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刺青・秘密 の商品レビュー

4.1

227件のお客様レビュー

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2020/09/20

両親がなくなって1年半が過ぎる。生前にはほとんど見なかったのに、いなくなってからよく夢を見る。実家ももうすでに売り払っているのに、夢に出てくるのはたいがい実家の様子だ。ただ、その回数も次第に減ってきており、さみしい思いもする。「母を恋うる記」これは夢だろうなあと思いながら読んでい...

両親がなくなって1年半が過ぎる。生前にはほとんど見なかったのに、いなくなってからよく夢を見る。実家ももうすでに売り払っているのに、夢に出てくるのはたいがい実家の様子だ。ただ、その回数も次第に減ってきており、さみしい思いもする。「母を恋うる記」これは夢だろうなあと思いながら読んでいたが、やっぱり夢だった。母と思わずに母を追い続けている様子がせつない。「異端者の悲しみ」大学名は書かれていないが、もちろん東大に行くわけだから、もともとそれなりの学力はあったはずだ。いくら貧しくても、文句ばかり言わずに学問にいそしむべきではないのか、そんな思いで読み進めた。人にお金を借りて返さない。人柄で救われている部分はあったろうが、でも許されるものでもない。5円が一体どれくらいの値打ちだったか。しかし、借りたものは返す。時代が違っても、そこに違いはないと思うが。さらには、酒、女、・・・。そして、作家になった。何だ、自伝的作品であったか。それならば許される。すべてが作家としての糧になっている。そういうことだろうか。もっとも好きな作品は「二人の稚児」。宇治十帖の中に横川の僧正が出てくる。かわいい男の子に「また遊びにおいで」と声をかける。この美しい二人の稚児に対しては何もなかったのだろうか。女人禁制の中で、女性に対する思いを膨らませていく。下界に降りるか否か。悩ましい。世の中のことを知った上でこもるのと、何も知らないままこもるのとでは大きな違いがありそうな気もするが。これが、後の谷崎源氏につながっていくということか。「秘密」はやはり谷崎だった。

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2020/07/07

「刺青」と「秘密」だけの本かと思っていたが、短編集だったということを知った。相変わらず難しい内容で、理解できないところも多かった。

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2020/06/11

個人的には最近の小説の文体より読みやすい。ところどころにフェティシズムがにじんでいて、描写の力の入れ方が格段に強くなっているところがある。

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2020/05/26

「異端者の悲しみ」が作者の自伝的小説だと聞いて読んだが、繊細すぎるがゆえに歪んでしまったのかと思うと悲しい気持ちになった。 世界は自分の見方で変わる。

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2020/05/18

久しぶりの谷崎潤一郎、解説を読むと一番初期の作品とのこと。「谷崎は聴覚型の作家」と解説に書かれていたが、「母を恋うる記」など日本語の美しさを実感する。

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2020/05/17

短編集(中編も含まれている)であり、それぞれの話が面白い。少年、秘密、異端者の悲しみか特に良かった。タイトルにある刺青はこんなに短いものだったんだと、少し拍子抜けしてしまった。笑

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2020/04/14

初の谷崎潤一郎作品。 出てくる人物はほとんど狂人じみた人達ばかりで、共感できるところはほぼ無い。 ただ、文章に惹きつけられる。 難しい言葉が多いけど、不思議と苦にならない。 特に短いけど心を掴まれる「刺青」と幻想的な情景描写が美しい「母を恋うる記」が良きでした。 もっと別の谷崎潤...

初の谷崎潤一郎作品。 出てくる人物はほとんど狂人じみた人達ばかりで、共感できるところはほぼ無い。 ただ、文章に惹きつけられる。 難しい言葉が多いけど、不思議と苦にならない。 特に短いけど心を掴まれる「刺青」と幻想的な情景描写が美しい「母を恋うる記」が良きでした。 もっと別の谷崎潤一郎作品を読みたい

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2020/02/15

谷崎潤一郎の短編集だがどの物語もそれぞれ怪しい雰囲気が漂っていてその不思議な艶めかしい世界に取り込まれてしまう感じでした。 特に印象に残ったのは「秘密」と「少年」かな。

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2019/06/27

肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である...

肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全七編を収める。

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2018/11/30

印象に残ったのは「少年」、「異端者の悲しみ」、「母を恋うる記」。「少年」は、マゾヒズムの倒錯、「異端者の悲しみ」は太宰のような自伝的世界、「母を恋うる記」は谷崎の母への思慕、それぞれが印象に残る秀逸な短編集。

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