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刺青・秘密 の商品レビュー

4.1

229件のお客様レビュー

  1. 5つ

    74

  2. 4つ

    71

  3. 3つ

    46

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

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2017/08/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本語の巧みさ、美しさを散りばめられた 変態大谷崎の処女作であり、初めて読んだ本。 背に大蜘蛛が彩られる情景の文には 日本語の美で描く官能の色を感じさせられた。

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2017/05/25

エロスというよりマゾヒスト、フェティスト、覗き見、と妖しげな女性への美意識に足を突っ込んだ作品です。  三つ子の魂百まで、といいますがデビュー作からこんな感じで突っ走ってる人ので、文科省推薦作家(教科書に載る作品を書く人)になるはずがなく、あえて自分から手を出さないと一生食わず嫌...

エロスというよりマゾヒスト、フェティスト、覗き見、と妖しげな女性への美意識に足を突っ込んだ作品です。  三つ子の魂百まで、といいますがデビュー作からこんな感じで突っ走ってる人ので、文科省推薦作家(教科書に載る作品を書く人)になるはずがなく、あえて自分から手を出さないと一生食わず嫌いで終わる可能性のある作家です(同じ類の大家に、永井荷風がいます)。  とにかくノーベル文学賞候補に何度ものぼっ文章力は伊達でなく、’’天賦の才溢れる変態’’といったところでしょうか。この本の中では’’少年’’が好きです。これも妖しいですよお

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2017/04/27

耽美というと昔はとにかく美しい世界、花や宝石や月や星、美男美女のめくるめく愛のようなものを想像していた。 それも間違いではないのだが、実際は美の概念というものを考えさせられる世界だ。 醜悪な姿や心やグロテスクなおどろおどろしい話、そんなものの内に美を見出すのはどういうことだろう。...

耽美というと昔はとにかく美しい世界、花や宝石や月や星、美男美女のめくるめく愛のようなものを想像していた。 それも間違いではないのだが、実際は美の概念というものを考えさせられる世界だ。 醜悪な姿や心やグロテスクなおどろおどろしい話、そんなものの内に美を見出すのはどういうことだろう。 考えてみると、それが人間の理性を超えた世界だからかもしれない。 倫理や秩序を超えた根源的な欲求、それを満たす陶酔や解放感を、美とあらわすほか言葉を知らないだけかもしれない。 人間の本質は秩序からかけ離れたところにあるのかもしれない。 この作品を読んでいて思い出したのが、映画「ブラックスワン」と「ドリアン・グレイの肖像」だった。 そのどちらかが好きな人ならば耽溺できる世界観だと思っている。 谷崎氏の文章の魅力はその放埓さと、絢爛な言葉遣いにある。 「刺青」は最後の一文がいつまでもからだの裏側で冴え渡っていて、視覚の一部を盗まれたような心地がした。 「秘密」もまたあやうくたまらなくエロティックで、極限までその期待とおそれとをふくらませてからの呆気なく残酷な幕引きが余韻を残す。 やはり表題作のこの2点が印象として強い、と感じた。 「少年」もまた無垢な残忍性から記憶に残る話ではあるが、好みから少しずれていたので、おそらく再読はしないと思う。

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2017/04/06

面白かったです。描かれる倒錯した世界にうっとりしました。寂しさも感じつつ、耽美。「刺青」「秘密」「母を恋うる記」が特に好きです。「母を恋うる記」の月夜の情景が淋しくて美しかったです。終わり方も悲しくて好き。

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2017/02/15

著者の作品をちゃんと読んだのは初めてでした。作品によって好き嫌い分れると思った。 良い→刺青、異端者の悲しみ、母を恋うる記 ちょっと無理→少年 それ以外は普通 刺青、母を恋うる記…物語そのものより文章や世界観を楽しむような感じですね。詩を読んでいるような感じ。 異端者の悲しみ...

著者の作品をちゃんと読んだのは初めてでした。作品によって好き嫌い分れると思った。 良い→刺青、異端者の悲しみ、母を恋うる記 ちょっと無理→少年 それ以外は普通 刺青、母を恋うる記…物語そのものより文章や世界観を楽しむような感じですね。詩を読んでいるような感じ。 異端者の悲しみ…これ(主人公)、自分の事なんだろうなとは思って読んでたけど割とこういった閉塞感も持っていた人なんだな?とちょっと意外でもありました。生きていれば誰でも感じうる息苦しさを思い起こさせる話。 少年…好きな人多いんだろうけど、私は駄目でした。

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2016/11/28

太宰に興味を持った高校時代、その派生で読んだ谷崎の本作。軽い気持ちで手を出すような代物ではなかった。 人間の弱さとか見栄とか、色々な感情が描かれていて、高校生なりに「とんでもないものを読んでしまった」と思ったことを覚えている。

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2016/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今年のプレミアムカバー、すてき! なんかエロチックな感じ笑 別に直接何かが書いてあるわけでもないんですけど… 文体かな?読みやすいけど独特でした。

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2016/08/11

「文章読本」を入れれば三冊目の谷崎潤一郎。収録されている順に「刺青」「少年」「幇間」「秘密」「異端者の悲しみ」「二人の稚児」「母を恋うる記」がある。印象的だった順では、「母を恋うる記」月明かりに照らされた浜辺の松並木の描写がただただ幻想的。音の描写も綺麗で、こんなに美しい文章は久...

「文章読本」を入れれば三冊目の谷崎潤一郎。収録されている順に「刺青」「少年」「幇間」「秘密」「異端者の悲しみ」「二人の稚児」「母を恋うる記」がある。印象的だった順では、「母を恋うる記」月明かりに照らされた浜辺の松並木の描写がただただ幻想的。音の描写も綺麗で、こんなに美しい文章は久々ー「異端者の悲しみ」主人公の最低さに読んでいて胸糞が悪くなったが、逆に自らをここまでクソ野郎に描ける一種のサドマゾヒズムは他の作品と通ずる部分があるー「少年」少年らの嗜虐性に満ちた禁断の遊びを見てしまった、という背徳感が印象的ー「幇間」太鼓持ちが誑られていると知りながらも馬鹿を演じる最後のシーンが好きー「刺青」短いながらも艶やかで蠱惑的、誰もが狂っているー「秘密」一番理解に苦しんだが、男性の刺激を求める姿には自分を重ねてしまったー「二人の稚児」情欲に溺れた稚児と仏道に身を捧げる稚児の対比を描いた作品。人間の影の部分を鋭く描く作者では右に出るものはいないのではないか。

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2016/07/02

(2016.06.29読了)(2002.04.20購入)(1991.08.10・46刷) 『細雪』を読んだついでに、手に取りました。 明治42年から大正8年までに書かれた7つの短編が収録されています。 自虐的なもの、被虐的なもの、退廃的なもの、純なもの、など、特異な世界が繰り広げ...

(2016.06.29読了)(2002.04.20購入)(1991.08.10・46刷) 『細雪』を読んだついでに、手に取りました。 明治42年から大正8年までに書かれた7つの短編が収録されています。 自虐的なもの、被虐的なもの、退廃的なもの、純なもの、など、特異な世界が繰り広げられます。これらの作品に比べると、『細雪』は、ずいぶんとまともな日常が描かれているようです。それでも、『細雪』の洪水の場面とか、台風の場面とか、病気の場面は、特異な状況と言えそうです。谷崎は、こういった特異な場面に才能を発揮したのかもしれません。 【目次】 刺青 少年 幇間 秘密 異端者の悲しみ 二人の稚児 母を恋うる記 解説  河盛好蔵 ・刺青 清吉、刺青師、奇警な構図と妖艶な線 ・少年 萩原の栄ちゃん、尋常四年、蛎殻町二丁目、 塙信一、同級生 仙吉、上級生、餓鬼大将、いじめられ役、 光子、信一の姉、 ・幇間 幇間の三平、元兜町の相場師、桜井、 榊原の旦那、 梅吉、芸者、催眠術、 ・秘密 Mr. S. K.、女装、 T女、上海旅行、 ・異端者の悲しみ 間宮章三郎、八丁堀、裏長屋、独り言、文科大学学生、 お富、妹、病気、 父親、 母親、 お葉、叔父の娘、 鈴木、茨城県の豪農の息子。五円、 法科のS 工科のO 政治科のN 芳川、医者、 ・二人の稚児 千手丸、十五、近江の国の長者の子、比叡山、女人禁制、 瑠璃光丸、十三、少納言の若君、 「お前たちは、よくよく仕合せな身の上だと思わなければなりませぬぞ。人間が親を恋い慕うたり、故郷に憧れたりするのは、みな浅ましい煩悩の所業であるのに、山より外の世間を見ず、親も持たないお前たちは、煩悩の苦しみを知らずに生きてこられたのだ。」(194頁) ・母を恋うる記 潤一、七つか八つ、 「天ぷら喰いたい、天ぷら喰いたい」 ☆関連図書(既読) 「痴人の愛」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1947.11.10 「細雪(上)」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1997.04.10(1955.10.30) 「細雪(中)」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1997.04.10(1955.10.30) 「細雪(下)」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1997.04.10(1955.10.30) 「鍵・瘋癲老人日記」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1968.10.25 「源氏物語 巻一」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.06.10 「源氏物語 巻二」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.07.10 「源氏物語 巻三」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.08.10 「源氏物語 巻四」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.09.10 「源氏物語 巻五」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.10.10 (2016年7月2日・記) 内容紹介(amazon) 肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全七編を収める。

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2016/06/29

 積読していたものをやっと読む。入っている作品は「刺青」、「少年」、「幇間」、「秘密」、「異端者の悲しみ」、「二人の稚児」、「母を恋うる日」。  作品によって結構自分の中で好き嫌いが分かれた。これくらい好みの振れ幅が大きい作家は珍しい。ただ、なぜかものすごく三島由紀夫気にのめり込...

 積読していたものをやっと読む。入っている作品は「刺青」、「少年」、「幇間」、「秘密」、「異端者の悲しみ」、「二人の稚児」、「母を恋うる日」。  作品によって結構自分の中で好き嫌いが分かれた。これくらい好みの振れ幅が大きい作家は珍しい。ただ、なぜかものすごく三島由紀夫気にのめり込んでいた時期が一瞬あって、そのときに読んだらもっとはまっていたと思う。入ったものは「秘密」、「二人の稚児」、「母を恋うる日」だった。特に後ろの2つはファンタジーだったり、仏教的要素が混ざっていたりしているのが良かった。また、「二人の稚児」の王朝時代みたいな背景にも惹かれるものがあった。  「秘密」とそれ以外の作品は、人間の欲求がよく描き出されていて、少し身の毛がよだつような感じだった。  ほかにも谷崎作品を読んでみたいが、どれが自分に合っているか迷う。とりあえず、候補としては『卍』、『少将滋幹の母』、『細雪』。

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