー

3.9

124件のお客様レビュー

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2019/09/10

・なんだか特権階級的な話だなぁと思った。 ・登は首領たちとの集まりで、感情のないことの訓練をしていた。彼らが目指す大人とはなんだったのかな ・房子と竜二の恋物語でありながら、それを盗み見る登の話であったなぁ。 ・なんか遠い世界のことみたいだった ・退廃的なかんじがした

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2019/09/12

よくあるメロドラマのようでありながら、最後は一気に「物語」の終焉に突き落とされる。現実を、生活を完璧にに封印する純数な次元が現れる。 犬島錬成美術館に触発され、初めて読んだ三島由紀夫だが、驚くべき作品だ。 最後まで読んで初めてわかる、完璧な布置。繰り返すが、社会の存立基盤を撃つ、...

よくあるメロドラマのようでありながら、最後は一気に「物語」の終焉に突き落とされる。現実を、生活を完璧にに封印する純数な次元が現れる。 犬島錬成美術館に触発され、初めて読んだ三島由紀夫だが、驚くべき作品だ。 最後まで読んで初めてわかる、完璧な布置。繰り返すが、社会の存立基盤を撃つ、驚くべき作品だ。

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2019/06/26

船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実からの挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処...

船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実からの挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

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2019/06/03

三島由紀夫の文学について語られる時について回る物語の復権について、個人的にはあまり興味がない。なので、まるで古典から参照したかのような登場人物たちの造形にはへぇとしか思わない。ただ、この作品で現実とのリンクとして少年法が語られた時には唸った。

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2019/07/21

頁数少なめだが中身は超ハード。さすがは天才・三島由紀夫と感じる作品。危うさと艶かしさが同居する前半部「夏」から加速的に凶気が増幅していく後半部「冬」に移行していく構成、思春期の複雑な感情をより研ぎ澄ます心理描写。どちらも見事だ。 そして圧巻は戦慄のラスト。グロテスクなのにスタイリ...

頁数少なめだが中身は超ハード。さすがは天才・三島由紀夫と感じる作品。危うさと艶かしさが同居する前半部「夏」から加速的に凶気が増幅していく後半部「冬」に移行していく構成、思春期の複雑な感情をより研ぎ澄ます心理描写。どちらも見事だ。 そして圧巻は戦慄のラスト。グロテスクなのにスタイリッシュ。何ともかっこいい一文で締め括られている。 昭和30年代にこの作品を書いた三島の頭の中はいったいどうなっているのか。時代を先取りするどころか完全に超越している。

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2018/09/06

三島作品第2弾。前半は美しいけれど何となく物足りなさがあるけれど、エンディングに向かうにつれてちょっとした凶気が滲み出ていき、最後は衝撃的な結末。13歳であんなに考えていなかった。少し血腥い話をあんなに綺麗に書けるなんて、やっぱりすごい作家だったんだな、と改めて感服。

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2018/05/26

司馬遼が続いているためか、有島武郎と並行して読んでいるためか、異様に文体と言いますかリズム良く読ませてくれます。 初めの内容は正直ふーんって感じだったけれども、後半からの緊迫感がなかなかのもの。そこに行きますかって感じで、大人というよりも子供の欺瞞を通して社会の甘さを突いてくるな...

司馬遼が続いているためか、有島武郎と並行して読んでいるためか、異様に文体と言いますかリズム良く読ませてくれます。 初めの内容は正直ふーんって感じだったけれども、後半からの緊迫感がなかなかのもの。そこに行きますかって感じで、大人というよりも子供の欺瞞を通して社会の甘さを突いてくるなと。 敢えて言うなら最後はどうかな?何か酔っていて、実のところ結末を押し付けていて、決して読者に対してオープンな態度ではない。こういうのはあんまり当方の好みではないといったところでしょうかね。

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2018/02/20

主な登場人物は海に憧れる少年、登。登の母房子。逞しい体の船乗り竜二。房子は父が亡くなっており、竜二と再婚しようとする。登にとって憧れの海の要素をもつ竜二が、陸の男で家庭的な男になっていく様を見て幻滅していく。最終的には登が仲間とともに竜二に対して復讐を行うという内容。 少年の視点...

主な登場人物は海に憧れる少年、登。登の母房子。逞しい体の船乗り竜二。房子は父が亡くなっており、竜二と再婚しようとする。登にとって憧れの海の要素をもつ竜二が、陸の男で家庭的な男になっていく様を見て幻滅していく。最終的には登が仲間とともに竜二に対して復讐を行うという内容。 少年の視点からだと、確かに大人の発言は気持ち悪いものがあるかもしれないと感じさせるものがあった。

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2017/11/03

金閣寺をはじめとして、三島文学は現実を超越する認識の美学であると思っていた。しかし、これを読んで、現実から乖離されすぎた認識は狂気を宿すことを知る。観念への確信と、現実からの乖離、そしてその見事なまでの錯綜。気づいたら、ある人は1人を殺しており、ある人は手放した過去を夢想しながら...

金閣寺をはじめとして、三島文学は現実を超越する認識の美学であると思っていた。しかし、これを読んで、現実から乖離されすぎた認識は狂気を宿すことを知る。観念への確信と、現実からの乖離、そしてその見事なまでの錯綜。気づいたら、ある人は1人を殺しており、ある人は手放した過去を夢想しながら終える。あの夢想の中の彼こそ、夢描かれた英雄の姿である。お互いの観念同士が作り上げた世界であり、完全にすれ違ったまま1つの連帯を織り成す世界構造。見事なり。

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2017/08/29

酒鬼薔薇聖斗の出現を予言した!やっぱり三島は凄い!!という意見もあるようだが、それはそれで置いておいて良い事象だとは思う。頭でっかちで美学を持った少年達の持つ、純粋で歪んだ「大人」という概念と、彼らの繊細で残酷な心を上手く表現した、危うい一作という印象だ。 芥川の『羅生門』よろ...

酒鬼薔薇聖斗の出現を予言した!やっぱり三島は凄い!!という意見もあるようだが、それはそれで置いておいて良い事象だとは思う。頭でっかちで美学を持った少年達の持つ、純粋で歪んだ「大人」という概念と、彼らの繊細で残酷な心を上手く表現した、危うい一作という印象だ。 芥川の『羅生門』よろしく、本来の結末はもう数ページ存在していたらしいが、あそこで終わらせるのが正解だろう。『ライチ光クラブ』が好きな人にお勧めしたい。

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