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津軽 の商品レビュー

4.1

178件のお客様レビュー

  1. 5つ

    54

  2. 4つ

    60

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2012/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んだ期間*2012年3月27日~4月16日 “大人というものは侘しいものだ。愛し合っていても、用心して、他人行儀を守らなければならぬ。なぜ、用心深くしなければならぬのだろう。その答は、なんでもない。見事に裏切られて、赤恥をかいた事が多すぎたからである。人は、あてにならない、という発見は、青年の大人に移行する第一課である。大人とは、裏切られた青年の姿である。”

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2012/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『津軽』は、太宰治の小説である。 彼の出生の地である津軽地方への旅を通じた、東京で暮らした経験を踏まえた上での津軽地方の「印象記」である。 訪れた地ごとに章立てをし、初めにその地方の地理的・歴史的背景を記述している。その後、実際に出会った友人や親族とのやりとりを描く、といった構成になっている。 太宰治の持つ、生に対する一つの信念が浮かんでくるように思える作品であった。『人間失格』に見られる、自身に対する絶望から生じる死の願望が太宰作品の原動力になっていると思われがちだが、実際には死を意識することによってより鮮やかな生を営もうとしているのではないだろうか。 津軽地方の様々な魅力と、太宰治の本質的な人間性に触れられる作品であると感じた。

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2012/08/24

作者が久しぶりに帰郷して 「異邦人」の目で故郷を眺めた紀行文。 まったりとした味わい。 しかし、頭の中で つげ義春マンガ風ヴィジョンが展開されてしまうのは 私だけだろうか(笑)。

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2014/11/18

生誕100周年を迎へた太宰治。 没後61年にして、その人気は健在のやうであります。愛読者の一人として、まことに喜ばしい。 私が初めて読んだ太宰作品がこの『津軽』です。『人間失格』でも『斜陽』でも、或いは『走れメロス』でもなかつた。 元々出版社から依頼を受けて執筆された津軽の風土...

生誕100周年を迎へた太宰治。 没後61年にして、その人気は健在のやうであります。愛読者の一人として、まことに喜ばしい。 私が初めて読んだ太宰作品がこの『津軽』です。『人間失格』でも『斜陽』でも、或いは『走れメロス』でもなかつた。 元々出版社から依頼を受けて執筆された津軽の風土記ですが、他の作品にない明るさ、ユーモアに包まれてゐます。ゆゑに当時中学生の私は「太宰治といふのは、きつとユーモア作家なのだな」と勝手に納得してゐました。 本書執筆のため、太宰は3週間にわたる津軽旅行へ出発します。彼にとつて津軽は郷里であり、脱出してきた土地。複雑な感情が入り混つてゐます。実の兄姉たちと再会した際の、あの余所余所しさと言つたら! それに比べ、かつて津島家(太宰の実家)に奉公してゐた「たけ」といふ女性に対しては苦労をして、やつとのことで再会を果たします。その場面は、割と呆気なく描写されてゐますが、「ああ、良かつたなあ」と感情移入させられます。 『人間失格』を最初に読んで、引いてしまつた方には、本書を是非読んでみてください。太宰治の印象が変ることでせう。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-203.html

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2012/02/25

再読。太宰の、太宰による、太宰のための、故郷津軽の紀行文。 内容は大の大人が、友人知人宅に次々に上がり込んでは大酒を飲むというお話です(笑) 閉鎖的な田舎人ではなく、東京人としての冷静さを兼ね備えつつ、どれだけ津軽や津軽の人々を愛しているか、不器用で率直に書かれています。さす...

再読。太宰の、太宰による、太宰のための、故郷津軽の紀行文。 内容は大の大人が、友人知人宅に次々に上がり込んでは大酒を飲むというお話です(笑) 閉鎖的な田舎人ではなく、東京人としての冷静さを兼ね備えつつ、どれだけ津軽や津軽の人々を愛しているか、不器用で率直に書かれています。さすが、自称専門科目「愛」!!w やはり、津軽が一番好き。不器用で頑固で、でもとても純粋な太宰の価値観が好き!ラストは嬉しいやら切ないやらやっぱり嬉しいやらで何度読んでも涙目です。

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2011/09/19

太宰が35歳の時に地元津軽を3週間かけて1周したときの紀行文。 地元への愛や偏見や思い出が太宰独自の目線で描かれていて非常に面白い。 太宰の素の部分がここまでさらけ出されていると、滑稽かつ爽快。彼の美学は時々全うで時々偏屈だ。でも、そういう人間だからこそ彼は愛されているのだろう...

太宰が35歳の時に地元津軽を3週間かけて1周したときの紀行文。 地元への愛や偏見や思い出が太宰独自の目線で描かれていて非常に面白い。 太宰の素の部分がここまでさらけ出されていると、滑稽かつ爽快。彼の美学は時々全うで時々偏屈だ。でも、そういう人間だからこそ彼は愛されているのだろう。 その土地を先週めぐれたことに、感謝。

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2011/12/01

ラストのたけとの再開がものすごくよかった。思わず泣いてしまったし、終わり方も妙に元気で幸せな感じがしてよい。 どうにも人間失格や自殺したことなどから暗いイメージが付きまとう太宰だけど、この『津軽』ではお茶目な面がみれる。~である、~だと断定調のなか突然、~しちゃったになったり、自...

ラストのたけとの再開がものすごくよかった。思わず泣いてしまったし、終わり方も妙に元気で幸せな感じがしてよい。 どうにも人間失格や自殺したことなどから暗いイメージが付きまとう太宰だけど、この『津軽』ではお茶目な面がみれる。~である、~だと断定調のなか突然、~しちゃったになったり、自分の着ているムラサキ色のジャンパーが変だと妙に気にしてたりかわいらしい。 よかった、大変よかった。

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2011/03/26

「けれども、私には何の不満もない。まるで、もう、安心してしまっている。足を投げ出して、ぼんやり運動会を見て、胸中に一つも思う事が無かった。もう、何がどうなってもいいんだ、というような全く無憂無風の情態である。平和とは、こんな気持の事を言うのであろうか。もし、そうなら、私はこの時、...

「けれども、私には何の不満もない。まるで、もう、安心してしまっている。足を投げ出して、ぼんやり運動会を見て、胸中に一つも思う事が無かった。もう、何がどうなってもいいんだ、というような全く無憂無風の情態である。平和とは、こんな気持の事を言うのであろうか。もし、そうなら、私はこの時、生まれてはじめて心の平和を体験したと言ってもよい。」 僕は或る人のことを思っているのである。 「元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」

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2011/02/26

後半での太宰治、いや津島修治(本名)の原点でもあるたけさんとの再開はとても良かった。また少し太宰治という人間と心を通わせられた気がする。

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2011/02/10

太宰作品で主要な作品を読んでいたのだけど、『津軽』は初めてだった。 この感受性豊かな旅情詩のような文章やそうかと思えば青森独特の親愛の情をあらわにする友との再会の場面など、それぞれの読者とそのイメージを掻き立てる。素直に太宰という作家を愛おしいと思える、そんな作品だった。 特に、...

太宰作品で主要な作品を読んでいたのだけど、『津軽』は初めてだった。 この感受性豊かな旅情詩のような文章やそうかと思えば青森独特の親愛の情をあらわにする友との再会の場面など、それぞれの読者とそのイメージを掻き立てる。素直に太宰という作家を愛おしいと思える、そんな作品だった。 特に、幼少時3歳くらいまで子守り、育ての親だった越野たけさんとの再会は、「津軽の思い出と言えばたけだった」と言うほど太宰にとって、たけの存在は根っこの部分なのだろう。 太宰のユーモアと絶望の狭間で揺れ続ける様はこの「津軽」でも見事に表現されている。 竜飛崎では、イメージとはまったくかけ離れた本州の最果てには鶏小屋のような狭い民家しかないという絶望しかないような場所を描写したかと思えば、越野たけさんを訪ねて中泊で見た最果てにある鮮やかな万国旗と子どもたちが衣装を付けてダンスを踊る様を描写しているのだが、その対比も彼の中の「津軽」なのだろう。その様々な太宰の中の「津軽」を締めくくるものとしてたけとの再会は感動的ですらある。 太宰治『津軽』(「たけ」との再会) http://www.geocities.jp/sybrma/44dazai.tsugaru.html

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