津軽 の商品レビュー
明るい太宰。すばらしいです。 底抜けの能天気な明るさじゃなくて、陰はあっても微笑して軽やかにかわしてくような明るさ。終わり方も素敵すぎる。 「さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬」 本当、こんなさわやかですばらしい締め方してる本久々に読んだよ。...
明るい太宰。すばらしいです。 底抜けの能天気な明るさじゃなくて、陰はあっても微笑して軽やかにかわしてくような明るさ。終わり方も素敵すぎる。 「さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬」 本当、こんなさわやかですばらしい締め方してる本久々に読んだよ。胸がすうっとしてあーがんばりたいなあという気分にさせてくれます。 世間一般には絶望の中の作家というイメージかもしれないけど、この生きようとする太宰こそすばらしいんだって声を大にして訴えたい気分です。
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ちょいと久し振りに太宰ちゃん読み返した。 あああああ、やはり太宰ちゃん好きだ〜〜〜〜〜!! 文体が何と言ってもかわいいのよね。少女小説の源流はここにあるんじゃね?(テキトーなことをほざく) なんか太宰って読んだことない人が抱いてそうな、うっすらと人間失格とか、さんざん心中未遂して...
ちょいと久し振りに太宰ちゃん読み返した。 あああああ、やはり太宰ちゃん好きだ〜〜〜〜〜!! 文体が何と言ってもかわいいのよね。少女小説の源流はここにあるんじゃね?(テキトーなことをほざく) なんか太宰って読んだことない人が抱いてそうな、うっすらと人間失格とか、さんざん心中未遂して相手の女殺して最後は結局奥さん残して別の女と心中とか、そう言った断片から構成したイメージとの間に果てしない乖離がある気がする・・・。そんなことないのかな? それを「道化」と評しているけれども(これの中では「津軽人の性」となってるけど)、人を笑わそうとするユーモア精神ってのを一番に私は太宰に見ている気がする。それはそんなに暗い卑下するようなものというよりも、関西人とかと通ずるとこない?違うのかな〜。 文章とかにしてもめちゃくちゃ読みやすくって、少しでも多くの人に楽しんでもらいたい、という大衆性、サービス精神を感じるではないか。 わざわざそんな「心の病を感じる」とか読み込まなくってもいいんやないかな〜。 そしてこれを読んでるととりあえず津軽旅行したくなる(笑)今でもそういう風景残ってるんだろうか。あ〜、こういう旅行してみたい〜。(いや、知人とかいないので渡り歩くとか出来ないですけどさ)
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生きるために、生活するために筆をとる。 津軽風土記の執筆を依頼されて3週間故郷津軽を旅する。 クライマックスは最後に育ての親、タケに会いに行くところ。 「大人とは、裏切られた青年の姿である」 「一生、だめかも知れない。ひびのはいた茶碗は、どう仕様も無い。 どうしたって、もと...
生きるために、生活するために筆をとる。 津軽風土記の執筆を依頼されて3週間故郷津軽を旅する。 クライマックスは最後に育ての親、タケに会いに行くところ。 「大人とは、裏切られた青年の姿である」 「一生、だめかも知れない。ひびのはいた茶碗は、どう仕様も無い。 どうしたって、もとのとおりにはならない。 津軽人は特に、心のひびを忘れない種族である。」 「津軽の人よ、顔を挙げて笑えよ。 ルネッサンス直前の鬱勃たる台頭力をこの地に認めると断言してはばからぬ人さえあったではないか。 日本の文華が小さく完成して行きづまっている時、 この津軽地方の大きい未完成が、どれだけ日本の希望になっているか、一夜しずかに考えて、 などというとすぐ、それそれそんなに不自然に肩を張る。 人からおだてられて得た自信なんてなんいもならない。 知らん振りして、信じて、しばらく努力を続けて行こうではないか。」 優しさと繊細さで溢れた太宰を知れる一冊。 これを知って『人間失格』や『斜陽』を読んだらまた違ったかもしれぬ。 更にこの作品の終わり方がたまらない。 「さらば読者よ、命あらばまた他日。 元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」
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安心して穏やかな気持ちで読める。 若い頃って、両親とか故郷とか、そういう生まれついてのものを格好悪く思ってしまいがちやね。 終盤、言葉が上手く出てこないほど感動。 ・・・にしても「貴公子」だの「羽織」だのにまで注釈をつけたのは誰や!? そんなんやから注釈だけで40Pも使う羽目...
安心して穏やかな気持ちで読める。 若い頃って、両親とか故郷とか、そういう生まれついてのものを格好悪く思ってしまいがちやね。 終盤、言葉が上手く出てこないほど感動。 ・・・にしても「貴公子」だの「羽織」だのにまで注釈をつけたのは誰や!? そんなんやから注釈だけで40Pも使う羽目になるねん! 読みにくーてしゃーなかったわ! 08.10.14
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津軽を読む際には青森や津軽の地理を頭に入れたほうが良いとよく聞きますが僕はそのあたり頭に入っているのですんなり読むことができました。1読目はただの紀行文かと思ったが、2読するにつれたけとの再会シーンがあっさりと描かれていることに妙に感動というかなんというか、読めば読むほどです。太...
津軽を読む際には青森や津軽の地理を頭に入れたほうが良いとよく聞きますが僕はそのあたり頭に入っているのですんなり読むことができました。1読目はただの紀行文かと思ったが、2読するにつれたけとの再会シーンがあっさりと描かれていることに妙に感動というかなんというか、読めば読むほどです。太宰文学の中では一番大衆に支持されやすいと思ふ。津軽人の僕にとってはたまらない一冊。
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太宰作品と青森の津軽地方についてある程度の知識を得てから読むと良いかも。 前半は地理的描写が多く、なかなか頭にイメージが湧かなかった。ページが進むにつれて内面描写へと移行していく。 最後の育ての親に会いに行く場面は胸に来た。 太宰の思考回路は、卑屈で気弱でいやらしく見える。しかし...
太宰作品と青森の津軽地方についてある程度の知識を得てから読むと良いかも。 前半は地理的描写が多く、なかなか頭にイメージが湧かなかった。ページが進むにつれて内面描写へと移行していく。 最後の育ての親に会いに行く場面は胸に来た。 太宰の思考回路は、卑屈で気弱でいやらしく見える。しかし、それは確実に自分をも映す鏡である。
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太宰治が故郷の青森を旅する話。津軽にまつわる歴史や、友人・親戚、そして自分を育ててくれた、たけとの再会など。 今まで、太宰治=暗い・・・というイメージを持っていた。が、この本ではそういった暗さはあまりなく、太宰の生き生きとした感じが伝わってきた。こんな明るい一面もあったのかと、新...
太宰治が故郷の青森を旅する話。津軽にまつわる歴史や、友人・親戚、そして自分を育ててくれた、たけとの再会など。 今まで、太宰治=暗い・・・というイメージを持っていた。が、この本ではそういった暗さはあまりなく、太宰の生き生きとした感じが伝わってきた。こんな明るい一面もあったのかと、新鮮な驚きを与えてくれた一冊。それにしても、文中に「国防上重要なため、これ以上の記述を控える」っていうのが時代を感じさせる。(2004/2月頃読了)
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高校時代の担任の先生は、国語の先生で文学青年で、太宰治が好きだった。国語の教科書に太宰の作品があり、当然であるが授業で読むこととなり、まぁ、好きな作家のことであるから、先生は当然に太宰をほめる。それは別に構わない。が、調子に乗って、他の作家をけなし始め、その時に庄司薫がやり玉にあ...
高校時代の担任の先生は、国語の先生で文学青年で、太宰治が好きだった。国語の教科書に太宰の作品があり、当然であるが授業で読むこととなり、まぁ、好きな作家のことであるから、先生は当然に太宰をほめる。それは別に構わない。が、調子に乗って、他の作家をけなし始め、その時に庄司薫がやり玉にあがった。いわく、庄司薫の文体は太宰治の文体をまねただけのものであり、その作品には全く見るべきところがない、という主張であったように記憶している。私は庄司薫が好きだったので、それは好ましからざる主張であった。今であれば、たてつくか、あるいは、仰せの通りとのコメントでも残してやり過ごすことになるのだろうが、高校生の私は、機嫌をそこね黙ったままであった。それはさておき、津軽地方の中心都市のひとつである五所川原に、一時期、仕事で頻繁に通っていた。もう20年近く前のことだ。京都で生まれ、中学高校を九州で過ごし、大学以降東京とその近郊で過ごしてきた私にとって、津軽は「おっ、これは違う場所だぞ」と思わせる土地だった。冬のどんより曇った日本海側特有の空、猛烈な吹雪、各戸にあるものすごく大きな灯油タンク、雪のあるいは寒さの侵入を防ぐための二重になった玄関、お年寄りのしゃべる何を言っているのか理解できない津軽弁、五能線が吹雪の中海に出た時の光景、夕方の十三湖の荒涼、それまで見たことのない、印象深いものが津軽にはたくさんあった。太宰治は津軽の出身だ。この本は、昭和19年というから終戦の前年に、既に東京で文筆生活を送っていた太宰が、あらためて3週間(だったかな?)を費やして故郷の津軽を旅する、という、いわば旅行記である。この本の白眉は第5部、自分を育ててくれた乳母に会いに太宰が出かける章である。この章は、他の章に比べて文章が生き生きしている気がする。十三湖の描写がある。やがて、十三湖が冷え冷えと白く目前に展開する。浅い真珠貝に水を盛ったような、気品はあるがはかない感じの湖である。波一つない。船も浮んでいない。ひっそりしていて、そうして、なかなかひろい。人に捨てられた孤独の水たまりである。流れる雲も飛ぶ鳥の影も、この湖の面には写らぬというような感じだ。何の変哲もない文章のような気もするのだけれども、でも、私の見た十三湖がたしかに描写されているのである。高校の担任の先生を許してあげよう、という気になった。
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実はあまり太宰が好きではないのだけれど、これは好きで楽しく読める。ただ時折彼が暗い、どうしようもないものを見つめているところがあって、そこが今はまともに読めない。だましていないわけはない。最初からそのつもりでいるのがはらただしい。
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「金木は、私の生れた町である。津軽平野のほぼ中央に位し、人口五、六千の、これという特徴もないが、どこやら都会ふうにちょっと気取った町である。善く言えば、水のように淡泊であり、悪く言えば、底の浅い見栄坊の町という事になっているようである。」 斜陽館は 津軽の大地主で太宰治の父、津島...
「金木は、私の生れた町である。津軽平野のほぼ中央に位し、人口五、六千の、これという特徴もないが、どこやら都会ふうにちょっと気取った町である。善く言えば、水のように淡泊であり、悪く言えば、底の浅い見栄坊の町という事になっているようである。」 斜陽館は 津軽の大地主で太宰治の父、津島源右衛門が建築した入母屋造りの建物で、明治40年6月に落成。米蔵にいたるまで日本三大美林のヒバを使い、階下11室278坪、2階8室116坪、付属建物や泉水を配した庭園など合わせて宅地約680坪の豪邸。
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