1,800円以上の注文で送料無料

白痴 の商品レビュー

3.8

140件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    4

レビューを投稿

2021/10/05

流れるように自然で、さらさらと読んでしまう。私自身取り留めのないことを、ついつらつらと考えてしまうのだが、坂口安吾の文章はちょうどそんな感じだ。表題作よりも、青鬼の袴を洗う女が気に入った。冷めた女の目線が小気味良い。

Posted byブクログ

2021/04/25

いけないことをしている時 いけないことは罰が待っていると思うから いたたまれなくなる 軽蔑されるから、気が滅入る かと言っていけないことを単に無条件で受け入れ開き直るのも少し違う。 むしろそれでは意固地になる。 常識で測ることで悪臭が放たれるのであって ”いけないこと”なんか...

いけないことをしている時 いけないことは罰が待っていると思うから いたたまれなくなる 軽蔑されるから、気が滅入る かと言っていけないことを単に無条件で受け入れ開き直るのも少し違う。 むしろそれでは意固地になる。 常識で測ることで悪臭が放たれるのであって ”いけないこと”なんか誰にも定義できない。 その人があるがままの行為なのであって 悪人が悪事を犯すわけではない。 ただ、日本人は特に“常識”に向かい自ら参集する性癖を持っているから、そしてそれを信用に置き換えるからなんとなく悪人や悪事を作り出す。 常識の外に見せ物小屋を作り、隔離し、安心に興じる、これが常識立脚の本当のところやと思う。 ひとりひとりが持つ考え方をもとに、生きていくことに他人が口出しするほど野暮なことはない。 こそこそするから悪人根性が芽生える。 堂々と生きよ。 人それぞれを受け入れる、この世界はひとつやから。あなたが私で、私があなたやと考えへんか。 君たちがいて僕がいる。

Posted byブクログ

2021/02/09

7話集録の短編集。どれも終戦前後の内地での話かな。戦時に取り巻く独特な空気…退廃、諦念、腐敗、狂気などが漂う。 そしてその中での男女の愛憎、情欲、×××。 きっとこういう空気の中で生きていってたんだよなぁと自分が未体験な世界に浸れて面白かった。ちょっと薄暗かったけど。

Posted byブクログ

2021/01/26

話は主に人にお勧めするには照れるような内容だけど、この語感、言葉のリズム、癖になる! 読み終える頃には好きになってた。チャッカリズム。良い。

Posted byブクログ

2020/12/09

肉慾、肉慾、肉慾、、、 うんざりするほど脂身だらけの描写。 なのに、読むことを放棄しないのは 通奏低音の堕落論に自分を見るからか。

Posted byブクログ

2020/10/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ストーリーの展開としては自分の部屋に逃げ込んできた白痴の女と共に戦火から逃げるだけで主要人物は誰も死なない。 しかし、戦禍における伊沢の思想の変化についての表現力が素晴らしい。

Posted byブクログ

2020/03/30

戦争。 生と死が日常に戯れる環境下で、人間は克己心の拠り所をどう置くか? 表題作『白痴』の、伊沢と言う男の歪んだ優越感を始め、数々の乱暴で頽廃的な思想には目を覆いたくなるが、決して背けてはならない。 ただそこに生きた炎を。 人それぞれが燃やす権利を。

Posted byブクログ

2020/02/16

堕落論を読んだ上で、こちらも読みました。 時代背景を考えても仕方のないこととは承知の上で、正直…女性蔑視が酷すぎて、読んでいてしばしば辛い部分がありました。 この時代に書かれた本には多かれ少なかれそういった描写はありますし、それを理解して、それでもなお、この時代の方々の書くお話...

堕落論を読んだ上で、こちらも読みました。 時代背景を考えても仕方のないこととは承知の上で、正直…女性蔑視が酷すぎて、読んでいてしばしば辛い部分がありました。 この時代に書かれた本には多かれ少なかれそういった描写はありますし、それを理解して、それでもなお、この時代の方々の書くお話が小説、エッセイ問わず好きなのですが…それでも、馬鹿にされている気がしてとても切ない気持ちにならざるをえませんでした。 坂口安吾の考え方そのものには共感できるところが多く、好きなのですが、「堕落論の主張を作品化」と称するのであれば、わたしは堕落論を読まれることをおすすめします。 堕落論は難しいことを難しい言葉で書かれていて、咀嚼に時間がかかると感じたので白痴も読みたいと思っていましたが、堕落論を噛みしめながら読んだ方が、特に女性にとっては、精神衛生上良いのではないかと思います。

Posted byブクログ

2019/07/17

白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など、自嘲的なアウトローの生活をくりひろげながら、「堕落論」の主張を作品化し、...

白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など、自嘲的なアウトローの生活をくりひろげながら、「堕落論」の主張を作品化し、観念的私小説を創造してデカダン派と称される著者の代表作7編を収める。

Posted byブクログ

2019/03/17

秩序と無秩序を戦時中に書き表した小説。白痴を避け、忌み嫌っている一方で白痴を求め社会から逃げられない自分を卑俗なものとする主人公。心のどこかで世間の当たり前に辟易している自分と重なる部分があった。

Posted byブクログ