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金閣寺 の商品レビュー

3.9

741件のお客様レビュー

  1. 5つ

    198

  2. 4つ

    219

  3. 3つ

    197

  4. 2つ

    32

  5. 1つ

    7

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2023/01/04

内容的には読み難い異常な独白文ですが、すらすら読ませ切る文章の美しさと表現の迫力がすごい。 内向と卑屈を極めて、アイデンティティとした彼の言動や思考の幼稚さは目に余りますが、自分の劣った点を特別視し、内面で肥大化させてしまう傾向を持ち合わせている人は、自分含め、少なくないんじゃ...

内容的には読み難い異常な独白文ですが、すらすら読ませ切る文章の美しさと表現の迫力がすごい。 内向と卑屈を極めて、アイデンティティとした彼の言動や思考の幼稚さは目に余りますが、自分の劣った点を特別視し、内面で肥大化させてしまう傾向を持ち合わせている人は、自分含め、少なくないんじゃないかと思いながら読んでました。 ラストの彼の姿は、彼の金閣を焼く目的と気持ちよく合致しており、その整合性・解放感には小説的な美しさを感じて好きです。

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2022/12/02

何故燃えたのか金閣寺、三島由紀夫の解釈はこうなんだろうな。言い回しが読みにくいが、それが天性のもので、凡人の私には難しい

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2022/11/15

以前読んだときは途中で読むのをやめてしまったので、今回はじめて最後まで読んだ 読書を娯楽と捉えると、この手の作品は重過ぎる 実話を元にした話ではあるが、主人公の性格はきっと三島の想像だろう 何もかもを他人のせいにする男で好感は持てず、同情もわかないが、それはそのように書いた...

以前読んだときは途中で読むのをやめてしまったので、今回はじめて最後まで読んだ 読書を娯楽と捉えると、この手の作品は重過ぎる 実話を元にした話ではあるが、主人公の性格はきっと三島の想像だろう 何もかもを他人のせいにする男で好感は持てず、同情もわかないが、それはそのように書いたのだろう 読書初心者には根気のいる作品

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2022/10/16

終始暗く、文章が難しく、読むリズムが崩されるのがbadな点。 正直、何とか読み切ったと言ったところ。 個人的に、小説は読む際のリズムが重要だと思っているが、本作ではどうもリズムが取りづらかった。

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2022/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

吃りというコンプレックスを抱えた学僧・溝口が、金閣の美しさに魅了され、囚われ、憎み、放火するに至るまでの半生の物語。 金閣という美の極致を前に、吃りという障害を持つ自分の醜さを極度に恥じる。 戦時下では、戦災はなんの区別もなく焼き尽くされるという点で、あらゆるものは平等であるという考えに安堵を覚えるが、敗戦を迎える。 『これで私と金閣が同じ世界に住んでいるという夢想は崩れた。またもとの、もとよりももっと望みのない事態がはじまる。美がそこにおり、私はこちらにいるという事態。この世のつづくかぎり渝(かわ)らぬ事態……』 敗戦は私にとっては、こうした絶望の体験に他ならなかった。(p.81) 溝口とも分け隔てなく接する同門の鶴川や、内翻足という障害を自分の存在の根拠とする柏木との出会い。 女と情事に及ぼうとする際に金閣の幻影に襲われ放心し、結局未遂に終わる。 人生に対する行為の意味が、或る瞬間に対して忠実を誓い、その瞬間を立止らせることにあるとすれば、おそらく金閣はこれを知悉していて、わずかのあいだ私の阻害を取消し、金閣自らがそういう瞬間に化身して、私の人生への渇望の虚しさを知らせに来たのだと思われる。(p.160) やがて学校をサボるようになり、柏木に借金をして日本海沿いの由良に出奔する。そこで金閣を燃やすことを思いつく。 ふと私は、柏木がはじめて会った日に、私に言った言葉を思い出した。われわれは突如として残虐になるのは、うららかな春の午後、よく刈り込まれた芝生の上に、木洩れ陽の戯れているのをぼんやり眺めているような、そういう瞬間だと言ったあの言葉を。(p.242) 『金閣を焼かなければならぬ』(p.243) 金閣に放火し、自分も心中しようと最上階に向かうが扉が開かない。拒まれたと感じた溝口は、外に飛び出して左大文字山まで駆け上がる。金閣を燃やす火を眺めながら煙草を吸い生きていくことを決心する。 私は煙草を喫んだ。一ト仕事を終えて一服している人がよくそう思うように、生きようと私は思った。(p.330) 美に対しての挫折を扱った小説だが、同じ告白体の『仮面の告白』も「正常さ」に対して挫折している。 文も短く読みやすくなったと思ったが、何気なく話しかけた(ように見える)柏木が、いきなり長広舌で、三島由紀夫特有の屈折した持論を披露するのには苦笑した。 借金を取り立てに寺に来た柏木のセリフ 「認識だけが、世界を不変のまま、そのままの状態で、変貌させるんだ。認識の目から見れば、世界は永久に不変であり、そうして永久に、変貌するんだ。それが何の役に立つかと君は言うだろう。だがこの生を耐えるために、人間は認識の武器を持ったのだと云おう。」(p.273) それに対して溝口は 「世界を変貌させるのは行為なんだ。それだけしかない」(p.273)

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2022/07/25

正直、私にはまだ一語一句読み、感想を書けるほど理解することができなかった。 微妙な、蹲るような、そんな感情を徒然と描かれ、当たり前のように共感を求められている、そんなふうに感じた。わかるようでわからない、いや、わからないようでわかる、そんな放火犯の少年の気持ちの変化を追い、問いか...

正直、私にはまだ一語一句読み、感想を書けるほど理解することができなかった。 微妙な、蹲るような、そんな感情を徒然と描かれ、当たり前のように共感を求められている、そんなふうに感じた。わかるようでわからない、いや、わからないようでわかる、そんな放火犯の少年の気持ちの変化を追い、問いかけられる、そんな作品と感じた。 あと10年生きて、もう一度読んでみたいと感じた。

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2022/07/06

「現実(あるいは人生)か、心象か」その言葉に尽きます。 「難しく描きすぎ」みたいな感想をちらほら見かけますが、三島由紀夫ほど自分のスタイルを固持した作家もなかなか居ません。そしてそれを認めさせるだけの才知と気概を持ち合わせた作家だと思います。私は、物語に生き、生きる物語を書いた三...

「現実(あるいは人生)か、心象か」その言葉に尽きます。 「難しく描きすぎ」みたいな感想をちらほら見かけますが、三島由紀夫ほど自分のスタイルを固持した作家もなかなか居ません。そしてそれを認めさせるだけの才知と気概を持ち合わせた作家だと思います。私は、物語に生き、生きる物語を書いた三島の文学に、見事に平伏してしまった読者の一人です。三島の研ぎ澄まされた文体は、彼が作り上げた肉体に他なりません。 円熟的な作家とは言え、31歳でこれ書いちゃうって、ほんと凄まじいです。とてつもない文章力。怖くなるほど絢爛で、鋭くて、陶然としてしまいます。私が悪文を重ねるくらいなら、もう一度この本を開いた方が、はるかに有意義なものです(笑)

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2022/03/17

何十年ぶりかの再読。 当時は難しくてよくわからなかった。 そして今回もやはりよくわからなかった。 わからないが、この文章に浸っているのが心地よく感じる。また読みたいと思う時がくるかな。

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2022/03/11

美徳のよろめきは面白かった覚えがあるのだが、また三島を読んでみようと代表作である金閣寺を手にとった。思えば、金閣寺を放火するというネタバレでの読書で意気が揚がらないし、難解な文章に何度も挫折しかけたが、なんとか読了。放火におよんだ気持ちとかよくわからんかった。三島はもういい。

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2022/02/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1950年7月2日、『国宝・金閣寺消失。放火犯人は寺の青年僧』という衝撃ニュースからの筆。 金閣の壮大さ、人間との対比。主人公や出会った人が持つ考えや行動に、個人的には受け入れられない部分もあったが、建築物や、雪、花、蜂などの自然、登場人物の主張。どれも丁寧に描写され、情景がありありと脳裏に描かれ一気に物語へ吸い込まれた。生とは。人間とは。人間が生を耐えるため武器として持ったのが認識。その認識が世界を永久に不変なものとするし、永久に変貌させることも。鶴川の死から、有機的で明瞭な人間の形態はただの模型であること。認識は武器として形態に装備されたが、何も軽減されない認識の弱さを感じた。むりやりの思い込みと継続、でも世間は忘れっぽいし途絶えるという和尚の言葉。そこでも人間精神のもろさに気づかされる。 金閣のように一回性を持った不壊の美しさ故の滅びの可能性と、一見滅びやすい姿である人間の、でも根絶できないモータルなところ。金閣という美の偉大さと主人公の心の描写を対比しながら、人間の認識について考えることができた。

Posted byブクログ