白痴 の商品レビュー
自分に重ねて、主人公の反省がまるで自分のように感じるのを楽しんだ。欲情に埋もれる過程が生々しくも表現され、それが別れを際立たせる。
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ゼミの先生の専門分野だったために買い、ずっと積んでいた一冊。 うーーーん。何を読まされているんだろう感が否めなかった。 良くも悪くも戦後のカオス…ってコト!?
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戦争時代でのお話で、主人公の感情変化や周りの人々の人間的生々しさがひしひしと伝わる物語でした。戦争時の環境やそこでの人々の感情といい、戦争についてとても考えさせられ、爆弾が降り注ぐ街、生死を彷徨う中、主人公の感情に移入し手に汗握る思い出読み切りました。
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戦時下の混沌とした、言いようのない不安感と破滅思想、芸術家として死にたいジレンマがそこはかとなく漂う作品。 私の感覚としてこの時代の死生観は、殺伐としていて、生きることも死ぬこともさほど大きな価値はなく、ただ眼前の事実を嚥下するというイメージがあるが、まさにそう。まさに冷たい灰色...
戦時下の混沌とした、言いようのない不安感と破滅思想、芸術家として死にたいジレンマがそこはかとなく漂う作品。 私の感覚としてこの時代の死生観は、殺伐としていて、生きることも死ぬこともさほど大きな価値はなく、ただ眼前の事実を嚥下するというイメージがあるが、まさにそう。まさに冷たい灰色。 初めての坂口安吾でした。
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①白痴 主人公は、死ぬかもしれないと思うことで生きていることを感じ、白痴の女を肉の塊と呼んですすんで愛することを恐れている。臆病だなー。結局死への恐怖を抱いている。でもそんなこと気にしない(気にできない?)白痴の女をやれやれ、って見下しつつもどこか癒しだったり愛情を見出してるんじ...
①白痴 主人公は、死ぬかもしれないと思うことで生きていることを感じ、白痴の女を肉の塊と呼んですすんで愛することを恐れている。臆病だなー。結局死への恐怖を抱いている。でもそんなこと気にしない(気にできない?)白痴の女をやれやれ、って見下しつつもどこか癒しだったり愛情を見出してるんじゃないか。 白痴って現代ことばに置き換えると何になるだろう。軽く言えばメンヘラかな。チキンとメンヘラの風変わりな生活。 ②女体 傷つく、いけない、と思っていても素子を本能的に求める谷村と、彼の全てを愛し身を尽くすことすらも愛する素子。純愛だなぁ、二人の夜の遊びは情欲のぶつけ合いでなく愛の確かめ合いのような感覚なのではなかろうか。ただ性欲の強い女は引かれがち。素子は谷村を愛することが夢であるのに、それを谷村自身は知らない。肉体のない愛に就いて考える。 ③恋をしに行く 肉体のない恋がしたいと言いながらも結局信子の純潔さに惹かれちゃう谷村!浮気っちゃ浮気だと思うけどそこを抜きにしたらとても情熱的な告白。いるよねー、みたされないことによってしか、みたされることができない人。自分を突き放してでもその人を愛したいと思う人。 素子も信子も愛してたけど出力量と種類が違う。素子へは感謝、さほど強くはない愛。信子へは燃えるような肉体への賛美。前者が愛で後者が恋。愛は小さくとも長く燃え、恋は激しいが短い。
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ハンチバックの市川沙央氏が対談でおすすめしていた。情欲や愛情、戦中前後の暮らしぶりや人間模様、生き様が新鮮だった。
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私は誰かを今よりも愛することができる。然し、今よりも愛されることはあり得ないという不安のためかしら。
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登場人物は、男女の肉体関係を、浮気を、戦争を愛する。それが正しいかどうかよりも、そういった小説のフィクション性が、現実の輪郭を際立たせること。というかなんなら「現実はフィクションを含む」ことを思い知らされる。
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特に青鬼の褌を洗う女ですが 一応奥様がモデルとされていますが 可愛くってしょうがない感じが にじみ出ております ひねくれた溺愛が心をくすぐりました 戦争のさなか 馬鹿々々しさや絶望があっても しっかり生きている感じ 白痴や女性に対する 憎悪や嫌悪があっても それは自分の怒りの投...
特に青鬼の褌を洗う女ですが 一応奥様がモデルとされていますが 可愛くってしょうがない感じが にじみ出ております ひねくれた溺愛が心をくすぐりました 戦争のさなか 馬鹿々々しさや絶望があっても しっかり生きている感じ 白痴や女性に対する 憎悪や嫌悪があっても それは自分の怒りの投影であり そのなかで 支え合う姿には 愛を感じます
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「堕落論」などのエッセイを読んでから小説を読んだ。坂口安吾がどんな考え方をする人なのか大体分かった状態で読んだので面白く感じた。どの話も彼自身の哲学が反映されていて、ここまで一貫に徹して己を曝け出している人も珍しいんじゃないかと思う。何か一つのゴールを見据えている感じがすごく伝わ...
「堕落論」などのエッセイを読んでから小説を読んだ。坂口安吾がどんな考え方をする人なのか大体分かった状態で読んだので面白く感じた。どの話も彼自身の哲学が反映されていて、ここまで一貫に徹して己を曝け出している人も珍しいんじゃないかと思う。何か一つのゴールを見据えている感じがすごく伝わる。 また、文体も肌に合っていた。純文学の抒情的表現や、…みたいな感じ、分かるでしょ…??といったような文体に馴染めない(私自身が鈍感だからだと思うが…)人間なので、坂口安吾の文体が心地よかった。特に心地よかったのは「青鬼の褌を洗う女」で、サチ子目線から語る心の機微の言語化や考え方がすごく面白かった。 どの話でも語り手たちは(作者は坂口安吾なので…)理路整然とした雰囲気で語っていく。それでもふとした拍子に目の前の女をかわいいと言ったり、男をわけが分からず愛しいと言ったりする。そこがすごく好きだし、かわいい。 好きな作家に出会えて嬉しくなった。 〜メモ〜 「私は海を抱きしめていたい」 私は物その物がその物であるような、動物的な真実の世界を信じることができないのである。 私は最も好色であるから、単純に肉慾的では有り得ないのだ。 「青鬼の褌を洗う女」 私は現実はただ受け入れるだけだ。呪ったり憎んだりせず、呪うべきもの憎むべきものには近寄らなければよいという立前で、けれども、たった一つ、近寄らなければよい主義であしらうわけには行かないものが母であり、家というものであった。
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