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河童・或阿呆の一生 の商品レビュー

3.9

133件のお客様レビュー

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2021/03/22

 芥川龍之介作品は『河童』が一番好き。  晩年の作品のなかで、小説として体裁を保てたギリギリの作品が『河童』だと思う。これ以降は文章がどんどん発狂していく。  『或阿呆の一生』もこの本で読めます。私は「三十三 英雄」が好き。 君は僕等の東洋が生んだ 草花の匂のする電気機関車だ。...

 芥川龍之介作品は『河童』が一番好き。  晩年の作品のなかで、小説として体裁を保てたギリギリの作品が『河童』だと思う。これ以降は文章がどんどん発狂していく。  『或阿呆の一生』もこの本で読めます。私は「三十三 英雄」が好き。 君は僕等の東洋が生んだ 草花の匂のする電気機関車だ。  初めて読んだ時ここで号泣した。なんかよく分からないんだけど、自分のことを書かれた気がした。よく分からないんだけど。  佐藤春夫や川端康成が「最高傑作」と褒めたたえた『歯車』も収録されてます。これを読んでケロッとした顔でいられる人というのは居るんだろうか…。  『河童』は絶対に新潮文庫!と思っている。背表紙のこの作品紹介がスゴい。 「芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る「河童」、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る「或阿呆の一生」、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた「玄鶴山房」、激しい強迫観念と神経の戦慄に満ちた「歯車」など6編。」  特に『歯車』の「神経の戦慄」というフレーズには震えた。まさにその通りだと思う。  これを一冊読むと、芥川龍之介が何故自殺しなければならなかったのか分かると思う。

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2016/10/20

最晩年の短篇集。 芥川龍之介の心のうちが垣間見えてる作品ばかりで小説としては面白いけど、読んでいて辛くなった。 歯車の最後の言葉はかなり印象深い。

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2016/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

河童などが入った短編集。河童がおもしろかった。 突然、河童の世界へ入る。その世界で過ごすうちに、言葉がわかってくる。人間界に帰ってくるが、河童の世界に帰りたくなる。河童の里は故郷のようだ。言葉遣いが難しめだから読むのに時間がかかる。

Posted byブクログ

2016/08/26

ひたすら暗かった。死ぬ間際に書かれた遺稿も(歯車と或阿呆の一生)は、本当に今にも死にそうで、ある意味すごい迫力だった。或阿呆の一生で、ラストに奥さんが、死んでるかと思って部屋を覗きに来られるシーンがあり、それが哀しくて胸に染みた。

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2016/03/12

天才。子供の頃に「鼻」、「父」といった作品は読んでいるし「鋭い心理描写だなぁ」と感じた様な記憶は何と無くある。ただ大人になってこうした晩年の作品を読むと、「心理描写」といった言葉に括れない凄味があることがわかる。 日本文学は夏目漱石や森鴎外といった系統と、川端康成や三島由紀夫と...

天才。子供の頃に「鼻」、「父」といった作品は読んでいるし「鋭い心理描写だなぁ」と感じた様な記憶は何と無くある。ただ大人になってこうした晩年の作品を読むと、「心理描写」といった言葉に括れない凄味があることがわかる。 日本文学は夏目漱石や森鴎外といった系統と、川端康成や三島由紀夫といった系統に大きく分かれると勝手にカテゴライズしていたが、芥川はその二系統を軽く凌駕する。強いて言うなら太宰に近いものを感じるが、太宰は此処まで心象風景が上手くない(太宰ファンの方々、ごめんなさい…)。 「彼は今で言うところの統合失調症だったんだろうなぁ…」この一冊に収められている短編を読み終えて、そんな事を感じた。

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2019/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三、四年程積読のままだったが、急に読みたくなって手に取った。 芥川龍之介の、ここまで精神的苦痛を描いた小説は初めて読んだ。 彼の気持ちに寄り添って読む部分が多かった。 大導寺信輔の半生 玄鶴山房 蜃気楼 河童 或阿呆の一生 歯車 どれも好きだった。 歯車が一番好きかもしれない。

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2023/07/17

芥川の晩年の短編を6つ収録した一冊。恥ずかしながら芥川作品を読んだのは始めてだが、それぞれの話が、というよりも、この6編を合わせたこの一冊が、芥川の晩年の死生観や切迫感を感じ取るのに素晴らしい作品であると感じた。 “彼は日の暮の往来をたった一人歩きながら、徐ろに彼を滅しに来る運命...

芥川の晩年の短編を6つ収録した一冊。恥ずかしながら芥川作品を読んだのは始めてだが、それぞれの話が、というよりも、この6編を合わせたこの一冊が、芥川の晩年の死生観や切迫感を感じ取るのに素晴らしい作品であると感じた。 “彼は日の暮の往来をたった一人歩きながら、徐ろに彼を滅しに来る運命を待つことに決心した” ―或阿呆の一生

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2015/08/30

物語に飲み込まれてすっかり冒頭に書かれていたことを忘れてしまい、最後の最後であっ…そうだった…と憂鬱になる河童。 読んでいて辛いものばかりだった。

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2015/08/03

「河童」を読んだ時の衝撃は忘れられません。すごすぎて爆笑しました。こういうことがあるから、本を読むのはやめられません。

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2014/11/18

河童…面白かったです。 ラストがそれかよ!というのはあるけど。。。 芥川の晩年の短編を集めたものらしく、自ら命を絶つ前の生きる苦痛、精神的な崩壊が作品全体に漂い、一人の人間として死に向き合い、救いを求めている心情がつぶさに描かれている。 偉大な作家の最晩年の心情、読んでみるの...

河童…面白かったです。 ラストがそれかよ!というのはあるけど。。。 芥川の晩年の短編を集めたものらしく、自ら命を絶つ前の生きる苦痛、精神的な崩壊が作品全体に漂い、一人の人間として死に向き合い、救いを求めている心情がつぶさに描かれている。 偉大な作家の最晩年の心情、読んでみるのもよいと思います。

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